ラーチモントは、ウエストチェスター郡南部、ロングアイランド湾に面した住宅地です。マンハッタンから北東におよそ30キロ、メトロノース鉄道のニューヘイブン線が通っています。
この地区を取り上げるのは、同じ「ラーチモント」という住所でも、村の中と外で税負担が変わるからです。エリアの紹介だけでなく、名義と税務の設計まで書きます。
1. 概要と住宅の種類

ラーチモントの住宅は、ほとんどが一戸建てです。1900年代から1930年代に建てられたチューダー様式やコロニアル様式の家が多く、敷地は0.15エーカーから0.5エーカーの範囲に収まります。湾に近いマナー地区には、水辺に面した大型の家が並びます。
行政の区分に注意が要ります。ラーチモント村は独立した自治体で、その外側はママロネック町の一部です。郵便の住所はどちらもラーチモントと書けるため、同じ地名でも税率と行政サービスが違う場所が混ざります。集合住宅はごく少なく、駅周辺に小規模なコープとコンドミニアムがある程度です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 位置 | ウエストチェスター郡南部、ロングアイランド湾沿い、マンハッタンの北東約30キロ |
| 主な住宅形態 | 一戸建てが中心、駅周辺に少数のコープとコンドミニアム |
| 価格帯の目安 | 一戸建ては120万ドルから350万ドル、湾岸の大型物件は400万ドル超 |
| 通勤 | メトロノース・ニューヘイブン線でグランドセントラルまで約35分 |
| 行政区分 | ラーチモント村と、ママロネック町の非村部に分かれる |
ウエストチェスターの他の地区との比較は、ブロンクスビルやスカースデールの記事と並べて見ると分かりやすくなります。通勤時間と価格の関係は郡全体で共通しています。
2. 価格の位置づけ

一戸建ての実勢は120万ドルから350万ドルです。四寝室で2,500平方フィート前後、敷地0.2エーカーの標準的な家が、160万ドルから230万ドルの帯に集まります。湾に面した敷地や、プライベートな桟橋がつく物件は400万ドルを超えます。
この地区で価格差を生むのは、駅からの距離、敷地の広さ、そして水辺かどうかの三つです。駅から徒歩圏の家は、車が必要な区域より二割前後高く取引されます。同じ面積でも、湾が見えるかどうかで数十万ドルの開きが出ます。
固定資産税は郡・町または村・学区の三層で課され、一戸建てで年に2万5,000ドルから5万ドルの範囲になります。購入価格が同じでも、村の中と外では負担が変わります。物件ごとの税額は、郡の評価台帳で番地単位に確認できます。近隣の売買事例だけで判断しないでください。
3. 賃料と維持費の釣り合い

賃貸に出した場合、四寝室の一戸建てで月7,000ドルから12,000ドルが目安です。購入価格180万ドルの物件を月8,500ドルで貸せば、表面利回りはおよそ5.7%になります。数字だけを見ればニューヨーク市内より高く映ります。
ただし一戸建ては差し引かれるものが多い資産です。固定資産税だけで年3万ドル前後、これに火災保険、暖房設備の保守、屋根と外壁の修繕、庭の手入れが加わります。年間の経費を引いた手取りの利回りは、おおむね3%前後まで下がります。
集合住宅と違い、共用部の管理組合がないぶん、修繕の判断と費用はすべて所有者に来ます。遠隔で保有する場合は管理を委託することになり、その費用も見込んでおく必要があります。集合住宅側の費用構造はコモンチャージと管理費の考え方と比べてみてください。
4. 購入の実務と名義の設計
一戸建てとコンドミニアムは、外国籍でも非居住でも購入できます。理事会の面接はなく、名義は個人、LLC、信託のいずれも選べます。駅周辺の少数のコープは理事会の審査があり、米国内の収入と資産の証明を求められるため、非居住の方はほとんど通りません。判断の前提はコープの審査と外国籍の壁で確認できます。
賃料を得る場合、非居住者は賃料総額の30%の源泉徴収が原則で、確定申告を選ぶと経費を引いた純額への課税に切り替えられます。LLC名義で保有する場合の税務はLLC名義での保有と税務で、売却時のFIRPTAの源泉徴収も同じ流れで確認できます。
個人名義のまま非居住者が亡くなると、米国の遺産税は基礎控除が6万ドルしかなく、最高税率40%が超過分にかかります。名義の設計は、購入後に変えると譲渡税がかかるため、契約前に決めます。取引の際には、その時点の最新の税務を、契約書と書面で確認してください。
5. まとめ
ラーチモントは、湾に面した一戸建てを中心とする地区です。買う前に確かめるのは、その番地が村の中か外か、そして年間の固定資産税がいくらかの二点です。購入の全体の流れはニューヨーク不動産の購入ガイドに、日本にいながら進める手順は日本からの遠隔購入にまとめてあります。
売り出し状況と、非公開で動いている住戸のご案内も承っております。
よくある質問
ラーチモントの家は外国籍でも購入できますか。
一戸建てとコンドミニアムであれば、外国籍でも米国に住んでいなくても購入できます。理事会の面接はなく、名義は個人、LLC、信託から選べます。駅周辺の少数のコープだけは理事会の審査があり、非居住の方が承認を得るのは難しいのが実情です。
ラーチモント村と、村の外では何が違いますか。
村は独立した自治体で、村の税と村の行政サービスがあります。村の外はママロネック町の一部で、税率と担当する行政が変わります。郵便の住所はどちらもラーチモントと書けるため、契約前に番地単位で郡の評価台帳を確認してください。
固定資産税は年にどのくらいかかりますか。
一戸建てで年2万5,000ドルから5万ドルの範囲です。郡・町または村・学区の三層で課され、同じ価格帯の家でも番地によって差が出ます。購入前に、その物件の直近の税額を書面で取り寄せてください。
賃貸に出した場合、手元にはどのくらい残りますか。
四寝室で月7,000ドルから12,000ドルの賃料に対し、表面利回りは5%台になります。ただし固定資産税、保険、修繕、庭の管理が引かれ、手取りは3%前後です。遠隔で保有するなら管理委託の費用も見込んでください。
NEIGHBOURHOODSニューヨークの街と、他都市との比較(97件)
マンハッタンの街
- アッパーウエストサイド — 戦前の名建築と子育て環境
- カーネギーヒル — 美術館の並びに住む
- ヨークビル — 地下鉄新線が変えた買い場
- タートルベイ — 国連の街の静かな買い場
- グラマシー — 鍵のある公園に面した街
- フラットアイアン — ロフトの広さと価格
- ノマド — マンハッタン中央部の相場
- チェルシー — ハイライン沿いのレジデンス
- ウエストヴィレッジ — 石畳の歴史地区
- グリニッチビレッジ — 低層の街と戦前コープ
- ノーホー — 数ブロックのロフト一等地
- ソーホー — ロフト市場の実態
- ロウアーイーストサイド — 変わり続ける街の値段
- 金融地区 — ウォール街に暮らす
- ハーレム — ブラウンストーン1棟と賃料規制
- リンカーンスクエア — 公園と劇場に挟まれた一角
- レノックスヒル — 戦前コープと新築コンドの差
- キップスベイ — 価格を抑えて名義を設計する
- マレーヒル — ミッドタウン東の住み替え先
- サットンプレイス — イーストリバー沿いの静かな一角
- モーニングサイドハイツ — 大学に囲まれた区域で持つ
- アッパーイーストサイド — 学区とコープ審査、物件価格
- トライベッカ — 最高価格帯のロフトと新築
- ノリータ — 小さな街区と低層の街並み
- イーストビレッジ — ダウンタウンで家賃を抑える
- ヘルズキッチン — ミッドタウン至近の家賃
- ハドソンヤーズ — ゼロから生まれた街の価格
- ミッドタウンイースト — 通勤10分圏の家賃と物件選び
- バッテリーパークシティ — 借地権という落とし穴
ブルックリンの街
- ブルックリンハイツ — 全米初の歴史保存地区
- コブルヒル — ランドマーク地区のブラウンストーン
- キャロルガーデンズ — 住みながら貸す二戸建て
- ボーラムヒル — 学区の境界は住所ごとに違う
- フォートグリーン — コープが多い地区で海外から買う
- プロスペクトハイツ — 固定資産税の減税が切れる日
- ダウンタウンブルックリン — 供給が集中した地区の出口
- ダンボ — 倉庫街から高級住宅地へ
- グリーンポイント — 水辺エリアの家賃相場
- ウィリアムズバーグ — 水辺の新築と倉庫改装
- ブッシュウィック — 倉庫街から住宅地へ
- クラウンハイツ — ブラウンストーンと大型コープ
- ベッドフォードスタイベサント — ブラウンストーン1棟の持ち方
- レッドフック — 洪水リスクと保険で見る水辺
- パークスロープ — 公園沿いの街並みと学校、物件
クイーンズとブロンクスの街
- ロングアイランドシティ — 水辺のタワーと1駅の距離
- アストリア — 低層の街と二世帯住宅
- フォレストヒルズ — 戦前コープとガーデン地区
- ジャクソンハイツ — 歴史地区に残るコープ
- レゴパーク — 大型コープと戸建てが混ざる
- フラッシング — 7号線の終点に建つ新築コンド
- サニーサイド — 地下鉄一本で出られる低層の街
- ウッドサイド — 二世帯住宅を持つという選択
- キューガーデンズ — 戦前コープと戸建てが混ざる
- リバーデール — ハドソン川を見下ろす戸建て
ウエストチェスターの街
- スカーズデール — 村の税と戸建ての価格帯
- ブロンクスビル — 1平方マイルの村に建つコープ
- ライ — 湾に面した戸建ての価格帯
- ホワイトプレーンズ — 郡庁所在地の高層コンド
- ハリソン — 駅前と丘側で異なる区域
- イーストチェスター — 町の中の2村で税が変わる
- ママロネック — 町と村にまたがる住所
- ラーチモント(この記事)
- ペラム — 二つの村に分かれた町の税負担
- ニューロシェル — 再開発の高層コンドと湾岸の戸建て
ロングアイランドの街
- ナッソー郡 — 郡全体の価格と固定資産税
- グレートネック — LIRRの3駅と戸建ての価格帯
- ポートワシントン — 港と商店街、支線の終点
- ロズリン — 池のある村と周辺の戸建て
- ジェリコ — 区画の広い住宅地の持ち方
- ガーデンシティ — 計画された街区と街路樹
- ベイサイド — クイーンズ東端の戸建て
- リトルネック — 湾沿いの低層住宅地
- ハンプトンズ — 別荘市場の価格帯と季節賃貸
- モントーク — 半島の先端で持つ
ニュージャージーの対岸
- ホーボーケン — 家賃相場・通勤・洪水リスク
- ジャージーシティ — PATHで10分の対岸とタワー
- フォートリー — 高層コンドと通勤
- エッジウォーター — フェリーで15分の川沿い
- ユニオンシティ — マルチファミリーの街
- ニュージャージーの物件15選 — 対岸で選ばれている建物
ニューヨークを他の都市と比べる
- 東京 — 価格・価値観・法規制の違い
- ロサンゼルス — 戸建ての街と縦の街
- マイアミ — 税金ゼロの魅力と流動性
- ハワイ — 持ちたい場所として比べる
- トロント・バンクーバー — 外国人購入禁止の国と開かれた市場
- パリ — 石の街の資産と縦の街の資産
- 香港 — アジアの富の置き場所
- シドニー — 外国人規制の壁
- ロンドン — 英米の不動産投資の違い
- 世界の主要都市 — ドバイ・シンガポール・ロンドン・東京
- 全米の主要都市 — 価格・家賃・利回り・値上がり率
- 米国内の他都市 — ニューヨークだけが違う7点
- 日米の投資比較 — 利回り・税制・リスク
- 他州の築古戸建て — 同じ2億円を5年持った場合
- ドバイ・シンガポール — 買うならどこか
- マイアミ・ボストン — 家を買う都市の違い
- マイアミの高級コンド — ニューヨークとの違いと購入の実務
エリアの全体像と購入の実務
本ページの相場、利回り、所要時間などの数値は、一般に公開されているデータや当社の取引経験にもとづく目安です。物件、時期、条件によって実際とは異なる場合があり、当社が正確性および最新性を保証するものではありません。犯罪発生状況はニューヨーク市警などの公的機関が地区ごとの統計を公開しているため、そちらの数字をご確認ください。当社は入居者や購入者の国籍、人種、出身、宗教、家族構成によって物件やエリアをお勧めすることはいたしません。本ページの内容は情報提供のみを目的としており、投資勧誘や税務助言には当たりません。

















