物件をご覧いただく段階で、多くの方が最初に迷われるのがこの選択です。新築か、中古か。
設備や内装の好みで決められる方が多いのですが、実務でより効いてくるのは費用の発生の仕方です。新築と中古では、いつ、誰が、何を払うかの構造が異なります。
この違いを知らずに新築を契約されると、決済時に想定外の請求を受けることになります。
本日は、両者を費用の観点から比べていきましょう。
1. 新築で買主が負担する費目

中古の取引では、譲渡に関わる税は原則として売主が負担します。ところが新築の分譲では、この負担が買主に移されていることが一般的です。
具体的には、次の費目が契約書で買主負担とされている場合があります。
①市と州の譲渡税。本来は売主の負担ですが、分譲では買主に転嫁されることがあります。
②共用部の初期積立金。管理費の数か月分に相当する額を、決済時に一括で入れます。
③売主側の弁護士費用。買主が負担する取り決めになっている場合があります。
④建物のスポンサー関連費用。開発会社が定めた事務費です。
要点をまとめると、新築では表示価格の外側に費用が積み上がります。目論見書に記載があるため、契約前に弁護士と一緒に確認してください。
この構造は新築コンドミニアムの記事、費用全体の内訳はクロージングコストの記事にまとめています。
2. 中古で確認する修繕と積立

中古の住戸では、譲渡税の負担は原則として売主です。その代わり、確認すべきは建物がこれから使う費用になります。
見るのは管理組合の書類です。修繕積立の残高、直近の理事会議事録、大型工事の予定。この三つで、近い将来の特別徴収の可能性が読めます。
ニューヨークでは外壁の定期点検が法令で義務付けられており、その結果によって足場を組む大規模な補修が必要になります。この費用は住戸に按分して請求されます。
積立が薄い建物では、購入直後に数万ドル単位の請求が届くことがあります。書類の読み方はHOA財務書類の記事にまとめています。
逆に言えば、中古は事前に数字で確認できます。新築のように、住んでみるまで管理費の実額が読めないということはありません。
3. 固定資産税の減税措置という論点

ニューヨーク市には、一定の新築物件に対して固定資産税を段階的に軽減する制度があります。適用されている建物では、当初の税額が抑えられています。
注意が必要なのは、この措置に期限があることです。期間が終われば、税額は本来の水準に戻ります。
それでは、両者を条件ごとに整理します。
| 項目 | 新築 | 中古 |
|---|---|---|
| 譲渡税の負担 | 買主に転嫁される場合がある | 原則として売主 |
| 初期の積立金 | 決済時に一括で入れる | なし |
| 管理費の実額 | 当初は見込み額 | 実績が確認できる |
| 修繕のリスク | 当面は小さい | 書類で確認できる |
| 減税措置 | 適用の有無と残り期間を確認 | 終了済みの場合が多い |
| 入居まで | 竣工待ちの場合がある | 決済後すぐ |
※上記は一般的な比較です。個別の物件では条件が異なります。
5行目が長期保有では効いてきます。減税の残り期間と、終了後の想定税額を先に計算しておかないと、数年後に月々の負担が変わります。
試算の考え方は管理費と固定資産税の記事にまとめています。
4. 入居時期という現実的な差

もうひとつ、実務で大きいのが時期の問題です。
建設中の新築を契約された場合、竣工と引き渡しの時期は予定であって確定ではありません。工事の遅れは珍しくなく、半年以上ずれることもあります。
お子様の学校の時期や、駐在の開始時期が決まっている方には、これが決定的な条件になります。仮住まいの費用が発生する場合もあります。
中古であれば、決済からおおむね数か月で入居できます。全体の期間はクロージングまでの流れの記事にまとめています。
いずれの形式でも、コンドミニアムであれば外国籍・非居住のまま購入でき、法人名義での保有も可能です。購入手順はニューヨーク不動産の購入ガイドにまとめています。
まとめ

新築は初期費用が上振れしやすく、入居時期が読みにくい。中古は初期費用が読みやすく、将来の修繕を書類で確認する。この構造の違いが、選択の中身です。
設備や内装の好みも大切ですが、決済時に何をいくら払うかを先に並べてから比べていただくのが確実です。
新築と中古の物件は動画でもご紹介しています。
YouTubeチャンネルとInstagramで、現地から継続して発信しております。
ご検討中の物件について、決済時の費用の内訳をお出しいたします。
よくある質問
新築分譲では買主に転嫁される場合がある費目は何ですか。
新築分譲では市と州の譲渡税や共用部の初期積立金、売主側の弁護士費用、建物のスポンサー関連費用が契約書で買主負担となる場合があります。これらは表示価格の外側に積み上がり、目論見書に記載があるため契約前に確認が必要です。
中古物件購入時に確認すべき修繕と積立に関する書類は何ですか。
中古物件では管理組合の書類である修繕積立の残高、直近の理事会議事録、大型工事の予定を確認します。これらで近い将来の特別徴収の可能性が読み取れ、外壁点検結果による大規模補修費用の按分請求リスクも把握できます。
新築物件に適用される固定資産税の減税措置にはどのような注意点がありますか。
ニューヨーク市には一定の新築物件に対して固定資産税を段階的に軽減する制度がありますが、この措置には期限があります。期間が終了すれば税額は本来の水準に戻るため、残り期間と終了後の想定税額を先に計算しておく必要があります。
新築物件の入居時期に関する現実的なリスクは何ですか。
建設中の新築を契約した場合、竣工と引き渡しの時期は予定であって確定ではありません。工事の遅れで半年以上ずれることもあり、お子様の学校や駐在開始時期が決まっている方には仮住まいの費用が発生する決定的な条件になります。
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