日本に住む方がニューヨーク州の不動産を貸したり売ったりすると、連邦の税とは別にニューヨーク州の所得税がかかります。税率は4%から10.9%で、申告書は非居住者用のIT-203です。期限は翌年4月15日で、連邦の非居住者の申告期限(6月15日)より2か月早く来ます。
一方、ニューヨーク市の所得税は市に住む人だけにかかり、市内の物件を持っていても非居住者は対象外です。売るときは、登記の前に州の予定納税(売却益の10.9%)が必要です。
- 州の外に住む人も、州内の不動産の家賃と売却益には州の所得税がかかります
- 税額は「全部の所得に州の税率をかけた額」に、州の所得の割合をかけて決まります
- 州の申告期限は4月15日。連邦の6月15日に合わせると遅れます
- ニューヨーク市の所得税は、市の外に住む人にはかかりません
本日はニューヨーク州の所得税が、非居住者の不動産にどうかかるかについて見ていきましょう。
1. 州の外に住んでいても、州の不動産の所得には課税される

対象になる所得
ニューヨーク州税務財務局の非居住者向けの説明では、非居住者が州に税を納めるのは州内を源泉とする所得だけで、その中に州内にある不動産からの所得が含まれます。IT-203の記入要領は、州内の不動産の家賃を、事業に使っているかどうかにかかわらず州の所得に入れるよう求めています。州内の不動産の売却益や、コープ(共同住宅組合)の株式の売却益も同じです。
申告が必要になる条件
IT-203を出すのは、州を源泉とする所得があり、ニューヨークの調整後総所得(連邦の金額の欄)が州の基礎控除額を超える場合です。2025年分の基礎控除額は、単身や夫婦別申告で8,000ドルです。
2. 税額の決まり方と、ニューヨーク市の扱い

まず全部の所得で計算し、州の割合をかける
非居住者の税額は、州の住民であるとみなして全部の所得で税額を出し、そこに「州の所得÷全部の所得」の割合をかけて決めます。アメリカの所得がニューヨークの物件の家賃だけなら、割合は100%です。
連邦で純額の申告をして、家賃の純額が3万6,000ドルだった場合で計算します。基礎控除8,000ドルを引いた2万8,000ドルに2025年分の税率表を当てると、州の税は約1,376ドルです。
| 所得の区分(単身) | 税率 |
|---|---|
| 8,500ドルまで | 4% |
| 1万3,900ドル超、8万650ドルまで | 5.5% |
| 21万5,400ドル超、107万7,550ドルまで | 6.85% |
| 500万ドル超、2,500万ドルまで | 10.3% |
| 2,500万ドル超 | 10.9% |
※IT-203の記入要領(2025年分)の税率表から一部の区分を抜き出しています。途中の区分は記入要領でご確認ください。
州の計算は、連邦の申告書の数字から始まります。連邦で純額の申告を選んでいれば、管理費や固定資産税、減価償却を引いた後の額が州でも出発点になります。連邦と州の申告書は、同じ数字でそろえて作ります。
ニューヨーク市の所得税はかからない
州の説明は、非居住者はニューヨーク市の所得税の対象にならないとしています。マンハッタンやブルックリンの物件でも、市の外に住む方の家賃に市の所得税はかかりません。市に住む方は、全部の所得に市の税もかかります。
3. 期限の4月15日と、売るときの予定納税

連邦より2か月早い
記入要領の「期限と重要な日付」では、州の申告と納税の期限は4月15日です。6月15日まで延びるのは、国外に住むアメリカ市民や居住者、国外にいる軍人に限られています。給与のない非居住者の連邦の申告期限は6月15日なので、連邦に合わせて準備すると州が遅れます。延長が必要なときは、4月15日までにIT-370を出し、見込みの税を納めます。
売るときは、州の外に住む個人や信託は、権利証書の登記と同時にIT-2663で売却益の10.9%を予定納税します。2026年分の率は10.9%です。納めないと登記できません。連邦の源泉(FIRPTA)とは別枠で、仕組みはFIRPTAの記事で扱っています。予定納税は翌年のIT-203で精算します。
4. 名義で変わる州の手続き

個人、LLC、法人
- 個人で持つ場合は、本人がIT-203を出します
- 社員1人のLLCは、本人のIT-203に加えて、州の所得があればLLCとしてIT-204-LLで年25ドルの手数料を納めます。期限は暦年なら翌年3月15日(休日なら翌営業日)で、延長はありません
- 社員が2人以上のLLCは、パートナーシップとしてIT-204を出します
- 法人で持つ場合は個人の所得税ではなく、州の法人税(第9-A条)の対象です。CT-3の記入要領は、州内に不動産を持つ外国法人を課税の対象に挙げています
日本の申告とのつなぎ方
州に納めた所得税も、日本の外国税額控除の対象です。国税庁の説明は、外国の地方公共団体が課す所得の税を外国所得税に含めています。連邦の税と合わせて控除の計算に入れます。手順はアメリカの賃料収入を日本でどう申告するかをご覧ください。
まとめ

連邦、州、市を分けて考える
ニューヨーク州の不動産の家賃と売却益には、州の外に住んでいても州の所得税がかかり、税率は4%から10.9%です。ニューヨーク市の所得税は、市の外に住む人にはかかりません。
州の申告期限は4月15日で、連邦の非居住者の6月15日より早く来ます。売るときは、登記の前に売却益の10.9%を州に予定納税します。
LLCや法人で持つと、州で出す書類が増えます。一般的な整理はここまでです。名義と物件に合わせた申告の組み立ては、個別にご相談ください。
よくある質問
ニューヨーク州に住んでいなくても州の所得税はかかりますか。
かかります。州の説明では、非居住者は州内を源泉とする所得に州の税を納め、その中に州内にある不動産からの所得が含まれます。家賃も売却益も対象で、非居住者用のIT-203で申告します。
ニューヨーク市の所得税はかかりますか。
市の外に住む方にはかかりません。州の説明は、非居住者はニューヨーク市の所得税の対象にならないとしています。マンハッタンやブルックリンの物件でも同じです。
州の申告期限はいつですか。
翌年4月15日です。6月15日まで延びるのは、国外に住むアメリカ市民や居住者、国外にいる軍人に限られます。給与のない非居住者の連邦の期限は6月15日なので、連邦に合わせると州が遅れます。延長はIT-370を4月15日までに出し、見込みの税を納めます。
売るときに州に納める税はありますか。
州の外に住む個人や信託は、権利証書の登記と同時にIT-2663で売却益の10.9%(2026年分の率)を予定納税します。納めないと登記できません。予定納税は翌年のIT-203で精算します。
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