2026年9月20日 Satoshi Onodera

ニューヨーク・キップスベイの不動産。ミッドタウンの南で、価格を抑えて名義を設計する

キップスベイは、マンハッタン東側の23丁目から34丁目あたり、レキシントンアベニューからイーストリバーまでの区域です。ミッドタウンのすぐ南にあたり、大学の医療センターと病院が集まっています。

 

この地区を取り上げるのは、マンハッタンの中心部でありながら、単価が周辺より二割前後低い場所だからです。エリアの紹介だけでなく、名義と税務の設計まで書きます。

 

1. 概要と住宅の種類

キップスベイのイーストリバー沿いの高層住宅

 

キップスベイの住宅在庫は、1960年代から1970年代に建った高層のコープと賃貸建築が土台になっています。イーストリバー沿いには、板状の大型建築がまとまって建てられました。天井は高くありませんが、間取りは整っていて、部屋の形に無駄が少ないのが特徴です。

2000年代以降は、セカンドアベニューと三番街沿いにコンドミニアムが建ちました。ガラス張りの中高層で、共用施設を備えたものが多く、外国籍の買い手が実際に検討できるのはこの層です。一戸建てはほとんどありません。

項目 内容
位置 マンハッタン東側、23丁目から34丁目、レキシントンアベニューからイーストリバーまで
主な住宅形態 戦後の高層コープ、2000年代以降のコンドミニアム
価格帯の目安 コンドミニアムは1平方フィートあたり1,300ドルから1,900ドル、コープは800ドルから1,200ドル
通勤 6号線でグランドセントラルまで約6分、徒歩でもミッドタウンまで20分台
地区の性格 大学の医療センターと病院が集まる
公表情報にもとづく概要です。実際の数字は住戸ごとに変わります。

 

周辺との位置関係は、北のマレーヒル、南のグラマシー、西のノマドの記事と並べて見ると分かりやすくなります。

2. 価格の位置づけ

キップスベイのイーストリバー沿いの高層住宅

 

コンドミニアムの実勢は、1平方フィートあたり1,300ドルから1,900ドルです。1ベッドルームのおおむね700平方フィートで95万ドルから130万ドル、2ベッドルームの1,100平方フィートで150万ドルから220万ドルあたりに集まります。同じ東側でも、北のアッパーイーストサイドより単価が低い水準です。

コープは1平方フィートあたり800ドルから1,200ドルで、2ベッドルームなら90万ドルから140万ドルの帯になります。この差は建物の築年と設備の違いだけでなく、後で書くとおり買える人の範囲が狭いことも効いています。

この地区で価格を分けるのは、イーストリバーが見えるかどうかと、地下鉄の駅までの距離です。6号線の28丁目駅や33丁目駅から徒歩5分の建物と、リバー沿いの建物では、眺望と利便のどちらを取るかで単価の構成が変わります。

3. 賃料と維持費の釣り合い

キップスベイのイーストリバー沿いの高層住宅

 

賃貸に出した場合、1ベッドルームで月3,800ドルから4,800ドル、2ベッドルームで月5,500ドルから7,500ドルが目安です。コンドミニアムの購入価格に対する表面利回りは、おおむね4%前後になります。マンハッタンの中では高めの部類です。

ここから共益費と固定資産税が引かれます。共益費は1平方フィートあたり月1.3ドルから2.0ドル、固定資産税は1平方フィートあたり年15ドルから25ドルが目安です。2ベッドルームで月2,800ドル前後になり、手取りの利回りは2%前後に落ち着きます。

医療機関が集まる地区であるため、短期から中期で借りたい需要が一定量あります。空室が出ても次が決まりやすいという意味では、貸すことを前提にした保有と相性のよい場所です。共益費の中身はコモンチャージと管理費の考え方にまとめてあります。

4. 購入の実務と名義の設計

コンドミニアムは外国籍でも非居住でも購入できます。理事会の面接はなく、書類の届け出だけで進みます。名義は個人、LLC、信託のいずれも選べます。これに対してコープは理事会の審査があり、米国内の収入と資産の証明を求められるため、非居住の方はほとんど通りません。加えてコープは賃貸に出すことにも制限があります。前提はコープの審査と外国籍の壁で確認できます。

賃料を得る場合、非居住者は賃料総額の30%の源泉徴収が原則で、確定申告を選ぶと経費を引いた純額への課税に切り替えられます。LLC名義で保有する場合の税務はLLC名義での保有と税務で、売却時のFIRPTAの源泉徴収も同じ流れで確認できます。

個人名義のまま非居住者が亡くなると、米国の遺産税は基礎控除が6万ドルしかなく、最高税率40%が超過分にかかります。名義の設計は、購入後に変えると譲渡税がかかるため、契約前に決めます。取引の際には、その時点の最新の税務を、契約書と書面で確認してください。

5. まとめ

キップスベイは、ミッドタウンに歩ける距離でありながら単価が抑えられ、貸したときの利回りもマンハッタンの中では高めに出る地区です。予算を1ベッドルームから2ベッドルームに置く場合の現実的な選択肢になります。購入の全体の流れはニューヨーク不動産の購入ガイドに、日本にいながら進める手順は日本からの遠隔購入にまとめてあります。

 

売り出し状況と、非公開で動いている住戸のご案内も承っております。

 

よくある質問

キップスベイの物件は外国籍でも購入できますか。

コンドミニアムであれば、外国籍でも米国に住んでいなくても購入できます。理事会の面接はなく、名義は個人、LLC、信託から選べます。コープは理事会の審査で米国内の収入と資産の証明を求められるため、非居住の方が承認を得るのは難しいのが実情です。

なぜ周辺の地区より単価が低いのですか。

住宅在庫の中心が1960年代から1970年代の高層建築で、天井高や共用部の仕様が新しい建物に及ばないためです。また商業施設や飲食店の集積が西側の地区より薄いことも影響しています。立地と単価の釣り合いを取るなら選択肢になります。

ミッドタウンまでの通勤時間はどのくらいですか。

6号線でグランドセントラルまで約6分です。33丁目のあたりからは徒歩でも20分台でミッドタウンのオフィス街に着きます。ペンステーションへも徒歩圏で、郊外への鉄道も使いやすい位置にあります。

賃貸に出した場合の利回りはどのくらいですか。

コンドミニアムの2ベッドルームで、表面利回りはおおむね4%前後です。共益費と固定資産税で月2,800ドル前後が出ていくため、手取りは2%前後になります。マンハッタンの中では高めの水準です。

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本ページの相場、利回り、所要時間などの数値は、一般に公開されているデータや当社の取引経験にもとづく目安です。物件、時期、条件によって実際とは異なる場合があり、当社が正確性および最新性を保証するものではありません。犯罪発生状況はニューヨーク市警などの公的機関が地区ごとの統計を公開しているため、そちらの数字をご確認ください。当社は入居者や購入者の国籍、人種、出身、宗教、家族構成によって物件やエリアをお勧めすることはいたしません。本ページの内容は情報提供のみを目的としており、投資勧誘や税務助言には当たりません。