ニューヨークの固定資産税は、毎年1月中旬に届く1枚の通知から決まります。Notice of Property Value(NOPV)です。請求書ではありません。7月に始まる次の年度に、市があなたの物件をいくらと見たかを知らせる紙です。
この金額に不服があるときの申立てには、期限があります。クラス1(1〜3世帯住宅)は3月15日、コンドミニアムを含むクラス2と商業のクラス4は3月1日です。1日でも過ぎると、その年度は受け付けられません。税率を下げる交渉はできませんが、評価額は争えます。
日本にお住まいのオーナーは、この通知が郵送で届くまで評価額が上がったことに気づきません。気づいたときには期限を過ぎている、というのがいちばん多い取りこぼしです。順番に見ていきます。
1. 争うのは税率ではなく、評価額

市場価値と評価額は別の数字
税額は、市が見た市場価値に評価割合を掛け、そこから減免を引き、税率を掛けて決まります。このうち納税者が動かせるのは市場価値の見立てだけです。税率は市議会が毎年決めるもので、個別の交渉の対象になりません。
クラス2のコンドミニアムは、賃貸用の建物に見立てた収益から市場価値が計算されます。実際の売買価格ではありません。似た建物の家賃と経費から逆算するため、近隣に高い家賃の建物が増えると、自分の建物を何もしていなくても評価額が上がります。
届いた通知のどこを見るか
見る欄は3つです。市場価値、評価額、そして前年からの増減。財務局の評価のページから物件ごとの明細も確認できます。
2. 2つの窓口と、それぞれの期限

財務局と税務委員会
申立て先は2つあり、性格が違います。
| 窓口 | 性格 | 期限 |
|---|---|---|
| 財務局(DOF)への訂正依頼 | 面積や戸数など事実の誤りを直す | 通知に記載(3月中旬) |
| 税務委員会(Tax Commission) | 評価額そのものを独立機関が見直す | クラス1は3月15日、クラス2と4は3月1日 |
税務委員会は財務局から独立した組織です。事実の誤りではなく、評価額が高すぎるという主張はこちらに出します。審理は春から秋にかけて行われ、減額が認められた場合は次の年度の税額に反映されます。その年度の税は、申立て中も止まりません。期日どおりに払いながら進めます。
3. 収支報告を出していないと、門前払いになる

6月1日の報告義務
賃貸収入のある建物には、毎年6月1日までに収支を市へ報告する義務があります。この報告を出していない年度は、税務委員会が申立てを受け付けません。評価額が高いと感じていても、書類が1枚足りないだけで議論の入口に立てません。
個人がコンドミニアムを1戸持っている場合、報告義務は建物側にあります。自分の申立てができるかどうかは、管理組合が建物全体で申立てをしているかどうかにも関わります。先に管理会社へ、その年度の申立ての有無を確認してください。建物全体で下がれば、持分に応じて各戸の評価額も下がります。
4. ニューヨーク市の外は、日付が違う

グリーバンス・デー
ウエストチェスターやロングアイランドは、市とは別の暦で動きます。多くの町では5月の第4火曜日がグリーバンス・デーで、申立てはその日までに町の審査委員会へ出します。ナッソー郡は郡の評価見直し委員会が窓口で、受付は年明けから始まります。
日付は毎年変わります。郡や町から届く通知に必ず記載があるので、物件のある自治体の通知を基準にしてください。市の3月1日という日付を他の郡に当てはめると間に合いません。
5. 日本から出すときに決めておくこと

委任状の往復を先に済ませる
申立ては本人か代理人が出します。弁護士や専門業者に任せる場合、委任状に署名して返送する時間が必要です。1月に通知が届いてから動くと、郵送の往復だけで2週間が消えます。
決めておくことは3つです。誰が代理人になるか、報酬をどう払うか、そして今年の評価額をいくらまで下げたいか。報酬は成功報酬の形が多く、金額も条件も事務所ごとに違います。決まった料率はありません。すべて当事者間の交渉で決まります。金額と支払い条件は、契約前に書面でご確認ください。
まとめ
押さえるのは4つ
固定資産税は、買ったあとに手を入れられる数少ない費用です。評価額は毎年見直され、毎年争えます。1月の通知を受け取る体制を作り、3月1日と3月15日という日付を押さえ、収支報告を出し、管理組合の動きを確認する。この4つで、毎年の支出が変わります。
よくある質問
申立ての期限はいつですか。
ニューヨーク市の税務委員会への申立ては、1〜3世帯住宅のクラス1が3月15日、コンドミニアムを含むクラス2と商業のクラス4が3月1日です。1日でも過ぎるとその年度は受け付けられません。市外の郡や町は日程が異なり、多くの町では5月の第4火曜日がグリーバンス・デーです。
税率を下げてもらうことはできますか。
できません。税率は毎年市議会が決めるもので、個別の交渉の対象になりません。納税者が動かせるのは、市が見た市場価値の見立てだけです。
コンドミニアムを1戸持っています。自分で申し立てる必要がありますか。
先に管理会社へ、その年度に建物全体で申立てをしているかを確認してください。建物単位で評価額が下がれば、持分に応じて各戸の評価額も下がります。賃貸収入のある建物が市への収支報告を出していない年度は、申立て自体が受け付けられません。
申立て中も税金は払うのですか。
払います。審理の結果が出るのは春から秋にかけてで、減額が認められた場合は次の年度の税額に反映されます。期日どおりに納めながら進めてください。
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