42クロスビー(42 Crosby Street)は、ソーホーのクロスビー・ストリート、ブルーム・ストリートとグランド・ストリートの間に立つ10階建て、10戸のコンドミニアムです。設計はセルドルフ・アーキテクツ、開発はアトラス・キャピタル・グループで、2017年に竣工しました。分譲時に地下の駐車場10台分を1台およそ100万ドルで売り出し、住戸より駐車場の値付けが先に知られた建物です。
この建物を題材にするのは、住戸に付いてくる付帯物をどう評価するかを考えるためです。駐車場、倉庫、屋上の専用テラスは、住戸の面積には入らないのに価格を動かします。10戸のブティック型の建物で、その付帯物がどう扱われ、維持費と名義にどう跳ね返るかを、この建物で具体的にたどります。
1. 建物の概要。10階建て・10戸

42クロスビーは、鋳鉄建築が並ぶソーホーの歴史地区に新築で建てられた、数少ない建物の一つです。外壁は黒い金属のフレームと大きなガラスで、周囲の鋳鉄のファサードの柱の間隔を引き継いでいます。住戸はフロアに1戸のロフトが基本で、面積は220〜340平方メートル、天井高は約3.3メートル、最上部は2層のペントハウスです。3ベッドルームから4ベッドルームの構成で、小さい住戸はありません。
共用施設は、ドアマンと地下の駐車場で、ジムやプールはありません。10戸の建物に大きな共用部を持たせると管理費が耐えられないため、設備を絞る設計です。地下鉄はスプリング・ストリート駅とキャナル・ストリート駅が徒歩数分です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 所在地 | 42 Crosby Street, New York(ソーホー) |
| 竣工 | 2017年 |
| 階数・戸数 | 10階建て・10戸 |
| 設計・開発 | セルドルフ・アーキテクツ(設計)、アトラス・キャピタル・グループ(開発) |
| 形態 | コンドミニアム |
| 主な施設 | ドアマン、地下駐車場10台 |
ソーホーは歴史地区の指定で新築が制限され、既存の建物の転用が住戸の主な供給源です。地区の成り立ちと物件の傾向はソーホーのエリア記事にまとめています。
2. 価格の位置づけ。100万ドルの駐車場が示すもの

分譲価格は800万ドル台から2,000万ドル台で、1平方フィートあたり3,000〜3,500ドルでした。ソーホーの転用型ロフトが1平方フィートあたり2,000ドル前後で取引されるのに対し、新築で設備が新しく、フロア1戸でエレベーターが住戸に直接開く点が、その差の中身です。比較対象は、同じ地区の新築である565ブルーム、転用型のパック・ビルディング、トライベッカの443グリニッジです。
駐車場の100万ドルは、住戸の価格の5〜10%にあたります。マンハッタンの中心部で自宅の地下に車を置ける住戸は数えるほどしかなく、月極の駐車場が近くにないソーホーでは、駐車場の有無がそのまま住戸の価値になります。売り手は付帯物を別売りにして住戸の単価を見かけ上抑え、買い手は必要なものだけを買う、という組み立てです。
買う側で見るのは、付帯物が住戸と一体の権利か、別の権利かです。駐車場が別の区分として登記されていれば、固定資産税も管理費も別に課され、売るときも別に売れます。住戸と一体なら、住戸の価格に含めて評価されます。どちらかで、税額も出口も変わるため、契約前に登記の形を確認します。
3. 賃料と維持費の釣り合い。10戸で分ける管理費

賃料は、フロア1戸のロフトで月30,000〜50,000ドルが目安です。この規模の住戸を借りる層は限られ、空室期間は長めに見ておきます。売れない期間の穴埋めとして貸す使い方が多く、賃料で持つ建物ではありません。
維持費で確認するのは、10戸で分ける管理費の構造です。ドアマンとエレベーターの保守は戸数にかかわらず一定の費用がかかり、10戸で分けると1戸あたりの月額は数千ドルになります。設備を絞っているとはいえ、コモンチャージの中身と適正水準に整理したとおり、予算書で人件費の比率と積立残高を確認し、1平方フィートあたりの月額を地区の相場と並べます。
もう一つ確認するのは、歴史地区の制約です。外壁の補修や窓の交換は市の景観保存委員会の承認が要り、通常より時間と費用がかかります。10戸で割ると臨時徴収が大きくなるため、過去の臨時徴収の有無と積立の水準を見ます。手取りの利回りは2%を下回ることが多く、資産の置き場所として持つ建物です。
4. 購入の実務と名義の設計
42クロスビーはコンドミニアムのため、外国籍・非居住のまま購入でき、理事会の承認面接はありません。法人名義やトラスト名義での保有も規約の範囲で可能です。駐車場を別の区分として買う場合は、住戸と同じ名義にそろえておかないと、売却時に片方だけが残る形になります。
非居住者が個人名義で貸すと賃料に対する源泉徴収が30%かかり、申告で経費を引く選択をしなければ手取りが大きく削られます。LLC名義にすると、賃料の受け取りと経費の計上を法人の側に置けます。仕組みはLLC名義での保有と税務にまとめています。売却時にはFIRPTAの源泉徴収が売却価格に対してかかり、駐車場を別に売る場合はその売却にも同じ源泉がかかります。
相続を見通すなら、米国の遺産税の非居住者控除が6万ドルしかない点を、買う前に織り込みます。1,000万ドルの住戸を個人名義で持ったまま相続が起きると、控除を超える部分に最高40%の税率がかかります。名義の設計は、購入後に変えると譲渡税がかかるため、契約前に決めます。
取引の際には、駐車場と倉庫の登記の形、予算書と積立残高、歴史地区の制約にかかる修繕の履歴、地区の似た条件の成約を書面で確認してください。
5. まとめ
42クロスビーは、住戸そのものよりも付帯物の値付けで知られた建物で、駐車場が住戸と一体か別かという登記の形が、税額と出口を左右します。10戸で分ける管理費の重さを数字で確かめ、付帯物を含めて名義を先に決めることが、この建物での設計の要点です。
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よくある質問
42クロスビーはどこにありますか。
ソーホーの42 Crosby Streetで、ブルーム・ストリートとグランド・ストリートの間です。地下鉄のスプリング・ストリート駅とキャナル・ストリート駅が徒歩数分です。
42クロスビーは何戸ありますか。
10階建てで10戸です。フロアに1戸のロフトが基本で、最上部は2層のペントハウスです。2017年竣工、設計はセルドルフ・アーキテクツ、開発はアトラス・キャピタル・グループです。
駐車場が100万ドルというのは本当ですか。
分譲時に地下の駐車場10台分が1台およそ100万ドルで売り出されました。住戸の価格の5〜10%にあたり、駐車場が住戸と別の区分として登記されていれば、固定資産税も管理費も別に課され、売却も別にできます。
外国籍でも購入できますか。
コンドミニアムのため、外国籍・非居住のまま購入でき、法人名義やトラスト名義での保有も規約の範囲で可能です。駐車場を別に買う場合は住戸と同じ名義にそろえます。
所在地
42 Crosby Street, New York。位置はGoogleマップでご確認いただけます。
BUILDINGS
ニューヨークの主な建物。名義と税務の観点から
ビリオネアズロウと57丁目
- セントラルパークタワー — 世界一高い住宅ビル
- One57 — ビリオネアズロウの先駆け
- 432 Park Avenue — 正方形窓の超高層
- 220 Central Park South — 全米住宅最高額の記録
- 111 West 57th — 世界で最も細い超高層
- 53 West 53rd — 近代美術館の上に住む
- Mandarin Oriental Fifth — ホテルブランドの住まい
- エセックスハウス — 公園南のアールデコ
- オズボーン — 1885年の石積み
セントラルパーク西の戦前建築
- ダコタハウス — 1884年、市内最初期の高級住宅
- サンレモ — エメリー・ロスのツインタワー
- ベレスフォード — 三本の塔と博物館の眺め
- エルドラド — 公園西の最北、貯水池の眺望
- センチュリー — 公園西で最も中心に近い
- マジェスティック — ダコタの向かい、急行駅前
- One Central Park West — コロンバスサークルの角
- 15 Central Park West — 新築で戦前の風格
パークアベニューとイーストサイド
- 740 Park Avenue — 世界で最も入りにくい住宅
- 520 Park Avenue — 戦前の格を新築で
- オリンピックタワー — 五番街の複合の先駆け
- リッツ・カールトン・レジデンス — ホテルブランドの実際
- シェリーネザーランド — ホテル機能を持つコープ
- リバーハウス — 川に正対する名門コープ
- One Sutton Place South — 借地の上に立つ建物
- サットンタワー — イーストリバー沿いの新築120戸
- 252イースト57丁目 — 分譲と賃貸が同じ塔、値下げの履歴
- ワンビーコンコート — オフィスの上に住む複合ビル
- 200イースト59 — 全戸テラス67戸、屋外面積の評価
- マンハッタンハウス — 戦後モダニズムの代表作
- ウォルドーフ・アストリア — 歴史的ホテルの住宅転用
- プラザ・レジデンス — 1907年の名門ホテル
- アマン・ニューヨーク — クラウンビルの最上位ブランド
- 400 Fifth Avenue — 商業地区に住むという選択
アッパーウエストとグラマシー
- アンソニア — ホテルから賃貸、コンドへ
- アプソープ — 1908年の中庭型、名義の自由
- ベルノード — 賃貸から分譲への転換
- 200 Amsterdam — 建築許可をめぐる訴訟
- 50 Gramercy Park North — 公園の鍵という権利
- マディソンハウス — ノマドの新築タワーと管理費
- 30イースト31 — 42戸の細身タワーの価格帯
- ワンマディソン — 築10年超の53戸と転売
- 277フィフスアベニュー — 5番街の住所は価格に乗るか
ダウンタウンとトライベッカ
- ウールワースタワー — 1913年の超高層に住む
- ワンウォールストリート — オフィス転用と減税
- ザ・グリニッジ — 125グリニッジの88階建て273戸
- 25パークロウ — シティホール公園向きの価格差
- 77グリニッジ — 小学校を抱えた90戸の価格交渉
- ワン・ビークマン — シティホール・パーク前のフロア1戸31戸
- 56 Leonard Street — 新築分譲の取得コスト
- 111 Murray Street — 大型間取りの市場
- 130 William — 固定資産税の読み方
- 30 Park Place — ホテル併設レジデンス
- 45パークプレイス — SOM設計50戸と値引き後の価格
- 100バークレー — 1927年電話局を改装した157戸
- 101ウォーレン — フルブロック227戸の価格帯
- 200チェンバーズ — プール付き258戸の維持費
- ビークマン・レジデンス — 賃貸運用向けの間取り
- 443 Greenwich — 倉庫転用と面積表示
- 565ブルームソーホー — レンゾ・ピアノ設計の112戸
- 42クロスビー(この記事)
- 10サリバン — ソーホー西端の22戸と小規模コンドの注意
- 108レナード — ランドマーク改装の167戸
- グリニッチレーン — 5棟とタウンハウスの構成
- 130ウエスト12丁目 — 病院跡コンバージョンの評価
- パックビルディング — 6戸だけのペントハウス
- ザ・シューマッハ — 印刷所転用20戸の維持費
- 70ベストリー — 川沿い46戸、少数戸を持つ意味
- 160レロイ — ウエストビレッジ川沿い57戸の値付け
- 150チャールズ — 低層91戸と中庭の維持費
- One Manhattan Square — 大型タワーの出口
- ワンハイライン(旧XI) — 開発会社の破綻と再生
ハイライン・ハドソンヤーズ
- 520 West 28th — ザハ・ハディド唯一のNY住宅
- ランタンハウス — デベロッパーの実績の見方
- 100 Eleventh Avenue — ガラス外壁の維持費
- 15 Hudson Yards — 新開発地区の評価
- 35 Hudson Yards — 似た2棟をどう比べるか
- ハドソンヤーズの住宅 — 竣工前契約の実務
- ザ・コートランド — レンガ外装と資産価値
- ウォーカータワー — 電話局のコンバージョン
- 25 Columbus Circle — 建物の改名と資産価値
ブルックリンとクイーンズ
- ブルックリンタワー — 区で初めての超高層
- ブルックリンポイント — 屋上プールの高層
- クワイタワー — 公園に守られた眺望
- ワン・ブルックリンブリッジパーク — 倉庫転用の449戸と公園への支払い
- イレブン・ホイト — 481戸の価格帯と減税の残存年数
- スカイラインタワー — クイーンズ最高層
- オリンピア・ダンボ — ブルックリン最高額の物差し
比較の全体像はビリオネアズロウ主要タワーの比較をご覧ください。
購入の実務ガイド
NEIGHBOURHOODSニューヨークの街と、他都市との比較(37件)
マンハッタンの街
- アッパーウエストサイド — 戦前の名建築と子育て環境
- カーネギーヒル — 美術館の並びに住む
- ヨークビル — 地下鉄新線が変えた買い場
- タートルベイ — 国連の街の静かな買い場
- グラマシー — 鍵のある公園に面した街
- フラットアイアン — ロフトの広さと価格
- ノマド — マンハッタン中央部の相場
- チェルシー — ハイライン沿いのレジデンス
- ウエストヴィレッジ — 石畳の歴史地区
- グリニッチビレッジ — 低層の街と戦前コープ
- ノーホー — 数ブロックのロフト一等地
- ソーホー — ロフト市場の実態
- ロウアーイーストサイド — 変わり続ける街の値段
- 金融地区 — ウォール街に暮らす
- ハーレム — ブラウンストーン1棟と賃料規制
ブルックリンの街
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- 全米の主要都市 — 価格・家賃・利回り・値上がり率
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- 日米の投資比較 — 利回り・税制・リスク
エリアの全体像と購入の実務
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