2026年11月2日 Reinvent編集チーム

相続したアメリカの不動産を売るときの税金。アメリカは時価、日本は親の買値で計算する

親から相続したアメリカの不動産を売ると、アメリカと日本で売却益がまったく違う額になります。アメリカは亡くなった日の時価から計算をやり直しますが、日本は親が買ったときの値段と日付をそのまま引き継ぎます。

 

日本に住む相続人は日本でも売却益を申告するため、税の重さを決めるのは日本側の計算です。円安が進んでいれば、物件の値上がりに加えて為替の分まで売却益になります。

 

この記事の要点

  • アメリカでは、取得費は亡くなった日の時価。実際の保有期間に関係なく長期の扱い
  • 日本では、取得費も取得日も親から引き継ぐ。円換算も親が買った日のレート
  • 相続税を納めた人が期限内に売ると、相続税の一部を取得費に足せる
  • アメリカの税が小さいため、日本で差し引ける外国税額控除も小さい

 

本日は相続したアメリカの不動産を売るときの日米の税について見ていきましょう。

 

 

1. アメリカでは、亡くなった日の時価から計算する

相続したニューヨークのコンドミニアムが入る建物の外観

 

 

取得費は時価に置き換わる

内国歳入庁(IRS)の取得費の手引き(Publication 551)によれば、相続した財産の取得費は、原則として亡くなった日の時価です。遺産の代表者が別の評価日を選んだ場合は、その日の時価になります。親が受けた減価償却の分は、相続人の取得費から差し引かれません。

 

IRSの財産の売却の手引き(Publication 544)は、相続した財産は実際に持っていた期間に関係なく、1年を超えて保有したものとして扱うとしています。売却益には長期の税率がかかります。

 

時価アメリカでの取得費(亡くなった日)
1年超相続した財産の保有期間の扱い
5%日本で買値が分からないときの取得費(売却価格に対する割合)

 

 

源泉徴収は残る

相続人がアメリカの非居住者なら、売るときに買主が売却代金から源泉徴収をします。実際の税額との差は、1040-NRの申告で精算します。仕組みはFIRPTAの源泉徴収にあります。

 

 

2. 日本では、親が買ったときの値段と日付を引き継ぐ

相続したニューヨークのコンドミニアムが入る建物の外観

 

 

取得費と取得日

国税庁の相続や贈与で取得した土地建物の取得費と取得の日の説明によれば、取得費は親が買い入れたときの購入代金などをもとに計算し、取得の時期もそのまま引き継ぎます。長期か短期かは、親の取得日から売った年の1月1日までの所有期間で判定します。買値が分からないときは、売却価格の5%を取得費にする方法しかありません。

 

 

円換算も、建物の償却も親の分を引き継ぐ

取得費の円換算は、親がドルで払った日のレートで行います。換算の考え方はアメリカ不動産の売却で為替差益はどう課税されるかをご覧ください。親が貸していた期間の建物の減価償却の累計は、取得費から引きます。

 

 

計算例(仮の数字)

項目 アメリカの計算 日本の計算
取得費 亡くなった日の時価 145万ドル 親の買値 100万ドル×80円=8,000万円
売却価格 150万ドル 150万ドル×150円=2億2,500万円
売却益 5万ドル 1億4,500万円
税の目安 連邦税は最大でも1万ドル(20%) 長期20.315%で約2,946万円

※価格と為替は仮の数字です。売却費用、減価償却、州の税は入れていません。日本の税率は国税庁の長期譲渡所得の説明によります。

 

 

3. 相続税を取得費に足せる特例

相続したニューヨークのコンドミニアムが入る建物の外観

 

 

期限は、相続税の申告期限から3年

国税庁の相続財産を譲渡した場合の取得費の特例によれば、相続で取得し相続税がかかった財産を、相続開始の翌日から相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までに売ると、納めた相続税のうちその財産に対応する額を取得費に足せます(租税特別措置法第39条)。申告期限は相続の開始を知った日の翌日から10か月なので、亡くなってからおおむね3年10か月が目安です。

 

足せる額は、その人の相続税額に、売った財産の相続税の評価額がその人の課税価格の合計に占める割合を掛けた額です。特例を使わずに計算した売却益が上限になります。確定申告では、計算明細書と土地建物用の譲渡所得の内訳書を付けます。

 

ポイント

この特例は、日本の相続税がかかったことが前提です。アメリカの不動産の相続税の評価はアメリカ不動産の相続税評価で扱っています。期限の内に売るかどうかで、取得費に足せる額が大きく変わります。

 

 

4. 日米の差をどう埋めるか

相続したニューヨークのコンドミニアムが入る建物の外観

 

 

外国税額控除が小さくなる理由

アメリカで納めた税は、日本の所得税から外国税額控除で差し引けます。ただしアメリカでは時価から計算するため売却益が小さく、税も控除も小さくなります。日本の税の大半はそのまま残ります。控除の年と上限はFIRPTAで引かれた15%は日本で取り戻せるかをご覧ください。

 

 

売る人がどこに住んでいるか

日本に住む相続人が売れば、翌年2月16日から3月15日の確定申告で譲渡所得として申告します。日本に住所がない相続人が売る場合、アメリカの不動産の売却益に日本の所得税はかかりません。日本の所得税が非居住者にかかるのは、日本国内で生じた所得に限られるためです。

 

  • 親が買ったときの売買契約書、決済の明細、送金の記録
  • 亡くなった日の時価の鑑定書(アメリカの取得費の根拠)
  • 日本の相続税の申告書(取得費の特例に使う)
  • 売却時の源泉の書類と1040-NRの写し(外国税額控除に使う)

 

注意

国税庁の土地や建物を売ったときの説明のとおり、土地や建物の譲渡損失は、給与など他の所得と相殺できません。アメリカで損が出ても、日本では円安で益になることもあります。売るか持ち続けるかは、日本側の計算で判断してください。

 

 

まとめ

相続したニューヨークのコンドミニアムが入る建物の外観

 

 

相続した不動産は、日本の取得費で考える

アメリカでは亡くなった日の時価が取得費になり、売却益は小さくなります。日本では親の買値と取得日、買ったときのレートを引き継ぐため、値上がりと円安の分がまとめて売却益になります。

 

相続税を納めた人は、期限内に売れば相続税の一部を取得費に足せます。親の購入時の書類は、相続人が売るときに必ず必要になります。

 

売る時期と売る人で、日本の税は大きく変わります。一般的な整理はここまでです。物件と家族に合わせた判断は、個別にご相談ください。

 

よくある質問

相続したアメリカの不動産の取得費は、アメリカではいくらになりますか。

原則として、亡くなった日の時価です。遺産の代表者が別の評価日を選んだ場合は、その日の時価になります。相続した不動産は、実際に持っていた期間に関係なく1年を超えて保有したものとして扱われます。

日本では、相続した不動産の取得費はどう計算しますか。

親が買ったときの購入代金などをもとに計算し、取得の時期も親から引き継ぎます。円換算も親が買ったときのレートで行うため、円安が進んでいると売却益が大きくなります。購入代金が分からない場合は、売却価格の5%を取得費とする方法しかありません。

相続税を取得費に足せる特例は、いつまでに売れば使えますか。

相続開始の翌日から、相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までに売った場合です。申告期限は相続の開始を知った日の翌日から10か月なので、亡くなってからおおむね3年10か月が目安になります。

アメリカに住む子どもが相続して売った場合、日本の税金はかかりますか。

日本に住所がない非居住者がアメリカの不動産を売った場合、その売却益に日本の所得税はかかりません。日本の所得税が非居住者にかかるのは、日本国内で生じた所得に限られるためです。相続のときの日本の相続税は別に判断します。

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本ページの相場、利回り、所要時間などの数値は、一般に公開されているデータや当社の取引経験にもとづく目安です。物件、時期、条件によって実際とは異なる場合があり、当社が正確性および最新性を保証するものではありません。犯罪発生状況はニューヨーク市警などの公的機関が地区ごとの統計を公開しているため、そちらの数字をご確認ください。当社は入居者や購入者の国籍、人種、出身、宗教、家族構成によって物件やエリアをお勧めすることはいたしません。本ページの内容は情報提供のみを目的としており、投資勧誘や税務助言には当たりません。