ロングアイランド島を東へ走り続けると、道路が海で終わる場所に着きます。モントーク(Montauk)です。
地元では「ジ・エンド(The End)」と呼ばれ、その先端には1796年に建造された灯台が立っています。ジョージ・ワシントンの署名により建設が承認された、ニューヨーク州最古の灯台です。
ハンプトンズの一部として語られることが多い町ですが、性格はかなり異なります。モントークは今も現役の漁港であり、サーフィンの町です。
邸宅が並ぶ他の地区とは、街の成り立ちも物件の性格も違います。本日はモントークの不動産事情を見ていきましょう。
1. 漁港とサーフィンの町

モントークは、サフォーク郡イーストハンプトン町に属する集落です。マンハッタンから東へ約190キロ、ロングアイランド島の最東端に位置します。
この町の歴史は牧場から始まります。1658年に開かれたディープホロー・ランチは、アメリカで最古の牛牧場とされ、現在も乗馬施設として営業しています。
20世紀初頭には、開発業者カール・フィッシャーが「北のマイアミビーチ」を目指してリゾート開発に着手しました。町の中心部に残る背の高い建物や、モントーク・マナーの構造には、この時代の計画の名残があります。
しかし1929年の大恐慌で計画は頓挫し、その後のモントークは漁業の町として発展します。現在もモントーク港には商業漁船団が拠点を置き、東海岸有数の水揚げ量を維持しています。
もう一つの顔がサーフィンです。ディッチプレインズは東海岸を代表する波として知られ、夏季には早朝からサーファーが集まります。
加えて、モントークは釣りの町でもあります。ストライプドバスやマグロを狙う船が港から出航し、「サーフキャスティングの聖地」と呼ばれてきました。
この漁業と海洋レジャーの層が、モントークをサウサンプトンやイーストハンプトンとは異なる町にしています。邸宅の町ではなく、海で遊び、海で働く町です。
2. 地区ごとの物件と価格帯

モントークの住宅は、位置によって性格が分かれます。(2026年8月現在、1ドル=155円換算)
①ダウンタウンとディッチプレインズ周辺。海に近い小規模な住宅とコンドミニアムが中心で、120万〜300万ドル程度が中心帯です。
②ハイザーモント、キャンプ・ヒーロー方面。丘陵地に建つ戸建てで、海の眺望を持つ物件は300万〜800万ドル程度になります。
③海に直接面した物件(オーシャンフロント)。500万〜2,000万ドル超の帯です。供給は限られ、流通は年に数件という水準です。
④湾側(レイク・モントーク、フォート・ポンド周辺)。港と湖に面した区域で、150万〜400万ドル程度が中心です。
モントークで特徴的なのは、コンドミニアム形式の物件が一定数ある点です。リゾート開発の経緯から、海沿いに区分所有の建物が複数存在します。
戸建ての維持管理を負担に感じられる方や、初めての別荘取得をお考えの方には、この層が現実的な入口となります。
| 物件タイプ | 価格帯 | 夏季賃貸の目安 | 主な検討層 |
|---|---|---|---|
| コンドミニアム | 80万〜200万ドル | シーズン3万〜7万ドル | 初めての別荘取得 |
| 内陸の戸建て | 120万〜250万ドル | シーズン5万〜10万ドル | 通年利用と賃貸の併用 |
| 眺望を持つ戸建て | 300万〜800万ドル | シーズン12万〜25万ドル | 長期保有 |
| オーシャンフロント | 500万ドル以上 | 個別性が大きい | 資産保全 |
※上記は、2026年現在の当社が現地で把握している市場感に基づく目安であり、個別物件により大きく異なります。
固定資産税は、サフォーク郡の水準として市場価格の年1.0パーセントから1.6パーセント程度です。
3. 購入時の費用と賃貸規制

モントークはイーストハンプトン町に属します。したがって、ハンプトンズと同じ制度が適用されます。
購入時には、ピーコニック湾地域保全基金(CPF)への納付が取得価格の2パーセント発生します。加えてコミュニティ・ハウジング基金(CHF)の0.5パーセントが課される場合があり、合計で最大2.5パーセントとなります。
200万ドルの物件であれば、この費用だけで4万〜5万ドル程度(約620万〜775万円程度)です。ニューヨーク州のマンションタックス1パーセントも別途かかります。
賃貸に出される場合は、規制の確認が先です。イーストハンプトン町ではレンタルレジストリへの登録が必須であり、登録番号なしでの広告掲載はできません。
さらに、6か月の期間内に2回まで、1回あたり最低14泊連続という制限があります。週末単位の短期賃貸を繰り返す運用は、制度上できません。
この規制は、モントークの収支計画に直接影響します。週単位の高単価な貸し出しを想定していた場合、前提が成立しません。
規制は改正されますので、購入前に必ずイーストハンプトン町の公式情報で最新の条件をご確認ください。
その他、この地域固有の確認事項があります。
①上下水道が整備されていない区域が多く、井戸水と浄化槽(セプティック)の検査が必須であること。
②海岸侵食の影響を受ける区域があり、護岸の状況と将来の対策費用を確認すること。
③沿岸部では風災害の保険料が高く、洪水保険と併せて年間コストを見積もる必要があること。
④冬季の凍結対策(配管の水抜き)が必要であり、管理会社への委託費が発生すること。
②はモントーク特有の論点です。町の海岸線では侵食対策の工事が継続的に行われています。海に近い物件を検討される場合、この点の情報収集は不可欠です。
取得費用全体の試算は、投資シミュレーターでご確認いただけます。
4. 通年で使う場合の実際

モントークを検討される方に、当社が必ずお伝えすることがあります。夏のモントークと冬のモントークは、別の町です。
夏季は人口が数倍に膨れ上がります。飲食店は予約が取りにくく、駐車場は埋まり、幹線道路は渋滞します。ホテルの料金も跳ね上がります。
一方、レイバーデーを過ぎると町は静まります。多くの飲食店と宿泊施設が季節営業であり、冬季は休業します。
この落差をどう評価するかは、方によって分かれます。夏の賑わいを求めて購入された方が、冬の静けさに戸惑われることもあれば、その静けさこそが目的という方もいらっしゃいます。
実務的な助言としては、購入判断の前に、必ず冬季に一度現地をご覧ください。夏だけを見て購入すると、判断材料が半分しかない状態になります。
移動については、マンハッタンから車で2時間半から3時間、LIRR(ロングアイランド鉄道。マンハッタンのペンステーションとロングアイランドを結ぶ通勤鉄道です)モントーク支線でペンステーションから約3時間です。夏季の週末は道路の所要時間が大幅に延びます。
現地では車が必須です。町の中心部からディッチプレインズや灯台までは、いずれも車での移動になります。
日常の買い物は、町の中心部のスーパーマーケットで基本的に足ります。まとまった買い物が必要な場合は、西のアマガンセットやイーストハンプトンまで出ることになります。
ハンプトンズ全体の状況については、ハンプトンズの完全ガイドをご参照ください。
5. 資産としてのモントーク

投資という観点から、モントークの位置づけを整理します。
強みは3つあります。第一に、物理的に土地が増えないことです。三方を海に囲まれた半島の先端であり、これ以上の開発余地がありません。
第二に、周辺に州立公園と保全地が広がっており、制度的にも開発が制限されています。ヒザーヒルズ州立公園、キャンプ・ヒーロー州立公園、モントーク・ポイント州立公園が町の面積の相当部分を占めます。
第三に、ハンプトンズの他の地区と比べて価格の入口が低いことです。100万ドル台から現実的な選択肢が存在します。
一方で、留意点も明確です。
収入が夏季の3か月に集中する季節性、賃貸日数の規制、海岸侵食と保険料の上昇、そしてマンハッタンからの距離です。
当社の見方としては、モントークは賃料利回りで評価する資産ではありません。土地の希少性による長期の価値保全と、自身が使用する価値を主軸に置き、賃料は保有コストの一部を相殺するものと位置づけるのが実態に即しています。
この前提で判断されるのであれば、ハンプトンズの中でもっとも入りやすく、かつ土地の希少性が明確な市場と言えます。
モントークで知られている場所

それでは、この町を代表する場所をご紹介します。
モントーク・ポイント灯台は1796年建造で、ニューヨーク州最古の灯台です。併設の博物館があり、塔の上まで登ることができます。
ディッチプレインズは東海岸を代表するサーフポイントです。夏季は早朝から人が入り、初心者向けのスクールも開かれています。
食ではデュリエス・ロブスターデッキが知られています。もとは漁業会社の作業場で、湾に沈む夕日を見ながら魚介を食べる場所として定着しました。
ゴスマンズ・ドックは港に面した複合施設で、鮮魚店と飲食店が並びます。漁港の町としてのモントークがもっとも分かる場所です。
ロブスター・ロールは西隣のナペイグにある1965年開業の食堂で、道路沿いの「LUNCH」の看板で知られています。
自然環境ではヒザーヒルズ州立公園があり、砂浜のキャンプ場と森林の遊歩道が整備されています。
キャンプ・ヒーロー州立公園は第二次大戦期の軍事基地跡で、巨大なレーダー塔が保存されています。崖沿いの遊歩道からは大西洋を一望できます。
ディープホロー・ランチは1658年開設とされる牧場で、海辺での乗馬が体験できます。
まとめ

モントークは、灯台と漁港とサーフィンの町であり、邸宅が並ぶハンプトンズの他の地区とは性格が異なります。
半島の先端という地形と、周囲を囲む州立公園により、土地が物理的にも制度的にも増えません。価格の入口が比較的低いことと併せて、別荘取得の現実的な選択肢となります。
一方で、購入時には最大2.5パーセントの保全基金税がかかり、賃貸には登録制と14泊連続という規制があります。収支の前提はここから組み立ててください。
当社では、ニューヨーク現地にて、物件のご紹介から購入手続きまで、NY州ライセンスを有するプロフェッショナルを通じてご支援しております。
モントークの物件にご関心をお持ちの方は、お問い合わせフォームよりお気軽にお問い合わせください。
※当社はR New York としてのサービスとなります。物件の売買・賃貸のご案内は、NY州の不動産ライセンスに基づき行っております。税務については税理士に、賃貸規制については町の最新の条例をご確認ください。
本ページの相場、利回り、所要時間などの数値は、一般に公開されているデータや当社の取引経験にもとづく目安です。物件、時期、条件によって実際とは異なる場合があり、当社が正確性および最新性を保証するものではありません。犯罪発生状況はニューヨーク市警などの公的機関が地区ごとの統計を公開しているため、そちらの数字をご確認ください。当社は入居者や購入者の国籍、人種、出身、宗教、家族構成によって物件やエリアをお勧めすることはいたしません。本ページの内容は情報提供のみを目的としており、投資勧誘や税務助言には当たりません。


















