Zillowの公開データで全米の大都市圏50を比べると、2026年8月時点で表面利回りが最も高いのはペンシルベニア州ピッツバーグ(7.6%)で、イリノイ州シカゴ(7.4%)、ルイジアナ州ニューオーリンズ(7.3%)が続きます。全米は6.3%、ニューヨーク都市圏は5.9%です。
ここでの表面利回りは、標準的な家賃(ZORI)の12か月分を標準的な住宅価値(ZHVI)で割った数字です。固定資産税、保険料、管理費、空室を差し引く前の数字なので、物件を決める答えではなく、都市圏を絞り込むためのふるいとして使います。
利回りの高い都市と価格が伸びている都市を並べたうえで、利回りだけで選ばないための確認点を順に見ていきます。
1. アメリカ不動産の一般的利回りとその特徴

アメリカでは、価格の高い都市ほど表面利回りが低くなる傾向があります。ニューヨーク都市圏の標準的な住宅価値は73万5,075ドルで全米の約2倍ですが、家賃は月3,615ドルで全米の約1.9倍にとどまるため、利回りは全米を下回ります。
一方で、利回りの高い都市が必ず得をするわけではありません。家賃収入から差し引かれる固定資産税と保険料は州と郡で大きく違い、表面利回りの差がそのまま手取りの差にはなりません。もう一つの見方が価格の伸びで、表面利回りが低くても価格が伸びている都市では、売却まで含めた収益が逆転することがあります。
2. 2026年8月現在、全米で最も利回りが高い注目の都市

人口規模で上位50の都市圏を、表面利回りの高い順に10位まで並べました。比較のために全米とニューヨークを加えています。
| 順位 | 都市圏 | 住宅価値 | 家賃(月) | 表面利回り | 過去5年の価格の年率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | ピッツバーグ(ペンシルベニア州) | 232,122ドル | 1,469ドル | 7.6% | +2.2% |
| 2 | シカゴ(イリノイ州) | 357,265ドル | 2,210ドル | 7.4% | +5.0% |
| 3 | ニューオーリンズ(ルイジアナ州) | 261,002ドル | 1,598ドル | 7.3% | -1.3% |
| 4 | クリーブランド(オハイオ州) | 253,678ドル | 1,454ドル | 6.9% | +5.6% |
| 5 | メンフィス(テネシー州) | 244,737ドル | 1,400ドル | 6.9% | +3.1% |
| 6 | デトロイト(ミシガン州) | 267,167ドル | 1,524ドル | 6.8% | +4.0% |
| 7 | オクラホマシティ(オクラホマ州) | 245,317ドル | 1,388ドル | 6.8% | +4.4% |
| 8 | マイアミ(フロリダ州) | 475,830ドル | 2,666ドル | 6.7% | +5.4% |
| 9 | タンパ(フロリダ州) | 358,706ドル | 2,001ドル | 6.7% | +3.3% |
| 10 | バーミングハム(アラバマ州) | 262,563ドル | 1,433ドル | 6.5% | +3.1% |
| 全米 | 368,697ドル | 1,948ドル | 6.3% | +3.8% | |
| ニューヨーク | 735,075ドル | 3,615ドル | 5.9% | +5.0% |
※出典 Zillow Home Value Index(中位帯・季節調整済み)とZillow Observed Rent Index、いずれも2026年8月値の都市圏単位。表面利回りと年率は当社で計算しました。2026年10月に、出典を確かめられなかった旧版の表をこの公開データで作り直しています。

上位10の中でも中身は違います。ニューオーリンズは表面利回り7.3%ですが、価格は過去5年で年率1.3%下がっています。ピッツバーグも価格の伸びは年率2.2%です。高い利回りが、価格の伸びの弱さと引き換えになっている都市です。
反対に、クリーブランド(年率5.6%)、マイアミ(5.4%)、シカゴ(5.0%)は、利回りと価格の伸びがどちらも全米を上回っています。ただしイリノイ州は固定資産税の実効税率が全米で高い州の一つで、フロリダ州は住宅保険料の上昇が続いています。実質の利回りで比べ直す必要があります。
ニューヨーク以外の東海岸の候補としては、ボストンで家を買う場合の価格と手順も別の記事にまとめています。
旧版で取り上げた8都市の数字
以前この記事で紹介していた8都市を、同じ方法で計算し直すと次のとおりです。コロンバスの表面利回りは5.5%で、全米の平均を下回ります。
| 都市圏 | 住宅価値 | 家賃(月) | 表面利回り | 過去5年の価格の年率 |
|---|---|---|---|---|
| クリーブランド(オハイオ州) | 253,678ドル | 1,454ドル | 6.9% | +5.6% |
| メンフィス(テネシー州) | 244,737ドル | 1,400ドル | 6.9% | +3.1% |
| インディアナポリス(インディアナ州) | 293,506ドル | 1,552ドル | 6.3% | +4.3% |
| ジャクソンビル(フロリダ州) | 350,783ドル | 1,696ドル | 5.8% | +3.4% |
| コロンバス(オハイオ州) | 330,327ドル | 1,521ドル | 5.5% | +4.5% |
| ダラス(テキサス州、アーリントンを含む) | 360,437ドル | 1,659ドル | 5.5% | +2.3% |
| シャーロット(ノースカロライナ州) | 384,458ドル | 1,749ドル | 5.5% | +4.1% |
| ツーソン(アリゾナ州) | 338,460ドル | 1,483ドル | 5.3% | +2.2% |
※テキサス州アーリントンは、ダラス・フォートワース・アーリントン都市圏に含まれます。

3. 利回りだけで都市を選ばない理由

固定資産税と保険料
固定資産税は郡と学区が税率を決め、同じ州の中でも差があります。保険料はハリケーンや洪水の影響を受ける地域で高くなります。表面利回りが1%高くても、税と保険で1%以上多く差し引かれれば、手取りは逆転します。物件ごとに、郡の評価額と税額、保険の見積もりを取ってから比べてください。
管理と売却のしやすさ
遠隔地の物件は、入居者募集、修繕、家賃の回収を現地の管理会社に任せることになり、管理の質が収支に直接響きます。また、買い手の層が薄い都市では、売りたい時期に売れないことがあります。ニューヨークのように取引の多い都市は、利回りが低くても出口を描きやすいという違いがあります。
4. 投資リスクと分散投資の重要性

複数の州に物件を持つと、地域の景気の偏りは分散できますが、申告の手間は増えます。州の所得税がある州では、その州の物件から得た家賃収入について、州ごとに申告が必要になります。
連邦の累進税率と州ごとの税率は、アメリカの所得税率の記事に一覧でまとめています。
名義の選び方でも税は変わります。個人で持つか、LLCや法人で持つか、居住者か非居住者かで、毎年の申告と売却時の税が違います。非居住者が売却するときは、原則として売却価格の15%が源泉徴収されます(FIRPTA)。利回りの比較は、どの名義で持つかを決めてから行うと、手取りの数字がぶれません。
利回りと合わせて見るべき州の税の構造は所得税ゼロ州の記事にまとめています。
まとめ

Zillowの公開データでは、2026年8月の表面利回りの上位はピッツバーグ、シカゴ、ニューオーリンズで、全米の平均は6.3%でした。ニューヨーク都市圏は5.9%と全米を下回りますが、価格は過去5年に年率5.0%で上がっています。
表面利回りは都市を絞り込むための入り口です。固定資産税、保険料、管理費、空室を差し引いた実質の数字と、価格の伸び、売却のしやすさを並べてから判断してください。名義と税務の設計を含め、個別のご事情に応じてご相談を承っております。
利回りだけでなく資産価値の安定性で選ぶ場合は、物件タイプとエリアの選び方にまとめてあります。
よくある質問
全米で表面利回りが高い都市はどこですか。
Zillowの公開データで人口規模上位50の都市圏を比べると、2026年8月の表面利回りはピッツバーグ7.6%、シカゴ7.4%、ニューオーリンズ7.3%が上位です。全米は6.3%です。
ニューヨークの表面利回りはどのくらいですか。
ニューヨーク都市圏は2026年8月時点で5.9%と、全米の6.3%を下回ります。ただし標準的な住宅価値は過去5年に年率5.0%で上がっており、価格の伸びは全米を上回っています。
コロンバスの利回りはいくらですか。
オハイオ州コロンバス都市圏の表面利回りは、2026年8月時点で5.5%です。標準的な住宅価値は33万327ドル、標準的な家賃は月1,521ドルで、全米の平均6.3%を下回ります。
表面利回りと実質利回りの違いは何ですか。
表面利回りは年間の家賃を物件価格で割った数字です。実質利回りは、そこから固定資産税、保険料、管理費、空室による損失を差し引いて計算します。州と郡で税と保険が大きく違うため、都市を比べるときは実質利回りで比べ直します。
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