100バークレー(100 Barclay)は、トライベッカの南端、ワールドトレードセンターの向かいに建つ1927年竣工の電話局ビルです。設計はラルフ・ウォーカーで、アールデコの外装と地上階のロビーは歴史的建造物に指定されています。2016年にマグナム・リアルエステートとCIMグループが上層階を157戸のコンドミニアムへ改装し、低層階は今も通信会社が使っています。
この建物を取り上げるのは、トライベッカで「歴史的建造物の改装コンド」を買うときの判断材料になるからです。新築の超高層とは価格の決まり方も維持費の構造も違い、指定建物ならではの制約があります。物件の紹介だけでなく、外国籍・非居住のまま買う場合の名義と税務の設計まで書きます。
目次
1. 建物の概要。1927年の電話局と157戸

100バークレーはニューヨーク電話会社の本社ビルとして建てられました。設計者のラルフ・ウォーカーは1920年代に電話局ビルを何棟も手がけました。この建物のロビーは天井画とブロンズの装飾が残り、内装も歴史的建造物として指定されています。
改装では、上層部の10階から32階までを住宅に転換し、157戸のコンドミニアムとしました。1ベッドルームから5ベッドルームまであり、旧電話局の天井高と大きな窓を生かした間取りです。共用施設は屋内プール、フィットネス、ラウンジ、ワインルーム、キッズルームで、4万平方フィートを超える面積を住民用に確保しています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 所在地 | 100 Barclay Street, New York, NY 10007(トライベッカ南端) |
| 竣工 | 1927年(住宅への改装は2016年) |
| 階数・戸数 | 32階建て・157戸(住宅は上層階) |
| 設計・開発 | ラルフ・ウォーカー(原設計)、マグナム・リアルエステート・CIMグループ(改装開発) |
| 形態 | コンドミニアム(歴史的建造物指定) |
| 主な施設 | 屋内プール、フィットネス、ラウンジ、ワインルーム、キッズルーム、ビリヤードルーム |
トライベッカの街区の成り立ちと住宅の種類は、トライベッカのエリア記事にまとめています。
2. 価格の位置づけ。トライベッカの改装コンドとして

100バークレーの住戸は、2ベッドルームが300万ドルから450万ドル、3ベッドルームが500万ドルから800万ドル、上層階の大型住戸が1,000万ドルを超える取引が目安です。平方フィートあたりでは2,000ドルから2,600ドルで、トライベッカの新築超高層より一段低い帯です。
同じトライベッカでは、56レナードが平方フィートあたり3,000ドル前後、443グリニッチが3,500ドル前後です。改装コンドどうしの比較では、チェルシーのウォーカータワーが同じラルフ・ウォーカーの電話局を改装した建物で、こちらは47戸と少なく3,000ドル台です。100バークレーは戸数が多い分、単価は抑えられています。
指定建物の価格には2つの特徴があります。外観と共用部を変えられないため、新しい設備で価値を上げる余地が小さく、価格の上昇は街区の相場に連動します。一方で、同じ外形の建物が二度と建たないため、供給が増えて値を崩す心配がありません。値上がりを狙う建物ではなく、値を保ちやすい建物として位置づけるのが実態に合います。
3. 賃料と維持費の釣り合い。指定建物の維持費をどう見るか

100バークレーの賃料は、2ベッドルームで月1万ドルから1万4,000ドル、3ベッドルームで月1万6,000ドルから2万2,000ドルが目安です。購入価格に対する表面利回りは3%から3.5%で、単価が抑えられている分、トライベッカの新築超高層より高めに出ます。
維持費は、コモンチャージが平方フィートあたり年間18ドルから22ドル、固定資産税が同じく年間18ドル前後です。旧電話局の外壁と機械設備の維持には費用がかかり、指定建物は外装の修繕に市の許可が要るため、工事の単価も上がります。2ベッドルーム1,400平方フィートで、コモンチャージと固定資産税の合計が年間5万ドルから5万5,000ドルになります。コモンチャージの中身と適正水準は、コモンチャージの中身と適正水準で解説しています。
賃料から維持費を引いた実質利回りは2%前後です。改装コンドで見ておくべきなのは、修繕積立金の残高と、直近の一時徴収の有無です。築100年に近い外壁と屋上の工事が控えている場合、一時徴収が数万ドル単位で来ます。購入前に理事会の議事録と修繕計画を取り寄せ、積立金の水準を確認します。
4. 購入の実務と名義の設計
100バークレーはコンドミニアムなので、外国籍・非居住のまま購入でき、理事会の承認面接はありません。名義は個人、LLC、信託のいずれも選べます。低層階を通信会社が使い続けているため、共用部の費用負担の割合を規約で確認します。
賃料を得る場合、非居住者は賃料総額の30%の源泉徴収が原則で、確定申告を選ぶと経費を引いた純額への課税に切り替えられます。改装コンドは建物の取得価額に占める建物部分の割合が大きく、減価償却の計算で有利に出ることがあります。LLC名義で保有する場合の税務はLLC名義での保有と税務で、売却時のFIRPTAの源泉徴収も同じ流れで確認できます。
個人名義のまま非居住者が亡くなると、米国の遺産税は基礎控除が6万ドルしかなく、最高税率40%が超過分にかかります。名義の設計は、購入後に変えると譲渡税がかかるため、契約前に決めます。取引の際には、住戸ごとの状況と最新の税務を、契約書と書面で確認してください。
5. まとめ
100バークレーは、トライベッカで歴史的建造物の改装コンドを、新築超高層より一段低い単価で持てる建物です。値上がりを狙うのではなく値を保ち、実質利回りと修繕積立金の水準を見て決める建物です。購入の流れはニューヨーク不動産の購入ガイドに、日本にいながら進める手順は日本からの遠隔購入にまとめています。
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よくある質問
100バークレーの価格はどれくらいですか。
2ベッドルームが300万ドルから450万ドル、3ベッドルームが500万ドルから800万ドル、上層階の大型住戸が1,000万ドル以上が目安です。平方フィートあたりでは2,000ドルから2,600ドルで、トライベッカの新築超高層より一段低い帯です。
歴史的建造物の指定は購入に影響しますか。
外観と指定された共用部を変えられず、外装の修繕には市の許可が要るため、工事の単価が上がります。住戸の内装は通常どおり改装できます。供給が増えない建物なので値を保ちやすい一方、設備の更新で価値を上げる余地は小さいと見ておきます。
100バークレーを外国籍のまま買えますか。
コンドミニアムなので、外国籍・非居住のまま購入でき、理事会の承認面接はありません。LLCや信託の名義でも買えます。賃料の源泉徴収や遺産税の扱いは名義で変わるため、契約前に設計します。
ウォーカータワーとはどう違いますか。
どちらもラルフ・ウォーカー設計の電話局を改装したコンドミニアムです。ウォーカータワーはチェルシーで47戸と少なく、平方フィート単価は3,000ドル台です。100バークレーはトライベッカで157戸と多く、単価は2,000ドルから2,600ドルです。希少性を取るか、単価と戸数の幅を取るかで選び分けます。
所在地
100 Barclay Street, New York, NY 10007。位置はGoogleマップでご確認いただけます。
BUILDINGS
ニューヨークの主な建物。名義と税務の観点から
ビリオネアズロウと57丁目
- セントラルパークタワー — 世界一高い住宅ビル
- One57 — ビリオネアズロウの先駆け
- 432 Park Avenue — 正方形窓の超高層
- 220 Central Park South — 全米住宅最高額の記録
- 111 West 57th — 世界で最も細い超高層
- 53 West 53rd — 近代美術館の上に住む
- Mandarin Oriental Fifth — ホテルブランドの住まい
- エセックスハウス — 公園南のアールデコ
- オズボーン — 1885年の石積み
セントラルパーク西の戦前建築
- ダコタハウス — 1884年、市内最初期の高級住宅
- サンレモ — エメリー・ロスのツインタワー
- ベレスフォード — 三本の塔と博物館の眺め
- エルドラド — 公園西の最北、貯水池の眺望
- センチュリー — 公園西で最も中心に近い
- マジェスティック — ダコタの向かい、急行駅前
- One Central Park West — コロンバスサークルの角
- 15 Central Park West — 新築で戦前の風格
パークアベニューとイーストサイド
- 740 Park Avenue — 世界で最も入りにくい住宅
- 520 Park Avenue — 戦前の格を新築で
- オリンピックタワー — 五番街の複合の先駆け
- リッツ・カールトン・レジデンス — ホテルブランドの実際
- シェリーネザーランド — ホテル機能を持つコープ
- リバーハウス — 川に正対する名門コープ
- One Sutton Place South — 借地の上に立つ建物
- サットンタワー — イーストリバー沿いの新築120戸
- 252イースト57丁目 — 分譲と賃貸が同じ塔、値下げの履歴
- ワンビーコンコート — オフィスの上に住む複合ビル
- 200イースト59 — 全戸テラス67戸、屋外面積の評価
- マンハッタンハウス — 戦後モダニズムの代表作
- ウォルドーフ・アストリア — 歴史的ホテルの住宅転用
- プラザ・レジデンス — 1907年の名門ホテル
- アマン・ニューヨーク — クラウンビルの最上位ブランド
- 400 Fifth Avenue — 商業地区に住むという選択
アッパーウエストとグラマシー
- アンソニア — ホテルから賃貸、コンドへ
- アプソープ — 1908年の中庭型、名義の自由
- ベルノード — 賃貸から分譲への転換
- 200 Amsterdam — 建築許可をめぐる訴訟
- 50 Gramercy Park North — 公園の鍵という権利
- マディソンハウス — ノマドの新築タワーと管理費
- 30イースト31 — 42戸の細身タワーの価格帯
- ワンマディソン — 築10年超の53戸と転売
- 277フィフスアベニュー — 5番街の住所は価格に乗るか
ダウンタウンとトライベッカ
- ウールワースタワー — 1913年の超高層に住む
- ワンウォールストリート — オフィス転用と減税
- ザ・グリニッジ — 125グリニッジの88階建て273戸
- 25パークロウ — シティホール公園向きの価格差
- 77グリニッジ — 小学校を抱えた90戸の価格交渉
- ワン・ビークマン — シティホール・パーク前のフロア1戸31戸
- 56 Leonard Street — 新築分譲の取得コスト
- 111 Murray Street — 大型間取りの市場
- 130 William — 固定資産税の読み方
- 30 Park Place — ホテル併設レジデンス
- 45パークプレイス — SOM設計50戸と値引き後の価格
- 100バークレー(この記事)
- 101ウォーレン — フルブロック227戸の価格帯
- 200チェンバーズ — プール付き258戸の維持費
- ビークマン・レジデンス — 賃貸運用向けの間取り
- 443 Greenwich — 倉庫転用と面積表示
- 565ブルームソーホー — レンゾ・ピアノ設計の112戸
- 42クロスビー — 10戸と100万ドルの駐車場の評価
- 10サリバン — ソーホー西端の22戸と小規模コンドの注意
- 108レナード — ランドマーク改装の167戸
- グリニッチレーン — 5棟とタウンハウスの構成
- 130ウエスト12丁目 — 病院跡コンバージョンの評価
- パックビルディング — 6戸だけのペントハウス
- ザ・シューマッハ — 印刷所転用20戸の維持費
- 70ベストリー — 川沿い46戸、少数戸を持つ意味
- 160レロイ — ウエストビレッジ川沿い57戸の値付け
- 150チャールズ — 低層91戸と中庭の維持費
- One Manhattan Square — 大型タワーの出口
- ワンハイライン(旧XI) — 開発会社の破綻と再生
ハイライン・ハドソンヤーズ
- 520 West 28th — ザハ・ハディド唯一のNY住宅
- ランタンハウス — デベロッパーの実績の見方
- 100 Eleventh Avenue — ガラス外壁の維持費
- 15 Hudson Yards — 新開発地区の評価
- 35 Hudson Yards — 似た2棟をどう比べるか
- ハドソンヤーズの住宅 — 竣工前契約の実務
- ザ・コートランド — レンガ外装と資産価値
- ウォーカータワー — 電話局のコンバージョン
- 25 Columbus Circle — 建物の改名と資産価値
ブルックリンとクイーンズ
- ブルックリンタワー — 区で初めての超高層
- ブルックリンポイント — 屋上プールの高層
- クワイタワー — 公園に守られた眺望
- ワン・ブルックリンブリッジパーク — 倉庫転用の449戸と公園への支払い
- イレブン・ホイト — 481戸の価格帯と減税の残存年数
- スカイラインタワー — クイーンズ最高層
- オリンピア・ダンボ — ブルックリン最高額の物差し
比較の全体像はビリオネアズロウ主要タワーの比較をご覧ください。
購入の実務ガイド
NEIGHBOURHOODSニューヨークの街と、他都市との比較(37件)
マンハッタンの街
- アッパーウエストサイド — 戦前の名建築と子育て環境
- カーネギーヒル — 美術館の並びに住む
- ヨークビル — 地下鉄新線が変えた買い場
- タートルベイ — 国連の街の静かな買い場
- グラマシー — 鍵のある公園に面した街
- フラットアイアン — ロフトの広さと価格
- ノマド — マンハッタン中央部の相場
- チェルシー — ハイライン沿いのレジデンス
- ウエストヴィレッジ — 石畳の歴史地区
- グリニッチビレッジ — 低層の街と戦前コープ
- ノーホー — 数ブロックのロフト一等地
- ソーホー — ロフト市場の実態
- ロウアーイーストサイド — 変わり続ける街の値段
- 金融地区 — ウォール街に暮らす
- ハーレム — ブラウンストーン1棟と賃料規制
ブルックリンの街
- ブルックリンハイツ — 全米初の歴史保存地区
- コブルヒル — ランドマーク地区のブラウンストーン
- キャロルガーデンズ — 住みながら貸す二戸建て
- ボーラムヒル — 学区の境界は住所ごとに違う
- フォートグリーン — コープが多い地区で海外から買う
- プロスペクトハイツ — 固定資産税の減税が切れる日
- ダウンタウンブルックリン — 供給が集中した地区の出口
- ダンボ — 倉庫街から高級住宅地へ
- グリーンポイント — 水辺エリアの家賃相場
ニューヨークを他の都市と比べる
- 東京 — 価格・価値観・法規制の違い
- ロサンゼルス — 戸建ての街と縦の街
- マイアミ — 税金ゼロの魅力と流動性
- ハワイ — 持ちたい場所として比べる
- トロント・バンクーバー — 外国人購入禁止の国と開かれた市場
- パリ — 石の街の資産と縦の街の資産
- 香港 — アジアの富の置き場所
- シドニー — 外国人規制の壁
- ロンドン — 英米の不動産投資の違い
- 世界の主要都市 — ドバイ・シンガポール・ロンドン・東京
- 全米の主要都市 — 価格・家賃・利回り・値上がり率
- 米国内の他都市 — ニューヨークだけが違う7点
- 日米の投資比較 — 利回り・税制・リスク
エリアの全体像と購入の実務
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