英語圏で生活の質が高く、アジアからの時差も小さい。シドニーは、日本の資産家の海外不動産の候補として長く名前が挙がってきた都市です。
ただし、シドニーとニューヨークの比較は、価格や利回りの前に確認すべきことがあります。外国人がそもそも何を買えるのかという規制の壁です。
本日はシドニーとニューヨークを、海外から買う人の立場で比べていきましょう。
1. 外国人の取得規制。入口の広さがまったく違う

オーストラリアでは、非居住の外国人の住宅取得は政府(FIRB)の審査対象で、原則として新築か更地への建築に限られます。中古住宅は原則買えません。申請には手数料がかかり、違反への罰則も整備されています。
加えて、州レベルで外国人買主への追加印紙税が課され、シドニーのあるニューサウスウェールズ州では取得価格に対して他国でも目立つ水準の上乗せがあります。保有段階でも、外国人所有の土地税の割増や、年間の利用が少ない住宅への空き家課金があります。
ニューヨークには、外国人であることを理由にした取得制限も追加課税も一切ありません。誰が買っても同じ税、同じ手続きです。入口の広さの差は、出口の広さの差でもあります。
2. 価格と市場の性格

シドニーの住宅価格は世界最高水準の一角で、所得対比の住宅価格では常に世界の上位に入ります。市場の中心は戸建てとタウンハウスで、都心のユニット(コンド相当)市場も厚くなっています。
通貨も判断の一部です。豪ドルは資源価格と中国景気への連動が強く、円から見た変動はドルより大きく出る局面があります。ドル資産としての保全が目的なら、通貨の性格の違いはそのままリスクの違いです。
値動きは金利への感応度が高いのが特徴です。変動金利のローンが主流のため、政策金利の上げ下げが家計の返済額に直結し、市場全体が金利で動きます。
ニューヨークは30年固定が主流の市場で、金利上昇局面では取引量が減る一方、既存所有者の投げ売りが出にくい構造です。下げ局面の底堅さは、ローンの固定・変動の構造差からも来ています。
3. 賃貸と税務。貸す人の条件

賃貸市場はどちらも需要が強く、空室率の低さではシドニーがしばしば話題になります。学生・移民の流入が需要の土台で、賃料の上昇も続いてきました。
税務では、オーストラリアは非居住者への課税が段階的に厳しくなってきた歴史があります。非居住者は主たる住居の売却非課税の対象外とされ、キャピタルゲイン課税の扱いも居住者と差があります。外国人という属性で条件が変わる市場である点は、入口の規制と一貫しています。
賃貸の実務でも、遠隔からの保有のしやすさに差があります。どちらも管理会社経由の運用が可能ですが、外国人所有への届け出や空き家課金の管理など、シドニーには所有者の属性に紐づく事務が上乗せされます。
米国は非居住者にも同じ制度(FIRPTAの源泉と申告による精算、純額課税の選択)が適用され、属性による差別的な上乗せはありません。制度の予見性という意味で、この差は保有期間が延びるほど効いてきます。
| 項目 | シドニー | ニューヨーク |
|---|---|---|
| 外国人の取得 | 審査制。原則新築のみ | 制限なし。中古も自由 |
| 外国人への追加課税 | 追加印紙税・土地税割増あり | なし |
| ローンの構造 | 変動が主流。金利感応度が高い | 30年固定が主流 |
| 売却時の扱い | 非居住者に不利な改正が続いた | 居住者と同じ枠組みで精算 |
| 出口の買い手 | 外国人には中古を売りにくい | 世界中の買い手に売れる |
※制度は変更されることがあります。最新の条件は取引時にご確認ください。
4. 出口で効いてくる、入口の規制

見落とされがちな論点をひとつ。外国人が中古を買えない市場では、外国人が売るときの買い手も国内に限られます。
あなたが新築で買ったユニットは、売る時点では中古です。その買い手から海外の資金が制度的に除外されているということは、出口の需要の一部が最初から欠けているということです。
ニューヨークの中古市場に世界中の買い手が参加できることは、保有中は意識されませんが、売る日に価格として現れます。入口の規制は、入るときではなく出るときに払うコストです。
5. まとめ。属性で条件が変わらない市場を選ぶ

シドニーが合うのは、居住や教育で実際にオーストラリアへ渡る計画があり、新築の取得で目的が満たせる方です。生活の質と時差の近さは、数字にならない実利です。
日本にお住まいのまま資産として持つなら、取得・保有・売却のどの段階でも外国人という属性で条件が変わらないことが、ニューヨークを選ぶ理由になります。規制は今後も動き得るものであり、動かない制度の下に資産を置くこと自体が保全の設計です。
世界の都市の一覧は世界主要都市の不動産比較を、購入の実務はコンドミニアム購入ガイドと日本からの遠隔購入ガイドをご覧ください。
当社では、個人と法人、居住者と非居住者それぞれの場合分けを踏まえ、都市の選定からご相談を承っております。
※本記事の内容は一般的な情報提供であり、法務・税務・投資に関する助言ではありません。個別の判断は、独立した専門家へのご確認を前提とします。
よくある質問
外国人はシドニーの中古住宅を買えますか。
原則買えません。非居住の外国人の住宅取得は政府(FIRB)の審査対象で、原則として新築か更地への建築に限られます。ニューヨークには外国人であることを理由にした取得制限はなく、中古も自由に買えます。
シドニーでは外国人に追加の税金がかかりますか。
かかります。ニューサウスウェールズ州では外国人買主への追加印紙税が上乗せされ、保有段階でも土地税の割増や空き家課金があります。ニューヨークには外国人への追加課税はありません。
ローンの構造はどう違いますか。
シドニーは変動金利が主流で、政策金利の上げ下げが返済額に直結し、市場全体が金利で動きます。ニューヨークは30年固定が主流で、金利上昇局面でも既存所有者の投げ売りが出にくい構造です。
入口の規制はなぜ出口に効くのですか。
外国人が中古を買えない市場では、外国人が売るときの買い手も国内に限られるためです。新築で買った物件も売る時点では中古であり、海外の資金が制度的に除外されている分、出口の需要の一部が最初から欠けています。
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