ウエストチェスター郡の南東部、ロングアイランド湾に面した位置に、性格の違う2つの村が隣り合っています。
ママロネック(Mamaroneck)とラーチモント(Larchmont)です。
いずれもグランドセントラル駅まで35分前後で、海に近く、駅から歩ける区域を持つという郡内では珍しい条件が揃います。
ただし行政の構造が入り組んでおり、住所だけでは学区も税率も判断できません。本日はこの2つの街と不動産事情を見ていきましょう。
1. 町と2つの村という構造

まず行政の構造を整理します。ここが物件選びの前提になります。
ママロネック町(Town of Mamaroneck)という広い区域があり、その中にママロネック村とラーチモント村という2つの独立した村が存在します。
そして、この2村に属さない町の区域(未編入地域)があります。
さらに複雑なのは、ママロネック村の区域がママロネック町とライ町にまたがっていることです。
実務上の結論はこうなります。
①郵便住所が「Mamaroneck」でも「Larchmont」でも、村内とは限りません
②学区は行政区画とは別に定められており、村の境界と一致しません
③固定資産税の税率は、町・村・学区の組み合わせで決まります
物件ごとに、行政区画と学区と税率を個別に確認する必要があります。この地域では、住所からの推測が最も外れやすいと考えてください。
2. 2つの村の性格

2つの村は、街の雰囲気が異なります。
ラーチモント村は、面積約2.5平方キロメートルの小さな村です。駅前に商店街があり、そこから海に向かって住宅地が広がります。
マナーパークと呼ばれる海側の区域には、19世紀末から20世紀初頭の別荘建築が残ります。駅、商店、学校、海が徒歩圏に収まる構造で、車への依存度を下げられます。
ママロネック村は、港を中心とした村です。ハーバーアイランド公園にヨットハーバーがあり、水辺の施設が整備されています。
ラーチモントより面積が広く、住宅の価格帯にも幅があります。商業地区が別にあり、日用品の買い物は村内で済みます。
3年から5年の駐在で、運転を最小限にしたいご家庭にはラーチモント村の駅周辺をご案内することが多くなります。
敷地の広さや港へのアクセスを重視される場合は、ママロネック村側が候補になります。
3. 相場と固定資産税

それでは実際の数字を見ていきます。(2026年8月現在、1ドル=155円換算)
| 区分 | 価格帯の目安 | 固定資産税の年額目安 | 留意点 |
|---|---|---|---|
| 集合住宅 | 30万〜75万ドル | 6千〜1万6千ドル | コープが多い |
| 戸建て(ママロネック) | 85万〜180万ドル | 2万〜4万ドル | 区画で差が大きい |
| 戸建て(ラーチモント) | 130万〜280万ドル | 2万8千〜6万ドル | 徒歩圏は割高 |
| 賃貸(戸建て) | 月5,000〜11,000ドル | 貸主負担 | 在庫は限定的 |
固定資産税は物件価格のおおむね2%から2.4%です。150万ドルの戸建てで年間3万ドルから3万6,000ドル程度(約465万〜560万円)になります。
※上記は流通事例からの目安です。実額はママロネック町および各村の公開情報で対象物件ごとにご確認ください。
4. 水辺の物件と洪水保険

海と川に近い立地のため、購入前に必ず確認する項目があります。
ママロネック村の一部は、FEMA(連邦緊急事態管理庁)が定める洪水危険区域に含まれます。ママロネック川とシェルドレイク川の合流部周辺は、過去に浸水が発生しています。
該当区域の物件を住宅ローンで購入する場合、洪水保険への加入が義務づけられます。保険料は建物の基礎高さと構造で大きく変わり、年間1,000ドル台から1万ドル超まで幅があります。
当社が確認するのは次の3点です。
①FEMAの洪水地図での区分
②基礎高さの証明(Elevation Certificate)の有無
③過去の浸水と保険金請求の履歴
この地域では治水事業が進められていますが、工事の完了状況は区画によって異なります。物件ごとに現況を確認してください。
ラーチモント村側でも、海に近い低地では同様の確認が必要です。
5. 通勤と学区

鉄道はメトロノース鉄道ニューヘイブンラインです。
ラーチモント駅からグランドセントラル駅まで急行で33分前後、ママロネック駅からは36分前後になります。各駅停車では45分から50分程度です。
ニューヘイブンライン沿線の中では、この2駅は所要時間が短い部類に入ります。ハーレムライン沿線の主要駅と比べても遜色ありません。
車では、I-95とハッチンソンリバー・パークウェイが使えます。ウエストチェスター郡空港まで20分前後です。
公立学校は主にママロネック学区が担当します。学区の区域は村の境界と一致しないため、物件単位での確認が必要です。
学区は複数の小学校、1つの中学校、1つの高校で構成されます。高校は両村から通う形になります。
郡内の学区と価格の関係はNY名門学区と不動産価格ガイドをご覧ください。
6. 物件を選ぶときの実務

この地域で検討される際に、当社が必ず確認する項目です。
①行政区画と学区。郡内でも特に住所からの推測が外れやすい地域です。
②洪水危険区域の該当と保険料。年間の維持費に直結します。
③駅までの徒歩時間。徒歩圏と車前提で価格が変わります。
④コープかコンドミニアムか。集合住宅はコープが多く、審査と転貸制限があります。
④について補足します。この地域の集合住宅は戦前から1960年代のコープが中心です。
米国内の信用履歴が浅い方や、将来的な賃貸運用をお考えの方は、購入の審査で条件が付くことがあります。制度の違いはコンドミニアムとコープの違いで解説しています。費用の詳細は、ご相談の際にお客様のご条件に合わせて個別にご提示いたします。
7. 地域で使われている店

2つの村で日常的に使われている場所をご紹介します。
パーマー・アベニュー。ラーチモント村の商店街です。食料品店、飲食店、書店が並び、駅から徒歩圏にあります。
Harbor Island Park。ママロネック村の港にある公園です。ビーチ、ヨットハーバー、遊歩道が整備されています。
Manor Park。ラーチモント村の海沿いにある公園です。岩場に遊歩道が設けられ、村民の利用が中心です。
ママロネック・アベニュー。ママロネック村の中心的な通りです。生活に必要な店が揃います。
まとめ
ママロネックとラーチモントは、海に近く、駅から歩けるという条件を両立できる地域です。通勤時間も郡内では短い部類に入ります。
一方で、行政の構造が入り組んでいます。町と2つの村があり、村の区域は隣の町にまたがり、学区は村の境界と一致しません。
この地域では、住所からの推測は必ず外れると考えて、物件単位で確認してください。
水辺の物件では、洪水危険区域の該当と保険料の確認を先に行ってください。
周辺との比較はライやイーストチェスターの記事もあわせてご覧ください。
この地域での物件探しをご検討の方は、お問い合わせフォームよりお気軽にご相談ください。
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よくある質問
ママロネック村とラーチモント村はグランドセントラル駅までどのくらいの時間がかかりますか。
ママロネック村とラーチモント村はいずれもグランドセントラル駅まで35分前後でアクセス可能です。この2つの村は海に近く、駅から歩ける区域を持つという郡内では珍しい条件が揃っています。ただし行政の構造が入り組んでいるため、住所だけで学区や税率を判断することはできません。
ラーチモント村とママロネック村の面積や街の雰囲気にはどのような違いがありますか。
ラーチモント村は面積約2.5平方キロメートルの小さな村で、駅前に商店街があり海に向かって住宅地が広がっています。一方ママロネック村は港を中心とした村で、ラーチモントより面積が広く住宅の価格帯にも幅があります。商業地区が別にあり日用品の買い物は村内で済みます。
水辺の物件を購入する際に洪水保険についてどのような確認が必要ですか。
ママロネック村の一部はFEMAが定める洪水危険区域に含まれ、該当区域の物件を住宅ローンで購入する場合に洪水保険への加入が義務づけられます。保険料は建物の基礎高さと構造で大きく変わり、年間1,000ドル台から1万ドル超まで幅があります。
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