2026年8月23日 Satoshi Onodera

FIRPTAの15%は利益ではなく売却代金にかかる。300万ドルなら45万ドル

夕暮れのマンハッタンのスカイライン

FIRPTAの源泉徴収15%は、利益ではなく売却代金の全額にかかります。300万ドルで売れば、利益がいくらであっても45万ドルがクロージングで差し引かれます。買った値段より安く売って損が出ていても、45万ドルは先に取られます。この仕組みを知らずに資金計画を組むと、売却後に使えるはずの現金が数ヶ月戻ってきません。

 

損をして売っても45万ドル取られるのか

取られます。FIRPTAは非居住者が米国不動産を売却する際の源泉徴収制度で、税額の確定を待たずに売却代金の15%を先に押さえる仕組みです。2026年時点の連邦税法の定めです。300万ドルの売却なら45万ドル、500万ドルなら75万ドルが、利益の有無と無関係にクロージングで差し引かれます。

 

実際の税額は翌年の確定申告で精算され、払いすぎた分は還付されます。ただし申告から還付まで、資金は半年から1年戻りません。次の物件の頭金に充てる予定だった資金が拘束されると、買い替えの計画自体が崩れます。

 

45万ドルを減らす方法はあるのか

あります。源泉徴収の減額証明(Withholding Certificate)をIRSに申請すると、実際の税額に見合った源泉額まで減らせます。想定される税額が10万ドルなら、45万ドルではなく10万ドルの源泉で済みます。ただし審査には数ヶ月かかります。クロージングの直前に申請しても間に合いません。売却を決めた時点、遅くとも契約と同時に申請するのが実務の順序です。

 

売却時に差し引かれるもの 税率・基準 300万ドル売却の場合
連邦FIRPTA源泉 売却代金の15% 45万ドル
ニューヨーク州の予納 見積り譲渡益への州税率(IT-2663) 譲渡益に応じて別途
減額証明を取った場合 実際の税額見合い 想定税額まで圧縮

 

連邦の15%を払えば、州には何も払わなくてよいのか

ニューヨーク州の物件では足りません。非居住者が売却する場合、連邦のFIRPTAとは別に、ニューヨーク州への予納が必要です。IT-2663という様式で、見積りの譲渡益に州の税率を掛けた額をクロージング時に納めます。連邦と州で二重に源泉が走るため、手取りの計算は両方を引いた後の数字で行ってください。

 

1031エクスチェンジを使えば源泉されないのか

要件を満たせば源泉を回避できます。1031エクスチェンジで次の米国物件に買い替える場合、所定の手続きを踏めばFIRPTAの源泉自体を止められます。ただし売却から45日以内の物件特定と180日以内の取得という期限があり、期限は延長されません。1031を使うか、減額証明を取るか、45万ドルの拘束を受け入れて還付を待つか。どれを選ぶかで、売却の段取りが数ヶ月単位で変わります。

 

弊害も書いておきます。減額証明の審査中はクロージングを延ばせない場合があり、その場合は源泉された状態でクロージングし、証明が出た後に早期還付を受ける流れになります。買主側にも源泉義務があるため、非居住者からの購入に慣れた弁護士とタイトル会社を使うことが、遅延を防ぐ実務上の要点です。

 

一般論はここまでです。売却の段取りは、減額証明・1031・還付待ちのどれを選ぶかで数ヶ月変わります。個別のご事情に応じた設計はお問い合わせフォームよりご相談ください。実際にお手伝いした取引は取引実績に掲載しています。

 

FIRPTAの申告手続きと必要書類はFIRPTA源泉徴収の手続きの記事に、売却タイミングの判断は売却戦略の記事に、1031の期限と流れは1031エクスチェンジの記事にまとめています。

よくある質問

損をして売ってもFIRPTAの源泉はされますか。

されます。FIRPTAは売却代金の15%を先に押さえる仕組みで、利益の有無を問いません。実際の税額は翌年の確定申告で精算され、払いすぎた分は還付されます。

源泉された45万ドルはいつ戻りますか。

確定申告後の還付で、半年から1年かかります。減額証明を事前に取れば、源泉の段階で実際の税額見合いまで減らせます。

減額証明はいつ申請すべきですか。

売却を決めた時点、遅くとも契約と同時です。IRSの審査には数ヶ月かかるため、クロージング直前の申請では間に合いません。

連邦の15%のほかに州にも払いますか。

ニューヨーク州の物件では払います。IT-2663という様式で、見積りの譲渡益に州の税率を掛けた額をクロージング時に予納します。連邦のFIRPTAとは別の手続きです。

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減額証明・1031・還付待ちのどれを選ぶかで、売却の段取りは数ヶ月変わります。売却を決める前にご相談ください。

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