ザ・シューマッハ(The Schumacher)は、ノーホーの36ブリーカー・ストリートに建つ20戸のコンドミニアムです。1880年代に印刷会社の社屋として建てられたレンガ造りの建物を、2015年に住宅へ転用しました。設計はモリス・アジミで、外壁と鋳鉄の窓枠を残したまま、内部を天井高の高いロフト住戸に組み替えています。
この建物を取り上げるのは、ノーホーで築古の商業建築を転用した小規模コンドの価格が、新築タワーとは別の物差しで動くからです。戸数が20戸しかなく、取引は年に1〜2件です。物件の紹介だけでなく、外国籍・非居住のまま買う場合の名義と税務の設計まで書きます。
目次
1. 建物の概要。印刷所からロフト住戸へ

ザ・シューマッハは、19世紀末にシューマッハ社という印刷業者の社屋として建てられました。ブリーカー・ストリートとボンド・ストリートの間に位置し、ノーホーに残る鋳鉄建築群の一角にあります。7階建てで、住戸は1ベッドルームから4ベッドルームまで、面積は約1,200から4,000平方フィートです。天井高は4メートル前後の住戸が多く、床から天井までの大きな窓が外壁に並びます。
共用部は、地下のフィットネス、住民用の中庭、ロビーのアート作品、鍵付きの自転車置き場で構成されます。フルタイムのドアマンはおらず、バーチャルドアマンと管理人が対応します。人件費が小さいぶん、維持費は同規模の建物より抑えられています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 所在地 | 36 Bleecker Street, New York, NY 10012(ノーホー) |
| 竣工 | 1880年代建設、2015年に住宅へ転用 |
| 階数・戸数 | 7階建て・20戸 |
| 設計・開発 | モリス・アジミ・アーキテクツ(設計)、スティルマン・デベロップメント(開発) |
| 形態 | コンドミニアム |
| 主な施設 | フィットネス、中庭、バーチャルドアマン、自転車置き場 |
周辺はソーホーとグリニッチビレッジの間にあり、地下鉄6系統のブリーカー・ストリート駅とB・D・F・M系統のブロードウェイ・ラファイエット駅が徒歩3分です。
2. 価格の位置づけ。ノーホーの転用コンドの物差し

分譲時の価格は、1ベッドルームが250万ドル前後、2ベッドルームが400万〜600万ドル、3ベッドルーム以上が700万〜1,400万ドルでした。平方フィート単価は2,000〜2,800ドルの範囲に収まり、最上階のペントハウスは3,000ドルを超えています。分譲後の再販は年に1〜2件で、価格は分譲時とほぼ同じ水準で推移しています。
同じ転用コンドのパック・ビルディングは単価3,500〜4,500ドルで、シューマッハより3〜4割高くなります。ソーホーの42クロスビーと10サリバンは新築で、単価は2,500〜3,500ドルです。シューマッハは転用建築の中では価格が抑えられ、ロフトの天井高と外観を重視する買い手に選ばれています。
流動性は低く、売り出しから成約まで6〜12ヶ月かかった例があります。20戸のうち売りに出るのは年に1戸か2戸で、欲しい住戸が出るまで待つ買い方になります。売却時も同じ条件になるため、保有期間を10年以上と考えて買う建物です。
3. 賃料と維持費の釣り合い。20戸で分ける管理費

賃貸に出す場合の家賃は、1ベッドルームが月9,000〜1万2,000ドル、2ベッドルームが1万5,000〜2万2,000ドル、3ベッドルームが2万5,000〜3万5,000ドルです。年間賃料を購入価格で割った表面利回りは3.5%前後で、新築タワーの3%台前半よりやや高くなります。
コモンチャージは平方フィートあたり年間15〜18ドルで、ドアマンがいないぶん低めです。固定資産税は年間18〜22ドルで、421-aの減税は付いていません。2ベッドルーム1,800平方フィートなら、コモンチャージと固定資産税の合計は年間6万〜7万2,000ドルになります。コモンチャージの中身と適正水準で内訳の見方をまとめています。
維持費を引いた実質利回りは2.0〜2.4%です。20戸の建物は、屋根やエレベーターの大規模修繕を20戸で割るため、1戸あたりの一時金が大きくなります。築140年の建物なので、購入前に理事会の財務書類と修繕計画を読み、積立金の残高と過去5年の特別徴収の有無を確認してください。
4. 購入の実務と名義の設計
ザ・シューマッハはコンドミニアムなので、外国籍・非居住のまま購入でき、理事会の承認面接はありません。名義は個人、LLC、信託のいずれも選べます。賃貸に出す場合の制限は規約で確認します。20戸の建物では、賃貸の最短期間を1年以上と定めている例が多くあります。
賃料を得る場合、非居住者は賃料総額の30%の源泉徴収が原則で、確定申告を選ぶと経費を引いた純額への課税に切り替えられます。LLC名義で保有する場合の税務はLLC名義での保有と税務で、売却時のFIRPTAの源泉徴収も同じ流れで確認できます。
個人名義のまま非居住者が亡くなると、米国の遺産税は基礎控除が6万ドルしかなく、最高税率40%が超過分にかかります。名義の設計は、購入後に変えると譲渡税がかかるため、契約前に決めます。取引の際には、住戸ごとの状況と最新の税務を、契約書と書面で確認してください。
5. まとめ
ザ・シューマッハは、ノーホーの印刷所を転用した20戸のコンドで、単価2,000〜2,800ドルはパック・ビルディングより3〜4割低い水準です。表面利回りは3.5%前後で、ドアマンなしの維持費が支えています。取引は年に1〜2件なので、長期保有を前提に、名義と税務を契約前に決めておきます。買い方の全体はニューヨーク不動産の購入ガイド、来米せずに進める手順は日本からの遠隔購入にまとめています。
売り出し状況と、非公開で動いている住戸のご案内も承っております。
よくある質問
ザ・シューマッハの価格はいくらですか。
ザ・シューマッハの住戸は、2ベッドルームで400万〜600万ドル、3ベッドルーム以上で700万〜1,400万ドルが目安です。平方フィート単価は2,000〜2,800ドルで、同じ転用コンドのパック・ビルディングより3〜4割低い水準です。
ザ・シューマッハの維持費はどのくらいかかりますか。
コモンチャージは平方フィートあたり年間15〜18ドル、固定資産税は18〜22ドルです。2ベッドルーム1,800平方フィートなら合計で年間6万〜7万2,000ドルになります。築140年の建物なので、修繕積立金の残高も購入前に確認します。
ザ・シューマッハは外国籍のまま買えますか。
ザ・シューマッハはコンドミニアムなので、外国籍・非居住のまま購入できます。名義は個人、LLC、信託から選べ、賃貸に出す場合の最短期間は規約で確認します。契約前に名義を決めておくと、後からの変更にかかる譲渡税を避けられます。
パック・ビルディングとはどう選び分けますか。
パック・ビルディングは6戸の大型住戸で単価3,500〜4,500ドル、ザ・シューマッハは20戸で単価2,000〜2,800ドルです。天井高と外観は共通しており、予算と住戸の広さで分かれます。取引の少なさは両方に共通するため、どちらも長期保有が前提です。
所在地
36 Bleecker Street, New York, NY 10012。位置はGoogleマップでご確認いただけます。
BUILDINGS
ニューヨークの主な建物。名義と税務の観点から
ビリオネアズロウと57丁目
- セントラルパークタワー — 世界一高い住宅ビル
- One57 — ビリオネアズロウの先駆け
- 432 Park Avenue — 正方形窓の超高層
- 220 Central Park South — 全米住宅最高額の記録
- 111 West 57th — 世界で最も細い超高層
- 53 West 53rd — 近代美術館の上に住む
- Mandarin Oriental Fifth — ホテルブランドの住まい
- エセックスハウス — 公園南のアールデコ
- オズボーン — 1885年の石積み
セントラルパーク西の戦前建築
- ダコタハウス — 1884年、市内最初期の高級住宅
- サンレモ — エメリー・ロスのツインタワー
- ベレスフォード — 三本の塔と博物館の眺め
- エルドラド — 公園西の最北、貯水池の眺望
- センチュリー — 公園西で最も中心に近い
- マジェスティック — ダコタの向かい、急行駅前
- One Central Park West — コロンバスサークルの角
- 15 Central Park West — 新築で戦前の風格
パークアベニューとイーストサイド
- 740 Park Avenue — 世界で最も入りにくい住宅
- 520 Park Avenue — 戦前の格を新築で
- オリンピックタワー — 五番街の複合の先駆け
- リッツ・カールトン・レジデンス — ホテルブランドの実際
- シェリーネザーランド — ホテル機能を持つコープ
- リバーハウス — 川に正対する名門コープ
- One Sutton Place South — 借地の上に立つ建物
- サットンタワー — イーストリバー沿いの新築120戸
- 252イースト57丁目 — 分譲と賃貸が同じ塔、値下げの履歴
- ワンビーコンコート — オフィスの上に住む複合ビル
- 200イースト59 — 全戸テラス67戸、屋外面積の評価
- マンハッタンハウス — 戦後モダニズムの代表作
- ウォルドーフ・アストリア — 歴史的ホテルの住宅転用
- プラザ・レジデンス — 1907年の名門ホテル
- アマン・ニューヨーク — クラウンビルの最上位ブランド
- 400 Fifth Avenue — 商業地区に住むという選択
アッパーウエストとグラマシー
- アンソニア — ホテルから賃貸、コンドへ
- アプソープ — 1908年の中庭型、名義の自由
- ベルノード — 賃貸から分譲への転換
- 200 Amsterdam — 建築許可をめぐる訴訟
- 50 Gramercy Park North — 公園の鍵という権利
- マディソンハウス — ノマドの新築タワーと管理費
- 30イースト31 — 42戸の細身タワーの価格帯
- ワンマディソン — 築10年超の53戸と転売
- 277フィフスアベニュー — 5番街の住所は価格に乗るか
ダウンタウンとトライベッカ
- ウールワースタワー — 1913年の超高層に住む
- ワンウォールストリート — オフィス転用と減税
- ザ・グリニッジ — 125グリニッジの88階建て273戸
- 25パークロウ — シティホール公園向きの価格差
- 77グリニッジ — 小学校を抱えた90戸の価格交渉
- ワン・ビークマン — シティホール・パーク前のフロア1戸31戸
- 56 Leonard Street — 新築分譲の取得コスト
- 111 Murray Street — 大型間取りの市場
- 130 William — 固定資産税の読み方
- 30 Park Place — ホテル併設レジデンス
- 45パークプレイス — SOM設計50戸と値引き後の価格
- 100バークレー — 1927年電話局を改装した157戸
- 101ウォーレン — フルブロック227戸の価格帯
- 200チェンバーズ — プール付き258戸の維持費
- ビークマン・レジデンス — 賃貸運用向けの間取り
- 443 Greenwich — 倉庫転用と面積表示
- 565ブルームソーホー — レンゾ・ピアノ設計の112戸
- 42クロスビー — 10戸と100万ドルの駐車場の評価
- 10サリバン — ソーホー西端の22戸と小規模コンドの注意
- 108レナード — ランドマーク改装の167戸
- グリニッチレーン — 5棟とタウンハウスの構成
- 130ウエスト12丁目 — 病院跡コンバージョンの評価
- パックビルディング — 6戸だけのペントハウス
- ザ・シューマッハ(この記事)
- 70ベストリー — 川沿い46戸、少数戸を持つ意味
- 160レロイ — ウエストビレッジ川沿い57戸の値付け
- 150チャールズ — 低層91戸と中庭の維持費
- One Manhattan Square — 大型タワーの出口
- ワンハイライン(旧XI) — 開発会社の破綻と再生
ハイライン・ハドソンヤーズ
- 520 West 28th — ザハ・ハディド唯一のNY住宅
- ランタンハウス — デベロッパーの実績の見方
- 100 Eleventh Avenue — ガラス外壁の維持費
- 15 Hudson Yards — 新開発地区の評価
- 35 Hudson Yards — 似た2棟をどう比べるか
- ハドソンヤーズの住宅 — 竣工前契約の実務
- ザ・コートランド — レンガ外装と資産価値
- ウォーカータワー — 電話局のコンバージョン
- 25 Columbus Circle — 建物の改名と資産価値
ブルックリンとクイーンズ
- ブルックリンタワー — 区で初めての超高層
- ブルックリンポイント — 屋上プールの高層
- クワイタワー — 公園に守られた眺望
- ワン・ブルックリンブリッジパーク — 倉庫転用の449戸と公園への支払い
- イレブン・ホイト — 481戸の価格帯と減税の残存年数
- スカイラインタワー — クイーンズ最高層
- オリンピア・ダンボ — ブルックリン最高額の物差し
比較の全体像はビリオネアズロウ主要タワーの比較をご覧ください。
購入の実務ガイド
NEIGHBOURHOODSニューヨークの街と、他都市との比較(37件)
マンハッタンの街
- アッパーウエストサイド — 戦前の名建築と子育て環境
- カーネギーヒル — 美術館の並びに住む
- ヨークビル — 地下鉄新線が変えた買い場
- タートルベイ — 国連の街の静かな買い場
- グラマシー — 鍵のある公園に面した街
- フラットアイアン — ロフトの広さと価格
- ノマド — マンハッタン中央部の相場
- チェルシー — ハイライン沿いのレジデンス
- ウエストヴィレッジ — 石畳の歴史地区
- グリニッチビレッジ — 低層の街と戦前コープ
- ノーホー — 数ブロックのロフト一等地
- ソーホー — ロフト市場の実態
- ロウアーイーストサイド — 変わり続ける街の値段
- 金融地区 — ウォール街に暮らす
- ハーレム — ブラウンストーン1棟と賃料規制
ブルックリンの街
- ブルックリンハイツ — 全米初の歴史保存地区
- コブルヒル — ランドマーク地区のブラウンストーン
- キャロルガーデンズ — 住みながら貸す二戸建て
- ボーラムヒル — 学区の境界は住所ごとに違う
- フォートグリーン — コープが多い地区で海外から買う
- プロスペクトハイツ — 固定資産税の減税が切れる日
- ダウンタウンブルックリン — 供給が集中した地区の出口
- ダンボ — 倉庫街から高級住宅地へ
- グリーンポイント — 水辺エリアの家賃相場
ニューヨークを他の都市と比べる
- 東京 — 価格・価値観・法規制の違い
- ロサンゼルス — 戸建ての街と縦の街
- マイアミ — 税金ゼロの魅力と流動性
- ハワイ — 持ちたい場所として比べる
- トロント・バンクーバー — 外国人購入禁止の国と開かれた市場
- パリ — 石の街の資産と縦の街の資産
- 香港 — アジアの富の置き場所
- シドニー — 外国人規制の壁
- ロンドン — 英米の不動産投資の違い
- 世界の主要都市 — ドバイ・シンガポール・ロンドン・東京
- 全米の主要都市 — 価格・家賃・利回り・値上がり率
- 米国内の他都市 — ニューヨークだけが違う7点
- 日米の投資比較 — 利回り・税制・リスク
エリアの全体像と購入の実務
本ページの相場、利回り、所要時間などの数値は、一般に公開されているデータや当社の取引経験にもとづく目安です。物件、時期、条件によって実際とは異なる場合があり、当社が正確性および最新性を保証するものではありません。犯罪発生状況はニューヨーク市警などの公的機関が地区ごとの統計を公開しているため、そちらの数字をご確認ください。当社は入居者や購入者の国籍、人種、出身、宗教、家族構成によって物件やエリアをお勧めすることはいたしません。本ページの内容は情報提供のみを目的としており、投資勧誘や税務助言には当たりません。

















