購入のご相談では、決済までの話が中心になります。ところが実際に大きいのは、その後です。
日本にお住まいのまま物件を保有される場合、毎年やることが決まっています。これを回す体制を先に作っておくかどうかで、所有の負担が変わります。
本日は、購入後の管理について整理してまいります。
CONTENTS
1. 誰が何を担うのかを分ける

まず、担い手を三つに分けて考えます。混同されやすい部分です。
①建物の管理会社。共用部の維持、設備、警備を担います。管理費で運営されており、住戸の中は対象外です。
②住戸の管理を任せる会社。ご自身の住戸の点検、入居者対応、修繕の手配を行います。別途契約が必要です。
③税務の担当。米国の申告を担う会計士です。日本側の申告とは別に必要になります。
結局のところ、管理費を払っていても、住戸の中は誰も見ていません。留守が長くなる場合、水回りの点検を定期的に入れておくのが確実です。
ニューヨークの冬は、暖房が止まると配管が凍結します。上階からの漏水は下階に及ぶため、賠償の話に発展します。不在時の暖房設定と、月に一度の見回りは費用に見合います。
2. 賃貸に出す場合の源泉徴収

物件を貸される場合、非居住者には賃料に対する源泉徴収の制度が適用されます。
原則として、賃料の総額に対して定率で源泉徴収され、経費を差し引く前の金額が課税の対象になります。これは実際の利益と一致しません。
そのため実務では、米国内の事業所得として申告する選択を行い、経費を差し引いた純額で課税を受ける形を取ります。管理費、固定資産税、修繕費、減価償却を差し引けるようになります。
この選択には所定の手続きが必要です。IRSの国際課税に関するページに制度の説明があります。実際の手続きは会計士とお進めください。
減価償却の前倒しについてはコストセグリゲーションの記事、税制の全体像はアメリカ不動産の税金の記事にまとめています。
あわせて、建物の規約で賃貸が認められているかを先にご確認ください。条件は転貸の記事にまとめています。
3. 毎年の作業を並べる

それでは、保有中に毎年発生する作業を表で整理します。
| 作業 | 頻度 | 担当 |
|---|---|---|
| 固定資産税の支払い | 年に複数回 | 所有者または代行 |
| 管理費の支払い | 毎月 | 口座引落の設定 |
| 米国の確定申告 | 年1回 | 米国の会計士 |
| 日本側の申告 | 年1回 | 日本の税理士 |
| 火災保険の更新 | 年1回 | 所有者 |
| 住戸内の点検 | 月1回が目安 | 管理を任せる会社 |
| 法人名義の年次報告 | 州により異なる | 登録代理人 |
※上記は一般的な作業です。物件と保有形態により内容は異なります。
4行目を忘れないでください。日本の居住者は、米国の不動産所得も日本で申告の対象になります。米国で納めた税は外国税額控除の対象になりますが、申告そのものは必要です。
最終行は法人名義で保有される場合です。年次報告と登録代理人の維持を怠ると、法人の登録が失効します。詳細は法人名義で買うべきかの記事にまとめています。
4. 建物からの連絡を受け取る体制

見落とされやすいのが、建物からの通知をどう受け取るかです。
管理組合からは、総会の案内、規約の変更、大規模修繕の決議、特別徴収の通知などが届きます。多くは郵送で、住戸宛てに送られます。
ご不在の住戸に届いた通知は、誰も読みません。気づかないうちに決議が済み、請求だけが後から届くということが起こります。
対策として、次の設定を購入直後に行っておかれることをご推奨いたします。
・管理会社への送付先を日本の住所または代理人に変更する
・電子メールでの通知を有効にする
・固定資産税の請求書の送付先も同様に設定する
・管理費を米国の口座から自動で引き落とす設定にする
・緊急時の連絡先として、現地で対応できる方を登録する
ここまでを整理すると、手続きの多くは購入直後の一度だけで済みます。決済が終わった直後に、まとめて設定してしまうのが確実です。
まとめ

海外から保有を続けることは、体制さえ作れば難しくありません。送付先の設定、自動引落、点検の依頼、会計士の確保。この四つを決済直後に済ませておけば、あとは年次の作業が回るだけです。
逆に、これを後回しにされると、通知の見落としと水回りの事故という二つの形で表に出てきます。
ニューヨークの物件と暮らしは動画でもご紹介しています。
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購入後の体制づくりと、会計士のご紹介を承っております。
よくある質問
建物の管理会社は住戸内の点検も担当しますか。
建物の管理会社は共用部の維持や設備、警備を担いますが、住戸の中は対象外です。住戸の点検や入居者対応、修繕の手配は別途契約する住戸の管理を任せる会社が担当するため、管理費を支払っていても住戸内は誰も見ていない状態になります。
賃貸に出す場合の源泉徴収制度はどういう仕組みですか。
非居住者が物件を貸す場合、賃料総額に対して定率で源泉徴収される制度が適用されます。これは経費を差し引く前の金額が課税対象となるため実際の利益と一致しません。実務では米国内の事業所得として申告し、経費を差し引いた純額で課税を受ける選択が行われます。
日本に住む所有者は米国での確定申告だけで済みますか。
日本の居住者は米国の不動産所得も日本で申告の対象になります。米国で納めた税は外国税額控除の対象になりますが、申告そのものは必要です。そのため年1回、米国の会計士に依頼して米国の確定申告を行い、日本の税理士に日本側の申告を行う必要があります。
建物からの通知を受け取るための対策は何ですか。
管理会社への送付先を日本の住所または代理人に変更し、電子メールでの通知を有効にします。固定資産税の請求書も同様に設定し、管理費を米国の口座から自動引き落としにします。さらに緊急時の連絡先として現地で対応できる方を登録しておくことが推奨されます。
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