2026年9月8日 Reinvent編集チーム

ニューヨーク・ザ・コートランドとレンガの外装。素材の選択は資産価値に効くのか

チェルシーのハドソン川沿い、22丁目と11番街の角に、赤茶色のレンガを積み上げた大きな建物が立っています。ザ・コートランド(The Cortland、555 West 22nd Street)です。

設計はロバート・A・M・スターン建築事務所。周囲がガラスの新築で埋まっていく地区で、あえて手作業で成形したレンガを外壁に選んでいます。2022年の竣工です。

 

この建物を見るときの論点は、素材の選択が価格にどう効くかという一点に集約されます。ガラスの新築と、レンガの新築。同じ地区、同じ築年で、値の付き方が変わるのはなぜか。

本日はコートランドを題材に、外装の素材が資産価値に与える影響について見ていきましょう。

 

この建物は動画でもご紹介しています。あわせてご覧ください。

1. ザ・コートランドという建物

ハドソン川から見たザ・コートランド

コートランドは、ハイラインの西端に近い、いわゆるウエストチェルシーに位置します。ハドソン川に面した区画で、西向きの住戸からは川と対岸のニュージャージーが正面に見えます。

建物は3棟が連なる構成で、住戸数は100戸台。1ベッドルームから4ベッドルーム、そしてペントハウスまで幅があります。天井高と窓の大きさを確保するため、1フロアあたりの住戸数を絞った設計です。

 

外装には、手作業で成形したレンガが使われています。工業製品として均一に焼いたレンガではなく、一つずつ表情が違うものを積んでいるため、光の当たり方で壁面の見え方が変わります。

周辺はガラスのカーテンウォールが主流の地区です。その中でレンガを選んだのは、竣工から時間が経ったときの見え方を優先した判断だと考えられます。

 

項目 内容
所在地 555 West 22nd Street(ウエストチェルシー)
竣工 2022年
設計 ロバート・A・M・スターン建築事務所
外装 手作業で成形したレンガ
形態 コンドミニアム(外国籍でも購入可)
公表情報にもとづく概要です。個別住戸の条件は棟・階数・方角により異なります。

 

2. 素材が価格に与える影響

手作業で成形したレンガの外壁

ニューヨークの新築コンドミニアムで、外装の素材が価格に影響するという見方は実務の中で共有されています。ただし、影響の出方は分譲時ではなく、その後のリセールに現れます。

分譲時は、眺望と階数と間取りで価格が決まります。外装が石かレンガかガラスかは、この段階では大きな差になりません。

 

差が出るのは、その建物が新築でなくなってからです。ガラスの建物は、後から建った新しいガラスの建物と比較されます。設備の世代が古くなると、比較の中で相対的に見劣りします。

一方で、レンガや石の建物は、時間が経つと戦前築の系譜で見られるようになります。比較の相手が「新しいガラスの建物」から「格のある古い建物」に変わるということです。

 

この点を実証しているのが、同じ建築家による15 Central Park Westです。2008年竣工で、いまも新築のタワー群と同等かそれ以上の単価で取引されています。石張りを選んだ設計判断が、時間の経過に耐えました。

 

3. ウエストチェルシーという立地の読み方

ウエストチェルシーの街並み

コートランドが立つウエストチェルシーは、ハイラインの開通以降に姿を変えた地区です。ギャラリーが集まり、ガラスの新築が次々と建ちました。

住宅地としての性格を見るときの論点は3つあります。

 

第一に、供給が続いていることです。新築の分譲が同じ地区で続く間は、売却時に同じ地区の新築と比べられます。手放す時期に何が売り出されているかで、成約までの期間が変わります。

第二に、川沿いという条件です。西向きの眺望は他の建物に遮られにくい一方、風雨の影響を受けやすく、外壁とサッシの維持管理の質が効いてきます。

第三に、地下鉄からの距離です。最寄りは7番線の34丁目ハドソンヤーズ駅か、A・C・E線の23丁目駅で、いずれも徒歩圏ではあるものの近くはありません。この点はハドソンヤードの解説記事で扱った条件と共通します。

 

4. 購入の実務と名義の設計

コンドミニアムのため、外国籍・非居住のまま購入でき、法人名義やトラスト名義での保有も規約の範囲で可能です。コープのような理事会審査はありません。

この建物で特に確認すべき点は次の通りです。

 

・レンガ外壁の点検と補修の履歴、および今後の計画。ニューヨーク市は一定の高さ以上の建物に外壁の定期検査を義務づけており、その費用は管理費や一時金に反映されます

・管理組合の財務諸表と修繕積立の水準を直近3期分

・同じ間取りが建物内に何戸あるか。売却時に建物内で競合するかどうかを左右します

・管理費と固定資産税を合算した月次の負担

 

名義については、賃貸に出す前提か、自己居住かで設計が変わります。非居住者の賃料収入は課税方式の選択によって手取りが変わるため、購入前に決めておきます。判断材料はLLC名義での保有と税務にまとめています。

売却時には非居住者に対する源泉徴収が入ります。仕組みと還付までの流れはFIRPTAの源泉徴収をご覧ください。

 

5. まとめ

コートランドは、周囲がガラスで埋まる地区に、あえてレンガで建てられた新築です。この選択は分譲時の価格には表れませんが、時間が経ったときの比較の相手を変えます。

検討される場合は、外壁の維持計画と、建物内に同じ間取りが何戸あるかを先に確認してください。この2点が、保有中の費用と出口の両方を左右します。

 

購入手順の全体像はニューヨーク不動産の購入ガイドに、日本からの進め方は日本からの遠隔購入にまとめています。

 

売り出し状況と、非公開で動いている住戸のご案内も承っております。

よくある質問

ザ・コートランドはどこにありますか。

チェルシーのハドソン川沿い、555 West 22nd Streetです。ハイラインの西端に近いウエストチェルシーに位置し、西向きの住戸からは川と対岸が正面に見えます。

ザ・コートランドの外装にレンガが使われているのはなぜですか。

周囲がガラスのカーテンウォール中心の地区で、竣工から時間が経ったときの見え方を優先した設計判断と考えられます。同じ建築家が手がけた15 Central Park Westも石張りを選び、2008年竣工でいまも新築と同等の単価で取引されています。

外装の素材は資産価値に影響しますか。

分譲時の価格には大きく影響しません。差が出るのはリセールの段階で、ガラスの建物は後から建った新しいガラスの建物と比較される一方、レンガや石の建物は格のある古い建物の系譜で見られるようになります。

外国籍でも購入できますか。

コンドミニアムのため、外国籍・非居住のまま購入でき、法人名義やトラスト名義での保有も規約の範囲で可能です。コープのような理事会審査はありません。

所在地

555 West 22nd Street。位置はGoogleマップでご確認いただけます。


BUILDINGS

ニューヨークの主な建物。名義と税務の観点から

ビリオネアズロウと57丁目

セントラルパーク西の戦前建築

パークアベニューとイーストサイド

アッパーウエストとグラマシー

ダウンタウンとトライベッカ

ハイライン・ハドソンヤーズ

ブルックリンとクイーンズ

比較の全体像はビリオネアズロウ主要タワーの比較をご覧ください。

購入の実務ガイド

NEIGHBOURHOODSニューヨークの街と、他都市との比較(37件)

マンハッタンの街

ブルックリンの街

ニューヨークを他の都市と比べる

エリアの全体像と購入の実務

English guides on reinventny.com

英語版の建物紹介 The Cortland(English) では、NYC財務局に記録された2023年以降の売買件数と価格の中央値も載せています。

まずはご相談ください

名義と税務の設計段階からご相談いただけます。

無料で相談する

本ページの相場、利回り、所要時間などの数値は、一般に公開されているデータや当社の取引経験にもとづく目安です。物件、時期、条件によって実際とは異なる場合があり、当社が正確性および最新性を保証するものではありません。犯罪発生状況はニューヨーク市警などの公的機関が地区ごとの統計を公開しているため、そちらの数字をご確認ください。当社は入居者や購入者の国籍、人種、出身、宗教、家族構成によって物件やエリアをお勧めすることはいたしません。本ページの内容は情報提供のみを目的としており、投資勧誘や税務助言には当たりません。