マンハッタンで2025年10月から2026年9月までに転売されたコンドミニアムのうち、40.5%が前に買ったときの値段を下回って売れていました。2015〜2019年に買われた住戸に限ると63.6%です。一方、ブルックリンでは買った値段を下回ったのは11.8%でした。
ニューヨーク市財務局の売買記録で、直近1年に売れたコンドの住戸を、同じ住戸の前回の売買と結び付けて比べた数字です。値段は額面で、売買の費用と物価の上昇は差し引いていません。
- マンハッタンのコンドの転売3,242件のうち40.5%が、前回の買値を下回りました。1割以上下回ったのは21.7%です
- 差の中央値は買値から4.4%の上昇で、保有期間の中央値10.1年で割ると年0.47%でした
- 2015〜2019年に買った住戸は63.6%が買値割れ。2003〜2009年に買った住戸は17.8%です
- ブルックリンの転売1,564件で買値を下回ったのは11.8%、差の中央値は20.9%の上昇でした
本日はニューヨークのマンションが値下がりするのかを、転売の記録から見ていきましょう。
1. 同じ住戸の前回の売買と比べる方法

コンドは住戸ごとに区画の番号がある
コンドミニアムは住戸ごとに固定資産の区画番号(ブロックとロット)が付いています。財務局のローリングセールスで直近1年に売れたコンドの住戸を、2003年からの年次の売買記録にある同じ区画番号の前回の売買と結び付けました。
- 対象は建物区分12・13・15のコンドの住戸。コープは住戸ごとの区画番号がないため入れていません
- 1万ドル未満の取引と、同じ日に同じ街区で同じ価格が並ぶ一括の取引は除きました
- 前回の売買から1年以上たった転売だけを数えました。新築の最初の販売は前回がないので入りません
マンハッタンでは直近1年のコンドの売買5,573件のうち3,242件、ブルックリンでは2,870件のうち1,564件で前回の売買が見つかりました。
2. マンハッタン。買った年で結果が分かれる

2015〜2019年に買った住戸は63.6%が買値割れ
| 前回買った年 | 件数 | 買値を下回った割合 | 1割以上下回った割合 | 差の中央値 |
|---|---|---|---|---|
| 2003〜2009年 | 639件 | 17.8% | 9.9% | 26.6%上昇 |
| 2010〜2014年 | 739件 | 28.6% | 16.5% | 12.6%上昇 |
| 2015〜2019年 | 1,055件 | 63.6% | 37.3% | 5.3%下落 |
| 2020〜2024年 | 785件 | 39.5% | 15.2% | 2.6%上昇 |
2025年10月〜2026年9月に売れた住戸と、同じ住戸の前回の売買の比較。額面で、費用と物価は差し引いていない。
2015〜2019年に買った住戸は、持っていた期間の中央値が8.9年で、それでも買値に届かない例が多数派でした。全体の差の中央値は4.4%の上昇で、年に直すと0.47%です。マンハッタンのコンドは、持っていれば上がるという前提では買えないことが分かります。
3. 値段の帯とブルックリンとの違い

高い住戸ほど買値割れが多い
| 前回の買値 | マンハッタン 件数 | マンハッタン 買値割れ | ブルックリン 件数 | ブルックリン 買値割れ |
|---|---|---|---|---|
| 50万ドル未満 | 214件 | 11.2% | 329件 | 3.6% |
| 50万〜100万ドル | 819件 | 32.5% | 633件 | 11.7% |
| 100万〜200万ドル | 961件 | 43.8% | 457件 | 14.4% |
| 200万〜500万ドル | 923件 | 48.1% | 138件 | 21.7% |
| 500万ドル以上 | 325件 | 48.9% | 7件 | 件数が少なく出さない |
条件は2と同じ。
マンハッタンでは、前回の買値が500万ドル以上の住戸の48.9%が買値を下回り、33.2%は1割以上下回りました。ブルックリンは全体の差の中央値が20.9%の上昇で、2015〜2019年に買った住戸でも買値割れは12.7%にとどまります。
年に直すと、マンハッタン0.47%、ブルックリン2.62%
前回の売買から今回の売買までの変化を、持っていた年数で割って年あたりにしました。どちらの区も、買った時期で結果が変わります。
| 前回買った年 | マンハッタン 年あたりの変化 | ブルックリン 年あたりの変化 | ブルックリン 買値割れ |
|---|---|---|---|
| 2003〜2009年 | 1.27% | 3.32% | 3.9% |
| 2010〜2014年 | 0.89% | 3.74% | 3.3% |
| 2015〜2019年 | マイナス0.60% | 1.93% | 12.7% |
| 2020〜2024年 | 0.71% | 2.42% | 18.2% |
住戸ごとの年あたりの変化の中央値。額面で、費用と物価は差し引いていない。
ブルックリンでも、2020〜2024年に買った住戸は18.2%が買値を下回っています。持っていた期間の中央値が4.2年と短く、短く持って売ると、上がっている区でも損が出やすいことが分かります。
この数字は額面の比較です。売るときには譲渡税や売買の費用がかかり、その間の物価の上昇もあります。額面で少し上がっていても、手元に残るお金では損になることがあります。
4. 値下がりに備えて、買う前に決めること

買う値段、持つ年数、出口の税金
買値割れの割合は、買った時期と値段の帯で大きく変わりました。買う前に、同じ建物の成約記録と価格の決まり方を見て、払いすぎていないかを確かめます。
| 売る人 | 損をして売るとき |
|---|---|
| 米国に住む個人 | 自宅の売却損は税務上の損失として使えない。貸していた物件の損失は申告で扱いが変わる |
| 日本に住む個人と外国法人 | 損が出ても、原則として売却代金の15%が源泉される。実際の税額が少ないときはIRSに源泉の減額を申請する手続きがある |
源泉徴収はIRSのFIRPTAの説明による。
源泉の手続きはFIRPTAの記事で見ています。値段を交渉する材料は価格交渉の記事にまとめました。
まとめ

マンハッタンのコンドは4割が買値割れ、ブルックリンは1割
直近1年の転売で前回の買値を下回ったのは、マンハッタンのコンドで40.5%、ブルックリンで11.8%でした。マンハッタンでは2015〜2019年に買った住戸の63.6%が買値に届かず、高い住戸ほど買値割れが多くなっています。
ニューヨークのマンションも値下がりします。どの建物を、いくらで、何年持つ前提で買うかを先に決めることが損を避ける近道です。一般論はここまでで、個別の物件の判断はご相談ください。
よくある質問
ニューヨークのマンションは値下がりしますか。
値下がりします。マンハッタンで2025年10月から2026年9月までに転売されたコンドミニアム3,242件のうち、40.5%が前回の買値を下回り、21.7%は1割以上下回りました。ブルックリンでは1,564件のうち11.8%でした。
いつ買ったマンハッタンのコンドが値下がりしていますか。
2015〜2019年に買われた住戸が最も多く、1,055件のうち63.6%が買値を下回り、差の中央値は5.3%の下落でした。2003〜2009年に買われた住戸の買値割れは17.8%、2010〜2014年は28.6%です。
高いマンションほど値下がりしにくいのですか。
マンハッタンでは逆でした。前回の買値が50万ドル未満の住戸で買値を下回ったのは11.2%でしたが、200万〜500万ドルでは48.1%、500万ドル以上では48.9%でした。
日本に住む人が損をして売っても税金を引かれますか。
原則として売却代金の15%が源泉されます。損が出ていて実際の税額が少ないときは、IRSに源泉の減額を申請する手続きがあり、払いすぎた分は申告で精算します。
PRACTICE取得・保有・出口の実務(139件)
買うとき
- 物件の探し方 — 情報の仕組みと在庫の実際
- 日本から買う — 内見から送金までの実務
- 米国のローン — LTVとレバレッジの考え方
- アメリカの住宅ローン — 駐在・非居住者でも借りられる条件と金利
- ニューヨークシティのコンドミニアム購入 — 価格相場と手順、費用と名義の決め方
- DSCRローン — 収入証明なしで組む条件
- 法人名義で買うか — 個人所有との損益分岐
- タイトル保険 — 日本の登記制度との違い
- 不動産会社の選び方 — 確認すべき5点
- 失敗は5つに集まる — 契約前に確認できる項目
- 海外不動産のデメリット4つ — 対処できるものとできないものを分ける
- 新築と中古 — 価格・交渉・維持費で比べる
- プレコンストラクション — 竣工前に買う判断
- タウンハウス一棟 — 管理組合のない所有
- 借りるか買うか — 高金利下の損益分岐
- オファーの条件をどこまで外すか — 手付金10%を賭ける判断
- 住みながら買う — 賃貸を続ける場合との比較
- 買付前に揃える資金証明 — 海外資産をどう示すか
- 購入資金を日本から動かす — 送金の手順と証跡の残し方
- 価格を交渉する — 売主が実際に見ている条件
- 新築か中古か — 費用構造から比べる
- ペントハウスとは何か — 名称の実態と価値の見極め方
- Airbnb前提で買わない — 30日ルールの実際
- アメリカ不動産の買い方 — 手続き・費用・注意点
- アメリカで家を買うときにつまずきやすい点 — 準備の順序で結果が変わる
- 利回りか、資産の置き場所か — ニューヨークを選ぶ理由の分かれ目
- コンドとコープの違い — 審査・費用・売りやすさ
- 賃貸と購入の総費用 — 税制とリスクまで含めて比べる
- オフマーケット物件 — 情報が回る経路と紹介を受ける準備
- バイヤーエージェント — 買主側につく担当の役割
- アトーニー(弁護士) — 契約と決済で担う役割
- 購入前のデューデリジェンス — 確認すべき書類と手順
- インスペクション — 何を見て、いくらかかるか
- 価格はどう決まるか — 鑑定と成約事例の読み方
- 買うのに何ヶ月かかるか — オファーから鍵の受け取りまで
- クロージング費用 — 内訳と節約できる項目
- マンションタックスと譲渡税 — 100万ドルを超えると変わること
- エスクロー — 仕組みと流れ、日本との違い
- タイトル保険の費用 — 必要な理由と保険料の決まり方
- 新築コンドのスポンサーユニット — 仕組みと交渉
- SSNなしで組むローン — 3つの方法を比べる
- 学区と価格の関係 — コンドミニアム相場の読み方
- 一軒家の値段 — 5区の成約価格の中央値
- 中古マンションの値段 — 築年数で見る成約価格
- 郊外の一軒家 — 値段と固定資産税を郡で比べる
- 億ションは年に何件売れるか — 1億円を超える成約の数
- 駐在中に家を買うか — 帰任までの年数で変わる税金と売り方
- 2世帯・3世帯住宅の値段 — 5区の成約価格と1戸あたり
持っているあいだ
- 管理費は月いくらか — 区別の実額と安い建物の落とし穴
- 不動産にかける保険 — 所有形式で必要な補償が変わる
- 買った後の管理 — 海外に住みながら所有を続ける
- 管理会社の選び方 — 費用と契約前の確認事項
- テナント管理 — 賃料回収と契約更新の実務
- 収益改善の手法 — プロパティマネジメントの実際
- アメリカの固定資産税は年いくらか — 州別の実効税率と物件価格別の年額
- 減価償却で税を前倒しする — 建物比率と、個人名義・法人名義の違い
- 4年償却は使えるのか — 2020年改正後の正しい姿
- 改正後に残った節税の道 — 個人の損益通算と法人名義の分かれ目
- 土地の権利とゾーニング — 何が建てられるかの規制
- 保証人と保証会社 — 収入40倍の壁を越える
- 賃貸収入の税務 — 非居住者の源泉徴収と純額課税の選択
- 非居住者の確定申告 — オーナーの年間カレンダー
- 価格の推移 — 10年・5年・直近1年を都市別に見る
- 駐在員の確定申告 — 日米どちらに出すか、FBARの1万ドルの線
- 賃料の日本での申告 — 円換算のレート、償却の制限、外国税額控除
- 国外財産調書と財産債務調書 — 5,000万円と3億円の線
- 法人名義と日本の合算課税 — LLCは日本では外国法人。20%と27%の線
- 日本にいながら賃貸を回す — 管理会社の選び方と契約で決めること
- 家賃を払わない入居者 — 貸主にできることと、できないこと
- 買った翌年に税額が変わる — 減免の残存年数で年2万ドルの差
- 固定資産税の不服申立 — 3月1日と3月15日という期限
- 州を固定資産税で選ぶ前に — 同じ州でも郡と学区で倍変わる
- マルチファミリー投資 — 収益構造と融資、見落としやすいリスク
- 賃料規制物件を買うと — レントスタビライゼーションの実際
- リノベーション — 管理組合の承認と工事の実際
- コストセグリゲーション — 償却を前倒しする調査の中身
- 不動産プロフェッショナル(REPS) — 給与所得の課税を下げる仕組み
- IRSの税務調査 — 備えておく書類
- 売らずに積み上げる — 担保に次を買い、課税を繰り延べる
- 商業不動産への投資 — 住宅との違いと市場の特徴
- 買った後に増える税と費用 — 減税の終了、評価額、排出規制
- W-8BENとW-8ECI — 家賃の30%源泉と純額での申告
- ニューヨーク州の所得税 — 非居住者の家賃と売却益
- Form 5472 — 外国人が持つLLCの報告書と2万5,000ドルの罰金
- 1042-S — 引かれた30%を米国と日本の申告で使う
- ピエダテール税 — 日本に住む所有者のコンドは対象か
- 家賃凍結 — 貸している物件に効くのはどの住戸か
- 国外送金等調書 — 100万円を超える送金と受け取り
- 日本の法人で持つと支店利益税 — 30%と条約の5%
出すときと税務
- 売るときの流れ — 海外にいながら決済まで
- 売却の手続きと税金 — 必要書類まで
- 売却の戦略 — 市場を見て出口を決める
- 非居住者のキャピタルゲイン税 — 1040NRの申告手順
- 1031エクスチェンジ — 譲渡益を繰り延べる仕組み
- 出口の使い分け — 源泉徴収・1031・セクション121
- QOF(適格機会基金) — 譲渡益の課税を繰り延べる
- オポチュニティゾーン — 繰延制度の中身
- FIRPTAの源泉徴収 — 売却代金の15%と還付の手続き
- 贈与税はいくらから — 非居住者は生涯控除ゼロ
- アメリカの相続税 — 連邦と州、非居住者の場合分け
- 非居住者の遺産税 — 基礎控除6万ドルの壁
- 不動産をトラスト名義にする — プロベートは避けられるが遺産税は消えない
- 日本の相続税評価 — 鑑定評価、TTB換算、小規模宅地の特例
- FIRPTAと外国税額控除 — 対象は確定税額。控除の年がずれる
- 売却の為替差益 — 取得日と売却日のTTMで譲渡所得が変わる
- ニューヨーク州の遺産税 — 控除を5%超えると全部消える
- 持分を毎年贈与するか — 取得費が引き継がれるか、時価に置き換わるか
- 信託(トラスト) — 種類・税務・債権者保護
- 複数人で持つ — 共有の形式で相続の結果が変わる
- 遺言書 — 手続きと費用、税務上の注意
- FBAR・FATCA — 海外金融口座の報告義務
- 駐在員の確定申告 — 日米の税金と控除
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