2026年8月19日 Satoshi Onodera

ニューヨークで買った物件を貸せるか。転貸規約と30日未満の禁止規制

「使わない期間は貸して、家賃で維持費をまかないたい」。ニューヨークで物件を購入される方から、必ずと言っていいほど伺うご希望です。

この考え方自体は現実的です。ただし建物の規約によっては貸せない、あるいは購入から数年は貸せないことがあります。

 

さらに、短期の貸し出しについては市の条例で厳しい制限がかかっています。宿泊サイトに載せる前提で計算していると、成り立ちません。

本日は、購入した物件を貸すときの制約について見ていきましょう。

 

1. コンドミニアムとコープで大きく違う

A furnished rental apartment interior with a sofa, dining table and city view through windows, brigh

転貸(サブレット)の自由度は、物件の形態で決定的に変わります。

コンドミニアムは、賃貸に出す自由度が高い形態です。所有権を持っているため、原則として自由に貸せます。管理組合への届出や、最低賃貸期間(多くは1年)の定めがある程度です。

 

コープは、転貸に厳しい制限がかかります。理事会の承認が必要で、次のような条件を設ける建物が一般的です。

・購入から1年から2年は転貸を認めない
・5年のうち2年まで、といった期間の上限がある
・賃借人も理事会の審査を受ける
・転貸のたびに手数料がかかる

 

結局のところ、賃貸運用を前提にするなら、選ぶべきはコンドミニアムです。両者の違いはコンドとコープの違いの記事にまとめています。

 

2. 30日未満の貸し出しは原則できない

A New York apartment building entrance with a doorman checking a visitor list, urban residential set

ここが最も誤解の多い点です。ニューヨーク市では、所有者が同居しない形での30日未満の貸し出しが原則として禁止されています。

2023年に施行された条例により、短期の貸し出しを行うには市への登録が必要となり、実質的に成立しなくなりました。宿泊サイト側も未登録物件の掲載を受け付けません。

 

つまり、「使わない1週間だけ貸して収益を得る」という運用はできません。ニューヨークで賃貸に出す場合、実務上は1年契約が基本になります。

短期の滞在をご希望の場合は、購入ではなく借りる側で対応する形になります。短期滞在の解説記事をご参照ください。

 

3. 賃貸に出すときの手順と費用

A property manager showing an apartment to prospective tenants, keys and lease documents in hand, br

実際に貸し出すときの流れと、かかる費用を整理します。

 

項目 内容 費用の目安
管理組合への申請 届出または承認申請 500〜2,000ドル程度
募集の仲介手数料 貸主負担とする場合 決まった料率はなく交渉による
賃貸管理の委託 入居者対応・集金・修繕手配 決まった料率はなく交渉による
賃料収入の源泉徴収 非居住者の場合 総収入の30%(申告で軽減可)

※上記は実際に見られる金額の例です。手数料に標準となる料率はなく、いずれも交渉と契約内容によって決まります。

 

非居住者にとって重要なのが最後の行です。米国の非居住者が受け取る賃料は、原則として総収入の30パーセントが源泉徴収されます。経費を引く前の金額に対してかかるため、実際の利益を大きく上回る税負担になります。

これを避けるには、賃貸を「米国内での事業」として扱う選択(ネット課税の選択)を行い、確定申告で経費を差し引いた利益に課税してもらう方法があります。手続きの要否は会計士とご確認ください。

 

4. 遠隔で運用する体制

A person managing property remotely on a laptop from a home office in Japan, evening light, document

日本から保有される場合、次の体制を整えておくと運用が回ります。

 

・賃貸管理会社。入居者からの連絡、修繕の手配、家賃の回収を担います。時差のある遠隔保有では実質的に必須です。
・米国の銀行口座。家賃の受け取りと、管理費・固定資産税の支払いに使います。
・会計士。毎年の申告と、源泉徴収の扱いを見てもらいます。
・火災保険と賠償保険。賃貸に出す場合、自己居住とは異なる保険が必要です。

 

管理の実務は賃貸管理と売却のガイドに、保有にかかる費用は管理費と固定資産税の記事にまとめています。

 

貸し出しに関わる規制の全体は賃貸ルールのガイドで整理しています。

 

賃料収入にかかる税金は賃貸収入の税金ガイドをご覧ください。

 

これから物件を買って貸す予定の方は30日ルールと建物規約の記事が前提の確認に使えます。

 

まとめ

A New York residential building at dusk with lit windows suggesting occupied apartments, calm urban

貸すことを前提に買われるなら、選ぶべきはコンドミニアムです。コープは転貸に制限が多く、購入直後は貸せないことがほとんどです。

そして30日未満の短期貸しは、市の条例により成立しません。1年契約を前提に収支を組んでください。

 

非居住者の源泉徴収は見落とされやすい項目です。購入前に、税引き後の手取りで試算されることをご推奨いたします。

※本記事は一般的な情報提供であり、税務・法務の助言ではありません。実行の前に、必ず米国の会計士および弁護士にご確認ください。

よくある質問

買ったコンドミニアムを賃貸に出せますか。

コンドミニアムは原則として賃貸に出しやすい形態ですが、建物ごとの規約で最低賃貸期間や年間の回数制限、組合への届出義務が定められていることがあります。購入前に規約の賃貸条項をご確認ください。

30日未満の短期貸しはできますか。

ニューヨーク市では、所有者や賃借人が同居しない30日未満の貸出は原則禁止です。2023年からは市への登録が義務化され、規制は強化されています。民泊型の運用を前提にした購入計画は成立しません。

コープでも貸せますか。

コープは転貸に厳しい建物が多く、一定年数の自己居住を条件にしたり、転貸の期間や回数を制限したりする例が一般的です。理事会の承認も必要です。賃貸に出す予定があるなら、コンドミニアムを選ぶ方が確実です。

非居住者が貸す場合の税務はどうなりますか。

非居住者の賃料収入には源泉徴収の制度が適用されますが、米国内の事業所得として申告する選択を行えば、経費を差し引いた純額での課税になります。管理費、固定資産税、減価償却などが控除でき、実務ではこちらを選ぶのが通例です。

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本ページの相場、利回り、所要時間などの数値は、一般に公開されているデータや当社の取引経験にもとづく目安です。物件、時期、条件によって実際とは異なる場合があり、当社が正確性および最新性を保証するものではありません。犯罪発生状況はニューヨーク市警などの公的機関が地区ごとの統計を公開しているため、そちらの数字をご確認ください。当社は入居者や購入者の国籍、人種、出身、宗教、家族構成によって物件やエリアをお勧めすることはいたしません。本ページの内容は情報提供のみを目的としており、投資勧誘や税務助言には当たりません。