2026年8月25日 Satoshi Onodera

56レナードストリートで見るニューヨーク新築コンドの取得コスト。譲渡税は誰が払うのか

トライベッカの北端、レナードストリートに、住戸が段違いに積み重なった塔が立っています。56レナードストリート(56 Leonard Street)です。

設計はスイスの建築事務所ヘルツォーク・アンド・ド・ムーロン。各住戸のテラスが不規則に張り出す形から、積み木のようだと形容されてきました。低層部にはアニッシュ・カプーアの彫刻が置かれています。

 

この建物のように、竣工から日の浅いタワーを検討される方は多くいらっしゃいます。設備が新しく、間取りが現代的で、共用施設も整っているためです。

ただし、新築や築浅の分譲には中古とは違う費用の構造があります。同じ価格帯の住戸でも、実際に支払う総額が変わるということです。

本日は56レナードを題材に、新築分譲の取得コストについて見ていきましょう。

 

1. 56レナードストリートという建物

ニューヨークの56 Leonardの外観

 

56レナードは57階建て、145戸のコンドミニアムです。2017年に住戸の引き渡しが始まりました。

特徴は、住戸ごとに床の輪郭が異なることです。上層に行くほど張り出しが大きくなり、テラスの取り方も変わります。同じ建物でありながら、住戸ごとの個体差が非常に大きい構成です。

 

トライベッカという立地も、判断材料になります。19世紀の倉庫建築が並ぶ低層の街並みの中で、この建物は突出して高い位置にあります。眺望が抜けるのはそのためです。

一方で、周辺は歴史地区の指定を受けた区画が多く、大規模な新築が次々に建つ地域ではありません。供給が限られるという点は、資産としての評価に効いてきます。

 

2. 新築分譲では、誰が譲渡税を払うのか

ニューヨークの56 Leonardの住戸と共用部

 

ここが本題です。ニューヨークでは、不動産の売買に州の譲渡税と市の譲渡税がかかります。中古の取引では、これを売主が負担するのが通例です。

ところが新築分譲では、分譲主(スポンサー)が買主に負担させる条項を契約に入れているのが一般的です。オファリングプランに記載されており、交渉の対象になることもあります。

 

買主が負担する項目は、他にもあります。分譲主側の弁護士費用、共用部の積立金への拠出、竣工前物件であれば引き渡し遅延に関する条項。これらは中古の取引には出てこない費用です

 

あわせて、100万ドル以上の住宅取得にかかるマンションタックスがあります。こちらは価格帯によって段階的に上がる仕組みで、新築でも中古でも買主の負担です。

 

3. 中古と新築、取得コストの構造の違い

ニューヨークの56 Leonardの住戸と共用部

 

以下は、取得時にかかる主な費用の負担者をまとめたものです。

 

※契約条件により異なります。実際の負担はオファリングプランと契約書でご確認ください。
費用 新築分譲 中古
州・市の譲渡税 買主負担の契約が一般的 売主負担が通例
マンションタックス 買主負担 買主負担
分譲主側の弁護士費用 買主が負担することがある なし
積立金への拠出 管理費の数ヶ月分を求められることがある なし
タイトル保険 買主負担 買主負担

 

この差は、価格の数パーセントに相当します。販売価格が同じでも、支払総額は新築のほうが重くなるということです。予算を組む際は、価格ではなく総額で比較します。

 

なお、竣工から時間が経った建物の再販売は「中古」として扱われます。56レナードのような築浅の物件でも、分譲主からではなく個人の売主から買う場合は、譲渡税は売主負担が通例です。同じ建物でも、誰から買うかで費用構造が変わります

 

あわせて確認するのが、分譲主が未売却の住戸をどれだけ保有しているかです。在庫が多く残っている建物では、その価格が事実上の市場価格になります。個人の売主が同じ時期に売ろうとしても、値付けで競合することになります。

逆に分譲主の在庫がほぼ捌けている建物では、価格は個人間の取引で決まります。売却まで見据えるのであれば、この点は購入前に把握しておく情報です。

 

竣工前の住戸を契約する場合は、引き渡し時期に関する条項も読みます。工事の遅延はニューヨークでは珍しくなく、遅延した場合に契約を解除できるのか、手付金は戻るのかが契約書に書かれています。

 

海外から購入される場合は、この遅延が為替と資金計画にも影響します。残代金の送金時期が半年ずれれば、円建てで見た総額は変わります。時期の幅を持たせた計画にしておくことを推奨いたします。

 

4. 名義と、買った後の設計

ニューヨークの56 Leonardの住戸と共用部

 

56レナードはコンドミニアムですので、名義の自由が効きます。個人名義、法人名義、トラスト名義のいずれも規約の範囲で選べます。

海外にお住まいのまま資産として持つ場合、この点が戦前コープとの決定的な違いになります。判断の材料はニューヨークの不動産を法人名義で買うべきか。個人所有との違いと損益分岐にまとめています。

 

賃貸に出す予定がある場合は、規約の最低賃貸期間を確認します。多くの建物で30日未満の短期賃貸は禁止されており、ニューヨーク市の条例上も住人が同居しない30日未満の貸し出しは原則として認められません。

 

ここで、逆の見方も置いておきます。「取得コストが重いなら、中古を買ったほうが合理的ではないか」というものです。

費用だけを見れば、そのとおりです。ただし新築には、設備が新しく当面の大規模修繕がないこと、そして住戸を最初の状態で取得できることという利点があります。取得時に払うか、保有中に払うかの違いとも言えます。

判断は保有期間で決まります。短期で回すなら取得コストの軽い中古、長期で持つなら修繕の少ない新築が噛み合います。

 

設計者の名前が付いた建物については、その要素をどこまで価格に織り込むかという論点もあります。意匠は模倣されにくく、同じ設計事務所の建物がその街に何棟も建つことはありません。ただし、それが売却時にどれだけの差になるかは、実際の成約事例で確かめる必要があります。評判ではなく、記録に残った数字で確認するという順序は変わりません。

 

現在売りに出ている住戸(2026-08-17時点)

住戸 広さ ベッドルーム 売出価格
47W 3,576sqft(約332平米) 4 16,950,000ドル(約26.3億円)
39W 3,412sqft(約317平米) 4 15,850,000ドル(約24.6億円)
24AB EAST 3,843sqft(約357平米) 5 11,595,000ドル(約18.0億円)
33BW 2,177sqft(約202平米) 3 8,000,000ドル(約12.4億円)
20BW 2,252sqft(約209平米) 3 7,500,000ドル(約11.6億円)
29A 2,175sqft(約202平米) 3 7,000,000ドル(約10.8億円)

出典はCityRealtyの56 Leonardの建物ページです。売出しは日々入れ替わりますので、最新の在庫と実際に入れる価格は個別にお調べします。非公開で動いている住戸もあります。

5. まとめ

ニューヨークの56 Leonardの住戸と共用部

 

56レナードストリートは、住戸ごとの個体差という点でニューヨークでも珍しい建物です。同じ価格帯でも、テラスの取り方と眺望で価値が変わります。

購入にあたっては、誰から買うのかを最初に確認することを推奨いたします。分譲主から買うのか、個人の売主から買うのか。この一点で、譲渡税をはじめとする取得コストの負担が変わります。

 

そのうえで、名義を個人に置くか法人に置くか、賃貸に出すのか自分で使うのかを決めます。順序さえ守れば、判断に迷う場面はほとんどありません。

 

当社では、個人と法人、居住者と非居住者それぞれの場合分けを踏まえ、契約条件の確認からご相談を承っております。

 

※本記事の内容は一般的な情報提供であり、法務・税務・投資に関する助言ではありません。個別の判断は、独立した専門家へのご確認を前提とします。

 

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比較の全体像はビリオネアズロウ主要タワーの比較をご覧ください。

購入の実務ガイド

よくある質問

56レナードストリートはどのような特徴を持つ建物ですか。

56レナードストリートは、住戸が段違いに積み重なった塔で、各住戸のテラスが不規則に張り出す形から積み木のようだと形容されています。設計はスイスの建築事務所ヘルツォーク・アンド・ド・ムーロンで、低層部にはアニッシュ・カプーアの彫刻が置かれています。

新築分譲と中古では誰が譲渡税を負担しますか。

ニューヨークの不動産売買では州と市の譲渡税がかかりますが、中古取引では売主が負担するのが通例です。一方、新築分譲では分譲主が買主に負担させる条項を契約に入れているのが一般的で、オファリングプランに記載されています。

新築分譲の取得コストにはどのような項目が含まれますか。

新築分譲では買主が州・市の譲渡税を負担することが一般的で、分譲主側の弁護士費用や共用部の積立金への拠出も発生します。また100万ドル以上の住宅取得にかかるマンションタックスは価格帯によって段階的に上がり、新築でも中古でも買主の負担です。

56レナードストリートで購入後の名義はどうなりますか。

56レナードストリートはコンドミニアムなので、個人名義、法人名義、トラスト名義のいずれも規約の範囲で選べます。賃貸に出す予定がある場合は、多くの建物で30日未満の短期賃貸が禁止されており、ニューヨーク市の条例上も原則として認められません。

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