アメリカの不動産を持つと、日本とアメリカの間でお金が何度も動きます。購入資金を送る、家賃を日本に戻す、売却代金を受け取る。日本の銀行を通じた1回100万円を超える送金と受け取りは、銀行が送金ごとに税務署へ報告します。これが国外送金等調書です。
調書が出ること自体で税がかかるわけではありません。税務署がお金の動きをつかむための仕組みで、見られるのは家賃や売却益の申告と金額が合っているかです。
- 日本の銀行を通じた1回100万円超の送金と受け取りは、送金ごとに税務署へ報告される
- 送る人と受け取る人は、銀行にマイナンバーを書いた告知書を出す
- 調書は税がかかる合図ではない。家賃や売却益は、送金とは別に所得の年に申告する
- 1回3,000万円を超える支払いは、外為法の報告も別に要る
本日はアメリカの不動産のお金を日本とやりとりするときの国外送金等調書について見ていきましょう。
1. 国外送金等調書とは

銀行が、送金ごとに税務署へ出す
国外送金等調書法の第4条は、金融機関に、顧客の国外への送金と国外からの受け取りについて、送金ごとに調書を作り、送金をした日の属する月の翌月末日までに、その店舗の所在地の税務署へ出すよう定めています。対象から外れる金額は施行令の第8条で100万円と決められています。
調書に書かれること
送る場合は、氏名、住所、金額、告知書に書いた送金の原因などです。受け取る場合は、氏名、住所(自分の名義の口座で受け取ったときは口座の情報)、金額などです。ドルの送金は、財務省令で決められた相場で円に換算して100万円を超えるかを判定します。
告知書とマイナンバー
同じ法律の第3条により、送金や受け取りをする人は、マイナンバーなどを書いた告知書を銀行に出し、本人確認の書類を示します。銀行が本人確認とマイナンバーの確認を済ませた自分の名義の口座を通す送金は、その都度の告知書が要らない扱いがあります。
2. アメリカの不動産で、お金が動く場面

4つの場面と税の論点
| 場面 | 向き | 税の論点 |
|---|---|---|
| 購入資金を送る | 日本からアメリカ | 送金に税はかからない。資金の出所を説明できる記録を残す |
| 家賃を日本に戻す | アメリカから日本 | 家賃は送金しなくても、日本の居住者なら毎年申告する |
| 売却代金を受け取る | アメリカから日本 | 売却益を日本で申告する。アメリカの税は外国税額控除で差し引く |
| 家族に送る | 日本からアメリカ | 贈与にあたるかを別に判断する |
※どの場面でも、1回100万円を超えれば調書が出ます。購入資金の送り方は日本からアメリカへ購入資金を動かすで扱っています。
分けて送っても、申告の義務は変わらない
100万円以下の送金には調書は出ません。ただし調書は銀行が出す報告であって、申告の基準ではありません。家賃は不動産所得、売却は譲渡所得として、送金の額や回数とは関係なく、所得が生じた年に申告します。アメリカで引かれた税の扱いはFIRPTAで引かれた15%は日本で取り戻せるかをご覧ください。
3. 3,000万円を超える支払いと、国外財産調書

外為法の報告
1回3,000万円相当額を超える海外との支払いや受け取りは、外国為替及び外国貿易法の「支払又は支払の受領に関する報告書」の対象です。日本銀行の案内によれば、日本の銀行を通す取引は、取引の後に書面なら10日以内、オンラインなら20日以内に出します。3,000万円相当額以下は報告が要りません。ニューヨークのコンドミニアムの購入資金は、多くがこの額を超えます。
12月31日に5,000万円を超えたら
同じ国外送金等調書法の第5条により、日本の居住者で、12月31日に持っている国外の財産が5,000万円を超える人は、翌年6月30日までに国外財産調書を出します。ニューヨークのコンドミニアムなら、1戸でこの額を超えることが多くあります。書き方はアメリカ不動産を持つ人の国外財産調書にまとめています。
4. 送金の前に決めておくこと

名義と書類をそろえる
- 送金の原因を正確に伝えます。購入資金、家賃、売却代金、贈与のどれかで、後の説明が変わります
- 名義をそろえます。物件の名義と、送る口座や受け取る口座の名義が違うと、なぜその人が払ったのかの説明が要ります
- 書類を残します。売買契約書、決済の明細、管理会社の家賃の明細、売却時の源泉の書類(Form 8288-A)です
- 申告と合わせます。送金した年ではなく、所得が生じた年に申告します
家族の名義の口座へ送ったり、子どもの購入資金を出したりすると、贈与税の問題になります。日本の贈与税は、受け取った額が年110万円の基礎控除を超えると対象です。アメリカ側の贈与税はアメリカの贈与税はいくらからで扱っています。
まとめ

調書は「見られている」合図ではなく、申告と照らす材料
日本の銀行を通じた1回100万円超の送金と受け取りは、送金ごとに税務署へ報告されます。購入資金も、家賃も、売却代金も対象です。
調書が出ても税はかかりません。大切なのは、家賃と売却益を所得の年に申告し、名義と書類をそろえておくことです。3,000万円を超える支払いには外為法の報告、5,000万円を超える国外財産には国外財産調書が別に要ります。
お金の動かし方は名義の設計と一緒に決めると、後の説明が楽になります。一般的な整理はここまでです。個別の送金の組み立ては、ご相談ください。
よくある質問
100万円以下に分けて送れば、調書は出ませんか。
1回の送金が100万円以下なら国外送金等調書は出ません。ただし調書は銀行が税務署へ出す報告で、申告の基準ではありません。家賃や売却益の申告の義務は、送金の額や回数に関係なく変わりません。
自分のアメリカの口座から日本の口座へ送っても、調書は出ますか。
出ます。国外送金等調書は、国外から国内へ向けた支払いの受け取りも対象で、受け取った人の氏名、住所、金額などが書かれます。送金元が自分の口座かどうかは、調書が出るかどうかに関係しません。
調書が出ると税金がかかりますか。
調書が出ること自体で税がかかることはありません。お金を移すこと自体は所得ではないためです。家賃や売却益は、送金とは別に、所得が生じた年に申告します。
3,000万円を超える購入資金を送るときに必要な手続きはありますか。
国外送金等調書とは別に、外為法の支払又は支払の受領に関する報告書の対象になります。日本の銀行を通す場合は、取引の後に銀行の店舗へ出すか、オンラインで日本銀行へ出します。3,000万円相当額以下は報告が要りません。
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