2026年9月23日 Reinvent編集チーム

アメリカで買う州を固定資産税で選ぶ前に。同じ州でも郡と学区で倍変わる

アメリカの固定資産税は、州ごとに一つの税率が決まっているわけではありません。実際に税率を決めるのは郡、市町村、学区で、同じ州の中でも自治体をまたぐと負担が倍近く変わります。

 

それでも州ごとの傾向ははっきりあります。日本から複数の州を比べて買い先を決める場合、この傾向を押さえておかないと、購入価格だけを見て毎年の負担を読み違えます。名義と税務の設計まで含めて書きます。州別の実効税率と物件価格ごとの年間税額はアメリカの固定資産税は年いくらかの記事に一覧でまとめてあります。

 

1. 誰が税率を決めているか

アメリカ各州の住宅と固定資産税のイメージ

 

アメリカの固定資産税は、州が集めて配る税ではありません。郡、市町村、学区がそれぞれ必要な予算を決め、それを課税対象の資産の評価額で割って税率を出します。学区の割合が最も大きく、負担の半分以上を占める地域が珍しくありません。

したがって同じ州でも、学校に予算を厚く配る自治体は税率が高く、隣の自治体では低い、ということが普通に起こります。ニューヨーク州のウエストチェスター郡はその典型で、町の中に村がある地域では、番地が違うだけで年間の税額が数千ドル変わります。

項目 内容
決めるのは誰か 州ではなく郡・市町村・学区。学区の割合が最も大きい
実効税率が高い州 ニュージャージー、イリノイ、コネチカット、ニューハンプシャー、テキサス
実効税率が低い州 ハワイ、アラバマ、コロラド、ネバダ、アリゾナ、サウスカロライナ
州所得税がない州 フロリダ、テキサス、ネバダ、ワシントン、テネシー、サウスダコタ、ワイオミング、アラスカ
確認する場所 物件が所在する郡の評価担当部署が出す評価台帳と税額の明細
公表情報にもとづく一般的な傾向です。実際の税率は自治体ごとに異なります。

 

ニューヨークで持つ場合の税の全体像はアメリカ不動産の税金に、州別の投資条件はニューヨークとアメリカの不動産サービスのページにまとめてあります。

2. 州ごとの傾向

アメリカ各州の住宅と固定資産税のイメージ

 

住宅の実効税率が高いのは、ニュージャージー、イリノイ、コネチカット、ニューハンプシャー、テキサスです。これらの州では、住宅価格に対する年間の固定資産税が2%前後に達する地域があります。50万ドルの住宅なら年1万ドル前後という水準です。

低いのはハワイ、アラバマ、コロラド、ネバダ、アリゾナ、サウスカロライナで、0.3%から0.6%の範囲に収まる地域があります。同じ50万ドルの住宅でも年間の負担は2,000ドル前後で、高い州との差は5倍近くになります。

ニューヨーク州は中間から上寄りに位置します。ただし州内の差が大きく、ニューヨーク市内の集合住宅と、郊外の一戸建てでは仕組みそのものが違います。市内の一戸建てには年ごとの評価額の上昇に上限がかかる区分があり、長く持つほど市場価格との差が開きます。

3. 州所得税との組み合わせで見る

アメリカ各州の住宅と固定資産税のイメージ

 

固定資産税だけを見て州を比べると判断を誤ります。州によっては州所得税がなく、そのぶん固定資産税を高く取る構造になっているからです。テキサスとニューハンプシャーが典型で、州所得税がない代わりに固定資産税が高く設定されています。

連邦の累進税率と州ごとの税率は、アメリカの所得税率の記事に一覧でまとめています。

賃貸に出して利益が出る場合、その利益には連邦所得税と、州所得税のある州では州の所得税もかかります。州所得税のない州で持てば後者は生じません。つまり比べるべきは、固定資産税と州所得税を合わせた年間の負担です。

もう一つ見落とされやすいのが売却時です。州によっては売主に譲渡税がかかり、非居住者に対して州段階の源泉徴収を行う州もあります。連邦のFIRPTAの源泉徴収とは別に、州の分が上乗せされます。買う前に、出るときの税まで見てください。

4. 保有の実務と名義の設計

どの州でも、外国籍で米国に住んでいない方が不動産を買うことはできます。名義は個人、LLC、信託のいずれも選べます。集合住宅のうちコープだけは理事会の審査があり、非居住の方はほとんど通りませんが、これはニューヨークとその周辺に集中した形態で、他州ではほとんど問題になりません。

賃料を得る場合、非居住者は賃料総額の30%の源泉徴収が原則で、確定申告を選ぶと経費を引いた純額への課税に切り替えられます。固定資産税も減価償却も経費に入るため、この選択の有無で手取りが大きく変わります。LLC名義で保有する場合の税務はLLC名義での保有と税務にまとめてあります。

個人名義のまま非居住者が亡くなると、米国の遺産税は基礎控除が6万ドルしかなく、最高税率40%が超過分にかかります。これは州を問わず同じです。名義の設計は、購入後に変えると譲渡税がかかるため、契約前に決めます。取引の際には、その時点の最新の税務を、契約書と書面で確認してください。

5. まとめ

固定資産税は州の数字で比べるものではなく、番地の数字で比べるものです。候補が絞れたら、その郡の評価台帳で直近の税額を取り寄せてください。あわせて州所得税と、売却時の州の源泉徴収まで並べて見ます。購入の全体の流れはニューヨーク不動産の購入ガイドに、日本にいながら進める手順は日本からの遠隔購入にまとめてあります。

 

州の選定から名義の設計まで、個別のご相談を承っております。

 

よくある質問

州の平均税率で比べてはいけないのですか。

目安にはなりますが、判断の根拠にはなりません。税率を決めるのは郡、市町村、学区で、同じ州の中でも自治体をまたぐと倍近く変わります。候補の物件が決まったら、その郡の評価担当部署が出す直近の税額を書面で取り寄せてください。

州所得税がない州のほうが有利ですか。

一概には言えません。州所得税がない州は、そのぶん固定資産税を高く設定している例が多いためです。賃貸で利益が出るなら州所得税の有無は効きますが、固定資産税と合わせた年間の負担で比べる必要があります。

非居住者が売却するとき、州の税もかかりますか。

州によります。売主に譲渡税を課す州、非居住者に州段階の源泉徴収を行う州があります。連邦のFIRPTAによる15%の源泉徴収とは別に上乗せされるため、買う前に出るときの税まで確認してください。

ニューヨークの固定資産税は高いほうですか。

州としては中間から上寄りです。ただし州内の差が大きく、市内の集合住宅と郊外の一戸建てでは仕組みが違います。市内の一戸建てには評価額の上昇に上限がかかる区分があり、長く持つほど市場価格との差が開きます。

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本ページの相場、利回り、所要時間などの数値は、一般に公開されているデータや当社の取引経験にもとづく目安です。物件、時期、条件によって実際とは異なる場合があり、当社が正確性および最新性を保証するものではありません。犯罪発生状況はニューヨーク市警などの公的機関が地区ごとの統計を公開しているため、そちらの数字をご確認ください。当社は入居者や購入者の国籍、人種、出身、宗教、家族構成によって物件やエリアをお勧めすることはいたしません。本ページの内容は情報提供のみを目的としており、投資勧誘や税務助言には当たりません。