マンハッタンで2025年10月から2026年8月までに売れたコンドミニアム5,184件のうち、58.6%は住宅ローンの登記がない取引でした。ほぼ6割が、借入をせずに買われていることになります。ブルックリンでは2,715件のうち36.6%でした。
ローンを使った取引では、借入額の中央値は価格の70%(マンハッタン)と74%(ブルックリン)でした。ニューヨーク市財務局の売買記録と、市の登記の記録(ACRIS)にある住宅ローンの書類を、住戸ごとに突き合わせて数えた数字です。
- マンハッタンのコンドの58.6%は、売買の前後30日に住宅ローンの登記がありませんでした
- 500万ドル以上の住戸では62.1%、100万ドル未満でも55.9%です
- ブルックリンは36.6%で、6割以上がローンを使っています
- ローンを使った取引の借入額の中央値は、価格の70〜74%でした
本日はニューヨークのマンションがどのくらい現金で買われているのかを、登記の記録から見ていきましょう。
1. 登記の記録でローンの有無を数える方法

住戸ごとに住宅ローンの書類を探す
コンドを住宅ローンで買うと、決済の日に抵当の書類(モーゲージ)が市の登記に記録されます。財務局のローリングセールスで売れたコンドの住戸を1件ずつ取り出し、ACRISに同じ住戸の区画番号で、売買の前後30日に住宅ローンの書類(抵当と、既存のローンをまとめ直す合意書)があるかを調べました。
- 対象は建物区分12・13・15のコンドの住戸。1万ドル未満の取引と一括の取引は除外
- 登記の記録が9月末までのため、売買は2026年8月までに限定
- コープは住宅ローンが登記されない仕組み(株式を担保にした融資)なので対象外
「ローンの登記がない」は、そのまま「すべて手元の現金」という意味ではありません。株式などの資産を担保にした借入や、日本で借りたお金で買った場合も、住戸にはローンが登記されません。現金で買った割合の上限と考えてください。
2. マンハッタン。どの値段の帯でも半分以上が借入なし

値段が上がるほど、ローンを使わない取引が増える
| 成約価格 | 件数 | ローンの登記がない割合 | ローンを使った取引の借入額の中央値 |
|---|---|---|---|
| 100万ドル未満 | 1,475件 | 55.9% | 価格の73.6% |
| 100万〜200万ドル | 1,541件 | 57.1% | 価格の70.0% |
| 200万〜500万ドル | 1,503件 | 61.4% | 価格の70.0% |
| 500万ドル以上 | 665件 | 62.1% | 価格の70.0% |
| 全体 | 5,184件 | 58.6% | 価格の70.0% |
2025年10月〜2026年8月のコンドの成約。ローンは売買の前後30日に同じ住戸に記録された抵当と合意書。
100万ドル未満の住戸でも、半分以上が借入なしで買われています。ローンを使う人も、価格の3割ほどを自己資金で入れるのが真ん中です。
3. ブルックリンは6割以上がローンを使う

100万〜200万ドルの帯は7割近くがローンを使う
| 成約価格 | 件数 | ローンの登記がない割合 | 借入額の中央値 |
|---|---|---|---|
| 100万ドル未満 | 1,200件 | 39.1% | 価格の75.0% |
| 100万〜200万ドル | 1,012件 | 31.2% | 価格の73.6% |
| 200万〜500万ドル | 479件 | 40.5% | 価格の70.0% |
| 全体 | 2,715件 | 36.6% | 価格の74.0% |
条件は2と同じ。500万ドル以上は24件で、表には入れていない。
ブルックリンでは、借入なしの取引はマンハッタンより22ポイント少なくなります。同じニューヨーク市でも、区によって買う人の資金の組み方が違います。
4. 現金の買主と競うときに決めること

ローンの条件、資金の証明、名義
マンハッタンでは、同じ住戸を現金の買主と取り合う場面が多くなります。ローンを使うなら、融資が下りなかったときに契約を解除できる条件を付けるかどうかが、売主の判断材料になります。この条件をどこまで外すかはオファーの条件の記事、現金で買うときの準備は買付前に揃える資金証明の記事と購入資金を日本から動かす記事で見ています。
| 買主 | ローンを使う場合 | 現金で買う場合 |
|---|---|---|
| 米国に住む個人 | 収入と信用の記録で審査される | 資金の出どころを示す書類が要る |
| 日本に住む個人 | 米国の信用の記録がなくても借りられる商品はあるが、条件は居住者より厳しいことが多い | 日本からの送金の記録を揃える |
| LLCなどの法人 | 物件の家賃収入で審査する商品などに限られる | 法人の口座から払い、出資者を書類で示す |
ローンの条件は金融機関ごとに違う。
ローンを使うと増える費用と、コープの借入の上限
住宅ローンを使うと、住宅ローンの登録税、金融機関の手数料、鑑定の費用、貸し手のためのタイトル保険が取得の費用に加わります。現金で買えば、これらはかかりません。一方で、手元の資金をすべて物件に入れると、ドルの資金の置き場所が1つに偏ります。
コープは、建物の理事会が借入の割合に上限を設けていることが多く、借入を認めない建物もあります。今回の数字はコンドだけですが、コープを検討するときは、ローンを使えるかを最初に確かめます。例はサンレモの現金購入の記事、仕組みはコンドとコープのガイドで見ています。
非居住者のローンはSSNなしで組むローンの記事、ローンを使うと増える取得の費用は購入費用のガイドにまとめています。
まとめ

マンハッタンのコンドは6割近くが借入なし、ブルックリンは4割弱
直近の売買で住宅ローンの登記がなかったのは、マンハッタンのコンドで58.6%、ブルックリンで36.6%でした。マンハッタンではどの値段の帯でも半分以上が借入なしで、ローンを使う人も価格の3割ほどを自己資金で入れています。
現金か、ローンか、どの名義で借りるかで、競争力と費用と税金が変わります。一般論はここまでで、資金の組み方はご相談ください。
よくある質問
ニューヨークのマンションは何割が現金で買われていますか。
マンハッタンで2025年10月から2026年8月までに売れたコンド5,184件のうち、58.6%は売買の前後30日に住宅ローンの登記がありませんでした。ブルックリンは2,715件のうち36.6%です。
高い物件ほど現金で買われていますか。
マンハッタンでは、ローンの登記がない取引は100万ドル未満で55.9%、200万〜500万ドルで61.4%、500万ドル以上で62.1%でした。値段が上がるほど少しずつ増えますが、どの帯でも半分を超えています。
ローンを使う人は価格の何割を借りていますか。
ローンを使った取引の借入額の中央値は、マンハッタンで価格の70%、ブルックリンで74%でした。価格の3割前後を自己資金で入れるのが真ん中です。
ローンの登記がなければ、すべて現金払いですか。
そうとは限りません。株式などを担保にした借入や、日本で借りたお金で買った場合も、住戸にはローンが登記されません。この割合は、現金で買った取引の上限と考えます。
PRACTICE取得・保有・出口の実務(141件)
買うとき
- 物件の探し方 — 情報の仕組みと在庫の実際
- 日本から買う — 内見から送金までの実務
- 米国のローン — LTVとレバレッジの考え方
- アメリカの住宅ローン — 駐在・非居住者でも借りられる条件と金利
- ニューヨークシティのコンドミニアム購入 — 価格相場と手順、費用と名義の決め方
- DSCRローン — 収入証明なしで組む条件
- 法人名義で買うか — 個人所有との損益分岐
- タイトル保険 — 日本の登記制度との違い
- 不動産会社の選び方 — 確認すべき5点
- 失敗は5つに集まる — 契約前に確認できる項目
- 海外不動産のデメリット4つ — 対処できるものとできないものを分ける
- 新築と中古 — 価格・交渉・維持費で比べる
- プレコンストラクション — 竣工前に買う判断
- タウンハウス一棟 — 管理組合のない所有
- 借りるか買うか — 高金利下の損益分岐
- オファーの条件をどこまで外すか — 手付金10%を賭ける判断
- 住みながら買う — 賃貸を続ける場合との比較
- 買付前に揃える資金証明 — 海外資産をどう示すか
- 購入資金を日本から動かす — 送金の手順と証跡の残し方
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- 新築か中古か — 費用構造から比べる
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- 利回りか、資産の置き場所か — ニューヨークを選ぶ理由の分かれ目
- コンドとコープの違い — 審査・費用・売りやすさ
- 賃貸と購入の総費用 — 税制とリスクまで含めて比べる
- オフマーケット物件 — 情報が回る経路と紹介を受ける準備
- バイヤーエージェント — 買主側につく担当の役割
- アトーニー(弁護士) — 契約と決済で担う役割
- 購入前のデューデリジェンス — 確認すべき書類と手順
- インスペクション — 何を見て、いくらかかるか
- 価格はどう決まるか — 鑑定と成約事例の読み方
- 買うのに何ヶ月かかるか — オファーから鍵の受け取りまで
- クロージング費用 — 内訳と節約できる項目
- マンションタックスと譲渡税 — 100万ドルを超えると変わること
- エスクロー — 仕組みと流れ、日本との違い
- タイトル保険の費用 — 必要な理由と保険料の決まり方
- 新築コンドのスポンサーユニット — 仕組みと交渉
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- 学区と価格の関係 — コンドミニアム相場の読み方
- 一軒家の値段 — 5区の成約価格の中央値
- 中古マンションの値段 — 築年数で見る成約価格
- 郊外の一軒家 — 値段と固定資産税を郡で比べる
- 億ションは年に何件売れるか — 1億円を超える成約の数
- 駐在中に家を買うか — 帰任までの年数で変わる税金と売り方
- 2世帯・3世帯住宅の値段 — 5区の成約価格と1戸あたり
- アパート一棟の値段 — 家賃の規制で1戸あたりが半分以下に
持っているあいだ
- 管理費は月いくらか — 区別の実額と安い建物の落とし穴
- 不動産にかける保険 — 所有形式で必要な補償が変わる
- 買った後の管理 — 海外に住みながら所有を続ける
- 管理会社の選び方 — 費用と契約前の確認事項
- テナント管理 — 賃料回収と契約更新の実務
- 収益改善の手法 — プロパティマネジメントの実際
- アメリカの固定資産税は年いくらか — 州別の実効税率と物件価格別の年額
- 減価償却で税を前倒しする — 建物比率と、個人名義・法人名義の違い
- 4年償却は使えるのか — 2020年改正後の正しい姿
- 改正後に残った節税の道 — 個人の損益通算と法人名義の分かれ目
- 土地の権利とゾーニング — 何が建てられるかの規制
- 保証人と保証会社 — 収入40倍の壁を越える
- 賃貸収入の税務 — 非居住者の源泉徴収と純額課税の選択
- 非居住者の確定申告 — オーナーの年間カレンダー
- 価格の推移 — 10年・5年・直近1年を都市別に見る
- 駐在員の確定申告 — 日米どちらに出すか、FBARの1万ドルの線
- 賃料の日本での申告 — 円換算のレート、償却の制限、外国税額控除
- 国外財産調書と財産債務調書 — 5,000万円と3億円の線
- 法人名義と日本の合算課税 — LLCは日本では外国法人。20%と27%の線
- 日本にいながら賃貸を回す — 管理会社の選び方と契約で決めること
- 家賃を払わない入居者 — 貸主にできることと、できないこと
- 買った翌年に税額が変わる — 減免の残存年数で年2万ドルの差
- 固定資産税の不服申立 — 3月1日と3月15日という期限
- 州を固定資産税で選ぶ前に — 同じ州でも郡と学区で倍変わる
- マルチファミリー投資 — 収益構造と融資、見落としやすいリスク
- 賃料規制物件を買うと — レントスタビライゼーションの実際
- リノベーション — 管理組合の承認と工事の実際
- コストセグリゲーション — 償却を前倒しする調査の中身
- 不動産プロフェッショナル(REPS) — 給与所得の課税を下げる仕組み
- IRSの税務調査 — 備えておく書類
- 売らずに積み上げる — 担保に次を買い、課税を繰り延べる
- 商業不動産への投資 — 住宅との違いと市場の特徴
- 買った後に増える税と費用 — 減税の終了、評価額、排出規制
- W-8BENとW-8ECI — 家賃の30%源泉と純額での申告
- ニューヨーク州の所得税 — 非居住者の家賃と売却益
- Form 5472 — 外国人が持つLLCの報告書と2万5,000ドルの罰金
- 1042-S — 引かれた30%を米国と日本の申告で使う
- ピエダテール税 — 日本に住む所有者のコンドは対象か
- 家賃凍結 — 貸している物件に効くのはどの住戸か
- 国外送金等調書 — 100万円を超える送金と受け取り
- 日本の法人で持つと支店利益税 — 30%と条約の5%
出すときと税務
- 売るときの流れ — 海外にいながら決済まで
- 売却の手続きと税金 — 必要書類まで
- 売却の戦略 — 市場を見て出口を決める
- 非居住者のキャピタルゲイン税 — 1040NRの申告手順
- 1031エクスチェンジ — 譲渡益を繰り延べる仕組み
- 出口の使い分け — 源泉徴収・1031・セクション121
- QOF(適格機会基金) — 譲渡益の課税を繰り延べる
- オポチュニティゾーン — 繰延制度の中身
- FIRPTAの源泉徴収 — 売却代金の15%と還付の手続き
- 贈与税はいくらから — 非居住者は生涯控除ゼロ
- アメリカの相続税 — 連邦と州、非居住者の場合分け
- 非居住者の遺産税 — 基礎控除6万ドルの壁
- 不動産をトラスト名義にする — プロベートは避けられるが遺産税は消えない
- 日本の相続税評価 — 鑑定評価、TTB換算、小規模宅地の特例
- FIRPTAと外国税額控除 — 対象は確定税額。控除の年がずれる
- 売却の為替差益 — 取得日と売却日のTTMで譲渡所得が変わる
- ニューヨーク州の遺産税 — 控除を5%超えると全部消える
- 持分を毎年贈与するか — 取得費が引き継がれるか、時価に置き換わるか
- 信託(トラスト) — 種類・税務・債権者保護
- 複数人で持つ — 共有の形式で相続の結果が変わる
- 遺言書 — 手続きと費用、税務上の注意
- FBAR・FATCA — 海外金融口座の報告義務
- 駐在員の確定申告 — 日米の税金と控除
- 日米の税制の要点 — 法人設立の前に押さえる
- 日米租税条約 — 軽減されるもの、されないもの
- 富裕層の節税の型 — 実際に使われている7つ
- 資産をどこに置くか — 富裕層の配分と、不動産が選ばれる理由
- C-Corp と LLC — 形態ごとの課税の違い
- 1031と日本の課税 — 米国で繰り延べても日本では課税される
- 相続したときの名義の移り方 — 検認と納税証明の順番
- プロベートの費用と期間 — 回避する方法
- 資産の種類で変わる相続 — 米国株・米国債・預金・不動産
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