ニューヨークで物件を検討していると、100万ドルという価格帯の前後で、なぜか売り出しが不自然に途切れていることに気づかれるかもしれません。
99万5,000ドルの物件はあるのに、101万ドルが少ない。これは偶然ではなく、100万ドルを1ドルでも超えると税金が跳ね上がる仕組みがあるためです。
マンションタックスと呼ばれるこの税は、名前に反してマンションだけの話ではありません。戸建てもタウンハウスも対象です。しかも買主が負担します。
本日は、ニューヨークの購入でかかるマンションタックスと譲渡税について、価格帯ごとの実額で見ていきましょう。
1. マンションタックスとは何か

マンションタックスは、ニューヨーク州が住宅の売買に課す追加の譲渡税です。正式には不動産譲渡税の付加税にあたり、100万ドル以上の住宅取引で、買主が負担します。
導入は1989年で、当時100万ドルの住宅は「豪邸(マンション)」でした。その名残で名前だけが残っています。現在のニューヨーク市では100万ドルは決して特別な価格帯ではなく、実際には多くの取引がこの税の対象になります。
2019年の改正で税率は段階制になりました。それ以前は一律1パーセントでしたが、現在は価格が上がるほど税率も上がる8段階です。制度の詳細はニューヨーク州税務財務局が公開しています。
2. 価格帯ごとの税率と実額

それでは、実際の税率と金額を表で見ていきます。
| 物件価格 | 税率 | 税額の例 |
|---|---|---|
| 100万ドル未満 | なし | 0ドル |
| 100万〜199万ドル | 1.00% | 150万ドルで15,000ドル |
| 200万〜299万ドル | 1.25% | 250万ドルで31,250ドル |
| 300万〜499万ドル | 1.50% | 400万ドルで60,000ドル |
| 500万〜999万ドル | 2.25% | 700万ドルで157,500ドル |
| 1,000万〜1,499万ドル | 3.25% | 1,200万ドルで390,000ドル |
| 2,500万ドル以上 | 3.90% | 3,000万ドルで1,170,000ドル |
※上記は、2026年時点のニューヨーク州のマンションタックス(買主負担)です。段階は8つあり、表は主要な帯を抜粋しています。
注意すべきは、この税率が物件価格の全額に対してかかる点です。日本の所得税のように超過分だけに高い率がかかるのではありません。
そのため、価格帯の境目では逆転が起きます。199万9,000ドルなら1.00パーセントで約2万ドルですが、200万ドルちょうどだと1.25パーセントで2万5,000ドル。1,000ドル高い物件を買うことで、税金が5,000ドル増えるという現象です。境目の物件で価格交渉をする実務上の根拠は、ここにあります。
3. 譲渡税との合計で見る

購入時にかかる税はマンションタックスだけではありません。ニューヨーク市と州の譲渡税もあります。ただしこちらは原則として売主の負担です。
市の譲渡税は住宅50万ドル超で1.425パーセント、州は0.40パーセント(住宅300万ドル以上は0.65パーセント)。合わせて2パーセント前後になります。
ここで実務上の落とし穴があります。新築(スポンサーユニット)では、この譲渡税を買主が負担する慣行があるのです。中古なら売主が払うものを、新築では買主が上乗せで払うことになります。
150万ドルの新築を買う場合、マンションタックス1万5,000ドルに譲渡税約2万7,000ドルが加わり、税だけで4万2,000ドル程度(約651万円、2026年8月現在、1ドル=155円換算)になります。この負担を売主側に戻す交渉は、新築取引で最も現実的な値引き手段です。詳しくは新築コンドミニアムの買い方の記事にまとめています。
4. ローンを使う場合に加わる税

住宅ローンを組む場合、抵当権記録税(モーゲージ・レコーディング・タックス)も加わります。ニューヨーク市では借入額50万ドル未満で1.80パーセント、50万ドル以上で1.925パーセントです。
このうち0.25パーセントは貸手が負担するため、買主の実質負担は1.55パーセントから1.675パーセント程度になります。
なお、コープ(Co-op)にはこの税がかかりません。株式の取得であって不動産への抵当権設定ではないためです。コンドミニアムとコープで購入コストが変わる理由の一つがこれです。両者の違いはコンドとコープの違いの記事をご参照ください。
クロージング費用の全体像はクロージング費用の解説記事に、購入手順はニューヨーク不動産の購入ガイドにまとめています。
まとめ

ニューヨークの購入では、価格帯の境目が税額を大きく動かします。100万ドル、200万ドル、300万ドルという節目の直前に価格を収める交渉には、はっきりした金額的な根拠があります。
新築を検討される場合は、譲渡税の負担区分を契約前に必ず確認してください。ここが総額で最も差の出る項目です。
ご検討中の物件について、税を含めた総額の試算を承っております。
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記事の内容がご自身のケースに当てはまるかどうかは、実際の事例をご覧いただくのが早いと思います。
よくある質問
マンションタックスは誰がいつ支払いますか。
マンションタックスは買主が決済(クロージング)の時点で支払う税金です。ニューヨーク市内で100万ドル以上の住宅用物件を購入した場合に課され、税率は価格帯に応じて1.00パーセントから3.90パーセントの8段階で定められています。
100万ドルをわずかに超える物件では何が起きますか。
マンションタックスは100万ドル以上になった時点で価格全体に課税されます。たとえば99万5,000ドルなら課税ゼロですが、100万ドルちょうどでは1パーセントが全額にかかります。境界付近の物件では、この段差を踏まえて価格交渉が行われることがあります。
譲渡税は買主と売主のどちらの負担ですか。
ニューヨーク市と州の譲渡税は原則として売主の負担です。ただし新築の分譲では、目論見書の定めによって買主に転嫁されることが一般的にあります。契約前に負担区分を書面でご確認ください。
これらの税金は住宅ローンに組み込めますか。
マンションタックスや譲渡税などの決済費用は物件価格とは別に現金で用意するのが原則です。資金計画では、物件価格に加えてこれらの税金と諸費用を上乗せした総額で準備しておく必要があります。
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