ロングアイランドの北岸で、街の中心に19世紀の建物と池が残る場所があります。ロズリン(Roslyn)です。
ナッソー郡の住宅地の多くが20世紀半ば以降の開発であるのに対し、ロズリンの中心部には1700年代から1800年代の建物が100棟以上残り、歴史地区に指定されています。
この街をご案内する際、当社が必ず最初にお伝えしていることがあります。通勤経路の確認を、物件を見るより先に行ってくださいということです。
理由は本文で詳しくご説明しますが、ロズリンはLIRR(ロングアイランド鉄道。マンハッタンのペンステーションとロングアイランドを結ぶ通勤鉄道です)の利便性という点で、近隣エリアと事情が異なります。本日はロズリンの街と不動産事情を見ていきましょう。
1. 歴史地区としてのロズリン

ロズリンは、ナッソー郡ノースヘムステッド・タウンの北部、ヘムステッド湾の入江に面した谷間に位置します。
「ロズリン」と呼ばれる区域は複数の自治体にまたがります。ロズリン村、ロズリン・エステーツ、ロズリン・ハーバー、ロズリン・ハイツ、そして東ヒルズ(East Hills)などが含まれ、それぞれ独立したビレッジです。
街の中心にあるのが、1895年に建てられたロズリンの時計塔です。周囲には製粉所や商家として建てられた木造建築が残り、1970年代から保存活動が続けられてきました。
時計塔の隣にはロズリン池が広がり、水鳥が集まる公園として整備されています。ニューヨーク郊外でこれだけまとまった歴史的景観が残る場所は多くありません。
文化の面でも蓄積があります。19世紀の詩人・新聞編集者ウィリアム・カレン・ブライアントはロズリン・ハーバーに邸宅シーダーミアを構え、その敷地は現在も公開されています。
近隣にはナッソー郡美術館があり、かつてのフリック家の邸宅と145エーカーの敷地に、彫刻庭園と展示室が置かれています。
もう一つ、この地域を語る上で外せないのが学校環境です。ロズリン学区(Roslyn UFSD)はニューヨーク州内でも継続して高い評価を受けており、この点が住宅需要を強く支えています。
2. ビレッジごとの性格と物件タイプ

ロズリンで物件をお探しになる場合、どのビレッジかで条件が大きく変わります。
①ロズリン村(歴史地区)。19世紀の建物と、それに調和した住宅が中心です。外観の改変には規制がかかります。
②ロズリン・エステーツ、ロズリン・ハーバー。敷地の広い戸建てが中心で、水辺や丘陵に面した物件が含まれます。価格帯は150万〜500万ドル程度です。
③ロズリン・ハイツ。1950年代以降の戸建てが中心で、価格帯は100万〜180万ドル程度と相対的に手が届きやすい区域です。
④東ヒルズ(East Hills)。ビレッジが独自の住民専用公園を運営していることで知られ、プール、テニス、運動場を備えます。価格帯は130万〜300万ドル程度です。
④の住民専用公園は、この地域を検討される方にとって実務的な判断材料になります。ビレッジの区域内に居住することが利用条件であり、道路一本隔てただけで対象外になることがあります。
ご家族での利用を想定される場合は、物件の住所がどのビレッジに属するかを契約前に確認してください。
集合住宅については、ロズリン全体で供給が限られます。ハーバー沿いや旧市街の一部にコンドミニアム形式の物件がありますが、流通量は多くありません。
賃貸をご希望の場合は、戸建ての賃貸が中心となります。
3. 価格と保有コスト

それでは、実際の相場を見ていきます。(2026年8月現在、1ドル=155円換算)
戸建ての中心価格帯は、ロズリン・ハイツで100万〜180万ドル程度、東ヒルズで130万〜300万ドル程度、ロズリン・エステーツやハーバーで150万〜500万ドル程度です。
賃貸では、3ベッドルームから4ベッドルームの戸建てで月5,500〜9,000ドル程度が目安となります。
固定資産税は市場価格の年1.9パーセントから2.4パーセント程度で、学区の税率が高い分、ナッソー郡の中でも上位の水準になります。
| 区域 | 戸建て価格帯 | 年間固定資産税の目安 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| ロズリン・ハイツ | 100万〜180万ドル | 2.0万〜3.6万ドル | 戦後の住宅街。入りやすい価格 |
| 東ヒルズ | 130万〜300万ドル | 2.6万〜6.0万ドル | 住民専用の公園施設 |
| ロズリン村 | 110万〜250万ドル | 2.2万〜5.0万ドル | 歴史地区。外観に規制 |
| エステーツ/ハーバー | 150万〜500万ドル | 3.0万〜10万ドル | 敷地が広い。水辺の物件も |
※上記は、2026年現在の当社が現地で把握している市場感に基づく目安であり、個別物件により大きく異なります。税額は物件ごとに実額をご確認ください。
この表で強調しておきたいのは、右から2列目です。200万ドルの物件では、固定資産税だけで年間4万ドル前後、月額3,300ドル程度が継続的に発生します。
購入判断では、ローンの返済額にこの金額を加えた総額で考える必要があります。ナッソー郡の税制と減額申立の仕組みはナッソー郡の完全ガイドにまとめています。
4. 通勤経路の確認が最優先である理由

冒頭で申し上げた点をここでご説明します。
ロズリン駅はLIRRのオイスターベイ支線に属します。この支線は本数が限られ、時間帯によっては乗り換えを要します。ペンステーションまでの所要時間は50分から70分程度を見込む必要があります。
一方で、直線距離ではポートワシントン支線のマンハセット駅やグレートネック駅が近く、車で10分から15分の位置にあります。こちらを使えば、ペンステーションまで30分台です。
結果として、ロズリンにお住まいの多くの方は車で他支線の駅まで移動し、そこから乗車するという通勤形態を取っています。
この場合、駅の駐車場が住民向け許可制であるかどうかが問題になります。他のタウンの駅では、非居住者の駐車が制限されている場合があります。
したがって、ロズリンで物件をご検討される際は、次の順序で確認することを推奨いたします。
①ご自身の勤務地から逆算して、どの駅を使うか決める。②その駅の駐車場の利用条件を確認する。③その上で、物件の候補地を絞る。
この順序を守るだけで、入居後の通勤ストレスは大きく変わります。LIRRの時刻表で、実際の通勤時間帯の本数を必ずご確認ください。
生活面では、車での移動が基本となります。ノーザンブルバード沿いに商業施設が集まり、日常の買い物には不自由しません。ロングアイランド高速道路(LIE)とノーザンステート・パークウェイの両方にアクセスできる位置にあります。
5. 購入時の注意点と資産価値

ロズリンで購入をご検討される際の確認事項です。
①歴史地区内の物件は、外観の変更や増改築に審査が必要であること。
②ビレッジごとに住民専用施設の利用資格が異なるため、住所単位で確認すること。
③丘陵地であるため、擁壁、排水、地下室の浸水履歴を検査で確認すること。
④築年数の古い住宅では、暖房方式、地下タンク、電気容量の更新履歴を確認すること。
⑤通勤に使う駅と駐車場の条件を、契約前に確定しておくこと。
③はロズリン特有の論点です。この地域は谷と丘で構成されており、敷地の高低差が大きい物件が少なくありません。
大雨の際の排水経路と、過去の浸水履歴は、ホームインスペクションの際に必ず確認してください。
資産価値の面では、ロズリンの支えは明確です。学区の評価と歴史的景観という、供給を増やせない2つの要素に価値が乗っています。
歴史地区は新規開発が制度的に制限され、学区の枠は行政区画で固定されています。この構造は、市況の変動に対して底堅く働きます。
ただし、通勤利便性という点では近隣エリアに劣ります。売却時の買い手も、この点を同じように評価します。購入価格の妥当性は、通勤条件を織り込んだ上で判断してください。
地元で通われている店と名所

それでは、この地域で長く使われている場所をご紹介します。
ブライアント・アンド・クーパーはロングアイランドを代表するステーキハウスの一つで、1986年の開業以来、地域の会食の場として使われ続けています。
ジョリー・フィッシャーマンは1950年代から続くシーフード店です。ロズリン池のほとりにあり、地元の家族が世代を越えて通う店として知られています。
ヘンドリックス・タバーンは歴史地区の建物を使った店で、暖炉のある内装と中庭の席が特徴です。
ダイアンズ・ベーカリーは地域の菓子店で、朝の時間帯は近隣の住民で混み合います。
名所としては、ロズリンの時計塔とゲリー・パークが街の顔です。池と水車小屋を含む一帯が公園として整備されています。
ナッソー郡美術館は旧フリック邸を使った施設で、屋外の彫刻庭園を含めて散策できます。
公共の運動施設ではクリストファー・モーリー・パークがあり、郡営のプール、ゴルフ練習場、テニスコートが利用できます。
まとめ

ロズリンは、19世紀の街並みが残る歴史地区と、評価の高い学区という2つの資産を持つ地域です。供給が増えない要素に価値が乗っているため、長期保有には向いた市場と言えます。
その一方で、鉄道の利便性は近隣エリアに一歩譲ります。通勤経路を先に確定させてから物件を絞る。この順序を守れるかどうかで、住み始めてからの満足度が変わります。
当社では、ニューヨーク現地にて、物件のご紹介から購入手続き、賃貸のお住まい探しまで、NY州ライセンスを有するプロフェッショナルを通じてご支援しております。
ロズリンのエリアにご関心をお持ちの方は、お問い合わせフォームよりお気軽にお問い合わせください。
※当社はR New York としてのサービスとなります。物件の売買・賃貸のご案内は、NY州の不動産ライセンスに基づき行っております。
本ページの相場、利回り、所要時間などの数値は、一般に公開されているデータや当社の取引経験にもとづく目安です。物件、時期、条件によって実際とは異なる場合があり、当社が正確性および最新性を保証するものではありません。犯罪発生状況はニューヨーク市警などの公的機関が地区ごとの統計を公開しているため、そちらの数字をご確認ください。当社は入居者や購入者の国籍、人種、出身、宗教、家族構成によって物件やエリアをお勧めすることはいたしません。本ページの内容は情報提供のみを目的としており、投資勧誘や税務助言には当たりません。


















