渡し方は、持ち方と同じくらい重要
米国不動産を次の世代へどう渡すか。相続まで持つか、生前に動かすか、共有で持つか。米国の贈与税・遺産税と日本の贈与税・相続税が交差する領域であり、順序を誤ると二重の負担になります。選択肢と落とし穴をまとめました。
このガイドでわかること
- 渡し方は主に4つ。相続、生前贈与、共有、家族間売買です
- 米国の贈与税は、非居住者でも米国所在の不動産に及びます
- 日本側では受け取る側に贈与税が生じ得ます。両国を並べて設計します
- 資金の出所と持ち分の不一致は、意図しない贈与と認定されます
渡し方の選択肢
それぞれに課税のタイミングと手続きの重さが違います。
相続まで持つ
米国遺産税(非居住者の基礎控除6万ドル)とプロベートを正面から受ける形です。米国税制には相続時に取得価額が時価へ洗い替えられる仕組みがあり、値上がりした物件では譲渡益課税の観点から有利に働く面もあります。
生前贈与
渡す時期を自分で選べ、相続時の集中を避けられます。米国側の贈与税と日本側の贈与税の両方を確認する必要があり、値上がり前の早い時期ほど動かしやすい形です。
共有で取得する
最初から親子・夫婦の共有名義で買う形です。取得時に設計が完結する一方、資金の出所と持ち分の一致が絶対条件になります。
家族間売買
適正な時価での売買として渡す形です。時価の根拠づくりと、売る側の譲渡益課税・FIRPTAの扱いが論点になります。
米国側。非居住者の贈与税
米国の贈与税は、非居住者に対しても米国所在の資産に及びます。不動産はその典型です。
不動産そのものの贈与は課税対象です
非居住者が米国の不動産を贈与すると、米国贈与税の対象になります。非居住者には市民に認められる大きな生涯控除がなく、年間の少額控除の枠を超える部分に課税が生じ得ます。
持ち分の一部ずつという設計
年間の控除枠の範囲で持ち分を少しずつ移す設計が語られますが、登記と評価の手間が毎回かかり、日本側の贈与税も毎回判定されます。絵に描いた通りには進まないことが多い手法です。
保有構造で扱いが変わります
不動産の直接贈与と、法人持ち分の贈与では扱いが異なり得ます。ここは構造設計の核心であり、日米両方の専門家との個別設計が前提です。
日本側。受け取る側の贈与税
日本の贈与税は受贈者側で判定されます。ご家族が日本にお住まいなら、海外の不動産でも日本の贈与税の射程に入ります。
実務の落とし穴
意図しない贈与の認定が、この領域の最大の事故です。
資金と持ち分を一致させます
親が全額出して子と共有名義にする、夫が出して妻の単独名義にする。出資と持ち分のずれは、その差額の贈与として扱われます。共有で買うなら、出資の割合どおりの持ち分で登記します。
家族の口座を経由させません
送金の都合で家族の口座を経由させると、その移動自体が贈与や貸付の論点を生みます。資金は名義人本人の口座から動かすのが原則です。
貸付なら貸付の形を整えます
親子間の資金援助を貸付とするなら、契約書、金利、返済の実績を整えます。形のない貸付は、後から贈与と認定されるのが定番の筋です。
記録を両国の申告に耐える形で残します
評価資料、送金記録、レート、契約書。贈与の記録は、将来の売却と相続の申告でも使われます。
よくある質問
承継のご相談で実際に多い質問です。
子どもの留学用に、子ども名義で買ってもよいですか
贈与と相続、どちらが得ですか
夫婦の共有名義は避けるべきですか
すでにずれた形で買ってしまいました
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まずはご相談ください
誰に、いつ、どの形で渡すか。ご家族の構成と資産の全体像から、日米両方の課税を並べた選択肢を整理します。申告の実務は提携する両国の専門家と連携します。
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