1042-Sは、アメリカで源泉された税の証明書です。日本に住む方がアメリカの不動産を貸していると、家賃を受け取る管理会社などから翌年3月15日までに届きます。家賃の分は所得コード「14」で、何も選んでいなければ税率30%が記載されます。
この1枚は、アメリカでは申告書の源泉税額の根拠に、日本では外国税額控除の資料になります。届いたまま保管するだけでは、引かれすぎた税も、二重にかかった税も戻りません。
- 1042-Sは源泉した側が作り、翌年3月15日までに受取人へ渡します
- 家賃だけで30%が源泉されていれば、アメリカの申告は原則不要です
- 経費が重い年は、純額の選択をした1040-NRで源泉の一部が戻ることがあります
- 日本では、1042-Sを外国税額控除の明細書に添えて、税が課されたことを示します
本日は1042-Sの読み方と、アメリカと日本の申告での使い方について見ていきましょう。
1. 1042-Sとは何か

誰が、いつ作るのか
IRSの1042-Sの記入要領によれば、外国人に所得を支払って源泉した側(源泉義務者)は、1042-SをIRSに出し、受取人には翌年3月15日までに渡します。家賃なら、借り手か、家賃を受け取って送金する管理会社などです。
W-8ECIを出して源泉を受けていない場合でも、1042-Sは発行されます。その場合は「事業と結びつく所得」の免除コードが入り、受取人のアメリカの納税者番号の記載が必要です。番号が分からなければ、源泉義務者は30%で源泉しなければなりません。
見るべき欄
| 欄 | 中身 | 確かめること |
|---|---|---|
| Box 1 | 所得コード | 家賃なら14 |
| Box 2 | 源泉前の支払総額 | 1年分の家賃の合計と合っているか |
| Box 3a、3b | 免除コードと税率 | 何も選んでいなければ30.00、W-8ECIなら免除コード |
| Box 7a | 実際に源泉した税額 | 家賃の明細の差引額と合っているか |
| Box 10 | 源泉税額の合計 | 1040-NRに書く金額 |
※1042-Sの記入要領から、家賃に関わる欄を抜き出しています。
2. アメリカの申告で使う

申告しなくてよい場合
IRSの外国人向けの税の手引き(Publication 519)には、アメリカの所得が家賃1万ドルだけで、30%が正しく源泉され1042-Sを受け取っている人は、1040-NRを出さなくてよいという例があります。総額の30%で税が終わる形です。
申告して取り戻す場合
管理費、固定資産税、ローンの利息、減価償却が重い物件では、純額で計算した税が30%を大きく下回ることがあります。家賃を事業の所得として扱う選択は、その年の1040-NRに書面を付けるか、修正申告(1040-X)で行えるとIRSは説明しています。源泉された税は1040-NRの25g行に書き、1042-Sを申告書の表に添付します。差額は還付の対象です。
たとえば家賃が年9万6,000ドルなら、1042-SのBox 2は9万6,000ドル、源泉税額は2万8,800ドルです。経費と減価償却が6万ドルで純額が3万6,000ドルなら、2026年の連邦の税率表で税額は約4,072ドルになり、差額の約2万4,700ドルが還付の対象になります。ニューヨーク州の所得税は別に計算します。
経費を引けるのは、期限から16か月以内に正しい申告書を出した場合に限られます。選択は翌年以降も続くため、毎年の1040-NRが必要になります。どちらの形がよいかは、物件の経費と保有の予定で決まります。
3. 日本の申告で使う

外国税額控除の添付書類になる
国税庁の外国税額控除の説明では、控除を受けるには「外国税額控除に関する明細書」に加えて、外国所得税を課されたことを証する書類と、納付を証する書類(源泉徴収票などを含む)を申告書に添えます。1042-Sは、家賃から源泉された税を示す書類として使えます。
限度額と、後で税額が変わったとき
控除できるのは、日本の所得税のうち国外の所得に対応する部分までです。引ききれない分は、前年以前3年の枠との間で繰り越しの計算をします。アメリカで後から還付を受けて税額が減ったときは、日本でも減った年に調整が必要です。家賃の円換算と申告の順番はアメリカの賃料収入を日本でどう申告するかをご覧ください。
1042-Sは毎年3月に届き、日本の確定申告の期限は3月15日です。届くのが遅れると日本の申告に間に合わないことがあります。管理会社には、発行の時期と送り先を前の年のうちに確かめておくと安心です。
4. 名義で変わる受取人

個人、LLC、法人
- 個人で持つ場合は、本人あてに発行されます
- 社員1人のLLCは、税務上は持ち主と同じ扱いのため、受取人は持ち主本人です
- 日本の法人が直接持つ場合は、法人あてに発行され、日本では法人税の外国税額控除の資料になります
- アメリカの法人(C-Corp)で持つ場合は、受取人がアメリカの会社になるため、家賃に1042-Sは発行されません
LLCや法人の持ち方の違いは米国不動産をLLCで持つと税はどう変わるかにまとめています。
まとめ

届いたら、両国の申告に回す
1042-Sは、アメリカで源泉された税の証明書で、翌年3月15日までに届きます。家賃は所得コード14で、何も選んでいなければ税率30%です。
家賃だけで30%が源泉されていればアメリカの申告は原則不要ですが、経費が重いなら純額の申告で一部が戻ることがあります。日本では外国税額控除の資料として申告書に添えます。
どちらの国で、どの形で税を納めるかは、物件と名義で変わります。一般的な整理はここまでです。個別の判断はご相談ください。
よくある質問
1042-Sはいつ、誰から届きますか。
源泉した側(家賃なら借り手や、家賃を受け取る管理会社など)が作り、翌年3月15日までに受取人へ渡します。W-8ECIを出して源泉を受けていない場合も、免除コードを記載した1042-Sが発行されます。
1042-Sが届いたら、アメリカで申告が必要ですか。
アメリカの所得が家賃だけで、30%が正しく源泉されていれば、原則として1040-NRは不要です。経費が重く純額の税の方が小さい場合は、その年の1040-NRで家賃を事業の所得として扱う選択をし、源泉された税を25g行に書いて差額の還付を受ける方法があります。
日本の確定申告では1042-Sをどう使いますか。
外国税額控除に関する明細書に添えて、アメリカで税を課され納付したことを示す書類として使います。控除できるのは日本の所得税のうち国外の所得に対応する部分までで、引ききれない分は3年の繰り越しの計算があります。
LLCで持っている場合、1042-Sは誰あてに届きますか。
社員1人のLLCは税務上は持ち主と同じ扱いのため、受取人は持ち主本人です。アメリカの法人(C-Corp)で持つ場合は受取人がアメリカの会社になるため、家賃に1042-Sは発行されません。
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