160レロイ(160 Leroy Street)は、ウエストビレッジの西端、ハドソン川沿いに立つ14階建て・57戸のコンドミニアムです。設計はスイスのヘルツォーク・アンド・ド・ムーロン、開発はホテル業界で知られるイアン・シュレーガーで、2017年に完成しました。
この建物を題材にするのは、ビリオネアズロウの塔とも、在庫の厚い新築タワーとも違う買い方を考える材料になるからです。57戸しかなく、同じ型の住戸がほとんどない建物では、価格の根拠を建物の外に求めるしかありません。希少性を値段にどう織り込むか、そして少数戸の維持費をどの名義で負担するかを、この建物で具体的にたどります。
1. 建物の概要。14階建て・57戸

160レロイは、ハドソン川に面したウエスト・ストリートとレロイ・ストリートの角に立ちます。曲線を描くコンクリートの外壁が特徴で、周囲の煉瓦の街並みの中でひと目で分かる建物です。イアン・シュレーガーはこの建物を「自分が住む前提で作った」と語っており、実際に最上階の一部を自身で保有していた時期があります。
住戸は2ベッドルームから5ベッドルームまでで、川に向く住戸は窓の外に遮るものがありません。共用施設は、中庭の水盤、プール、ジム、スパ、ワインセラー、ラウンジで、ホテルの経験がそのまま住宅に持ち込まれています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 所在地 | 160 Leroy Street, New York(ウエストビレッジ) |
| 竣工 | 2017年 |
| 階数・戸数 | 14階建て・57戸 |
| 設計・開発 | ヘルツォーク・アンド・ド・ムーロン/イアン・シュレーガー |
| 形態 | コンドミニアム |
| 主な施設 | プール、ジム、スパ、ワインセラー、中庭、ラウンジ |
ウエストビレッジは、低層の街並みと川沿いの公園が特徴の地区で、高層の新築がほとんど建てられません。地区の成り立ちと物件の傾向はウエストビレッジのエリア記事にまとめています。
2. 比較対象のない建物で価格をどう読むか

在庫の厚い塔では、同じ型の直近の成約を並べれば値付けの根拠が読めます。160レロイではこの方法が使えません。57戸のうち売りに出るのは年に数戸で、しかも向きも階も型も違います。
分譲時の価格は、2ベッドルームが400万ドル台から、川に向く3〜4ベッドルームが1,000万ドル台、最上階の住戸は数千万ドルの水準でした。転売では、川に向く住戸が分譲時を上回る例がある一方、通りに向く住戸は長く売れ残る例もあり、同じ建物の中で値動きが二つに分かれています。
こうした建物の価格は、建物の中ではなく地区の中で読みます。近隣で同じ規模の新築コンドミニアム、たとえば443グリニッジや70ベストリーの川沿い住戸の平方フィート単価を並べ、そこに設計者の名前と眺望の分だけ上乗せが乗っている、と見ます。
上乗せの部分は、買い手がその設計に価値を認めるかどうかで決まります。売るときも同じで、その価値を認める買い手が現れるまで時間がかかります。少数戸の建物は、売却に要する期間を長めに見込んで資金の計画を立てるのが基本です。
3. 賃料と維持費の釣り合い

ウエストビレッジは賃貸の需要が厚い地区ですが、160レロイの住戸は面積が大きく、賃料は2ベッドルームで月2万ドル前後、川に向く大きな住戸では月4万ドルを超える水準になります。借り手の層が限られるため、空室の期間は大型の塔より長く見ておきます。
維持費は、少数戸の建物で最も重くなる項目です。プール、スパ、中庭といった施設を57戸で分担するため、戸あたりのコモンチャージは大型の塔の2倍前後になり、これに固定資産税が加わります。コモンチャージの中身と適正水準にまとめたとおり、少数戸の建物では1戸の滞納や大きな修繕が全体の負担に直結するため、積立残高と修繕の予定を必ず確認します。
賃料から維持費と管理の費用を引いた残りを価格で割ると、手取りの利回りは1%台から2%台に収まります。賃料で維持費を賄うことはできますが、収益を目的に持つ建物ではありません。
この建物が合うのは、自身で使う期間があり、使わない期間だけ貸す、という持ち方です。ドル建ての資産として、替えのきかない場所と設計を長く保有する目的であれば、利回りの低さは織り込んだうえで選べます。
4. 購入の実務と名義の設計
160レロイはコンドミニアムのため、外国籍・非居住のまま購入できます。コープのような理事会審査はなく、法人名義やトラスト名義での保有も規約の範囲で可能です。賃貸に出す場合は、最低の契約期間と、短期の貸出を禁じる規約を確認します。
自身で使う期間がある住戸を法人名義で持つときは、法人が個人に住戸を使わせる形になるため、使用の対価や経費の扱いを先に決めておきます。貸す期間については、非居住者が個人名義で貸すと賃料に対する源泉徴収が30%かかり、申告で経費を引く選択をしないと手取りが大きく減ります。LLC名義での保有と税務に整理したとおり、LLCを通すことで賃料の受け取り、経費の計上、将来の売却や相続の扱いを一本の設計に収められます。
相続を見通すなら、米国の遺産税の非居住者控除が6万ドルしかない点を、買う前に織り込みます。価格の大きい住戸ほど、この差は大きくなります。売却時にはFIRPTAの源泉徴収が売却価格に対してかかり、還付は翌年の申告後になります。
取引の際には、対象住戸の向きと眺望を実際に確認し、近隣の川沿い住戸の直近の成約、建物の予算書と積立残高、大規模修繕の予定を書面で確認してください。
5. まとめ
160レロイは、設計者と場所で選ばれる少数戸の建物です。価格は建物の中ではなく地区の中で読み、設計と眺望の上乗せがどれだけ乗っているかを見ます。利回りは低く、売却には時間がかかるため、自身で使う期間があり、替えのきかない資産を長く保有する目的に合う型です。
購入手順の全体像はニューヨーク不動産の購入ガイドに、日本からの進め方は日本からの遠隔購入にまとめています。
売り出し状況と、非公開で動いている住戸のご案内も承っております。
よくある質問
160レロイはどこにありますか。
マンハッタンのウエストビレッジ、160 Leroy Streetです。ハドソン川に面したウエスト・ストリートの角に立ち、川沿いの公園が目の前にあります。地下鉄は1線のヒューストン・ストリート駅とクリストファー・ストリート駅が徒歩圏です。
160レロイは何戸ありますか。
14階建てで57戸です。2ベッドルームから5ベッドルームまでで、同じ型の住戸がほとんどないため、価格は建物の中ではなく近隣の川沿い住戸の成約と比べて読みます。
賃貸に出せますか。
コンドミニアムのため賃貸に出せます。最低の契約期間と短期貸出の禁止規約を確認したうえで、非居住者が個人名義で貸すと賃料に30%の源泉徴収がかかるため、法人名義での保有を先に検討します。
外国籍でも購入できますか。
コンドミニアムのため、外国籍・非居住のまま購入でき、法人名義やトラスト名義での保有も規約の範囲で可能です。コープのような理事会審査はありません。
所在地
160 Leroy Street, New York。位置はGoogleマップでご確認いただけます。
BUILDINGS
ニューヨークの主な建物。名義と税務の観点から
ビリオネアズロウと57丁目
- セントラルパークタワー — 世界一高い住宅ビル
- One57 — ビリオネアズロウの先駆け
- 432 Park Avenue — 正方形窓の超高層
- 220 Central Park South — 全米住宅最高額の記録
- 111 West 57th — 世界で最も細い超高層
- 53 West 53rd — 近代美術館の上に住む
- Mandarin Oriental Fifth — ホテルブランドの住まい
- エセックスハウス — 公園南のアールデコ
- オズボーン — 1885年の石積み
セントラルパーク西の戦前建築
- ダコタハウス — 1884年、市内最初期の高級住宅
- サンレモ — エメリー・ロスのツインタワー
- ベレスフォード — 三本の塔と博物館の眺め
- エルドラド — 公園西の最北、貯水池の眺望
- センチュリー — 公園西で最も中心に近い
- マジェスティック — ダコタの向かい、急行駅前
- One Central Park West — コロンバスサークルの角
- 15 Central Park West — 新築で戦前の風格
パークアベニューとイーストサイド
- 740 Park Avenue — 世界で最も入りにくい住宅
- 520 Park Avenue — 戦前の格を新築で
- オリンピックタワー — 五番街の複合の先駆け
- リッツ・カールトン・レジデンス — ホテルブランドの実際
- シェリーネザーランド — ホテル機能を持つコープ
- リバーハウス — 川に正対する名門コープ
- One Sutton Place South — 借地の上に立つ建物
- サットンタワー — イーストリバー沿いの新築120戸
- 252イースト57丁目 — 分譲と賃貸が同じ塔、値下げの履歴
- ワンビーコンコート — オフィスの上に住む複合ビル
- 200イースト59 — 全戸テラス67戸、屋外面積の評価
- マンハッタンハウス — 戦後モダニズムの代表作
- ウォルドーフ・アストリア — 歴史的ホテルの住宅転用
- プラザ・レジデンス — 1907年の名門ホテル
- アマン・ニューヨーク — クラウンビルの最上位ブランド
- 400 Fifth Avenue — 商業地区に住むという選択
アッパーウエストとグラマシー
- アンソニア — ホテルから賃貸、コンドへ
- アプソープ — 1908年の中庭型、名義の自由
- ベルノード — 賃貸から分譲への転換
- 200 Amsterdam — 建築許可をめぐる訴訟
- 50 Gramercy Park North — 公園の鍵という権利
- マディソンハウス — ノマドの新築タワーと管理費
- 30イースト31 — 42戸の細身タワーの価格帯
- ワンマディソン — 築10年超の53戸と転売
- 277フィフスアベニュー — 5番街の住所は価格に乗るか
ダウンタウンとトライベッカ
- ウールワースタワー — 1913年の超高層に住む
- ワンウォールストリート — オフィス転用と減税
- ザ・グリニッジ — 125グリニッジの88階建て273戸
- 25パークロウ — シティホール公園向きの価格差
- 77グリニッジ — 小学校を抱えた90戸の価格交渉
- ワン・ビークマン — シティホール・パーク前のフロア1戸31戸
- 56 Leonard Street — 新築分譲の取得コスト
- 111 Murray Street — 大型間取りの市場
- 130 William — 固定資産税の読み方
- 30 Park Place — ホテル併設レジデンス
- 45パークプレイス — SOM設計50戸と値引き後の価格
- 100バークレー — 1927年電話局を改装した157戸
- 101ウォーレン — フルブロック227戸の価格帯
- 200チェンバーズ — プール付き258戸の維持費
- ビークマン・レジデンス — 賃貸運用向けの間取り
- 443 Greenwich — 倉庫転用と面積表示
- 565ブルームソーホー — レンゾ・ピアノ設計の112戸
- 42クロスビー — 10戸と100万ドルの駐車場の評価
- 10サリバン — ソーホー西端の22戸と小規模コンドの注意
- 108レナード — ランドマーク改装の167戸
- グリニッチレーン — 5棟とタウンハウスの構成
- 130ウエスト12丁目 — 病院跡コンバージョンの評価
- パックビルディング — 6戸だけのペントハウス
- ザ・シューマッハ — 印刷所転用20戸の維持費
- 70ベストリー — 川沿い46戸、少数戸を持つ意味
- 160レロイ(この記事)
- 150チャールズ — 低層91戸と中庭の維持費
- One Manhattan Square — 大型タワーの出口
- ワンハイライン(旧XI) — 開発会社の破綻と再生
ハイライン・ハドソンヤーズ
- 520 West 28th — ザハ・ハディド唯一のNY住宅
- ランタンハウス — デベロッパーの実績の見方
- 100 Eleventh Avenue — ガラス外壁の維持費
- 15 Hudson Yards — 新開発地区の評価
- 35 Hudson Yards — 似た2棟をどう比べるか
- ハドソンヤーズの住宅 — 竣工前契約の実務
- ザ・コートランド — レンガ外装と資産価値
- ウォーカータワー — 電話局のコンバージョン
- 25 Columbus Circle — 建物の改名と資産価値
ブルックリンとクイーンズ
- ブルックリンタワー — 区で初めての超高層
- ブルックリンポイント — 屋上プールの高層
- クワイタワー — 公園に守られた眺望
- ワン・ブルックリンブリッジパーク — 倉庫転用の449戸と公園への支払い
- イレブン・ホイト — 481戸の価格帯と減税の残存年数
- スカイラインタワー — クイーンズ最高層
- オリンピア・ダンボ — ブルックリン最高額の物差し
比較の全体像はビリオネアズロウ主要タワーの比較をご覧ください。
購入の実務ガイド
NEIGHBOURHOODSニューヨークの街と、他都市との比較(37件)
マンハッタンの街
- アッパーウエストサイド — 戦前の名建築と子育て環境
- カーネギーヒル — 美術館の並びに住む
- ヨークビル — 地下鉄新線が変えた買い場
- タートルベイ — 国連の街の静かな買い場
- グラマシー — 鍵のある公園に面した街
- フラットアイアン — ロフトの広さと価格
- ノマド — マンハッタン中央部の相場
- チェルシー — ハイライン沿いのレジデンス
- ウエストヴィレッジ — 石畳の歴史地区
- グリニッチビレッジ — 低層の街と戦前コープ
- ノーホー — 数ブロックのロフト一等地
- ソーホー — ロフト市場の実態
- ロウアーイーストサイド — 変わり続ける街の値段
- 金融地区 — ウォール街に暮らす
- ハーレム — ブラウンストーン1棟と賃料規制
ブルックリンの街
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- コブルヒル — ランドマーク地区のブラウンストーン
- キャロルガーデンズ — 住みながら貸す二戸建て
- ボーラムヒル — 学区の境界は住所ごとに違う
- フォートグリーン — コープが多い地区で海外から買う
- プロスペクトハイツ — 固定資産税の減税が切れる日
- ダウンタウンブルックリン — 供給が集中した地区の出口
- ダンボ — 倉庫街から高級住宅地へ
- グリーンポイント — 水辺エリアの家賃相場
ニューヨークを他の都市と比べる
- 東京 — 価格・価値観・法規制の違い
- ロサンゼルス — 戸建ての街と縦の街
- マイアミ — 税金ゼロの魅力と流動性
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- トロント・バンクーバー — 外国人購入禁止の国と開かれた市場
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- 全米の主要都市 — 価格・家賃・利回り・値上がり率
- 米国内の他都市 — ニューヨークだけが違う7点
- 日米の投資比較 — 利回り・税制・リスク
エリアの全体像と購入の実務
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