252イースト57丁目(252 East 57th Street)は、ミッドタウンイーストの2番街と57丁目の角に立つ65階建てのタワーです。設計はSOM(スキッドモア・オーイングス・アンド・メリル)、開発はワールドワイド・グループとローズ・アソシエイツで、2016年に完成しました。上層の36階から上が分譲の約95戸、その下が賃貸の約170戸という二層の構成です。
この建物を題材にするのは、分譲と賃貸が同じ塔の中にある建物を買うときの見方を考えるためです。分譲時の値付けが高すぎて長く売れ残り、後から値下げされた経緯がある建物でもあります。値下げの履歴をどう読むか、建物内の賃貸住戸と競合しながらどう貸すか、そしてどの名義で持つかを、この建物で具体的にたどります。
1. 建物の概要。65階建て・分譲約95戸

252イースト57丁目は、曲面のガラスをまとった塔で、低層部には大型の食料品店が入ります。分譲住戸は36階から65階までで、2ベッドルームから5ベッドルームまでが中心です。全戸が上層にあるため、東はイーストリバー、西はセントラルパークまで視界が開けます。
共用施設は、22メートル級のプール、ジム、スパ、スクリーニングルーム、ビリヤードルーム、屋外テラスと、賃貸部分と共用の部分もあります。ローズ・アソシエイツは賃貸管理の実績が長い会社で、この建物の管理も同社が担っています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 所在地 | 252 East 57th Street, New York(ミッドタウンイースト) |
| 竣工 | 2016年 |
| 階数・戸数 | 65階建て・分譲約95戸(36階以上)、下層に賃貸約170戸 |
| 設計・開発 | SOM/ワールドワイド・グループ、ローズ・アソシエイツ |
| 形態 | コンドミニアム(下層は賃貸) |
| 主な施設 | プール、ジム、スパ、スクリーニングルーム、屋外テラス |
ミッドタウンイーストは、57丁目の東側に新築の塔と戦前の建物が並ぶ地区です。地区の成り立ちと物件の傾向はミッドタウンイーストのエリア記事にまとめています。
2. 分譲時から値下げされた建物をどう読むか

252イースト57丁目の分譲は2014年に始まり、当初の値付けは3ベッドルームで700万ドル台、上層の大きな住戸で2,000万ドル前後でした。57丁目という住所を根拠にビリオネアズロウに近い単価で出したものの、2番街の立地はパーク・アベニューの西側とは別の市場で、売れ行きは鈍く、数年にわたって在庫が残りました。
開発側はその後、価格を段階的に下げ、住戸によっては当初から2割以上安い水準で成約しています。転売でも、分譲時の価格を下回る例が続きました。同じ57丁目でも432パークや111ウエスト57丁目とは、価格の根拠になる市場が違います。
値下げの履歴がある建物を後から買うときの読み方は二つあります。一つは、値下げ後の価格が周辺の同等の新築と釣り合っているかを見ることです。釣り合っていれば、当初の値付けは無視してよく、単に適正価格に戻っただけです。もう一つは、まだ売れ残っている住戸があるかを見ることです。開発側の在庫が残っている間は、転売の買い手は開発側の値引きと比べるため、転売価格が抑えられます。
買う側から見れば、値下げの履歴は割安に入る機会でもあります。分譲時の高値を知っている売り手ほど、実勢との差を受け入れるまで時間がかかるため、長く出ている住戸は指値の余地があります。
3. 賃料と維持費の釣り合い

この建物の特徴は、分譲住戸を貸すとき、同じ塔の下層にある賃貸住戸と借り手を取り合うことです。賃貸部分は運営会社が一括で貸すため、フリーレントや設備の条件を機動的に動かせます。個人が上層の住戸を貸す場合、賃料は2ベッドルームで月1万ドル台から、3ベッドルームで月2万ドル前後が目安ですが、下層の賃貸の条件に引っ張られます。
差をつけられるのは、階の高さと眺望、そして仕上げです。上層の分譲住戸には賃貸部分にない広さと眺望があるため、それを求める借り手に絞れば、下層と直接は競合しません。
維持費は、施設が充実している分、コモンチャージが大型の塔の中でも高めの水準です。コモンチャージの中身と適正水準にまとめたとおり、分譲と賃貸が施設を共用する建物では、費用の分担の比率が規約で決まっています。その比率と、賃貸側の運営会社が負担する部分を、予算書で確認します。
賃料から維持費と管理の費用を引いた残りを価格で割ると、手取りの利回りは2%前後です。値下げ後の価格で入れば、周辺の新築より利回りは幾分よくなります。
4. 購入の実務と名義の設計
252イースト57丁目はコンドミニアムのため、外国籍・非居住のまま購入できます。コープのような理事会審査はなく、法人名義やトラスト名義での保有も規約の範囲で可能です。賃貸に出す場合は、最低の契約期間と、短期の貸出を禁じる規約を確認します。
非居住者が個人名義で貸すと賃料に対する源泉徴収が30%かかり、申告で経費を引く選択をしないと手取りが大きく減ります。LLC名義での保有と税務に整理したとおり、LLCを通すことで賃料の受け取り、経費の計上、将来の売却や相続の扱いを一本の設計に収められます。
相続を見通すなら、米国の遺産税の非居住者控除が6万ドルしかない点を、買う前に織り込みます。売却時にはFIRPTAの源泉徴収が売却価格に対してかかり、還付は翌年の申告後になります。値下げの履歴がある建物では、売却時に取得価格を下回る可能性も想定し、損失が出た場合の申告の扱いまで先に確認しておきます。
取引の際には、対象住戸の直近の成約と開発側の残り在庫、分譲と賃貸の費用分担の比率、建物の予算書と積立残高を書面で確認してください。
5. まとめ
252イースト57丁目は、分譲時の値付けが高すぎて後から下がった建物です。値下げ後の価格が周辺と釣り合っているか、開発側の在庫が残っていないかで読み、長く出ている住戸には指値の余地があります。貸すときは同じ塔の賃貸住戸と競合するため、上層の広さと眺望で借り手を絞ります。名義は、貸す期間があるならLLCを先に検討します。
購入手順の全体像はニューヨーク不動産の購入ガイドに、日本からの進め方は日本からの遠隔購入にまとめています。
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よくある質問
252イースト57丁目はどこにありますか。
マンハッタンのミッドタウンイースト、2番街と57丁目の角、252 East 57th Streetです。地下鉄はN・R・W線とレキシントン・アベニュー駅の4・5・6線が徒歩圏で、低層部に大型の食料品店が入っています。
252イースト57丁目の分譲住戸は何戸ありますか。
65階建てのうち36階以上が分譲で約95戸、その下が賃貸で約170戸です。分譲住戸を貸す場合は、同じ塔の賃貸住戸と借り手を取り合うため、上層の広さと眺望で差をつけます。
値下げされた建物を買っても大丈夫ですか。
値下げ後の価格が周辺の同等の新築と釣り合っていれば、当初の値付けは無視して構いません。開発側の在庫が残っていると転売価格が抑えられるため、残り在庫の有無を確認してから判断します。
外国籍でも購入できますか。
コンドミニアムのため、外国籍・非居住のまま購入でき、法人名義やトラスト名義での保有も規約の範囲で可能です。コープのような理事会審査はありません。
所在地
252 East 57th Street, New York。位置はGoogleマップでご確認いただけます。
BUILDINGS
ニューヨークの主な建物。名義と税務の観点から
ビリオネアズロウと57丁目
- セントラルパークタワー — 世界一高い住宅ビル
- One57 — ビリオネアズロウの先駆け
- 432 Park Avenue — 正方形窓の超高層
- 220 Central Park South — 全米住宅最高額の記録
- 111 West 57th — 世界で最も細い超高層
- 53 West 53rd — 近代美術館の上に住む
- Mandarin Oriental Fifth — ホテルブランドの住まい
- エセックスハウス — 公園南のアールデコ
- オズボーン — 1885年の石積み
セントラルパーク西の戦前建築
- ダコタハウス — 1884年、市内最初期の高級住宅
- サンレモ — エメリー・ロスのツインタワー
- ベレスフォード — 三本の塔と博物館の眺め
- エルドラド — 公園西の最北、貯水池の眺望
- センチュリー — 公園西で最も中心に近い
- マジェスティック — ダコタの向かい、急行駅前
- One Central Park West — コロンバスサークルの角
- 15 Central Park West — 新築で戦前の風格
パークアベニューとイーストサイド
- 740 Park Avenue — 世界で最も入りにくい住宅
- 520 Park Avenue — 戦前の格を新築で
- オリンピックタワー — 五番街の複合の先駆け
- リッツ・カールトン・レジデンス — ホテルブランドの実際
- シェリーネザーランド — ホテル機能を持つコープ
- リバーハウス — 川に正対する名門コープ
- One Sutton Place South — 借地の上に立つ建物
- サットンタワー — イーストリバー沿いの新築120戸
- 252イースト57丁目(この記事)
- ワンビーコンコート — オフィスの上に住む複合ビル
- 200イースト59 — 全戸テラス67戸、屋外面積の評価
- マンハッタンハウス — 戦後モダニズムの代表作
- ウォルドーフ・アストリア — 歴史的ホテルの住宅転用
- プラザ・レジデンス — 1907年の名門ホテル
- アマン・ニューヨーク — クラウンビルの最上位ブランド
- 400 Fifth Avenue — 商業地区に住むという選択
アッパーウエストとグラマシー
- アンソニア — ホテルから賃貸、コンドへ
- アプソープ — 1908年の中庭型、名義の自由
- ベルノード — 賃貸から分譲への転換
- 200 Amsterdam — 建築許可をめぐる訴訟
- 50 Gramercy Park North — 公園の鍵という権利
- マディソンハウス — ノマドの新築タワーと管理費
- 30イースト31 — 42戸の細身タワーの価格帯
- ワンマディソン — 築10年超の53戸と転売
- 277フィフスアベニュー — 5番街の住所は価格に乗るか
ダウンタウンとトライベッカ
- ウールワースタワー — 1913年の超高層に住む
- ワンウォールストリート — オフィス転用と減税
- ザ・グリニッジ — 125グリニッジの88階建て273戸
- 25パークロウ — シティホール公園向きの価格差
- 77グリニッジ — 小学校を抱えた90戸の価格交渉
- ワン・ビークマン — シティホール・パーク前のフロア1戸31戸
- 56 Leonard Street — 新築分譲の取得コスト
- 111 Murray Street — 大型間取りの市場
- 130 William — 固定資産税の読み方
- 30 Park Place — ホテル併設レジデンス
- 45パークプレイス — SOM設計50戸と値引き後の価格
- 100バークレー — 1927年電話局を改装した157戸
- 101ウォーレン — フルブロック227戸の価格帯
- 200チェンバーズ — プール付き258戸の維持費
- ビークマン・レジデンス — 賃貸運用向けの間取り
- 443 Greenwich — 倉庫転用と面積表示
- 565ブルームソーホー — レンゾ・ピアノ設計の112戸
- 42クロスビー — 10戸と100万ドルの駐車場の評価
- 10サリバン — ソーホー西端の22戸と小規模コンドの注意
- 108レナード — ランドマーク改装の167戸
- グリニッチレーン — 5棟とタウンハウスの構成
- 130ウエスト12丁目 — 病院跡コンバージョンの評価
- パックビルディング — 6戸だけのペントハウス
- ザ・シューマッハ — 印刷所転用20戸の維持費
- 70ベストリー — 川沿い46戸、少数戸を持つ意味
- 160レロイ — ウエストビレッジ川沿い57戸の値付け
- 150チャールズ — 低層91戸と中庭の維持費
- One Manhattan Square — 大型タワーの出口
- ワンハイライン(旧XI) — 開発会社の破綻と再生
ハイライン・ハドソンヤーズ
- 520 West 28th — ザハ・ハディド唯一のNY住宅
- ランタンハウス — デベロッパーの実績の見方
- 100 Eleventh Avenue — ガラス外壁の維持費
- 15 Hudson Yards — 新開発地区の評価
- 35 Hudson Yards — 似た2棟をどう比べるか
- ハドソンヤーズの住宅 — 竣工前契約の実務
- ザ・コートランド — レンガ外装と資産価値
- ウォーカータワー — 電話局のコンバージョン
- 25 Columbus Circle — 建物の改名と資産価値
ブルックリンとクイーンズ
- ブルックリンタワー — 区で初めての超高層
- ブルックリンポイント — 屋上プールの高層
- クワイタワー — 公園に守られた眺望
- ワン・ブルックリンブリッジパーク — 倉庫転用の449戸と公園への支払い
- イレブン・ホイト — 481戸の価格帯と減税の残存年数
- スカイラインタワー — クイーンズ最高層
- オリンピア・ダンボ — ブルックリン最高額の物差し
比較の全体像はビリオネアズロウ主要タワーの比較をご覧ください。
購入の実務ガイド
NEIGHBOURHOODSニューヨークの街と、他都市との比較(37件)
マンハッタンの街
- アッパーウエストサイド — 戦前の名建築と子育て環境
- カーネギーヒル — 美術館の並びに住む
- ヨークビル — 地下鉄新線が変えた買い場
- タートルベイ — 国連の街の静かな買い場
- グラマシー — 鍵のある公園に面した街
- フラットアイアン — ロフトの広さと価格
- ノマド — マンハッタン中央部の相場
- チェルシー — ハイライン沿いのレジデンス
- ウエストヴィレッジ — 石畳の歴史地区
- グリニッチビレッジ — 低層の街と戦前コープ
- ノーホー — 数ブロックのロフト一等地
- ソーホー — ロフト市場の実態
- ロウアーイーストサイド — 変わり続ける街の値段
- 金融地区 — ウォール街に暮らす
- ハーレム — ブラウンストーン1棟と賃料規制
ブルックリンの街
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- コブルヒル — ランドマーク地区のブラウンストーン
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- ダウンタウンブルックリン — 供給が集中した地区の出口
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ニューヨークを他の都市と比べる
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- 日米の投資比較 — 利回り・税制・リスク
エリアの全体像と購入の実務
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