アメリカ不動産投資でつまずく5つのパターン
つまずく場所は毎回似ています。表面利回りだけで判断してしまう、管理を決めずに買ってしまう、出口の税金を入れていない。どれも契約の前に確認できる項目です。実際にご相談をいただいた場面から、確認の順番とその場で見る数字をまとめました。
このガイドでわかること
- 表面利回り6%が実質3%を割る仕組み
- 管理会社を決めずに買うと何が起きるか
- 出口で引かれる金額を最初に計算しておく理由
- 名義を後から変えるとかかる費用
なぜ同じ所でつまずくのか
物件の良し悪しではなく、判断に使った数字と、決めていなかった段取りが原因です。3つに整理できます。
表示された利回りをそのまま信じる
物件資料の利回りは、税金も管理費も空室も引く前の数字です。引いた後の数字を自分で出さないまま比較すると、順位が逆転します。
買った後の体制を決めていない
誰が入居者を募集し、誰が修繕を手配するのかを決めずに引き渡しを受けると、空室と未修繕がそのまま続きます。遠隔で持つ物件では致命的です。
出口を計算に入れていない
売るときに何が引かれるかを知らないまま買うと、手取りの想定が崩れます。外国人の売却では代金の15%が先に引かれます。
5つのパターンはこの3つの組み合わせです。どれも物件を押さえる前に確認できます。
5つのパターン
ご相談の場で実際に見つかることが多い順に並べています。
表面利回りで比べて、実質で逆転する
表面利回りは年間家賃を物件価格で割った数字です。ここから固定資産税、管理費、保険、管理会社の手数料、空室損、修繕を引くと実質が出ます。固定資産税が年2.2%前後のニュージャージーと0.6%前後のサウスカロライナでは、同じ表面6%でも実質が2%以上変わります。比較は必ず実質で行ってください。
管理会社を決めずに引き渡しを受ける
遠隔で持つ物件は、募集、審査、集金、修繕の手配を代わりに行う相手が必要です。手数料は家賃の8%から12%が中心で、これも利回りから引く費用です。空室期間中も広告費がかかります。引き渡し前に契約先を決め、費用を計算に入れてください。
出口の税金を入れていない
米国の税務上の非居住者が売る場合、買主が売却代金の15%を先に納めます。利益ではなく代金に対する割合です。200万ドルで売れば30万ドルが引かれ、精算は翌年の申告です。この資金が次の物件の頭金になる前提だと計画が崩れます。決済前の軽減申請で下げられる場合があります。
名義を後から変えようとする
個人で買ってから法人やLLCへ移すと、州や郡の移転税、登記費用、貸主やローンの承諾、固定資産税の再評価が発生することがあります。単独オーナーのLLCは連邦税では原則オーナーと一体として扱われるため、税負担が消えるわけでもありません。買う前に名義を決めてください。
修繕の周期を見込んでいない
築年数の古い物件では、屋根、給排水、電気系統、暖房設備の更新が周期的に来ます。管理組合のある物件では積立金の残高と直近の修繕履歴、一時金の予定を確認します。戸建てでは自分で積み立てる前提の金額を、初年度から利回りから引いてください。
物件資料の家賃表をそのまま使わない
現在の家賃が相場より低い場合、その理由を確認してください。賃料規制の対象、長期入居者との合意、募集条件の緩和など、簡単には上げられない事情があることがあります。上げられる前提で計算すると、買った後に想定が崩れます。
数字で見ると、どれだけ落ちるのか
50万ドルの物件を、年間家賃3万ドル(表面6.0%)で買った場合の例です。固定資産税の水準だけを変えて並べます。1ドル150円で換算しています。

| 項目 | 固定資産税0.6%の地域 | 固定資産税2.2%の地域 |
|---|---|---|
| 物件価格 | 50万ドル(約7,500万円) | 50万ドル(約7,500万円) |
| 年間家賃 | 3万ドル(約450万円) | 3万ドル(約450万円) |
| 表面利回り | 6.00% | 6.00% |
| 固定資産税 | 3,000ドル | 1万1,000ドル |
| 保険 | 1,500ドル | 1,500ドル |
| 管理会社(家賃の10%) | 3,000ドル | 3,000ドル |
| 空室損(年1ヶ月分) | 2,500ドル | 2,500ドル |
| 修繕の積立(家賃の5%) | 1,500ドル | 1,500ドル |
| 差引後の手残り | 1万8,500ドル | 1万500ドル |
| 実質利回り | 3.70% | 2.10% |
同じ表面6.0%でも、実質は3.70%と2.10%に分かれます。管理費のあるコンドミニアムでは、ここからさらに月額の管理費を引きます。物件を比較されるときは、この表と同じ項目を並べてご覧ください。
ニューヨーク特有の落とし穴
全米共通の5つに加えて、ニューヨークでは次の3つが実際に取引を止めます。
コープの理事会で否決される
コープは株式の購入で、理事会の面接と資産審査があります。賃貸に出せる条件にも制限があり、投資目的では使えない物件が多くあります。申込前に管理規約の確認が必要です。
賃料規制の対象だった
1974年より前に建てられた6戸以上の建物では、住戸ごとに規制の有無を確認します。規制対象なら家賃の引き上げ幅に上限があり、2019年の法改正で規制を外す手段が大きく制限されました。
税の優遇の期限が切れる
ジャージーシティなどの再開発タワーには固定資産税の優遇が付いていることがあります。期限が切れると通常の課税に切り替わり、負担が跳ね上がります。残り年数を契約前に確認してください。
借地権(土地を借りている物件)も注意が必要です。借地の残存期間が短い物件は、価格が安く見えても融資が付きにくく、出口で買い手が限られます。
契約前の確認表
この表の右側が埋まらないうちは、契約書に署名しないでください。
| つまずき | 起きること | 契約前に確認すること |
|---|---|---|
| 表面利回りで判断した | 実質が想定の半分になる | 固定資産税の実額、管理費、保険料、管理手数料、空室損、修繕積立を引いた数字 |
| 管理を決めていない | 空室と未修繕が続く | 管理会社の候補と手数料、募集にかかる広告費、緊急時の連絡体制 |
| 出口を入れていない | 手取りが想定を下回る | 売却時の源泉徴収額、軽減申請の可否、譲渡益税の概算 |
| 名義を後から変えた | 移転税と登記費用が出る | 個人か法人かLLCか。融資条件と将来の売却方法まで含めた判断 |
| 修繕を見ていない | 初年度から赤字になる | 管理組合の積立金残高、直近の修繕履歴、今後の予定と一時金 |
| 家賃表を信じた | 家賃を上げられない | 賃料規制の登録状況、現在の入居者との契約内容、周辺の募集事例 |
| 優遇の期限を見ていない | 数年後に税額が跳ねる | 優遇の有無と残り年数、切れた後の想定税額 |
当社では、この表の右側を埋めた状態でご説明しています。数字が合わないと判断した場合は、そのようにお伝えします。
よくある質問
表面利回りが高い物件は避けたほうがよいですか
管理会社の手数料はどれくらいですか
個人と法人のどちらで買うべきですか
出口の源泉徴収は下げられますか
日本から遠隔で持つのは無理がありますか
まずはご相談ください
ご検討中の物件の資料をお送りいただければ、この表の右側を埋めた状態でご説明します。当社でお取り扱いのない市場の物件についても、見るべき項目はお伝えできます。
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