5番街と51丁目の角、聖パトリック大聖堂の真向かい。黒いガラスに覆われた高層ビルが立っています。
オリンピックタワー。1970年代の竣工で、ひとつの建物に店舗、オフィス、住居を重ねるという構成を、ニューヨークで早い時期に実現した建物です。
いまでは複合用途のビルは珍しくありませんが、当時としては新しい発想でした。その先駆けが、いまも住宅として使われています。
本日は、オリンピックタワーについて見ていきましょう。
CONTENTS
1. 複合用途という発想の先駆け

オリンピックタワーは、ギリシャの海運業を率いたアリストテレス・オナシスが関わった開発として知られています。竣工は1970年代半ば。
当時のニューヨークでは、住宅は住宅、オフィスはオフィスと用途が分かれるのが通例でした。この建物は低層に商業、中層にオフィス、上層に住居を配置し、ひとつの塔に用途を重ねました。
あわせて、公開空地を設けることで容積の割増を受ける仕組みも使われています。建物の中に一般が入れる空間を作り、その代わりに床面積を増やすという考え方です。1階の吹き抜けの広場がこれにあたります。
ゾーニングと権利の仕組みは土地所有権とゾーニングの記事でも触れています。
2. 立地の性格

5番街の50丁目前後は、ニューヨークで最も人通りの多い区間のひとつです。大聖堂、ロックフェラーセンター、主要ブランドの旗艦店が集まります。
住まいとして見ると、この立地は評価が分かれます。利便性は最高水準ですが、静けさとは対極にあります。
徒歩でミッドタウンのオフィスに通える、劇場や美術館が近い、空港へのアクセスも良い。こうした条件を優先されるなら合います。一方、公園の緑や落ち着いた住宅街を求める方には、性格が異なります。
同じ5番街でも、685 Fifth Avenueやプラザとは通りの表情が違います。実際に歩いて確かめていただく価値があります。
所在地
641 Fifth Avenue, New York, NY 10022。5番街と51丁目の角、聖パトリック大聖堂の向かいに位置します。場所はGoogleマップでご確認いただけます。
3. 築年数のある建物を検討する

竣工から相当の年数が経っているため、新築とは確認の重点が変わります。
それでは、この種の建物を検討する際の観点を表で整理します。
| 確認項目 | 見るもの |
|---|---|
| 修繕積立金 | 貸借対照表のリザーブ残高 |
| 大型修繕の予定 | 理事会議事録の直近数年分 |
| 設備の更新履歴 | 空調・エレベーター・給排水 |
| 外壁の点検結果 | 法定点検の報告と是正の有無 |
| 住戸内の改修 | 前所有者の工事と市への届出 |
※上記は築年数のある建物に共通する確認項目です。
特に4行目は、ニューヨークに固有の論点です。外壁の定期点検が法令で義務付けられており、その結果によって大規模な補修が必要になることがあります。工事費は特別徴収金として住戸に請求されます。
確認の手順はHOAの財務書類チェックの記事、無許可改修の見分け方はインスペクションの記事にまとめています。
4. 購入の実務

権利形態は住戸によって異なる場合があるため、対象となる住戸がコンドミニアムかどうかを最初にご確認ください。コンドミニアムであれば外国籍・非居住のまま購入でき、法人名義も可能です。
あわせて確認いただきたいのは次の点です。
・オフィスや店舗と共用する部分の管理費負担の考え方
・住戸内の改修がどこまで認められるか(リノベーションの記事参照)
・賃貸に出す場合の条件(転貸の記事参照)
・5番街の通行量が生活にどう影響するか(実際に時間帯を変えて歩く)
購入手順の全体像はニューヨーク不動産の購入ガイドにまとめています。
現在売りに出ている住戸(2026-08-16時点)
| 住戸 | 広さ | ベッドルーム | 売出価格 |
|---|---|---|---|
| 46/47C | 7,750sqft(約720平米) | 5 | 28,300,000ドル(約43.9億円) |
| 29D | 1,800sqft(約167平米) | 2 | 3,900,000ドル(約6.0億円) |
| 35A | 1,791sqft(約166平米) | 2 | 3,500,000ドル(約5.4億円) |
| 34B | 1,238sqft(約115平米) | 2 | 3,425,000ドル(約5.3億円) |
| 39C | 1,400sqft(約130平米) | 2 | 3,150,000ドル(約4.9億円) |
| 38B | 1,238sqft(約115平米) | 2 | 2,950,000ドル(約4.6億円) |
出典はCityRealtyのオリンピックタワーの建物ページです。売出しは日々入れ替わりますので、最新の在庫と実際に入れる価格は個別にお調べします。非公開で動いている住戸もあります。
まとめ

オリンピックタワーは、複合用途という発想をニューヨークで早くに形にした建物です。5番街の中心という立地は、いまも代替がききません。
築年数があるぶん、書類で確認できることは多くあります。数字と記録で判断できる物件とも言えます。
権利形態の確認とご内覧の手配を承っております。
BUILDINGSニューヨークの主な建物。名義と税務の観点から(84件)
ビリオネアズロウと57丁目
- セントラルパークタワー — 世界一高い住宅ビル
- One57 — ビリオネアズロウの先駆け
- 432 Park Avenue — 正方形窓の超高層
- 220 Central Park South — 全米住宅最高額の記録
- 111 West 57th — 世界で最も細い超高層
- 53 West 53rd — 近代美術館の上に住む
- Mandarin Oriental Fifth — ホテルブランドの住まい
- エセックスハウス — 公園南のアールデコ
- オズボーン — 1885年の石積み
セントラルパーク西の戦前建築
- ダコタハウス — 1884年、市内最初期の高級住宅
- サンレモ — エメリー・ロスのツインタワー
- ベレスフォード — 三本の塔と博物館の眺め
- エルドラド — 公園西の最北、貯水池の眺望
- センチュリー — 公園西で最も中心に近い
- マジェスティック — ダコタの向かい、急行駅前
- One Central Park West — コロンバスサークルの角
- 15 Central Park West — 新築で戦前の風格
パークアベニューとイーストサイド
- 740 Park Avenue — 世界で最も入りにくい住宅
- 520 Park Avenue — 戦前の格を新築で
- オリンピックタワー(この記事)
- リッツ・カールトン・レジデンス — ホテルブランドの実際
- シェリーネザーランド — ホテル機能を持つコープ
- リバーハウス — 川に正対する名門コープ
- One Sutton Place South — 借地の上に立つ建物
- サットンタワー — イーストリバー沿いの新築120戸
- 252イースト57丁目 — 分譲と賃貸が同じ塔、値下げの履歴
- ワンビーコンコート — オフィスの上に住む複合ビル
- 200イースト59 — 全戸テラス67戸、屋外面積の評価
- マンハッタンハウス — 戦後モダニズムの代表作
- ウォルドーフ・アストリア — 歴史的ホテルの住宅転用
- プラザ・レジデンス — 1907年の名門ホテル
- アマン・ニューヨーク — クラウンビルの最上位ブランド
- 400 Fifth Avenue — 商業地区に住むという選択
アッパーウエストとグラマシー
- アンソニア — ホテルから賃貸、コンドへ
- アプソープ — 1908年の中庭型、名義の自由
- ベルノード — 賃貸から分譲への転換
- 200 Amsterdam — 建築許可をめぐる訴訟
- 50 Gramercy Park North — 公園の鍵という権利
- マディソンハウス — ノマドの新築タワーと管理費
- ワンマディソン — 築10年超の53戸と転売
- 277フィフスアベニュー — 5番街の住所は価格に乗るか
ダウンタウンとトライベッカ
- ウールワースタワー — 1913年の超高層に住む
- ワンウォールストリート — オフィス転用と減税
- 25パークロウ — シティホール公園向きの価格差
- 77グリニッジ — 小学校を抱えた90戸の価格交渉
- ワン・ビークマン — シティホール・パーク前のフロア1戸31戸
- 56 Leonard Street — 新築分譲の取得コスト
- 111 Murray Street — 大型間取りの市場
- 130 William — 固定資産税の読み方
- 30 Park Place — ホテル併設レジデンス
- ビークマン・レジデンス — 賃貸運用向けの間取り
- 443 Greenwich — 倉庫転用と面積表示
- 565ブルームソーホー — レンゾ・ピアノ設計の112戸
- 42クロスビー — 10戸と100万ドルの駐車場の評価
- 108レナード — ランドマーク改装の167戸
- グリニッチレーン — 5棟とタウンハウスの構成
- 130ウエスト12丁目 — 病院跡コンバージョンの評価
- パックビルディング — 6戸だけのペントハウス
- 70ベストリー — 川沿い46戸、少数戸を持つ意味
- 160レロイ — ウエストビレッジ川沿い57戸の値付け
- One Manhattan Square — 大型タワーの出口
- ワンハイライン(旧XI) — 開発会社の破綻と再生
ハイライン・ハドソンヤーズ
- 520 West 28th — ザハ・ハディド唯一のNY住宅
- ランタンハウス — デベロッパーの実績の見方
- 100 Eleventh Avenue — ガラス外壁の維持費
- 15 Hudson Yards — 新開発地区の評価
- 35 Hudson Yards — 似た2棟をどう比べるか
- ハドソンヤーズの住宅 — 竣工前契約の実務
- ザ・コートランド — レンガ外装と資産価値
- ウォーカータワー — 電話局のコンバージョン
- 25 Columbus Circle — 建物の改名と資産価値
ブルックリンとクイーンズ
- ブルックリンタワー — 区で初めての超高層
- ブルックリンポイント — 屋上プールの高層
- クワイタワー — 公園に守られた眺望
- ワン・ブルックリンブリッジパーク — 倉庫転用の449戸と公園への支払い
- イレブン・ホイト — 481戸の価格帯と減税の残存年数
- スカイラインタワー — クイーンズ最高層
- オリンピア・ダンボ — ブルックリン最高額の物差し
比較の全体像はビリオネアズロウ主要タワーの比較をご覧ください。
購入の実務ガイド
よくある質問
オリンピックタワーはどのような構成になっていますか。
オリンピックタワーは低層に商業、中層にオフィス、上層に住居を配置し、ひとつの塔に用途を重ねた複合用途の建物です。1970年代半ばに竣工し、店舗、オフィス、住居を一つの建物に重ねる構成をニューヨークで早い時期に実現しました。
オリンピックタワーの立地はどのような特徴がありますか。
5番街と51丁目の角、聖パトリック大聖堂の向かいに位置し、ニューヨークで最も人通りの多い区間のひとつです。ミッドタウンのオフィスや劇場、美術館が近く空港へのアクセスも良いですが、静けさとは対極にあるため利便性を優先する方に合います。
築年数のある建物を検討する際に確認すべき項目はありますか。
修繕積立金や大型修繕の予定、設備の更新履歴、外壁の点検結果、住戸内の改修などを確認します。特に外壁の定期点検が法令で義務付けられており、その結果によって大規模な補修が必要になることがあります。
オリンピックタワーの住戸を購入する際に注意すべき点はありますか。
対象となる住戸がコンドミニアムかどうかを最初にご確認ください。オフィスや店舗と共用する部分の管理費負担の考え方、住戸内の改修がどこまで認められるか、賃貸に出す場合の条件などを確認する必要があります。
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