ポートワシントン(Port Washington)は、ニューヨーク市の東隣、ナッソー郡の北岸にある町です。マンハッタンのペンステーションまでLIRR(ロングアイランド鉄道)で35分から45分、戸建ての中心価格帯は110万ドルから200万ドル、水辺や敷地の大きい物件で250万ドルから600万ドルです。
ただし、この価格だけでは毎年の負担は決まりません。固定資産税が市場価格の年1.9パーセントから2.4パーセントかかり、150万ドルの戸建てなら年3万ドル前後です。税額は学区と特別区の構成で変わるため、同じ町の中でも物件ごとに違います。見るべきは価格ではなく、価格と税の合計です。
マンハセット湾に突き出した半島にあり、街の中心から水辺までが徒歩圏です。LIRRポートワシントン支線の終点であるため、すべての列車がマンハッタン方面へ直通し、乗り換えが発生しません。
郊外に移られる方が心配されるのは、「車がないと何もできない生活になるのではないか」という点です。ポートワシントンは、郊外でありながらメインストリートで日常が完結する数少ない街の一つです。
1. 砂の街から港町へ

ポートワシントンは、ナッソー郡ノースヘムステッド・タウンの北部、カウネックと呼ばれる半島に位置します。三方をマンハセット湾とロングアイランド湾に囲まれた地形です。
行政区分としては、ポートワシントン・ノース、バクスター・エステーツ、マナーヘイブン、フラワーヒル、サンズポイントといったビレッジと、未編入地域から構成されます。
この街の歴史を語る上で欠かせないのが砂です。19世紀後半から20世紀にかけて、ポートワシントンの砂鉱山から採取された砂が船でマンハッタンへ運ばれ、ニューヨークの高層ビル群のコンクリートに使われました。
現在、その採掘跡地の一部はノースヘムステッド・ビーチパークとして整備され、湾に面した公共空間になっています。
20世紀初頭には、半島の北端サンズポイントに大富豪の邸宅が建てられました。グッゲンハイム家やグールド家の所有した敷地は、現在サンズポイント・プリザーブとして一般公開されています。
約216エーカーの敷地に城館とチューダー様式の邸宅が残り、海沿いの遊歩道が整備されています。フィッツジェラルドが『グレート・ギャツビー』で描いた「イーストエッグ」の下敷きになったのが、この一帯です。
現在の街の性格を決めているのは、湾の存在です。マンハセット湾には複数のヨットクラブとマリーナがあり、セーリングが日常の娯楽として根付いています。
2. 物件のタイプと地区ごとの違い

ポートワシントンの住宅は、地区によって性格が分かれます。
①メインストリート周辺。駅と商店街に近く、戸建てのほかコンドミニアムと集合住宅が一定数あります。車を使わない生活を志向される方の中心的な選択肢です。
②サンズポイント。半島北端の低密度な区域で、敷地1エーカー以上の邸宅が中心です。価格帯は200万ドルから1,000万ドル超まで幅があります。
③フラワーヒル、バクスター・エステーツ。落ち着いた戸建て中心の住宅街で、価格は110万〜250万ドル程度が中心です。
④マナーヘイブン。水辺に近く、比較的手頃な戸建てと集合住宅が混在します。
駐在で来られるご家族には①または③、長期保有と資産性を重視される方には②をご案内することが多くなります。
ポートワシントンで特徴的なのは、コンドミニアムやタウンハウス形式の物件が郊外としては比較的多い点です。ハーバーフロント沿いには、水辺に面した中層の分譲物件が複数あります。
戸建ての管理を負担に感じられる方や、賃貸運用を前提とされる方にとっては、この層が現実的な選択肢となります。
3. 価格・家賃と保有コスト

それでは、実際の相場を見ていきます。(2026年8月現在、1ドル=155円換算)
戸建ては、標準的な区域で110万〜200万ドル程度、水辺や大きな敷地を持つ物件で250万〜600万ドル程度が中心帯です。
コンドミニアムとタウンハウスは、2ベッドルームで70万〜120万ドル程度となります。
賃貸では、戸建ての3ベッドルームで月5,000〜7,500ドル程度、集合住宅の2ベッドルームで月3,500〜4,800ドル程度が目安です。
| エリア | 戸建て中心価格帯 | LIRRペンまで | 駅前で歩ける度合い |
|---|---|---|---|
| ポートワシントン | 110万〜300万ドル | 35〜45分 | 高い(商店街が徒歩圏) |
| グレートネック | 120万〜350万ドル | 30〜35分 | 高い(駅前に集合住宅) |
| ロズリン | 120万〜400万ドル | 50〜70分 | 限定的(車前提) |
| ガーデンシティ | 110万〜280万ドル | 40〜50分 | 高い(7番街が徒歩圏) |
※上記は、2026年現在の当社が現地で把握している市場感に基づく目安であり、個別物件により大きく異なります。
固定資産税は、ナッソー郡の水準どおり市場価格の年1.9パーセントから2.4パーセント程度です。150万ドルの戸建てであれば、年間3万ドル前後を見込む必要があります。
税額は学区と特別区の構成で変わりますので、物件ごとの実額確認が欠かせません。仕組みはナッソー郡のガイドで解説しています。
4. 通勤と日々の生活

続いて、通勤と生活を見ていきます。
LIRRポートワシントン駅は支線の終点です。この「終点である」という点が、通勤上は明確な利点になります。
すべての列車がマンハッタン方面へ直通し、乗り換えが発生しません。始発駅であるため、朝のピーク時間帯でも着席できる可能性が高いという実務的な利点もあります。
ペンステーションまで35分から45分程度、グランドセントラル・マディソン駅へも直通します。
車では、ロングアイランド高速道路(LIE)とノーザンステート・パークウェイの両方が使えます。ラガーディア空港まで30分前後です。
生活の中心はメインストリートです。駅から港へ向かって伸びる通りに、食料品店、薬局、書店、飲食店、金融機関が並びます。
週末には湾沿いの遊歩道とマリーナに人が集まり、地元の朝市も立ちます。郊外の街としては、歩いて過ごせる時間が長い部類に入ります。
教育環境はポートワシントン学区(Port Washington UFSD)です。指標は年度で変わりますので、ニューヨーク州教育局のデータサイトで最新の公開情報をご確認ください。
海に関わる活動が盛んな土地柄で、セーリングやローイングのプログラムが地域に根付いています。お子様の課外活動という観点では、内陸のエリアにはない選択肢があります。
5. 購入時の注意点

ポートワシントンで購入をご検討される際の確認事項です。
①水辺に近い物件は洪水危険区域に該当する場合があり、洪水保険の要否と年間保険料を確認すること。
②桟橋や係留施設を持つ物件では、その維持管理義務と許認可の状況を確認すること。
③ビレッジごとに増改築の規制が異なるため、将来のリフォーム計画がある場合は事前に条例を確認すること。
④古い住宅では暖房方式と地下タンクの有無を検査で確認すること。
⑤駅の駐車場は住民向けの許可制であり、待機期間が生じる場合があること。
①については、FEMAの洪水地図で該当区域を確認できます。水辺の景観に対して支払う金額と、保険を含む保有コストは必ずセットで見積もってください。
②は日本にはない論点です。個人の桟橋は、州や自治体の許可に基づいて設置されているものであり、譲渡に伴う手続きや更新義務が発生する場合があります。
資産価値の面では、ポートワシントンの強みは直通の鉄道、歩ける商店街、水辺という3条件が重なっている点にあります。
郊外の住宅地の多くは、このうち1つか2つしか満たしません。3つ揃った街は供給が増えず、市況が下向く局面でも買い手が付きやすい傾向にあります。
地元で通われている店と名所

それでは、この街で長く使われている場所をご紹介します。
ルイーズ・オイスターバー・アンド・グリルは1905年から続く港沿いのシーフード店です。湾に面したデッキ席があり、夏の日没時は席が埋まります。
アイハンズ・シシケバブは地中海料理の店で、この街を拠点に長年営業を続けています。
サルバトーレズ・コールオーブン・ピッツェリアは石炭窯で焼くピザの店で、地元の評価が高い一軒です。
ドルフィン・ブックショップはメインストリートの独立系書店で、併設のカフェが待ち合わせ場所として使われています。
名所としては、前述のサンズポイント・プリザーブが第一に挙がります。城館の建物と海沿いの散策路があり、季節ごとの催しが行われています。
水辺ではノースヘムステッド・ビーチパークが地域の中心です。かつての砂採掘跡地を整備した広い公園で、湾に面した芝生とマリーナが並びます。
ロングアイランドの他のエリアはロングアイランドのエリアガイド一覧からご覧いただけます。
まとめ

ポートワシントンは、LIRR支線の終点という通勤上の安定性、歩いて用が足りるメインストリート、そしてマンハセット湾の水辺という3つを併せ持つ街です。
郊外に移りながら、車に完全に依存する生活は避けたい。そうお考えの方にとって、有力な候補となります。
一方で、水辺に近い物件では洪水保険と桟橋の管理という固有の論点があります。景観の価値と保有コストを分けて考えることが、この街での物件選びの要点です。
当社では、ニューヨーク現地にて、物件のご紹介から購入手続き、賃貸のお住まい探しまで、NY州ライセンスを有するプロフェッショナルを通じてご支援しております。
ポートワシントンのエリアにご関心をお持ちの方は、お問い合わせフォームよりお気軽にお問い合わせください。
※当社はR New York としてのサービスとなります。物件の売買・賃貸のご案内は、NY州の不動産ライセンスに基づき行っております。
BUYING GUIDES
このエリアで物件を買う・借りる方へ
- ニューヨーク不動産の購入ガイド
- ニューヨークシティのコンドミニアム購入のガイド(価格相場と手順、費用)
- アメリカの住宅ローンのガイド(駐在と非居住者向け)
- ニューヨークの賃貸ガイド
よくある質問
ポートワシントンからマンハッタンのペンステーションまでLIRRでどのくらいかかりますか。
ポートワシントンはLIRRの支線終点であり、すべての列車がマンハッタン方面へ直通します。このため乗り換えが発生せず、朝のピーク時間帯でも着席できる可能性が高いという利点があります。ペンステーションまでは35分から45分程度で結ばれています。
ポートワシントンのサンズポイント地区の住宅価格帯はどのくらいですか。
サンズポイントは半島北端の低密度な区域で、敷地1エーカー以上の邸宅が中心です。この地区の価格帯は200万ドルから1,000万ドル超まで幅があります。長期保有と資産性を重視される方への案内が多くなるエリアです。
ポートワシントンで戸建てを購入する場合、固定資産税はどの程度見込む必要がありますか。
ナッソー郡の水準どおり市場価格の年1.9パーセントから2.4パーセント程度が固定資産税となります。150万ドルの戸建てであれば、年間3万ドル前後を見込む必要があります。税額は学区と特別区の構成で変わりますので、物件ごとの実額確認が欠かせません。
ポートワシントンで水辺に近い物件を購入する際に注意すべき点はありますか。
水辺に近い物件は洪水危険区域に該当する場合があり、FEMAの洪水地図で該当区域を確認する必要があります。また洪水保険の要否と年間保険料を必ずセットで見積もってください。桟橋を持つ物件では維持管理義務と許認可の状況も確認すべきです。
English guides on reinventny.com
NEIGHBOURHOODSニューヨークの街と、他都市との比較(97件)
マンハッタンの街
- アッパーウエストサイド — 戦前の名建築と子育て環境
- カーネギーヒル — 美術館の並びに住む
- ヨークビル — 地下鉄新線が変えた買い場
- タートルベイ — 国連の街の静かな買い場
- グラマシー — 鍵のある公園に面した街
- フラットアイアン — ロフトの広さと価格
- ノマド — マンハッタン中央部の相場
- チェルシー — ハイライン沿いのレジデンス
- ウエストヴィレッジ — 石畳の歴史地区
- グリニッチビレッジ — 低層の街と戦前コープ
- ノーホー — 数ブロックのロフト一等地
- ソーホー — ロフト市場の実態
- ロウアーイーストサイド — 変わり続ける街の値段
- 金融地区 — ウォール街に暮らす
- ハーレム — ブラウンストーン1棟と賃料規制
- リンカーンスクエア — 公園と劇場に挟まれた一角
- レノックスヒル — 戦前コープと新築コンドの差
- キップスベイ — 価格を抑えて名義を設計する
- マレーヒル — ミッドタウン東の住み替え先
- サットンプレイス — イーストリバー沿いの静かな一角
- モーニングサイドハイツ — 大学に囲まれた区域で持つ
- アッパーイーストサイド — 学区とコープ審査、物件価格
- トライベッカ — 最高価格帯のロフトと新築
- ノリータ — 小さな街区と低層の街並み
- イーストビレッジ — ダウンタウンで家賃を抑える
- ヘルズキッチン — ミッドタウン至近の家賃
- ハドソンヤーズ — ゼロから生まれた街の価格
- ミッドタウンイースト — 通勤10分圏の家賃と物件選び
- バッテリーパークシティ — 借地権という落とし穴
ブルックリンの街
- ブルックリンハイツ — 全米初の歴史保存地区
- コブルヒル — ランドマーク地区のブラウンストーン
- キャロルガーデンズ — 住みながら貸す二戸建て
- ボーラムヒル — 学区の境界は住所ごとに違う
- フォートグリーン — コープが多い地区で海外から買う
- プロスペクトハイツ — 固定資産税の減税が切れる日
- ダウンタウンブルックリン — 供給が集中した地区の出口
- ダンボ — 倉庫街から高級住宅地へ
- グリーンポイント — 水辺エリアの家賃相場
- ウィリアムズバーグ — 水辺の新築と倉庫改装
- ブッシュウィック — 倉庫街から住宅地へ
- クラウンハイツ — ブラウンストーンと大型コープ
- ベッドフォードスタイベサント — ブラウンストーン1棟の持ち方
- レッドフック — 洪水リスクと保険で見る水辺
- パークスロープ — 公園沿いの街並みと学校、物件
クイーンズとブロンクスの街
- ロングアイランドシティ — 水辺のタワーと1駅の距離
- アストリア — 低層の街と二世帯住宅
- フォレストヒルズ — 戦前コープとガーデン地区
- ジャクソンハイツ — 歴史地区に残るコープ
- レゴパーク — 大型コープと戸建てが混ざる
- フラッシング — 7号線の終点に建つ新築コンド
- サニーサイド — 地下鉄一本で出られる低層の街
- ウッドサイド — 二世帯住宅を持つという選択
- キューガーデンズ — 戦前コープと戸建てが混ざる
- リバーデール — ハドソン川を見下ろす戸建て
ウエストチェスターの街
- スカーズデール — 村の税と戸建ての価格帯
- ブロンクスビル — 1平方マイルの村に建つコープ
- ライ — 湾に面した戸建ての価格帯
- ホワイトプレーンズ — 郡庁所在地の高層コンド
- ハリソン — 駅前と丘側で異なる区域
- イーストチェスター — 町の中の2村で税が変わる
- ママロネック — 町と村にまたがる住所
- ラーチモント — 湾に面した戸建てと通勤
- ペラム — 二つの村に分かれた町の税負担
- ニューロシェル — 再開発の高層コンドと湾岸の戸建て
ロングアイランドの街
- ナッソー郡 — 郡全体の価格と固定資産税
- グレートネック — LIRRの3駅と戸建ての価格帯
- ポートワシントン(この記事)
- ロズリン — 池のある村と周辺の戸建て
- ジェリコ — 区画の広い住宅地の持ち方
- ガーデンシティ — 計画された街区と街路樹
- ベイサイド — クイーンズ東端の戸建て
- リトルネック — 湾沿いの低層住宅地
- ハンプトンズ — 別荘市場の価格帯と季節賃貸
- モントーク — 半島の先端で持つ
ニュージャージーの対岸
- ホーボーケン — 家賃相場・通勤・洪水リスク
- ジャージーシティ — PATHで10分の対岸とタワー
- フォートリー — 高層コンドと通勤
- エッジウォーター — フェリーで15分の川沿い
- ユニオンシティ — マルチファミリーの街
- ニュージャージーの物件15選 — 対岸で選ばれている建物
ニューヨークを他の都市と比べる
- 東京 — 価格・価値観・法規制の違い
- ロサンゼルス — 戸建ての街と縦の街
- マイアミ — 税金ゼロの魅力と流動性
- ハワイ — 持ちたい場所として比べる
- トロント・バンクーバー — 外国人購入禁止の国と開かれた市場
- パリ — 石の街の資産と縦の街の資産
- 香港 — アジアの富の置き場所
- シドニー — 外国人規制の壁
- ロンドン — 英米の不動産投資の違い
- 世界の主要都市 — ドバイ・シンガポール・ロンドン・東京
- 全米の主要都市 — 価格・家賃・利回り・値上がり率
- 米国内の他都市 — ニューヨークだけが違う7点
- 日米の投資比較 — 利回り・税制・リスク
- 他州の築古戸建て — 同じ2億円を5年持った場合
- ドバイ・シンガポール — 買うならどこか
- マイアミ・ボストン — 家を買う都市の違い
- マイアミの高級コンド — ニューヨークとの違いと購入の実務
エリアの全体像と購入の実務
本ページの相場、利回り、所要時間などの数値は、一般に公開されているデータや当社の取引経験にもとづく目安です。物件、時期、条件によって実際とは異なる場合があり、当社が正確性および最新性を保証するものではありません。犯罪発生状況はニューヨーク市警などの公的機関が地区ごとの統計を公開しているため、そちらの数字をご確認ください。当社は入居者や購入者の国籍、人種、出身、宗教、家族構成によって物件やエリアをお勧めすることはいたしません。本ページの内容は情報提供のみを目的としており、投資勧誘や税務助言には当たりません。

















