45パークプレイス(45 Park Place)は、トライベッカの南端、ワールドトレードセンターの北側に2019年に完成した43階建て50戸のコンドミニアムです。設計はSOM(スキッドモア・オーウィングス・アンド・メリル)、内装はイタリアのピエロ・リッソーニが担当し、全戸が2ベッドルーム以上の大型住戸で構成されています。
この建物を題材にするのは、分譲時の強気な価格が市場に受け入れられず、その後の値引きを経て現在の価格帯に落ち着いた経緯が、ダウンタウンの新築コンドの値付けを読むうえで分かりやすいためです。物件の紹介だけでなく、外国籍・非居住のまま買う場合の名義と税務の設計まで書きます。
目次
1. 建物の概要。43階建て・50戸

45パークプレイスは、パークプレイスとウエストブロードウェイの角、ワールドトレードセンターから北へ1ブロックの場所に建っています。トライベッカの南端で、行政上はトライベッカとフィナンシャルディストリクトの境目にあたります。細身の塔で、外壁はガラスと白い縦のフレームで構成され、周囲のオフィス街の中で住宅として目立つ形をしています。
住戸は50戸のみで、2ベッドルームから4ベッドルーム、上層階にはフルフロアのペントハウスがあります。1戸あたりの面積は約190平米から400平米超と大きく、ワンベッドルームやスタジオはありません。共用部には25階に約15メートルのプール、フィットネス、サウナ、ラウンジがあり、24時間のドアマンが常駐します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 所在地 | 45 Park Place, New York, NY 10007(トライベッカ) |
| 竣工 | 2019年 |
| 階数・戸数 | 43階建て・50戸 |
| 設計・開発 | SOM(設計)、ピエロ・リッソーニ(内装)、Soho Properties(開発) |
| 形態 | コンドミニアム |
| 主な施設 | プール、フィットネス、サウナ、ラウンジ、24時間ドアマン |
エリアの成り立ちと周辺の建物については、トライベッカのエリア記事とフィナンシャルディストリクトのエリア記事にまとめています。
2. 価格の位置づけ。分譲時からの値引きと現在の水準

45パークプレイスは2017年の分譲開始時、平方フィートあたり2,000ドル台後半という、トライベッカでも上位の価格で売り出されました。しかし販売は進まず、2020年以降に1割から2割の値引きを経て、平方フィートあたり1,700ドルから2,100ドル前後の水準で成約が積み上がっています。目安として、2ベッドルームが350万ドルから450万ドル、3ベッドルームが550万ドルから800万ドル、ペントハウスは1,500万ドルを超えます。
比較すると、同じトライベッカの56レナードは平方フィートあたり2,500ドルから3,000ドル、111マレーは2,200ドルから2,600ドルで動いています。45パークプレイスはこの2棟より2割から3割安く、住戸の面積は同等以上です。トライベッカの住所で大型の新築住戸を、平方フィート単価を抑えて持ちたい方に向く建物です。
単価が抑えられている理由は、立地がトライベッカの中心部から離れてオフィス街に近いこと、そして分譲時の価格設定が高すぎた印象が残っていることです。建物の質そのものは、SOMの設計とリッソーニの内装で、隣接する30パークプレイスと比べても見劣りしません。市場が付けた割引を、購入者が受け取れる状態になっています。
3. 賃料と維持費の釣り合い。大型住戸の貸しにくさ

賃貸に出す場合、2ベッドルームで月12,000ドルから16,000ドル、3ベッドルームで月18,000ドルから25,000ドルが目安です。ただし、この価格帯の借り手は数が限られ、募集から成約まで2ヶ月から3ヶ月かかることも珍しくありません。大型住戸は空室期間が長くなりやすい点を、収支に織り込んでおく必要があります。
維持費は、コモンチャージが月1平方フィートあたり1.8ドルから2.2ドル、固定資産税が同じく1.5ドルから2.0ドル前後で、2ベッドルームであれば合わせて月7,000ドルから9,000ドルになります。プールとフルタイムのスタッフを50戸で分担するため、1戸あたりの負担は戸数の多い建物より重くなります。コモンチャージの構造はコモンチャージの中身と適正水準で解説しています。
表面利回りは3%台半ば、維持費と空室を差し引いた手取りの利回りは2%前後です。賃料収入で持つ建物ではなく、資産の置き場所として、値引き後の単価で買った分の値戻りを待つ建物と考えるのが実態に近いです。
4. 購入の実務と名義の設計
45パークプレイスはコンドミニアムなので、外国籍・非居住のまま購入でき、理事会の承認面接はありません。LLCや信託の名義で買うこともできます。個人名義で賃貸に出す場合、非居住者の賃料には30%の源泉徴収がかかり、これを避けるには確定申告で純所得課税を選ぶ届出が必要です。LLC名義の考え方はLLC名義での保有と税務にまとめています。
売却時には、非居住者の売主に対して売却額の15%が源泉徴収されます(FIRPTAの源泉徴収)。また、非居住者が個人名義で米国不動産を持ったまま亡くなると、遺産税の基礎控除は6万ドルしかなく、最高40%の税率がかかります。400万ドルの住戸であれば、名義の設計をしていない場合の負担は大きくなります。
名義の設計は、購入後に変えると譲渡税がかかるため、契約前に決めます。この建物は値引き後の価格で買えるぶん、取得時の譲渡税やマンションタックス(100万ドル以上で1%から)も相対的に小さくなりますが、出口の税務は価格ではなく名義で決まります。取引の際には、住戸ごとの状況と最新の税務を、契約書と書面で確認してください。
5. まとめ
45パークプレイスは、トライベッカの住所と大型の新築住戸を、周辺の新築コンドより2割から3割安い単価で持てる建物です。賃料で回す物件ではなく、割引された単価の値戻りを待ちながら、ドル資産として置いておく使い方が合っています。購入の全体の流れはニューヨーク不動産の購入ガイドに、日本にいながら進める手順は日本からの遠隔購入にまとめています。
売り出し状況と、非公開で動いている住戸のご案内も承っております。
よくある質問
45パークプレイスは分譲時より安く買えますか。
分譲開始時の平方フィートあたり2,000ドル台後半に対し、2020年以降は1,700ドルから2,100ドル前後で成約が続いています。値引き後の水準が現在の相場になっており、分譲時の価格を基準に考える必要はありません。
45パークプレイスに小さい住戸はありますか。
ありません。50戸すべてが2ベッドルーム以上で、面積は約190平米から400平米超です。ワンベッドルームやスタジオを探している場合は、同じトライベッカでも別の建物が対象になります。
45パークプレイスを外国籍のまま買えますか。
コンドミニアムなので、外国籍・非居住のまま購入でき、理事会の承認面接はありません。LLCや信託の名義でも買えます。賃料の源泉徴収や遺産税の扱いは名義で変わるため、契約前に設計します。
45パークプレイスの維持費はどれくらいですか。
コモンチャージと固定資産税を合わせて、2ベッドルームで月7,000ドルから9,000ドルが目安です。50戸でプールとスタッフを分担するため、戸数の多い建物より1戸あたりの負担は重くなります。
所在地
45 Park Place, New York, NY 10007。位置はGoogleマップでご確認いただけます。
BUILDINGS
ニューヨークの主な建物。名義と税務の観点から
ビリオネアズロウと57丁目
- セントラルパークタワー — 世界一高い住宅ビル
- One57 — ビリオネアズロウの先駆け
- 432 Park Avenue — 正方形窓の超高層
- 220 Central Park South — 全米住宅最高額の記録
- 111 West 57th — 世界で最も細い超高層
- 53 West 53rd — 近代美術館の上に住む
- Mandarin Oriental Fifth — ホテルブランドの住まい
- エセックスハウス — 公園南のアールデコ
- オズボーン — 1885年の石積み
セントラルパーク西の戦前建築
- ダコタハウス — 1884年、市内最初期の高級住宅
- サンレモ — エメリー・ロスのツインタワー
- ベレスフォード — 三本の塔と博物館の眺め
- エルドラド — 公園西の最北、貯水池の眺望
- センチュリー — 公園西で最も中心に近い
- マジェスティック — ダコタの向かい、急行駅前
- One Central Park West — コロンバスサークルの角
- 15 Central Park West — 新築で戦前の風格
パークアベニューとイーストサイド
- 740 Park Avenue — 世界で最も入りにくい住宅
- 520 Park Avenue — 戦前の格を新築で
- オリンピックタワー — 五番街の複合の先駆け
- リッツ・カールトン・レジデンス — ホテルブランドの実際
- シェリーネザーランド — ホテル機能を持つコープ
- リバーハウス — 川に正対する名門コープ
- One Sutton Place South — 借地の上に立つ建物
- サットンタワー — イーストリバー沿いの新築120戸
- 252イースト57丁目 — 分譲と賃貸が同じ塔、値下げの履歴
- ワンビーコンコート — オフィスの上に住む複合ビル
- 200イースト59 — 全戸テラス67戸、屋外面積の評価
- マンハッタンハウス — 戦後モダニズムの代表作
- ウォルドーフ・アストリア — 歴史的ホテルの住宅転用
- プラザ・レジデンス — 1907年の名門ホテル
- アマン・ニューヨーク — クラウンビルの最上位ブランド
- 400 Fifth Avenue — 商業地区に住むという選択
アッパーウエストとグラマシー
- アンソニア — ホテルから賃貸、コンドへ
- アプソープ — 1908年の中庭型、名義の自由
- ベルノード — 賃貸から分譲への転換
- 200 Amsterdam — 建築許可をめぐる訴訟
- 50 Gramercy Park North — 公園の鍵という権利
- マディソンハウス — ノマドの新築タワーと管理費
- 30イースト31 — 42戸の細身タワーの価格帯
- ワンマディソン — 築10年超の53戸と転売
- 277フィフスアベニュー — 5番街の住所は価格に乗るか
ダウンタウンとトライベッカ
- ウールワースタワー — 1913年の超高層に住む
- ワンウォールストリート — オフィス転用と減税
- ザ・グリニッジ — 125グリニッジの88階建て273戸
- 25パークロウ — シティホール公園向きの価格差
- 77グリニッジ — 小学校を抱えた90戸の価格交渉
- ワン・ビークマン — シティホール・パーク前のフロア1戸31戸
- 56 Leonard Street — 新築分譲の取得コスト
- 111 Murray Street — 大型間取りの市場
- 130 William — 固定資産税の読み方
- 30 Park Place — ホテル併設レジデンス
- 45パークプレイス(この記事)
- 100バークレー — 1927年電話局を改装した157戸
- 101ウォーレン — フルブロック227戸の価格帯
- 200チェンバーズ — プール付き258戸の維持費
- ビークマン・レジデンス — 賃貸運用向けの間取り
- 443 Greenwich — 倉庫転用と面積表示
- 565ブルームソーホー — レンゾ・ピアノ設計の112戸
- 42クロスビー — 10戸と100万ドルの駐車場の評価
- 10サリバン — ソーホー西端の22戸と小規模コンドの注意
- 108レナード — ランドマーク改装の167戸
- グリニッチレーン — 5棟とタウンハウスの構成
- 130ウエスト12丁目 — 病院跡コンバージョンの評価
- パックビルディング — 6戸だけのペントハウス
- ザ・シューマッハ — 印刷所転用20戸の維持費
- 70ベストリー — 川沿い46戸、少数戸を持つ意味
- 160レロイ — ウエストビレッジ川沿い57戸の値付け
- 150チャールズ — 低層91戸と中庭の維持費
- One Manhattan Square — 大型タワーの出口
- ワンハイライン(旧XI) — 開発会社の破綻と再生
ハイライン・ハドソンヤーズ
- 520 West 28th — ザハ・ハディド唯一のNY住宅
- ランタンハウス — デベロッパーの実績の見方
- 100 Eleventh Avenue — ガラス外壁の維持費
- 15 Hudson Yards — 新開発地区の評価
- 35 Hudson Yards — 似た2棟をどう比べるか
- ハドソンヤーズの住宅 — 竣工前契約の実務
- ザ・コートランド — レンガ外装と資産価値
- ウォーカータワー — 電話局のコンバージョン
- 25 Columbus Circle — 建物の改名と資産価値
ブルックリンとクイーンズ
- ブルックリンタワー — 区で初めての超高層
- ブルックリンポイント — 屋上プールの高層
- クワイタワー — 公園に守られた眺望
- ワン・ブルックリンブリッジパーク — 倉庫転用の449戸と公園への支払い
- イレブン・ホイト — 481戸の価格帯と減税の残存年数
- スカイラインタワー — クイーンズ最高層
- オリンピア・ダンボ — ブルックリン最高額の物差し
比較の全体像はビリオネアズロウ主要タワーの比較をご覧ください。
購入の実務ガイド
NEIGHBOURHOODSニューヨークの街と、他都市との比較(37件)
マンハッタンの街
- アッパーウエストサイド — 戦前の名建築と子育て環境
- カーネギーヒル — 美術館の並びに住む
- ヨークビル — 地下鉄新線が変えた買い場
- タートルベイ — 国連の街の静かな買い場
- グラマシー — 鍵のある公園に面した街
- フラットアイアン — ロフトの広さと価格
- ノマド — マンハッタン中央部の相場
- チェルシー — ハイライン沿いのレジデンス
- ウエストヴィレッジ — 石畳の歴史地区
- グリニッチビレッジ — 低層の街と戦前コープ
- ノーホー — 数ブロックのロフト一等地
- ソーホー — ロフト市場の実態
- ロウアーイーストサイド — 変わり続ける街の値段
- 金融地区 — ウォール街に暮らす
- ハーレム — ブラウンストーン1棟と賃料規制
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エリアの全体像と購入の実務
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