2026年10月26日 Reinvent編集チーム

Form 5472とは。外国人が持つアメリカのLLCが毎年出す報告書と、2万5,000ドルの罰金

日本に住む方が社員1人のLLCでアメリカの不動産を持つと、LLCには所得税の申告がなくても、毎年Form 5472を出す必要があります。形式上の法人申告書(Form 1120)に付けて提出し、出さないと1年分につき2万5,000ドルの罰金です。

 

家賃の申告は持ち主本人の1040-NRで行うため、LLC側の書類は忘れられがちです。物件を買うためにLLCへ資金を入れた年から、報告の対象になります。

 

この記事の要点

  • 外国人が100%持つアメリカのLLC(税務上は持ち主と同じ扱い)は、Form 5472の報告では法人とみなされます
  • LLCへの出資、LLCからの分配、物件の取得も報告する取引です
  • 期限は暦年なら翌年4月15日。電子申告はできず、ファクスか郵送です
  • 罰金は1年分2万5,000ドル。IRSの通知から90日を過ぎると、30日ごとに2万5,000ドルが加わります

 

本日はForm 5472の中身と、LLCで不動産を持つ方が毎年守る手続きについて見ていきましょう。

 

 

1. 税の申告がないLLCにも、報告の義務がある

ニューヨークのオフィスで書類を確認する様子

 

 

報告に限って法人とみなされる

社員が1人のLLCは、アメリカの所得税では持ち主と同じ扱いで、LLC自身は所得税の申告書を出しません。ところがIRSのForm 5472の記入要領は、外国人が100%持つアメリカのLLCを、関連者との取引の報告(内国歳入法6038A条)に限って法人として扱うとしています。2017年1月1日以後に始まる年度からの決まりです。

 

2万5,000ドル出さなかった年1回分の罰金
4月15日暦年の場合の提出期限(1120と同じ)
5万ドルこれ以下の取引は「5万ドル以下」と書ける

 

 

誰が出すのか

持ち方 Form 5472 主な申告書
個人の名義で直接 不要 本人の1040-NR
社員1人のLLC(持ち主が日本の個人) 取引があれば必要 形式上の1120に5472を付ける。家賃の申告は持ち主本人の側(純額なら1040-NR)
社員1人のLLC(持ち主が日本の法人) 取引があれば必要 形式上の1120に5472を付ける。家賃の申告は親法人の側(純額なら1120-F)
社員2人以上のLLC この形では不要 パートナーシップの申告書(1065)
アメリカの法人(C-Corp)で外国人が25%以上を保有 取引があれば必要 法人の1120に5472を付ける

※IRSのForm 5472の記入要領から整理した一般的な区分です。持ち方の比較は米国不動産を法人名義(LLC)で持つガイドをご覧ください。

 

 

2. 何を報告するのか

ニューヨークのオフィスで書類を確認する様子

 

 

出資、分配、取得も「取引」

記入要領は、外国人が持つLLCについて、設立、解散、取得、処分に関わって支払ったり受け取ったりした金額を報告の対象としています。LLCへの出資と、LLCからの分配も含まれます。物件を買う資金を持ち主がLLCに入れた年は、その金額が報告の対象です。

 

家賃をLLCの口座で受け取り、持ち主に送金した場合は、分配として報告します。持ち主が日本からLLCの経費を立て替えた場合や、LLCに資金を貸した場合も、関連者との取引として記載します。1つの取引の合計が5万ドル以下なら、金額の代わりに「5万ドル以下」と書くことが認められています。

 

ポイント

LLCの口座と持ち主の口座の間の動きは、そのまま報告の材料になります。家賃の受け取り、経費の支払い、持ち主への送金を、LLCの口座で一つにまとめておくと、毎年の作成が楽になり、記録を保つ義務も果たしやすくなります。

 

 

形式上の1120に書くのは一部だけ

形式上のForm 1120に書くのは、LLCの名前と住所、EIN(雇用者番号)など表紙の一部の欄だけです。税額の計算はしません。LLCの年度は持ち主のアメリカの申告の年度に合わせ、持ち主に申告がなければ暦年です。

 

 

3. 期限、出し方、罰金

ニューヨークのオフィスで書類を確認する様子

 

 

電子申告はできない

  1. 期限は形式上の1120と同じで、年度末から4か月目の15日です。暦年なら翌年4月15日です
  2. 延長は、元の期限までにForm 7004を出します。上部に「Foreign-owned U.S. DE」と書きます
  3. 提出は記入要領が指定するファクス番号か郵送先だけです。外国人が持つLLCは電子申告ができません
  4. 帳簿と記録は、申告の正しさを示せる形で保管します

 

注意

出さなかった場合や、記録を保っていなかった場合の罰金は2万5,000ドルです。中身がほとんど空のForm 5472は、出していないものとして扱われます。IRSの通知から90日を過ぎても出さないと、30日ごとに2万5,000ドルが加わります。物件の家賃の額とは関係なくかかります。

 

 

4. 日本側と州の手続きも並べておく

ニューヨークのオフィスで書類を確認する様子

 

 

アメリカで持ち主と同じでも、日本では別の会社

アメリカでは持ち主と同じ扱いのLLCも、日本では原則として外国法人として扱われます。その結果、日本の外国子会社合算税制の判定に入ることがあります。順序は米国不動産を法人名義で持つと日本の合算課税にかかるかで整理しています。

 

 

ニューヨーク州の年25ドル

ニューヨーク州に所得があるLLCは、税務上は持ち主と同じ扱いでも、州のIT-204-LLで年25ドルの手数料を納めます(州の記入要領)。連邦の5472、州の手数料、本人の申告と、毎年の書類は3種類以上になります。

 

 

まとめ

ニューヨークのオフィスで書類を確認する様子

 

 

税がなくても、報告は毎年

外国人が100%持つアメリカのLLCは、所得税の申告がなくても、毎年Form 5472を形式上の1120に付けて出します。出資、分配、物件の取得も報告の対象です。

 

期限は暦年なら4月15日で、電子申告はできません。出さなかった年の罰金は2万5,000ドルで、通知の後も出さなければ加算されます。

 

LLCで持つかどうかは、毎年の手続きの負担まで含めて決めることです。一般的な整理はここまでです。名義の選び方と申告の体制は、個別にご相談ください。

 

よくある質問

社員1人のLLCは所得税の申告がないのに、なぜ書類が必要なのですか。

IRSの記入要領は、外国人が100%持つアメリカのLLCを、関連者との取引の報告に限って法人として扱うとしています。そのため、毎年Form 5472を形式上のForm 1120に付けて出す必要があります。2017年1月1日以後に始まる年度からの決まりです。

どのような取引を報告しますか。

LLCの設立、解散、取得、処分に関わる金額が対象で、LLCへの出資とLLCからの分配も含まれます。物件を買う資金を入れた年、家賃を持ち主に送金した年は、その金額を記載します。1つの取引の合計が5万ドル以下なら「5万ドル以下」と書けます。

期限と出し方を教えてください。

形式上のForm 1120と同じで、暦年なら翌年4月15日です。延長は元の期限までにForm 7004を出します。外国人が持つLLCは電子申告ができず、記入要領が指定するファクス番号か郵送先に出します。

出さなかった場合はどうなりますか。

1年分につき2万5,000ドルの罰金です。記録を保っていない場合も同じで、中身がほとんど空の書類は出していないものと扱われます。IRSの通知から90日を過ぎても出さないと、30日ごとに2万5,000ドルが加わります。

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