海外に不動産を持とうと考え始めた方が、最初に迷われるのが行き先です。ニューヨーク、ドバイ、シンガポール、ロンドン。それぞれに推す人がいて、言い分もそれぞれ筋が通っています。
当社はニューヨークで不動産をお手伝いしている立場ですが、すべての方にニューヨークが最適だとは考えていません。目的によっては、他の都市のほうが合理的です。
そこで本日は、4都市を同じ物差しで並べてみます。そのうえで、どんな方にどこが向くのかを率直に整理します。
1. 4都市を同じ物差しで並べる

まず全体像です。比較の軸は、価格、利回り、外国人への規制、税金、流動性の5つに絞ります。
| 項目 | ニューヨーク | ドバイ | シンガポール |
|---|---|---|---|
| 表面利回り | 3〜4%台 | 6〜8%台 | 2〜3%台 |
| 外国人の購入 | 制限なし(コンドは自由) | 指定区域で可 | 追加印紙税が重い |
| 購入時の税負担 | 中(マンションタックス等) | 低(登記手数料程度) | 高(外国人は特に重い) |
| 保有時の税 | 固定資産税あり | 実質なし | あり |
| 市場の厚み・流動性 | 非常に高い | 中(供給増が続く) | 高い |
| 価格の歴史 | 100年超の実績 | 20年程度 | 50年超 |
※上記は2026年時点の一般的な傾向をまとめたものです。数値は目安であり、物件と時期により変わります。ロンドンはニューヨークに近い性格を持ちます。
この表だけを見れば、利回りと税負担ではドバイが際立ちます。数字で選ぶなら答えは明快に見えます。
2. それでもニューヨークが選ばれる理由

ここで一度、逆の見方をしてみます。利回りが低く税もかかるニューヨークを、なぜ世界の富裕層が選び続けるのか。
理由は市場の厚みと、価格の歴史です。ニューヨークの住宅市場は100年以上にわたって取引が続き、恐慌も金融危機も経験したうえで今の水準にあります。売りたいときに買い手がいるという確度が、他の都市とは違います。
ドバイは供給が続いており、過去には大きな価格変動も経験しています。利回りが高いのは、その変動を引き受ける対価と考えるのが自然です。
シンガポールは市場として成熟していますが、外国人の購入に対する追加印紙税が重く、購入時点で大きな負担が発生します。
つまり、ニューヨークは「増やす」より「置いておく」ことに向いた市場です。資産をどこかに移して長く持ちたいという目的であれば、この性格が効いてきます。
3. 目的別に見るとどうなるか

それでは、目的ごとに整理します。
①利回りを最優先する。ドバイが有力です。ただし価格変動と、賃貸需要が駐在者に依存する構造は理解しておく必要があります。
②資産の置き場所として長く持つ。ニューヨークかロンドンです。流動性と市場の歴史が判断材料になります。
③自分や家族が住む可能性がある。ニューヨークです。教育機関と医療、そして日本との直行便の本数が効いてきます。
④日本の所得と相殺して節税したい。アメリカです。木造物件の短い耐用年数を使った減価償却は、米国不動産に固有の仕組みで、他の3都市では同じ設計ができません。
まとめると、比較の答えは目的で変わります。④については減価償却による節税の記事にまとめています。
4. 通貨と出口をどう考えるか

見落とされやすいのが、通貨と出口です。
ドルは世界の基軸通貨で、資産をドル建てで持つこと自体に分散の意味があります。ディルハムはドルに連動しているため実質ドル建てですが、市場の規模と歴史が異なります。
出口については、米国には非居住者の売却時に源泉徴収(FIRPTA)があり、事前の設計が必要です。一方で1031エクスチェンジによる買い替えの繰り延べという、米国固有の制度も使えます。
出口の実務は1031エクスチェンジで売却益を繰り延べると出口の税金ガイドにまとめています。
都市ごとの価格・利回り・税の一覧は世界主要都市の不動産比較にまとめています。
アメリカ国内の都市どうしの比較は全米都市の不動産比較の記事にまとめています。
まとめ

利回りだけならドバイ、資産の置き場所ならニューヨークかロンドン、日本の所得との相殺を狙うならアメリカ。目的が決まれば、行き先は自然に絞れます。
当社はニューヨークを扱っておりますが、目的をお聞きして「それなら他の選択肢のほうが合います」とお伝えすることもございます。まずはご事情をお聞かせください。
ニューヨークの具体的な価格帯はコンドミニアム購入のガイド(価格相場と手順、費用)をご覧ください。
※本記事は一般的な情報提供であり、投資勧誘や税務助言ではありません。実行の前に、必ず専門家にご確認ください。
よくある質問
ニューヨークとドバイ、シンガポールの不動産はどう違いますか。
ドバイは税負担の軽さと高い表面利回り、シンガポールは制度の安定と引き換えに外国人への高い印紙税、ニューヨークは市場の厚みと法制度の透明性がそれぞれの特徴です。何を重視するかで選択が変わります。
税金が軽い都市を選ぶべきではないですか。
税負担だけでは判断できません。保有中の税が軽くても、市場の流動性が薄ければ売りたいときに売れません。ニューヨークは税や費用がかかるぶん、買い手の層が厚く、出口の確実性が高い市場です。
ニューヨークを選ぶ理由は何ですか。
ドル資産としての性格、世界で最も厚い買い手層、法制度と登記の透明性、そして賃貸需要の強さです。値上がり益を短期で狙う市場ではなく、資産の置き場所として長期で信頼できる市場という位置づけです。
複数の都市に分散するのは有効ですか。
有効な場合もありますが、都市ごとに税務と管理の体制が別に必要になり、手間は物件数以上に増えます。まず軸になる市場を決め、そこで体制を固めてから広げる方が、実務の負担に見合います。
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本ページの相場、利回り、所要時間などの数値は、一般に公開されているデータや当社の取引経験にもとづく目安です。物件、時期、条件によって実際とは異なる場合があり、当社が正確性および最新性を保証するものではありません。犯罪発生状況はニューヨーク市警などの公的機関が地区ごとの統計を公開しているため、そちらの数字をご確認ください。当社は入居者や購入者の国籍、人種、出身、宗教、家族構成によって物件やエリアをお勧めすることはいたしません。本ページの内容は情報提供のみを目的としており、投資勧誘や税務助言には当たりません。

















