前の持ち主が住んでいたコンドやコープを、日本に住む方やLLCが買うと、固定資産税の減額(17.5〜28.1%)が外れることがあります。ニューヨーク市財務局のコープ・コンドの減額は、持ち主が主たる住まいにしている住戸だけが対象だからです。買う前に見ていた税額が、買った翌年から上がる理由の一つです。
買ったあとに増える費用は、ほかにもあります。新築の減税の終了、評価額の段階的な引き上げ、建物の排出量の規制と外壁の検査です。どれも住戸の値段には出てこず、税額や管理費、一時金として後から届きます。
- コープ・コンドの減額(17.5〜28.1%)は、持ち主が住む住戸だけが対象です。LLCの名義は原則として対象外です
- 11戸以上の建物は、評価額の変化を1年に20%ずつ5年かけて反映します
- 新築の減税(421-a)は種類ごとに期間が違い、終わると税が上がります
- 延べ2万5,000平方フィートを超える建物は排出量の上限があり、超えると1トンあたり最大268ドルの罰金です
本日はニューヨークでマンションを買ったあとに増える税と費用について見ていきましょう。
1. 住む人の減額が外れる。名義と住まい方で決まる

コープ・コンドの減額は主たる住まいだけ
財務局のコープ・コンドの減額の説明によると、減額の幅は建物の1戸あたりの評価額で17.5%から28.1%です。対象は持ち主の主たる住まいで、同じ建物で3戸までしか持っていない場合に限られます。
| 持ち方 | 減額 |
|---|---|
| 個人で持ち、主たる住まいにする | 対象(同じ建物で3戸まで) |
| 個人で持ち、日本に住んだまま使う | 主たる住まいでなければ対象外 |
| LLCや法人で持つ | 原則として対象外(安全上の理由による例外の申請がある) |
| 売主(スポンサー)が持つ住戸 | 対象外 |
次の税年度(7月1日から)の対象になるには、1月5日までに買っている必要がある。
前の持ち主が住んでいた住戸の税額には、この減額が入っていることがあります。買う前に見る税額が、減額の前か後かを確かめます。
2. 評価額。今の税額には、まだ上がる分が残っている

区分2は家賃収入があるものとして評価
コンドとコープは固定資産税の区分2です。財務局は、州法により区分2を賃貸の建物であるかのように評価し、評価額は市場価格の45%です。10戸以下の建物は上昇が1年8%、5年30%までに抑えられます。11戸以上の建物は、評価の変化を1年に20%ずつ5年かけて反映します(財務局の評価額の説明)。
評価が上がった建物では、今の税額にまだ反映されていない分が数年かけて加わります。新築では、421-aと呼ばれる減税が付いていることもあります。財務局の421-aの説明では種類によって期間が違い、対象の建物は毎年の一覧で区画番号から確かめられます。減税の残りの年数の見方はイレブン・ホイトの記事、評価額への不服の申立ては固定資産税の不服申立ての記事で見ています。
3. 建物の規制。排出量と外壁の費用は管理費と一時金に回る

ローカル法97と外壁の検査
ローカル法97は、延べ2万5,000平方フィートを超える建物に二酸化炭素などの排出量の上限を設け、2024年から適用しています。上限を超えた分には、1トンあたり最大268ドルの罰金が毎年科されます(ローカル法97の条文)。
6階を超える建物は、5年ごとに外壁の検査を受け、建物局に報告します。危険と判定された箇所は、報告から90日以内に直すことが求められます(建物局の外壁の規制)。建物の罰金や修繕の費用は、管理組合や理事会が払い、管理費の値上げや一時金として各住戸の持ち主に回ります。
一時金は建物が決めると各住戸に割り当てられます。すでに決まっている一時金や予定されている一時金を、売主と買主のどちらが負担するかは契約書で決めます。理事会の議事録に予定が出ていないかを確かめます。
4. 買う前に確かめる書類

税、規制、建物のお金を順に見る
- 直近の固定資産税の請求額と、減額が入っているかどうか
- 財務局の評価額と、まだ反映されていない分があるか
- 421-aなどの減税の有無と、残りの年数
- ローカル法97の対象か、上限を超える見込みがあるか(建物局の対象建物の一覧)
- 外壁の検査の判定と、修繕の予定
- 建物の予算、積立金、一時金の予定、理事会の議事録
管理費の水準は共益費の記事、コープの審査と書類はコープのガイドで整理しています。
まとめ

値段に出ない費用は、名義と建物で決まる
コープ・コンドの減額(17.5〜28.1%)は、持ち主が住む住戸だけが対象で、日本に住んだまま使う方やLLCの名義では原則として受けられません。11戸以上の建物は評価の変化を5年かけて反映し、新築の減税は期間が終われば外れます。建物の排出量の罰金や外壁の修繕は、管理費と一時金に回ります。
どれも買った値段には出てこないため、買う前に建物の書類と税の記録で確かめます。一般論はここまでで、どの建物を、どの名義で、どう使うかは個別にご相談ください。
よくある質問
ニューヨークのマンションを買うと、固定資産税が前の持ち主より上がることはありますか。
あります。財務局のコープ・コンドの減額(17.5〜28.1%)は、持ち主が主たる住まいにしている住戸だけが対象で、LLCの名義は原則として対象外です。住んでいた持ち主から、日本に住んだまま使う方やLLCが買うと、この減額が外れます。
評価額はすぐに税額に反映されますか。
11戸以上の建物は、評価額の変化を1年に20%ずつ5年かけて反映します。10戸以下の建物は上昇が1年8%、5年30%までです。評価が上がった建物では、今の税額にまだ反映されていない分が残っていることがあります。
新築の減税(421-a)はいつまで続きますか。
財務局によると、421-aは種類ごとに期間が違います。対象の建物は財務局が毎年公開する一覧で区画番号から確かめられます。期間が終わると減税が外れ、税額が上がります。
排出量の規制は住戸の持ち主に関係しますか。
ローカル法97は延べ2万5,000平方フィートを超える建物に排出量の上限を設け、超えた分に1トンあたり最大268ドルの罰金を毎年科します。罰金や対応の工事の費用は建物が払い、管理費や一時金として各住戸の持ち主に回ります。
PRACTICE取得・保有・出口の実務(129件)
買うとき
- 物件の探し方 — 情報の仕組みと在庫の実際
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- 米国のローン — LTVとレバレッジの考え方
- アメリカの住宅ローン — 駐在・非居住者でも借りられる条件と金利
- ニューヨークシティのコンドミニアム購入 — 価格相場と手順、費用と名義の決め方
- DSCRローン — 収入証明なしで組む条件
- 法人名義で買うか — 個人所有との損益分岐
- タイトル保険 — 日本の登記制度との違い
- 不動産会社の選び方 — 確認すべき5点
- 失敗は5つに集まる — 契約前に確認できる項目
- 海外不動産のデメリット4つ — 対処できるものとできないものを分ける
- 新築と中古 — 価格・交渉・維持費で比べる
- プレコンストラクション — 竣工前に買う判断
- タウンハウス一棟 — 管理組合のない所有
- 借りるか買うか — 高金利下の損益分岐
- オファーの条件をどこまで外すか — 手付金10%を賭ける判断
- 住みながら買う — 賃貸を続ける場合との比較
- 買付前に揃える資金証明 — 海外資産をどう示すか
- 購入資金を日本から動かす — 送金の手順と証跡の残し方
- 価格を交渉する — 売主が実際に見ている条件
- 新築か中古か — 費用構造から比べる
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- Airbnb前提で買わない — 30日ルールの実際
- アメリカ不動産の買い方 — 手続き・費用・注意点
- アメリカで家を買うときにつまずきやすい点 — 準備の順序で結果が変わる
- 利回りか、資産の置き場所か — ニューヨークを選ぶ理由の分かれ目
- コンドとコープの違い — 審査・費用・売りやすさ
- 賃貸と購入の総費用 — 税制とリスクまで含めて比べる
- オフマーケット物件 — 情報が回る経路と紹介を受ける準備
- バイヤーエージェント — 買主側につく担当の役割
- アトーニー(弁護士) — 契約と決済で担う役割
- 購入前のデューデリジェンス — 確認すべき書類と手順
- インスペクション — 何を見て、いくらかかるか
- 価格はどう決まるか — 鑑定と成約事例の読み方
- 買うのに何ヶ月かかるか — オファーから鍵の受け取りまで
- クロージング費用 — 内訳と節約できる項目
- マンションタックスと譲渡税 — 100万ドルを超えると変わること
- エスクロー — 仕組みと流れ、日本との違い
- タイトル保険の費用 — 必要な理由と保険料の決まり方
- 新築コンドのスポンサーユニット — 仕組みと交渉
- SSNなしで組むローン — 3つの方法を比べる
- 学区と価格の関係 — コンドミニアム相場の読み方
- 一軒家の値段 — 5区の成約価格の中央値
- 中古マンションの値段 — 築年数で見る成約価格
- 郊外の一軒家 — 値段と固定資産税を郡で比べる
- 億ションは年に何件売れるか — 1億円を超える成約の数
- 駐在中に家を買うか — 帰任までの年数で変わる税金と売り方
持っているあいだ
- 管理費は月いくらか — 区別の実額と安い建物の落とし穴
- 不動産にかける保険 — 所有形式で必要な補償が変わる
- 買った後の管理 — 海外に住みながら所有を続ける
- 管理会社の選び方 — 費用と契約前の確認事項
- テナント管理 — 賃料回収と契約更新の実務
- 収益改善の手法 — プロパティマネジメントの実際
- アメリカの固定資産税は年いくらか — 州別の実効税率と物件価格別の年額
- 減価償却で税を前倒しする — 建物比率と、個人名義・法人名義の違い
- 4年償却は使えるのか — 2020年改正後の正しい姿
- 改正後に残った節税の道 — 個人の損益通算と法人名義の分かれ目
- 土地の権利とゾーニング — 何が建てられるかの規制
- 保証人と保証会社 — 収入40倍の壁を越える
- 賃貸収入の税務 — 非居住者の源泉徴収と純額課税の選択
- 非居住者の確定申告 — オーナーの年間カレンダー
- 価格の推移 — 10年・5年・直近1年を都市別に見る
- 駐在員の確定申告 — 日米どちらに出すか、FBARの1万ドルの線
- 賃料の日本での申告 — 円換算のレート、償却の制限、外国税額控除
- 国外財産調書と財産債務調書 — 5,000万円と3億円の線
- 法人名義と日本の合算課税 — LLCは日本では外国法人。20%と27%の線
- 日本にいながら賃貸を回す — 管理会社の選び方と契約で決めること
- 家賃を払わない入居者 — 貸主にできることと、できないこと
- 買った翌年に税額が変わる — 減免の残存年数で年2万ドルの差
- 固定資産税の不服申立 — 3月1日と3月15日という期限
- 州を固定資産税で選ぶ前に — 同じ州でも郡と学区で倍変わる
- マルチファミリー投資 — 収益構造と融資、見落としやすいリスク
- 賃料規制物件を買うと — レントスタビライゼーションの実際
- リノベーション — 管理組合の承認と工事の実際
- コストセグリゲーション — 償却を前倒しする調査の中身
- 不動産プロフェッショナル(REPS) — 給与所得の課税を下げる仕組み
- IRSの税務調査 — 備えておく書類
- 売らずに積み上げる — 担保に次を買い、課税を繰り延べる
- 商業不動産への投資 — 住宅との違いと市場の特徴
- W-8BENとW-8ECI — 家賃の30%源泉と純額での申告
- ニューヨーク州の所得税 — 非居住者の家賃と売却益
- Form 5472 — 外国人が持つLLCの報告書と2万5,000ドルの罰金
- 1042-S — 引かれた30%を米国と日本の申告で使う
- ピエダテール税 — 日本に住む所有者のコンドは対象か
- 家賃凍結 — 貸している物件に効くのはどの住戸か
出すときと税務
- 売るときの流れ — 海外にいながら決済まで
- 売却の手続きと税金 — 必要書類まで
- 売却の戦略 — 市場を見て出口を決める
- 非居住者のキャピタルゲイン税 — 1040NRの申告手順
- 1031エクスチェンジ — 譲渡益を繰り延べる仕組み
- 出口の使い分け — 源泉徴収・1031・セクション121
- QOF(適格機会基金) — 譲渡益の課税を繰り延べる
- オポチュニティゾーン — 繰延制度の中身
- FIRPTAの源泉徴収 — 売却代金の15%と還付の手続き
- 贈与税はいくらから — 非居住者は生涯控除ゼロ
- アメリカの相続税 — 連邦と州、非居住者の場合分け
- 非居住者の遺産税 — 基礎控除6万ドルの壁
- 不動産をトラスト名義にする — プロベートは避けられるが遺産税は消えない
- 日本の相続税評価 — 鑑定評価、TTB換算、小規模宅地の特例
- FIRPTAと外国税額控除 — 対象は確定税額。控除の年がずれる
- 売却の為替差益 — 取得日と売却日のTTMで譲渡所得が変わる
- ニューヨーク州の遺産税 — 控除を5%超えると全部消える
- 持分を毎年贈与するか — 取得費が引き継がれるか、時価に置き換わるか
- 信託(トラスト) — 種類・税務・債権者保護
- 複数人で持つ — 共有の形式で相続の結果が変わる
- 遺言書 — 手続きと費用、税務上の注意
- FBAR・FATCA — 海外金融口座の報告義務
- 駐在員の確定申告 — 日米の税金と控除
- 日米の税制の要点 — 法人設立の前に押さえる
- 日米租税条約 — 軽減されるもの、されないもの
- 富裕層の節税の型 — 実際に使われている7つ
- 資産をどこに置くか — 富裕層の配分と、不動産が選ばれる理由
- C-Corp と LLC — 形態ごとの課税の違い
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- 相続したときの名義の移り方 — 検認と納税証明の順番
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