米国内でニューヨークと並べて検討されることが最も多い都市が、マイアミです。州所得税ゼロ、温暖な気候、そして同じ予算で取れる広さ。数字の見かけは、多くの場面でマイアミに分があります。
それでも当社は、両方の数字を並べてから決めることを推奨しています。見かけの差の裏に、保険と供給と流動性という別の差があるからです。
本日はマイアミとニューヨークを、買う人の判断の順番で比べていきましょう。
1. 価格と税金。見かけの差はマイアミ優位

まず、マイアミが強い項目を正面から見ます。
フロリダ州には州所得税がありません。賃貸収入にも、売却益にも、州の所得課税が乗りません。ニューヨークの州・市の所得税と比べると、税引き後の手取りで明確な差になります。
価格の水準も、同じ予算で取れる面積はマイアミが広くなります。水辺の新築コンドミニアムという、ニューヨークでは最上位帯の条件が、より手の届く価格帯から存在します。
取得の費用でも差が出ます。フロリダの譲渡関連税は取引額に対して軽く、ニューヨークのマンションタックス(100万ドル以上で1〜3.9%)に相当する買主負担がありません。同じ300万ドルの物件で、取得時の税負担は数万ドル単位で変わります。
相続の面でも、フロリダ州には州レベルの遺産税がありません。ただし連邦の遺産税(非居住者の基礎控除6万ドル)は全米共通であり、州の違いで消えるわけではない点は押さえておく必要があります。
2. 保険と気候。マイアミの数字に乗ってくる費用

次に、販売資料の利回りに乗ってこない費用を見ます。
フロリダ沿岸部の物件保険は、ハリケーンのリスクを反映して全米で最も高い水準にあり、上昇も続いています。水害の保険は別建てで、洪水地図の区分によっては追加の保険が実質必須になります。
集合住宅では、2021年の崩落事故を機に建物の点検と修繕積立の規制が強化され、築年数の経った建物で一時金と管理費の引き上げが相次ぎました。古いコンドの安さには、この負担が織り込まれていることがあります。
マイアミの収支は、保険・管理費・修繕の3点を実額で確認してから組む。これが実務の前提です。
固定資産税にも注意が要ります。フロリダは購入時に評価が時価へ洗い替えられる仕組みがあり、前の所有者の税額と自分の税額が大きく違うことが普通に起きます。販売資料の税額ではなく、購入価格を前提にした試算で見てください。
3. 賃貸需要と供給の波

賃貸で持つ場合、両都市の需要の質は異なります。
ニューヨークの賃貸需要は、金融・法務・医療・教育という職の集積に支えられ、季節と景気の振れが小さい市場です。空室の期間が読みやすいことが、遠隔保有での安心材料になります。
マイアミの需要は人口流入と観光・季節滞在に支えられ、勢いのある時期の伸びはニューヨークを上回ります。一方で新築供給の波が大きく、竣工が集中する時期には賃料と稼働が緩みます。買う時期と売る時期が、供給の波とぶつかっていないかの確認が要ります。
借家法の性格も異なります。ニューヨークは借家人保護が厚く、入口の審査が実務の中心になる市場です。フロリダは貸主側の裁量が相対的に広く、運用の柔軟性はあります。ただしそれは、借り手の入れ替わりが速いことの裏返しでもあります。
30日未満の短期賃貸の扱いも、建物と地区で細かく分かれます。短期貸しを前提にした収支は、規約と条例を読んでからでなければ組めません。
4. 出口の流動性。売りたいときに売れるか

最後の比較軸は、出口です。
ニューヨークの中古市場は取引の層が厚く、世界中の買い手が常に参加しています。実需と投資の両方の買い手がいる市場は、下落局面でも取引が止まりにくいという性質を持ちます。
買い手の層にも差があります。ニューヨークの買い手は世界の富裕層と地元の実需が重なり、特定の国や業種の景気に依存しません。マイアミは中南米と国内移住の資金への依存度が高く、買い手の出身地の景気が市場に直結しやすい構造です。
マイアミは景気と金利の影響を受けやすく、過去の後退局面では価格の下げ幅も取引の細り方も大きく出ました。値上がりの勢いと、下げの深さは同じ性質の裏表です。
以下に、判断軸の比較をまとめます。
| 項目 | マイアミ | ニューヨーク |
|---|---|---|
| 州所得税 | なし | 州・市ともにあり |
| 物件保険 | 全米最高水準で上昇中 | 相対的に安定 |
| 賃貸需要 | 流入と季節滞在。振れが大きい | 職の集積。振れが小さい |
| 供給 | 新築の波が大きい | 供給は構造的に限定 |
| 出口の流動性 | 景気連動が強い | 層が厚く止まりにくい |
※判断軸の整理です。実額は物件ごとにご確認ください。
5. まとめ。目的で選べば答えは出る

マイアミが合うのは、税引き後の手取りを最重視し、供給の波を読みながら中期で回せる方。そして温暖な気候での滞在自体に価値を感じる方です。
両方を持つという答えもあります。実際、当社のお客様には、ニューヨークを資産の軸に置き、マイアミを滞在と分散の枠で持つ方がいらっしゃいます。二者択一ではなく、役割の設計として考えると選択肢は広がります。
ニューヨークが合うのは、資産の置き場所としての安定と出口の流動性を最重視する方。ドル資産の保全という目的なら、値持ちと売りやすさが答えになります。
どちらの場合も、名義の設計(個人・法人・トラスト)と、非居住者の税務・相続の枠組みは共通に効いてきます。判断の材料は法人名義での保有ガイドと相続と遺産税の設計ガイドにまとめています。都市の一覧比較は全米主要都市の不動産比較をご覧ください。
当社では、個人と法人、居住者と非居住者それぞれの場合分けを踏まえ、都市の選定からご相談を承っております。
※本記事の内容は一般的な情報提供であり、法務・税務・投資に関する助言ではありません。個別の判断は、独立した専門家へのご確認を前提とします。
よくある質問
マイアミの物件保険はなぜ高いのですか。
ハリケーンのリスクを反映して全米で最も高い水準にあり、上昇が続いています。水害の保険は別建てで、洪水地図の区分によっては追加の保険が実質必須になります。収支は保険・管理費・修繕の実額を確認してから組む必要があります。
フロリダには相続税がないと聞きました。米国の遺産税もかかりませんか。
フロリダ州には州レベルの遺産税がありませんが、連邦の遺産税は全米共通で、非居住者の基礎控除は6万ドルです。州の違いで連邦の課税が消えるわけではありません。
マイアミの固定資産税で注意する点は何ですか。
フロリダは購入時に評価が時価へ洗い替えられる仕組みがあり、前の所有者の税額と自分の税額が大きく違うことが普通に起きます。販売資料の税額ではなく、購入価格を前提にした試算で確認してください。
ニューヨークとマイアミの両方を持つという選択はありますか。
あります。ニューヨークを資産の軸に置き、マイアミを滞在と分散の枠で持つ形です。二者択一ではなく役割の設計として考えると選択肢が広がります。
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本ページの相場、利回り、所要時間などの数値は、一般に公開されているデータや当社の取引経験にもとづく目安です。物件、時期、条件によって実際とは異なる場合があり、当社が正確性および最新性を保証するものではありません。犯罪発生状況はニューヨーク市警などの公的機関が地区ごとの統計を公開しているため、そちらの数字をご確認ください。当社は入居者や購入者の国籍、人種、出身、宗教、家族構成によって物件やエリアをお勧めすることはいたしません。本ページの内容は情報提供のみを目的としており、投資勧誘や税務助言には当たりません。

















