サットンタワー(430 East 58th Street)は、マンハッタンの東端、サットンプレイスに2022年に完成した62階建て・120戸のコンドミニアムです。イーストリバーとクイーンズボロ橋を見下ろす細長い塔で、住戸の大半が川に面しています。
この建物を題材にするのは、ビリオネアズロウと同じ高さと眺望を持ちながら、平方フィート単価が一段低いからです。同じ予算で1つ広い型の住戸が買える、という差がどこから来るのかを見ると、ニューヨークで数億円を置く場所を選ぶ基準がはっきりします。
1. 建物の概要。62階建て・120戸

サットンタワーは、ガンマ・リアルエステートの開発で、設計と内装をトーマス・ユール・ハンセンが手がけました。2019年に着工し、2022年に完成しています。1階あたりの住戸を2戸に抑えた階が多く、角部屋の比率が高いことが特徴です。
共用施設は、川に面したプール、ジム、ラウンジ、屋上テラス、ゲスト用スイートが入ります。住戸は1ベッドルームから4ベッドルームまでで、上層は1フロアに1戸の型もあります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 所在地 | 430 East 58th Street, New York(サットンプレイス) |
| 竣工 | 2022年 |
| 階数・戸数 | 62階建て・120戸 |
| 設計・開発 | トーマス・ユール・ハンセン/ガンマ・リアルエステート |
| 形態 | コンドミニアム |
| 主な施設 | プール、ジム、ラウンジ、屋上テラス、ゲストスイート |
サットンプレイスは、ミッドタウンの東端で川に沿って低層の住宅が並ぶ静かな一角です。周辺の成り立ちはミッドタウンイーストのエリア記事に、隣に立つ古い高級コンドミニアムはワンサットンプレイスにまとめています。
2. ビリオネアズロウとの価格差はどこから来るか

サットンタワーの分譲価格は、2ベッドルームが200万ドル台後半から、3ベッドルームが400万ドル台から、上層の広い住戸が1,000万ドル台でした。平方フィート単価にすると、ワン57や432パークアベニューの半分前後の水準です。
差の理由は3つあります。1つ目は立地で、セントラルパークを見下ろす通りではなく、川沿いの住宅地であること。2つ目は、建物の名前と設計者が世界的に知られているかどうか。3つ目は、買い手の層で、ビリオネアズロウは世界中の資産家が1戸の値段を競う市場ですが、サットンプレイスはニューヨークに住む人が実際に使う住戸を買う市場です。
日本から資産を置く目的で選ぶなら、この差の意味を考えます。ビリオネアズロウの単価には、名前に対する上乗せが含まれます。上乗せは市況がよいときに大きく膨らみ、悪いときに先に縮みます。サットンタワーのような建物は、上乗せの部分が薄いぶん、下がるときの幅も小さい傾向があります。
反対に、転売で大きく上回る値段がつく期待は薄い建物です。値上がりを狙うのではなく、同じ予算で広い住戸をドル資産として持つ、という目的に向いています。
3. 維持費と賃貸の見通し

コモンチャージは、120戸で川沿いのプールと屋上を分担するため、1平方フィートあたりで見ると新築の中では高めの部類です。2ベッドルームで月2,000ドル前後、固定資産税を合わせると月4,000ドル台になる住戸が多くあります。
賃貸に出す場合、2ベッドルームで月1万ドル台、3ベッドルームで1万5,000ドル前後の水準です。維持費と管理の費用を引いた手取りの利回りは2%前後で、ニューヨークの新築コンドミニアムとしては標準の範囲です。
この建物は、賃料で維持費を賄いながら置いておく用途には向きますが、賃貸の需要はノマドやミッドタウンの中心部より薄い点を織り込みます。駅から離れた川沿いの立地は、住む人には静けさとして評価されますが、借りる人には通勤の不便として映ります。空室の期間をやや長めに見ておきます。
コモンチャージの中身と積立金の見方はコモンチャージの中身と適正水準にまとめています。新築のため大規模修繕はまだ先ですが、川に面した外壁とガラスの保守費は、内陸の建物より重くなります。
4. 購入の実務と名義の設計
サットンタワーはコンドミニアムのため、外国籍・非居住のまま購入できます。コープのような理事会審査はなく、法人名義やトラスト名義での保有も規約の範囲で可能です。
賃貸に出す前提なら、名義は法人を先に検討します。非居住者が個人名義で貸すと、賃料に対する源泉徴収が30%かかり、申告で経費を引く選択をしないと手取りが大きく減ります。LLC名義での保有と税務に整理したとおり、LLCを通すことで賃料の受け取り、経費の計上、将来の売却や相続の扱いを一本の設計に収められます。
相続を見通すなら、米国の遺産税の非居住者控除が6万ドルしかない点を、買う前に織り込みます。売却時にはFIRPTAの源泉徴収が売却価格に対してかかり、還付は翌年の申告後になります。
取引の際には、対象住戸と同じ向きの直近の成約、建物内の売り出し戸数、賃貸中の戸数の割合、開発会社が保有したままの未売却住戸の数を書面で確認してください。未売却住戸が多い建物では、開発会社の値引きが転売価格の上限になります。
5. まとめ
サットンタワーは、ビリオネアズロウと同じ高さと眺望を、名前の上乗せがないぶん低い単価で持てる建物です。値上がりを狙う建物ではなく、同じ予算で広い住戸をドル資産として置き、賃料で維持費を賄う目的に合います。名義と税務の設計は、貸すかどうかを先に決めてから組みます。
購入手順の全体像はニューヨーク不動産の購入ガイドに、日本からの進め方は日本からの遠隔購入にまとめています。
売り出し状況と、非公開で動いている住戸のご案内も承っております。
よくある質問
サットンタワーはどこにありますか。
マンハッタンのサットンプレイス、430 East 58th Streetです。イーストリバーとクイーンズボロ橋に面した東端の住宅地で、地下鉄は59丁目レキシントンアベニュー駅が最寄りです。
サットンタワーは何戸ありますか。
62階建てで120戸です。1階あたり2戸の階が多く角部屋の比率が高い構成で、上層には1フロア1戸の型もあります。
ビリオネアズロウとの価格差はどのくらいですか。
分譲時の平方フィート単価で見ると、ワン57や432パークアベニューの半分前後の水準でした。立地、建物の知名度、買い手の層の3つが差の理由です。
外国籍でも購入できますか。
コンドミニアムのため、外国籍・非居住のまま購入でき、法人名義やトラスト名義での保有も規約の範囲で可能です。コープのような理事会審査はありません。
所在地
430 East 58th Street, New York。位置はGoogleマップでご確認いただけます。
BUILDINGS
ニューヨークの主な建物。名義と税務の観点から
ビリオネアズロウと57丁目
- セントラルパークタワー — 世界一高い住宅ビル
- One57 — ビリオネアズロウの先駆け
- 432 Park Avenue — 正方形窓の超高層
- 220 Central Park South — 全米住宅最高額の記録
- 111 West 57th — 世界で最も細い超高層
- 53 West 53rd — 近代美術館の上に住む
- Mandarin Oriental Fifth — ホテルブランドの住まい
- エセックスハウス — 公園南のアールデコ
- オズボーン — 1885年の石積み
セントラルパーク西の戦前建築
- ダコタハウス — 1884年、市内最初期の高級住宅
- サンレモ — エメリー・ロスのツインタワー
- ベレスフォード — 三本の塔と博物館の眺め
- エルドラド — 公園西の最北、貯水池の眺望
- センチュリー — 公園西で最も中心に近い
- マジェスティック — ダコタの向かい、急行駅前
- One Central Park West — コロンバスサークルの角
- 15 Central Park West — 新築で戦前の風格
パークアベニューとイーストサイド
- 740 Park Avenue — 世界で最も入りにくい住宅
- 520 Park Avenue — 戦前の格を新築で
- オリンピックタワー — 五番街の複合の先駆け
- リッツ・カールトン・レジデンス — ホテルブランドの実際
- シェリーネザーランド — ホテル機能を持つコープ
- リバーハウス — 川に正対する名門コープ
- One Sutton Place South — 借地の上に立つ建物
- サットンタワー(この記事)
- 252イースト57丁目 — 分譲と賃貸が同じ塔、値下げの履歴
- ワンビーコンコート — オフィスの上に住む複合ビル
- 200イースト59 — 全戸テラス67戸、屋外面積の評価
- マンハッタンハウス — 戦後モダニズムの代表作
- ウォルドーフ・アストリア — 歴史的ホテルの住宅転用
- プラザ・レジデンス — 1907年の名門ホテル
- アマン・ニューヨーク — クラウンビルの最上位ブランド
- 400 Fifth Avenue — 商業地区に住むという選択
アッパーウエストとグラマシー
- アンソニア — ホテルから賃貸、コンドへ
- アプソープ — 1908年の中庭型、名義の自由
- ベルノード — 賃貸から分譲への転換
- 200 Amsterdam — 建築許可をめぐる訴訟
- 50 Gramercy Park North — 公園の鍵という権利
- マディソンハウス — ノマドの新築タワーと管理費
- 30イースト31 — 42戸の細身タワーの価格帯
- ワンマディソン — 築10年超の53戸と転売
- 277フィフスアベニュー — 5番街の住所は価格に乗るか
ダウンタウンとトライベッカ
- ウールワースタワー — 1913年の超高層に住む
- ワンウォールストリート — オフィス転用と減税
- ザ・グリニッジ — 125グリニッジの88階建て273戸
- 25パークロウ — シティホール公園向きの価格差
- 77グリニッジ — 小学校を抱えた90戸の価格交渉
- ワン・ビークマン — シティホール・パーク前のフロア1戸31戸
- 56 Leonard Street — 新築分譲の取得コスト
- 111 Murray Street — 大型間取りの市場
- 130 William — 固定資産税の読み方
- 30 Park Place — ホテル併設レジデンス
- 45パークプレイス — SOM設計50戸と値引き後の価格
- 100バークレー — 1927年電話局を改装した157戸
- 101ウォーレン — フルブロック227戸の価格帯
- 200チェンバーズ — プール付き258戸の維持費
- ビークマン・レジデンス — 賃貸運用向けの間取り
- 443 Greenwich — 倉庫転用と面積表示
- 565ブルームソーホー — レンゾ・ピアノ設計の112戸
- 42クロスビー — 10戸と100万ドルの駐車場の評価
- 10サリバン — ソーホー西端の22戸と小規模コンドの注意
- 108レナード — ランドマーク改装の167戸
- グリニッチレーン — 5棟とタウンハウスの構成
- 130ウエスト12丁目 — 病院跡コンバージョンの評価
- パックビルディング — 6戸だけのペントハウス
- ザ・シューマッハ — 印刷所転用20戸の維持費
- 70ベストリー — 川沿い46戸、少数戸を持つ意味
- 160レロイ — ウエストビレッジ川沿い57戸の値付け
- 150チャールズ — 低層91戸と中庭の維持費
- One Manhattan Square — 大型タワーの出口
- ワンハイライン(旧XI) — 開発会社の破綻と再生
ハイライン・ハドソンヤーズ
- 520 West 28th — ザハ・ハディド唯一のNY住宅
- ランタンハウス — デベロッパーの実績の見方
- 100 Eleventh Avenue — ガラス外壁の維持費
- 15 Hudson Yards — 新開発地区の評価
- 35 Hudson Yards — 似た2棟をどう比べるか
- ハドソンヤーズの住宅 — 竣工前契約の実務
- ザ・コートランド — レンガ外装と資産価値
- ウォーカータワー — 電話局のコンバージョン
- 25 Columbus Circle — 建物の改名と資産価値
ブルックリンとクイーンズ
- ブルックリンタワー — 区で初めての超高層
- ブルックリンポイント — 屋上プールの高層
- クワイタワー — 公園に守られた眺望
- ワン・ブルックリンブリッジパーク — 倉庫転用の449戸と公園への支払い
- イレブン・ホイト — 481戸の価格帯と減税の残存年数
- スカイラインタワー — クイーンズ最高層
- オリンピア・ダンボ — ブルックリン最高額の物差し
比較の全体像はビリオネアズロウ主要タワーの比較をご覧ください。
購入の実務ガイド
NEIGHBOURHOODSニューヨークの街と、他都市との比較(37件)
マンハッタンの街
- アッパーウエストサイド — 戦前の名建築と子育て環境
- カーネギーヒル — 美術館の並びに住む
- ヨークビル — 地下鉄新線が変えた買い場
- タートルベイ — 国連の街の静かな買い場
- グラマシー — 鍵のある公園に面した街
- フラットアイアン — ロフトの広さと価格
- ノマド — マンハッタン中央部の相場
- チェルシー — ハイライン沿いのレジデンス
- ウエストヴィレッジ — 石畳の歴史地区
- グリニッチビレッジ — 低層の街と戦前コープ
- ノーホー — 数ブロックのロフト一等地
- ソーホー — ロフト市場の実態
- ロウアーイーストサイド — 変わり続ける街の値段
- 金融地区 — ウォール街に暮らす
- ハーレム — ブラウンストーン1棟と賃料規制
ブルックリンの街
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- コブルヒル — ランドマーク地区のブラウンストーン
- キャロルガーデンズ — 住みながら貸す二戸建て
- ボーラムヒル — 学区の境界は住所ごとに違う
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- プロスペクトハイツ — 固定資産税の減税が切れる日
- ダウンタウンブルックリン — 供給が集中した地区の出口
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ニューヨークを他の都市と比べる
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エリアの全体像と購入の実務
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