130ウエスト12丁目(130 West 12th Street)は、グリニッジビレッジの歴史地区に建つ12階建て・42戸のコンドミニアムです。1930年代に病院の施設として建てられた建物を、2013年に住宅へ転換しました。
この建物を題材にするのは、コンバージョン(用途転換)の建物を新築の物差しで測ると判断を誤るからです。天井高、窓の配置、施設の規模はすべて元の建物に縛られています。その代わり、新築では手に入らないものがあります。
1. 建物の概要。病院から42戸のコンドへ

130ウエスト12丁目は、セント・ビンセント病院の関連施設として使われていた煉瓦造りの建物です。病院の閉鎖後、ルーディン・マネジメントが取得し、セトラ・ラディの設計で住宅に転換しました。同じ病院跡地に建てたグリニッジレーンの姉妹プロジェクトにあたり、先に完成したのがこちらです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 所在地 | 130 West 12th Street, New York(グリニッジビレッジ) |
| 建築・転換 | 1930年代建築・2013年に住宅へ転換 |
| 階数・戸数 | 12階建て・42戸 |
| 設計・開発 | セトラ・ラディ/ルーディン・マネジメント |
| 形態 | コンドミニアム(コンバージョン) |
| 主な施設 | ドアマン、フィットネス、屋上テラス |
住戸は1ベッドルームから4ベッドルームまでで、病院時代の大きな窓と厚い壁を活かした間取りです。施設はドアマン、フィットネス、屋上テラスと必要なものに絞られており、42戸の規模に見合っています。
2. 歴史地区の制約が、供給を止めて価値になる

グリニッジビレッジは市の歴史地区に指定されており、既存の建物の外観を変えることも、取り壊して高層の建物を建てることも、ほぼできません。新築のコンドは、この地区ではほとんど供給されないということです。
そのため、この地区で新しい住戸が出るのは、130ウエスト12丁目のように既存の建物を転換したときだけです。供給が制度で止まっている地区では、住戸は希少品として値が付きます。分譲時の単価は平方フィートあたり2,000ドル台でしたが、転売では3,000ドルを超える取引が出ています。
ミッドタウンの塔は、隣に次の塔が建てば眺望も希少性も削られます。歴史地区の建物は、隣に何も建たないことが制度で決まっています。資産の置き場所として比べるなら、この違いは価格の変動幅の違いとして現れます。15セントラルパークウエストが下がりにくい理由と同じ構造です。
3. コンバージョンで確認すべき建物の履歴

転換した建物には、新築にはない確認事項があります。ひとつは、元の用途に由来する構造です。病院の建物は床の荷重と天井高に余裕があり、これは住宅として有利に働きます。逆に、配管や電気系統がどこまで新しくなったかは、図面と改修記録で確認する必要があります。
ふたつめは、歴史地区の指定そのものです。外壁、窓、屋上の改修はランドマーク保存委員会の許可が要ります。住戸内の改修は自由ですが、窓を替えるだけでも申請が必要な場合があります。買ってから間取りを大きく変える予定なら、事前に許可の範囲を確認しておきます。
みっつめは、修繕積立金です。1930年代の建物は、外壁の定期点検(ファサード検査)や配管の更新で、新築より早く大きな支出が来ます。分譲から10年を超えた今、直近の特別徴収の有無と積立金の残高が、保有コストを決めます。
4. 購入の実務と名義の設計
130ウエスト12丁目はコンドミニアムのため、外国籍・非居住のまま購入できます。コープのような理事会審査はなく、法人名義やトラスト名義での保有も規約の範囲で可能です。
名義の設計で先に決めるべきは、住むのか、貸すのか、子に渡すのかです。ご自身で住む期間があるなら個人名義が扱いやすく、貸すことが前提ならLLC名義での保有と税務を先に検討します。相続まで見通すなら、米国の遺産税の非居住者控除が6万ドルしかない点を踏まえ、法人やトラストを通した保有を設計段階で組みます。
売却時にはFIRPTAの源泉徴収が売却価格に対してかかります。歴史地区の建物は保有期間が長くなる傾向があり、含み益が大きくなった段階での出口設計を、購入時から見込んでおくことが大切です。
5. まとめ
130ウエスト12丁目は、新築が供給されない歴史地区で、病院の建物を転換して生まれた42戸のコンドです。天井高と壁の厚さは新築より優れ、施設は必要なものに絞られ、隣に何も建たないことが制度で決まっています。
その代わり、建物の履歴、改修の許可範囲、修繕積立金という、新築では省ける確認が必要です。ここを見ずに新築と同じ物差しで測ると、保有コストの見立てを誤ります。
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よくある質問
130ウエスト12丁目はどんな建物ですか。
グリニッジビレッジの歴史地区にある12階建て・42戸のコンドミニアムです。1930年代に病院の関連施設として建てられた煉瓦造りの建物を、2013年にルーディン・マネジメントが住宅へ転換しました。
コンバージョンの建物は新築より不利ですか。
一概には言えません。病院の建物は天井高と床荷重に余裕があり、住宅として有利に働きます。一方で配管や電気系統の更新範囲、外壁の定期点検、修繕積立金の残高は、新築にはない確認事項として取引前に見る必要があります。
歴史地区の建物は改修に制限がありますか。
あります。外壁、窓、屋上の改修はランドマーク保存委員会の許可が必要です。住戸内の改修は原則自由ですが、窓の交換など外観に関わる工事は申請が要る場合があります。
外国籍でも購入できますか。
コンドミニアムのため、外国籍・非居住のまま購入でき、法人名義やトラスト名義での保有も規約の範囲で可能です。コープのような理事会審査はありません。
所在地
130 West 12th Street, New York。位置はGoogleマップでご確認いただけます。
BUILDINGS
ニューヨークの主な建物。名義と税務の観点から
ビリオネアズロウと57丁目
- セントラルパークタワー — 世界一高い住宅ビル
- One57 — ビリオネアズロウの先駆け
- 432 Park Avenue — 正方形窓の超高層
- 220 Central Park South — 全米住宅最高額の記録
- 111 West 57th — 世界で最も細い超高層
- 53 West 53rd — 近代美術館の上に住む
- Mandarin Oriental Fifth — ホテルブランドの住まい
- エセックスハウス — 公園南のアールデコ
- オズボーン — 1885年の石積み
セントラルパーク西の戦前建築
- ダコタハウス — 1884年、市内最初期の高級住宅
- サンレモ — エメリー・ロスのツインタワー
- ベレスフォード — 三本の塔と博物館の眺め
- エルドラド — 公園西の最北、貯水池の眺望
- センチュリー — 公園西で最も中心に近い
- マジェスティック — ダコタの向かい、急行駅前
- One Central Park West — コロンバスサークルの角
- 15 Central Park West — 新築で戦前の風格
パークアベニューとイーストサイド
- 740 Park Avenue — 世界で最も入りにくい住宅
- 520 Park Avenue — 戦前の格を新築で
- オリンピックタワー — 五番街の複合の先駆け
- リッツ・カールトン・レジデンス — ホテルブランドの実際
- シェリーネザーランド — ホテル機能を持つコープ
- リバーハウス — 川に正対する名門コープ
- One Sutton Place South — 借地の上に立つ建物
- サットンタワー — イーストリバー沿いの新築120戸
- 252イースト57丁目 — 分譲と賃貸が同じ塔、値下げの履歴
- ワンビーコンコート — オフィスの上に住む複合ビル
- 200イースト59 — 全戸テラス67戸、屋外面積の評価
- マンハッタンハウス — 戦後モダニズムの代表作
- ウォルドーフ・アストリア — 歴史的ホテルの住宅転用
- プラザ・レジデンス — 1907年の名門ホテル
- アマン・ニューヨーク — クラウンビルの最上位ブランド
- 400 Fifth Avenue — 商業地区に住むという選択
アッパーウエストとグラマシー
- アンソニア — ホテルから賃貸、コンドへ
- アプソープ — 1908年の中庭型、名義の自由
- ベルノード — 賃貸から分譲への転換
- 200 Amsterdam — 建築許可をめぐる訴訟
- 50 Gramercy Park North — 公園の鍵という権利
- マディソンハウス — ノマドの新築タワーと管理費
- 30イースト31 — 42戸の細身タワーの価格帯
- ワンマディソン — 築10年超の53戸と転売
- 277フィフスアベニュー — 5番街の住所は価格に乗るか
ダウンタウンとトライベッカ
- ウールワースタワー — 1913年の超高層に住む
- ワンウォールストリート — オフィス転用と減税
- ザ・グリニッジ — 125グリニッジの88階建て273戸
- 25パークロウ — シティホール公園向きの価格差
- 77グリニッジ — 小学校を抱えた90戸の価格交渉
- ワン・ビークマン — シティホール・パーク前のフロア1戸31戸
- 56 Leonard Street — 新築分譲の取得コスト
- 111 Murray Street — 大型間取りの市場
- 130 William — 固定資産税の読み方
- 30 Park Place — ホテル併設レジデンス
- 45パークプレイス — SOM設計50戸と値引き後の価格
- 100バークレー — 1927年電話局を改装した157戸
- 101ウォーレン — フルブロック227戸の価格帯
- 200チェンバーズ — プール付き258戸の維持費
- ビークマン・レジデンス — 賃貸運用向けの間取り
- 443 Greenwich — 倉庫転用と面積表示
- 565ブルームソーホー — レンゾ・ピアノ設計の112戸
- 42クロスビー — 10戸と100万ドルの駐車場の評価
- 10サリバン — ソーホー西端の22戸と小規模コンドの注意
- 108レナード — ランドマーク改装の167戸
- グリニッチレーン — 5棟とタウンハウスの構成
- 130ウエスト12丁目(この記事)
- パックビルディング — 6戸だけのペントハウス
- ザ・シューマッハ — 印刷所転用20戸の維持費
- 70ベストリー — 川沿い46戸、少数戸を持つ意味
- 160レロイ — ウエストビレッジ川沿い57戸の値付け
- 150チャールズ — 低層91戸と中庭の維持費
- One Manhattan Square — 大型タワーの出口
- ワンハイライン(旧XI) — 開発会社の破綻と再生
ハイライン・ハドソンヤーズ
- 520 West 28th — ザハ・ハディド唯一のNY住宅
- ランタンハウス — デベロッパーの実績の見方
- 100 Eleventh Avenue — ガラス外壁の維持費
- 15 Hudson Yards — 新開発地区の評価
- 35 Hudson Yards — 似た2棟をどう比べるか
- ハドソンヤーズの住宅 — 竣工前契約の実務
- ザ・コートランド — レンガ外装と資産価値
- ウォーカータワー — 電話局のコンバージョン
- 25 Columbus Circle — 建物の改名と資産価値
ブルックリンとクイーンズ
- ブルックリンタワー — 区で初めての超高層
- ブルックリンポイント — 屋上プールの高層
- クワイタワー — 公園に守られた眺望
- ワン・ブルックリンブリッジパーク — 倉庫転用の449戸と公園への支払い
- イレブン・ホイト — 481戸の価格帯と減税の残存年数
- スカイラインタワー — クイーンズ最高層
- オリンピア・ダンボ — ブルックリン最高額の物差し
比較の全体像はビリオネアズロウ主要タワーの比較をご覧ください。
購入の実務ガイド
NEIGHBOURHOODSニューヨークの街と、他都市との比較(37件)
マンハッタンの街
- アッパーウエストサイド — 戦前の名建築と子育て環境
- カーネギーヒル — 美術館の並びに住む
- ヨークビル — 地下鉄新線が変えた買い場
- タートルベイ — 国連の街の静かな買い場
- グラマシー — 鍵のある公園に面した街
- フラットアイアン — ロフトの広さと価格
- ノマド — マンハッタン中央部の相場
- チェルシー — ハイライン沿いのレジデンス
- ウエストヴィレッジ — 石畳の歴史地区
- グリニッチビレッジ — 低層の街と戦前コープ
- ノーホー — 数ブロックのロフト一等地
- ソーホー — ロフト市場の実態
- ロウアーイーストサイド — 変わり続ける街の値段
- 金融地区 — ウォール街に暮らす
- ハーレム — ブラウンストーン1棟と賃料規制
ブルックリンの街
- ブルックリンハイツ — 全米初の歴史保存地区
- コブルヒル — ランドマーク地区のブラウンストーン
- キャロルガーデンズ — 住みながら貸す二戸建て
- ボーラムヒル — 学区の境界は住所ごとに違う
- フォートグリーン — コープが多い地区で海外から買う
- プロスペクトハイツ — 固定資産税の減税が切れる日
- ダウンタウンブルックリン — 供給が集中した地区の出口
- ダンボ — 倉庫街から高級住宅地へ
- グリーンポイント — 水辺エリアの家賃相場
ニューヨークを他の都市と比べる
- 東京 — 価格・価値観・法規制の違い
- ロサンゼルス — 戸建ての街と縦の街
- マイアミ — 税金ゼロの魅力と流動性
- ハワイ — 持ちたい場所として比べる
- トロント・バンクーバー — 外国人購入禁止の国と開かれた市場
- パリ — 石の街の資産と縦の街の資産
- 香港 — アジアの富の置き場所
- シドニー — 外国人規制の壁
- ロンドン — 英米の不動産投資の違い
- 世界の主要都市 — ドバイ・シンガポール・ロンドン・東京
- 全米の主要都市 — 価格・家賃・利回り・値上がり率
- 米国内の他都市 — ニューヨークだけが違う7点
- 日米の投資比較 — 利回り・税制・リスク
エリアの全体像と購入の実務
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