2026年11月2日 Reinvent編集チーム

ニューヨークのアパート一棟の値段。家賃の規制で1戸あたりの価格は半分以下になる

ニューヨーク市で2025年10月から2026年9月までに売れたウォークアップ(エレベーターのない賃貸アパート)一棟の成約価格の中央値は、マンハッタン406万4,802ドル、ブルックリン170万ドル、クイーンズ132万5,500ドル、ブロンクス134万2,882ドルでした。1戸あたりではマンハッタン32万8,571ドル、ブルックリン30万6,250ドルです。

 

値段を大きく分けているのは家賃の規制です。家賃安定化の対象になり得る建物(1974年より前に建った6戸以上)は、マンハッタンで1戸あたり29万1,667ドル、それ以外の建物は93万3,000ドルでした。ニューヨーク市財務局の売買記録から、賃貸アパートの建物区分07・08・14を集計した数字です。

 

この記事の要点

  • ウォークアップ一棟の中央値は、マンハッタン406万4,802ドル、ブルックリン170万ドルです
  • 1974年より前に建った6戸以上の建物は、マンハッタンで1平方フィート469ドル、それ以外は756ドルでした
  • マンハッタンのウォークアップの1平方フィートあたりの中央値は、2019年の681ドルから2025年の487ドルへ下がりました
  • 家賃の収入は名義と居住地で課税が変わります。日本に住む方は届け出をしないと家賃の総額から30%が源泉されます

 

29万1,667ドルマンハッタンの1974年以前・6戸以上の建物の1戸あたり
93万3,000ドルそれ以外の建物の1戸あたり
約28%下落マンハッタンのウォークアップの2019年から2025年の1平方フィートあたり

 

本日はニューヨークのアパート一棟の値段を、建物の種類と家賃の規制から見ていきましょう。

 

 

1. 5区のアパート一棟の成約価格

ニューヨークのエレベーターのない賃貸アパートの建物

 

 

ウォークアップ、4〜10戸の建物、エレベーター付き

財務局のローリングセールスから、1万ドル未満の取引と、同じ日に同じ街区で同じ価格が並ぶ一括の取引を除きました。1戸あたりは、取引ごとの価格を住戸の数で割った値の中央値です。

 

区 ウォークアップ 件数 中央値 1戸あたり エレベーター付き 件数 中央値
マンハッタン 318件 406万4,802ドル 32万8,571ドル 115件 850万ドル
ブルックリン 638件 170万ドル 30万6,250ドル 96件 457万7,914ドル
クイーンズ 212件 132万5,500ドル 23万7,500ドル 39件 886万4,392ドル
ブロンクス 173件 134万2,882ドル 18万3,750ドル 42件 470万586ドル

2025年10月〜2026年9月の成約。建物区分07(ウォークアップ)と08(エレベーター付き)。4〜10戸の建物(区分14)の中央値はマンハッタン480万ドル、ブルックリン221万5,000ドル。

 

エレベーター付きの建物は値段の幅がとても大きく、マンハッタンでは1平方フィートあたりの中央の半分が83〜772ドルに広がっていました。建物ごとの家賃の水準と規制の住戸の数で値段が決まるため、中央値だけでは判断できません。

 

 

2. 家賃の規制が値段を分ける

ニューヨークのエレベーターのない賃貸アパートの建物

 

 

1974年より前に建った6戸以上の建物と、それ以外

家賃安定化は主に6戸以上の建物が対象で(市の家賃ガイドライン委員会の説明)、多くは1974年より前に建った建物です。売買記録の建築年と住戸の数で建物を2つに分けました。規制の住戸が実際に何戸あるかは、建物ごとに州の登録で確かめます。

 

区 1974年以前・6戸以上 1戸あたり 1平方フィートあたり それ以外 1戸あたり 1平方フィートあたり
マンハッタン 29万1,667ドル 469ドル 93万3,000ドル 756ドル
ブルックリン 19万6,739ドル 243ドル 47万ドル 523ドル
クイーンズ 15万8,333ドル 195ドル 35万4,762ドル 418ドル
ブロンクス 7万9,161ドル 85ドル 27万5,000ドル 311ドル

建物区分07・08・14の合計。件数は1974年以前・6戸以上がマンハッタン357件、ブルックリン376件、クイーンズ136件、ブロンクス142件。

 

どの区でも、規制の対象になり得る建物の1戸あたりの値段は、それ以外の建物の半分以下でした。規制の住戸は家賃の上げ幅が市の委員会で決まり、空室になっても市場の家賃に戻せません。仕組みは賃料規制物件を買うとどうなるかの記事で見ています。

 

 

3. 2019年の法改正のあと、マンハッタンのウォークアップは下がった

ニューヨークのエレベーターのない賃貸アパートの建物

 

 

1平方フィート681ドルから487ドルへ

年 マンハッタン 件数 1平方フィートあたり ブルックリン 件数 1平方フィートあたり
2015年 504件 643ドル 1,056件 266ドル
2017年 300件 682ドル 717件 311ドル
2019年 243件 681ドル 532件 350ドル
2021年 276件 614ドル 639件 404ドル
2023年 265件 472ドル 556件 427ドル
2025年 270件 487ドル 643件 375ドル

財務局の年次の売買記録。建物区分07、各年1月〜12月の成約。

 

2019年6月の州の法改正(住宅安定・賃借人保護法)で、空室になった規制の住戸を市場の家賃に戻す道がなくなりました。マンハッタンのウォークアップの1平方フィートあたりの中央値は、2019年の681ドルから2025年の487ドルへ約28%下がっています。ブルックリンは2023年の427ドルまで上がり、2025年は375ドルでした。

 

 

4. 一棟を買う前に確かめること

ニューヨークのエレベーターのない賃貸アパートの建物

 

 

規制の住戸、排出の上限、家賃の課税

  • 規制の住戸の数と、それぞれの登録家賃。売主の家賃表だけで判断しない
  • 延床2万5,000平方フィートを超える建物は、温室効果ガスの排出上限(地方法97号)の対象。改修の費用が要ることがある
  • 規制のない住戸でも、州内で11戸以上を持つ貸主の住戸は、正当な理由による立ち退き法の対象になり得る(2009年以降に建った建物などは対象外)。対象なら値上げに基準がある

 

持ち方 家賃の収入の課税
米国に住む個人・米国の法人 収入から経費と減価償却(建物部分を27.5年)を引いて申告する
日本に住む個人・日本の法人 届け出をしなければ家賃の総額から30%が源泉される。届け出て純額で申告する方法がある

IRS Publication 527 と非居住者の源泉徴収の規定による。

 

収支の組み方は収支分析ガイド、マルチファミリー全般はマルチファミリー投資の記事で見ています。

 

 

まとめ

ニューヨークのエレベーターのない賃貸アパートの建物

 

 

アパート一棟の値段は、家賃の規制で半分以下になる

直近1年のウォークアップ一棟の中央値は、マンハッタン406万4,802ドル、ブルックリン170万ドルでした。1974年より前に建った6戸以上の建物は、どの区でも1戸あたりの値段がそれ以外の半分以下です。マンハッタンのウォークアップは2019年の法改正のあとに約28%下がりました。

 

安く見える建物は、規制の住戸と改修の費用が値段に入っています。一般論はここまでで、建物ごとの家賃表と名義の組み方はご相談ください。

 

よくある質問

ニューヨークでアパート一棟はいくらで買えますか。

2025年10月から2026年9月までに売れたウォークアップ一棟の成約価格の中央値は、マンハッタン406万4,802ドル、ブルックリン170万ドル、クイーンズ132万5,500ドル、ブロンクス134万2,882ドルでした。1戸あたりではマンハッタン32万8,571ドルです。

家賃安定化の建物はどのくらい安く売られていますか。

1974年より前に建った6戸以上の建物の1戸あたりの中央値は、マンハッタン29万1,667ドルで、それ以外の建物の93万3,000ドルの3分の1以下でした。ブルックリンは19万6,739ドル対47万ドルです。

マンハッタンのアパート一棟の値段は下がっていますか。

ウォークアップの1平方フィートあたりの中央値は、2019年の681ドルから2025年の487ドルへ約28%下がりました。2019年6月の州の法改正で、空室になった規制の住戸を市場の家賃に戻す道がなくなったことが重なっています。

日本に住んでアパート一棟の家賃を受け取ると税金はどうなりますか。

届け出をしなければ、家賃の総額から30%が源泉されます。届け出て、経費と減価償却を引いた純額で申告する方法があります。建物部分は27.5年で減価償却します。

PRACTICE取得・保有・出口の実務(139件)

買うとき

持っているあいだ

出すときと税務

市場を読む

全体の流れ

CONTACT
まずはご相談ください

規制の住戸の数、改修の費用、名義と家賃の課税。値段の安さだけで決めず、建物ごとの家賃表まで並べて、取得の前からご相談ください。

無料で相談する

本ページの相場、利回り、所要時間などの数値は、一般に公開されているデータや当社の取引経験にもとづく目安です。物件、時期、条件によって実際とは異なる場合があり、当社が正確性および最新性を保証するものではありません。犯罪発生状況はニューヨーク市警などの公的機関が地区ごとの統計を公開しているため、そちらの数字をご確認ください。当社は入居者や購入者の国籍、人種、出身、宗教、家族構成によって物件やエリアをお勧めすることはいたしません。本ページの内容は情報提供のみを目的としており、投資勧誘や税務助言には当たりません。