駐在中にニューヨークで150万ドルのコンドを買い、帰任のときに同じ値段で売ると、売り買いの法定の税だけで4万2,375ドルかかります。価格の約2.8%です。買うときのマンション税1%と、売るときの市と州の譲渡税を足した数字で、弁護士費用や仲介の報酬、ローンの費用は入っていません。
この往復の税は、住む年数が短いほど1年あたりで重くなります。一方で、2年以上住んでから売れば、売却益のうち25万ドル(夫婦の合算申告なら50万ドル)までは米国の税がかかりません。帰任までの年数で判断が変わるのはこのためです。
- 150万ドルの住戸を買って同額で売ると、法定の税だけで4万2,375ドル(約2.8%)です
- 5年のうち2年以上住めば、売却益25万ドル(夫婦50万ドル)まで米国で非課税です
- 2年に満たなくても、50マイル以上離れた職場への異動が理由なら一部が非課税になり得ます
- 帰任して日本に住んでから売ると、売却代金の15%が先に源泉徴収されます
本日はアメリカ駐在中にニューヨークで家を買うかどうかについて見ていきましょう。
1. 買って売るだけでかかる税。150万ドルなら4万2,375ドル

マンション税と譲渡税は法律で決まった率
100万ドル以上の住宅を買うと、買主にマンション税(価格の1%)がかかります。ニューヨーク州税務局の不動産譲渡税の説明では、マンション税は買主が払うと定めています。売るときは、市の譲渡税(50万ドル超で1.425%)と州の譲渡税(0.4%)がかかります。
| 税 | 率 | 150万ドルの場合 |
|---|---|---|
| 買うとき マンション税 | 1% | 1万5,000ドル |
| 売るとき 市の譲渡税 | 1.425% | 2万1,375ドル |
| 売るとき 州の譲渡税 | 0.4% | 6,000ドル |
| 合計 | 約2.8% | 4万2,375ドル |
市の譲渡税はニューヨーク市財務局、マンション税と州の譲渡税はニューヨーク州税務局の定める率。200万ドル以上ではマンション税に上乗せがある。
税の種類と払う人は購入時の諸費用ガイドとマンション税の記事で詳しく見ています。
2. 2年住むかどうか。売却益の非課税枠の条件

5年のうち2年、持っていて住んでいたこと
IRSの住まいの売却の手引き(Publication 523)では、売る日までの5年のうち24か月以上持ち、24か月以上住んでいれば、売却益のうち25万ドル、夫婦の合算申告なら50万ドルまでを所得から除けます。24か月は続いていなくてもかまいません。
2年に満たなくても、売る主な理由が仕事の異動で、新しい職場が元の職場より50マイル以上家から遠い場合は、非課税枠の一部を使える場合があります。帰任による異動がこれに当たるかは、日付と職場の場所で確かめます。
2年住んだあとに貸しに出しても、住まなくなってから3年以内に売れば「5年のうち2年」の条件は満たせます。ただし、貸していた期間や減価償却の扱いで税額は変わります。住んでから貸す順番と税の記事で計算例を見ています。
3. 帰任のあとに売る。日本に住む人としての税

米国の居住者と、日本に戻ったあとの違い
| 売る時期 | 米国の税 | 日本の税 |
|---|---|---|
| 駐在中(米国の税法上の居住者) | 源泉徴収なし。条件を満たせば非課税枠 | 日本の非居住者なら原則として日本では課税されない |
| 帰任後(日本の居住者) | 売却代金の15%を買主が源泉徴収し、申告で精算 | 譲渡所得として申告。米国で払った税は外国税額控除の対象になり得る |
源泉徴収の率はIRSのFIRPTAの説明による。日本の扱いは住所と期間で変わるため個別の確認が必要。
帰任後に売ると、150万ドルなら22万5,000ドルが先に差し引かれます。取り戻すのは翌年の申告です。FIRPTAで引かれた15%と日本の外国税額控除、円に直したときの為替差益の扱いも別の記事で整理しています。
日本のマイホームの3,000万円特別控除には「住まなくなってから3年を経過する日の属する年の12月31日まで」に売るという期限があります。米国の家に使えるか、駐在中の住まいが要件に当たるかは、個別に確かめる必要があります。
4. 借り続ける場合と比べるときに入れる費用

持つと毎月かかるもの、借りていればかからないもの
家賃と住宅ローンの返済額だけを並べると、買う方が安く見えることがあります。持つと毎月かかる費用を足してから比べます。
- 固定資産税。コンドとコープは区分2で、市場価格の45%を評価額にして税率を掛けます
- 管理費(コンドの共益費、コープのメンテナンス)。建物ごとに違い、毎年見直されます
- 建物の保険と住戸の保険、修繕の一時金
- ローンの金利と、組むときの手数料や登録の税
- 帰任時に売るなら、上で見た譲渡税と売却の諸費用
会社が家賃を負担している場合は、買うと住居費を自分で持つことになります。その差も入れて比べる必要があります。地区ごとの家賃の実額はニューヨークの家賃相場の記事、管理費の考え方は共益費の記事で見ています。
まとめ

帰任までの年数と、帰任後の持ち方で決める
駐在中に買う判断は、家賃との比較だけでは決まりません。150万ドルの住戸なら、売り買いの法定の税だけで4万2,375ドルかかります。2年以上住めば売却益の非課税枠を使え、帰任後に売れば15%の源泉徴収が先に引かれます。
コープは貸し出しを制限する建物が多く、帰任後に貸して持つならコンドの方が選択肢が広がります(買った物件を貸せるかの記事)。ローンの組み方は住宅ローンのガイドで見ています。一般論はここまでで、帰任の時期、ご家族の予定、日本での申告まで含めた判断は個別にご相談ください。
よくある質問
駐在中に家を買って帰任で売ると、どのくらい税がかかりますか。
150万ドルの住戸を買って同じ値段で売る場合、買うときのマンション税1%と、売るときの市の譲渡税1.425%、州の譲渡税0.4%を合わせて4万2,375ドル、約2.8%です。弁護士費用、仲介の報酬、ローンの費用は別にかかります。
売却益に税金はかかりますか。
IRSの手引きでは、売る日までの5年のうち24か月以上持って住んでいれば、売却益のうち25万ドル、夫婦の合算申告なら50万ドルまでを所得から除けます。2年に満たなくても、50マイル以上遠い職場への異動が主な理由なら一部を使える場合があります。
帰任して日本に戻ってから売るとどうなりますか。
米国の税法上の居住者でなくなってから売ると、買主が売却代金の15%を源泉徴収し、翌年の申告で精算します。日本の居住者として売るため日本でも譲渡所得の申告が必要で、米国で払った税は外国税額控除の対象になり得ます。
帰任後も持ち続けて貸すことはできますか。
コンドは比較的貸しやすく、コープは貸し出しを制限する建物が多くあります。2年住んだあとに貸しても、住まなくなってから3年以内に売れば非課税枠の「5年のうち2年」の条件は満たせますが、貸していた期間や減価償却で税額は変わります。
PRACTICE取得・保有・出口の実務(121件)
買うとき
- 物件の探し方 — 情報の仕組みと在庫の実際
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- 利回りか、資産の置き場所か — ニューヨークを選ぶ理由の分かれ目
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- バイヤーエージェント — 買主側につく担当の役割
- アトーニー(弁護士) — 契約と決済で担う役割
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- 価格はどう決まるか — 鑑定と成約事例の読み方
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- マンションタックスと譲渡税 — 100万ドルを超えると変わること
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持っているあいだ
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- 管理会社の選び方 — 費用と契約前の確認事項
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- アメリカの固定資産税は年いくらか — 州別の実効税率と物件価格別の年額
- 減価償却で税を前倒しする — 建物比率と、個人名義・法人名義の違い
- 4年償却は使えるのか — 2020年改正後の正しい姿
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- 保証人と保証会社 — 収入40倍の壁を越える
- 賃貸収入の税務 — 非居住者の源泉徴収と純額課税の選択
- 非居住者の確定申告 — オーナーの年間カレンダー
- 価格の推移 — 10年・5年・直近1年を都市別に見る
- 駐在員の確定申告 — 日米どちらに出すか、FBARの1万ドルの線
- 賃料の日本での申告 — 円換算のレート、償却の制限、外国税額控除
- 国外財産調書と財産債務調書 — 5,000万円と3億円の線
- 法人名義と日本の合算課税 — LLCは日本では外国法人。20%と27%の線
- 日本にいながら賃貸を回す — 管理会社の選び方と契約で決めること
- 家賃を払わない入居者 — 貸主にできることと、できないこと
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出すときと税務
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- 非居住者のキャピタルゲイン税 — 1040NRの申告手順
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- 出口の使い分け — 源泉徴収・1031・セクション121
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- 贈与税はいくらから — 非居住者は生涯控除ゼロ
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- 非居住者の遺産税 — 基礎控除6万ドルの壁
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