Selling Guide

売却は買うときより設計が要る

ニューヨークの不動産売却は、値付け、売り出し、契約、クロージングという流れ自体は単純です。難しいのは税です。非居住者にはFIRPTAの源泉徴収が入り、譲渡益の申告、日本側の課税との調整が続きます。手順と費用、税の流れを実務の順番でまとめました。

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このガイドでわかること

  • 売主側の主な費用は譲渡税と弁護士費用です
  • 非居住者の売却には、売却代金に対するFIRPTAの源泉徴収が入ります
  • 源泉は概算の前払いです。申告により精算され、還付が生じることもあります
  • 投資用物件は1031エクスチェンジで課税を繰り延べられる場合があります
Process

売却の流れ

売り出しからクロージングまで、順を追って進みます。

値付け

同じ建物と周辺の成約記録から値付けします。ニューヨークは成約価格が公開されるため、根拠は実データで組めます。強気の値付けで市場に長く残ると、かえって足元を見られます。

売り出しと内見

写真と図面を整え、ポータルとエージェント網に載せます。賃借人が入っている場合は内見の調整が必要で、空室より時間がかかることを織り込みます。

オファーの受領と契約

買主のオファーを比較する軸は価格だけではありません。資金の確実性(現金か、融資条項の有無)、クロージング時期、コープなら審査の通りやすさ。総合して選びます。

クロージング

買主側の準備(融資・理事会確認)が整い次第、決済します。売却代金からローン残債、費用、源泉徴収が差し引かれ、残額が手取りです。

Costs

売主側の費用

売却の手取りは、価格から次の項目を引いた残りです。

費用目安備考
NY州譲渡税価格の0.4%(住宅300万ドル以上は0.65%)法定
NY市譲渡税価格の1%(50万ドル超は1.425%)法定(住宅)
売主側弁護士費用数千ドル定額が多い
コープの株式移転費用等建物ごとコープの場合
ローン残債の完済残高による完済証明の取得まで

仲介の報酬について、標準となる料率はありません。負担と金額は媒介契約の合意で決まりますので、売り出し前に書面でご確認ください。

FIRPTA

非居住者の売却。FIRPTAの流れ

米国非居住者が不動産を売る場合、買主側が売却代金から一定割合を源泉徴収して納付する仕組み(FIRPTA)が適用されます。

源泉は譲渡益ではなく売却代金に対してかかります

原則は売却総額の15パーセントです。利益が小さい取引でも、まず総額基準で差し引かれるため、手取りの見積もりを誤りやすい箇所です。

源泉は前払いで、申告により精算されます

実際の税額は譲渡益に対して計算され、確定申告で精算します。源泉が実際の税額を上回っていれば、差額は還付されます。還付には申告と時間が必要です。

源泉証明書で減額できる場合があります

実際の税額が源泉額を大きく下回る見込みの場合、事前にIRSへ申請して源泉額の減免を受けられる制度があります。クロージング前の手続きが要るため、売却を決めた時点で税務の体制を組みます。

保有中の減価償却は取り戻し課税の対象です

賃貸に出して償却を取ってきた物件は、売却時に償却分の取り戻し(デプリシエーション・リキャプチャ)が生じます。保有中の節税と出口の課税はセットで設計します。

納税者番号を先に

源泉の精算にも還付にも米国の納税者番号が必要です。売却が決まってから取得を始めると、還付までの期間が延びます。

Deferral

繰り延べという選択と、日本側の申告

売却で終えるか、次に組み替えるか。出口には選択肢があります。

1031エクスチェンジ

投資用物件を売り、期限内(特定45日・取得180日)に次の投資用物件へ組み替えることで、米国側の譲渡益課税を繰り延べる制度です。居住用には使えません。米国側の繰り延べが日本側でも同じ扱いになるとは限らない点に注意が必要です。

日本側の申告

日本にお住まいの方は、譲渡益を日本でも申告します。米国で納めた税は外国税額控除の対象になり得ますが、申告して初めて機能します。両国の申告期限を並べて管理してください。

為替の損益

円建てで見た損益は、購入時と売却時のレート差で大きく動きます。ドル建てで利益でも円建てで損失、あるいはその逆が普通に起こります。税務上の扱いは日米で異なるため、レートの記録を必ず残しておきます。

FAQ

よくある質問

売却のご相談で実際に多い質問です。

売却までどのくらいかかりますか
物件と価格設定によります。市場に出てから契約まで数週間から数ヶ月、契約からクロージングまで買主が現金なら1〜2ヶ月、ローンなら2〜3ヶ月が目安です。コープは買主の審査が入る分、さらに長くなります。
賃借人が入ったまま売れますか
売れます。投資家にとっては賃料収入付きの物件として価値になる一方、実需の買主は空室を好みます。リース残期間と想定する買主層を見て、売り出しの時期を設計します。
源泉徴収の15パーセントは戻ってきますか
実際の譲渡益に対する税額が源泉額より小さければ、確定申告により差額が還付されます。申告書類とタイトル会社の精算書、取得時からの資料が必要です。取得時の書類は売却まで保管してください。
日本に住みながら売却の手続きはできますか
できます。委任状によるクロージング、電子署名、国際送金で完結します。税務の手続き(源泉の減免申請、申告、還付)は日米の専門家と連携して進めます。

まずはご相談ください

物件の状況と保有の経緯をお知らせいただければ、値付けの根拠、費用と源泉徴収を差し引いた手取りの見積もり、売り出しの段取りまで整理します。税務の申告は提携する日米の専門家と連携して進めます。

不動産サービスはR New Yorkとしてのサービス提供となります。