アメリカの物件を貸すと、日本でも申告が要るのかが分かりにくくなります。日本の居住者にとって、アメリカの家賃は日本でも不動産所得です。申告が要るかどうかは給与の受け方と所得の額で決まり、住民税と国民健康保険料は所得税とは別に動きます。
会社員の「20万円以下なら申告不要」は所得税だけの線です。アメリカで引かれた税を日本で差し引くには、額にかかわらず確定申告が要ります。
- 日本の居住者は、アメリカの家賃も日本の不動産所得。所得は家賃から経費と減価償却を引いた額
- 会社員で給与以外の所得が20万円以下なら所得税の確定申告は不要。ただし住民税の申告は別に要る
- アメリカで引かれた税を日本で差し引くには、確定申告が要る
- 国民健康保険の方は、家賃の所得で翌年度の保険料が上がる。会社の健康保険の方は変わらない
本日はアメリカの家賃収入の日本での申告と、住民税、国民健康保険料への影響について見ていきましょう。
1. アメリカの家賃も、日本では不動産所得

所得は純額で数える
不動産所得は、家賃から管理費、固定資産税、保険、ローンの利息、建物の減価償却などを引いた額です。円換算のしかたと経費の範囲はアメリカの賃料収入を日本でどう申告するかで扱っています。
赤字の場合
不動産所得の赤字は、給与などの所得と相殺できます。ただし、国外の中古建物の減価償却で生じた赤字の一定部分は、2021年以後なかったものとされます(租税特別措置法第41条の4の3)。詳しくはアメリカ不動産の減価償却は4年で全額計上できるのかをご覧ください。土地を買うための借入れの利子にあたる赤字も、相殺できません(同法第41条の4)。
2. 20万円の線は所得税だけ

確定申告が要らない会社員
国税庁の給与所得者で確定申告が必要な人の説明によれば、給与を1か所から受けて年末調整を受けている人は、給与と退職所得以外の所得の合計が20万円以下なら確定申告が要りません。給与の収入が2,000万円を超える人は、この線にかかわらず申告します。
住民税の申告は別に要る
横浜市の住民税の案内は、所得税の確定申告が要らない場合でも、住民税は所得の額にかかわらず給与と合わせて計算するため、住民税の申告が必要だとしています。確定申告をすれば、住民税の申告をしたことになります。
| 立場 | 所得税の確定申告 | 住民税の申告 |
|---|---|---|
| 会社員(年末調整あり)、家賃の所得20万円以下 | 不要 | 要る(確定申告をすれば不要) |
| 会社員、家賃の所得20万円超 | 要る | 確定申告で済む |
| 給与の収入2,000万円超の会社員 | 要る | 確定申告で済む |
| 自営業など、給与以外が主な収入の方 | 原則として要る | 確定申告で済む |
3. アメリカの税を差し引くには申告が要る

外国税額控除は確定申告で受ける
国税庁の外国税額控除の説明によれば、控除を受けるには、外国税額控除に関する明細書と、外国で課税されたことと納めたことを示す書類を確定申告書に付けます。家賃の所得が20万円以下でも、アメリカで引かれた税を差し引くなら申告が要ります。
控除の上限は、その年の所得税のうち国外の所得に対応する額です。所得税と復興特別所得税で引ききれない分は住民税からも差し引け、住民税の上限は所得税の控除限度額の30%です。引ききれない分には3年の繰越しがあります。
住民税は前年の所得をもとに、翌年6月から納めます。アメリカの家賃の所得が増えた年の翌年度に、住民税が上がります。
4. 国民健康保険料は、家賃の所得で上がる

保険料の所得割は前年の所得にかかる
練馬区の保険料の計算方法によれば、所得割は前年の総所得金額等から43万円を引いた額にかかります。令和8年度の所得割は、医療分7.51%、後期高齢者支援金分2.80%、介護分2.43%(40歳から64歳)、子ども・子育て支援金分0.27%で、合計13.01%です。上限は、40歳から64歳の方がいる世帯で合計113万円です。
家賃の所得が300万円増えれば、所得割だけで約39万円上がります。新宿区の案内のとおり、総所得金額等には土地や建物の譲渡所得も入るため、アメリカの物件を売った翌年度は上限に届くことがあります。
会社の健康保険の保険料は給与と賞与をもとに決まり、家賃の所得では変わりません。率と上限は市区町村ごとに違います。お住まいの市区町村の案内で確かめてください。日本に住所がない方には、アメリカの家賃に日本の所得税はかかりません。どちらの国に出すかはアメリカ駐在員の確定申告はどちらの国に出すかにあります。
まとめ

申告の要否は、所得税と住民税と保険料で分けて考える
日本の居住者は、アメリカの家賃も日本の不動産所得です。会社員で給与以外の所得が20万円以下なら所得税の確定申告は要りませんが、住民税の申告は別に要ります。
アメリカで引かれた税を差し引くには、額にかかわらず確定申告が要ります。国民健康保険の方は、家賃の所得と売却益で翌年度の保険料が上がります。
家賃を誰の名義で受け取るかで、申告と保険料の負担が変わります。一般的な整理はここまでです。ご自身の収入の形に合わせた判断は、個別にご相談ください。
よくある質問
会社員で、アメリカの家賃の所得が20万円以下なら申告はいりませんか。
所得税の確定申告は、給与を1か所から受けて年末調整を受けていれば要りません。ただし住民税は給与と合わせて計算されるため、お住まいの市区町村への住民税の申告が必要です。確定申告をすれば住民税の申告は不要になります。
アメリカで引かれた税金を日本で差し引くには、何が必要ですか。
確定申告で外国税額控除を受けます。外国税額控除に関する明細書と、アメリカで課税されたことと納めたことを示す書類(申告書の写しや源泉の明細など)を確定申告書に付けます。家賃の所得が20万円以下でも、控除を受けるには申告が必要です。
アメリカの家賃収入で国民健康保険料は上がりますか。
国民健康保険の方は上がります。保険料の所得割は前年の総所得金額等から43万円を引いた額にかかり、不動産所得も含まれます。練馬区の令和8年度の所得割は、40歳から64歳で合計13.01%です。
会社の健康保険に入っている場合も、保険料は上がりますか。
上がりません。会社の健康保険の保険料は給与と賞与をもとに決まり、家賃の所得は計算に入りません。住民税は、家賃の所得の分だけ翌年度に上がります。
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