2026年9月15日 Satoshi Onodera

ザ・グリニッジ(The Greenwich by Rafael Viñoly)。125グリニッジ・ストリートの88階建て273戸、再出発後の価格と名義の設計

ザ・グリニッジ(The Greenwich by Rafael Viñoly)は、フィナンシャルディストリクトの125グリニッジ・ストリートに建つ88階建て273戸のコンドミニアムです。設計は432パーク・アベニューと同じラファエル・ヴィニオリで、高さは約278メートル、ワールドトレードセンターのすぐ南に立つダウンタウン最高層の住宅棟です。

 

この建物を題材にするのは、工事の中断と融資の差し押さえを経て2023年に別の名前で再出発した経緯が、新築コンドの価格がどう決まり直すのかを示す例になるためです。物件の紹介だけでなく、外国籍・非居住のまま買う場合の名義と税務の設計まで書きます。

 

1. 建物の概要。88階建て・273戸

ザ・グリニッジ(125グリニッジ・ストリートの88階建てコンドミニアム)

 

ザ・グリニッジは、もともと「125グリニッジ・ストリート」の名で2016年に着工し、2019年に工事が止まりました。融資の差し押さえの後、投資会社が引き取って工事を再開し、2023年にラファエル・ヴィニオリの名を冠した現在の名前で販売を再開しています。細身のガラスの塔で、角の丸い四角形の平面は432パーク・アベニューと同じ設計者の手つきが分かる形です。

 

住戸はスタジオから3ベッドルームまで273戸で、ダウンタウンの超高層としては小さめの住戸が多い構成です。共用部は最上部の86階から88階に集められ、屋内プール、フィットネス、ラウンジ、ダイニングルームが街を見下ろす位置にあります。この「アメニティを最上階に置く」構成は、住戸の眺望を売りにする超高層では珍しく、この建物の特徴になっています。

 

項目 内容
所在地 125 Greenwich Street, New York, NY 10006(フィナンシャルディストリクト)
竣工 2023年(2016年着工、2019年中断、2021年再開)
階数・戸数 88階建て・273戸
設計・開発 ラファエル・ヴィニオリ(設計)、Fortress Investment Group ほか(再出発後の事業主)
形態 コンドミニアム
主な施設 最上部3層の屋内プール、フィットネス、ラウンジ、ダイニング、24時間ドアマン
公表情報にもとづく概要です。戸数や施設は分譲時の計画で、最新の状況は取引の際に確認してください。

 

周辺の再開発と住宅化の流れは、フィナンシャルディストリクトのエリア記事にまとめています。

 

2. 価格の位置づけ。再出発で組み直された値付け

ザ・グリニッジ(125グリニッジ・ストリートの88階建てコンドミニアム)

 

再出発後の価格は、スタジオが110万ドル前後から、ワンベッドルームが150万ドルから220万ドル、2ベッドルームが260万ドルから420万ドル、3ベッドルームが450万ドルから750万ドルが目安です。平方フィートあたりでは1,800ドルから2,300ドルで、最初の分譲計画で想定されていた水準より1割から2割低く組み直されています。

 

比較すると、同じフィナンシャルディストリクトのワン・ウォールストリートが平方フィートあたり1,800ドルから2,400ドル、130ウィリアムが1,600ドルから2,000ドルです。ザ・グリニッジはこの2棟と同じ帯にありながら、高さと眺望では上回ります。同じ設計者の432パーク・アベニューが平方フィートあたり4,000ドル台であることを考えると、設計の系譜を半分以下の単価で持てる建物と言えます。

 

単価が抑えられている理由は、工事の中断という履歴と、フィナンシャルディストリクトが夜間と週末に人の流れが減るオフィス街であることです。逆に言えば、この2点を受け入れられる買い手にとっては、ダウンタウン最高層の新築を相場の帯で買える条件がそろっています。

 

3. 賃料と維持費の釣り合い。戸数の多さが効く建物

ザ・グリニッジ(125グリニッジ・ストリートの88階建てコンドミニアム)

 

賃貸に出す場合、スタジオで月4,500ドルから5,500ドル、ワンベッドルームで月5,500ドルから7,500ドル、2ベッドルームで月9,000ドルから13,000ドルが目安です。金融街に通う借り手が多く、小さめの住戸は空室期間が短い傾向があります。大型住戸より小さい住戸のほうが貸しやすいのは、この建物の構成と合っています。

 

維持費は、コモンチャージが月1平方フィートあたり1.4ドルから1.8ドル、固定資産税が同じく1.3ドルから1.7ドル前後で、ワンベッドルームであれば合わせて月2,500ドルから3,500ドルです。273戸で最上階のプールとスタッフを分担するため、1戸あたりの負担は50戸前後の小規模コンドより軽くなります。コモンチャージの構造はコモンチャージの中身と適正水準で解説しています。

 

表面利回りは3%台後半から4%、維持費と空室を差し引いた手取りの利回りは2%前後です。ダウンタウンの超高層の中では賃料と維持費の釣り合いが取れているほうで、ワンベッドルームを複数戸持って貸す使い方も成り立ちます。

 

4. 購入の実務と名義の設計

ザ・グリニッジはコンドミニアムなので、外国籍・非居住のまま購入でき、理事会の承認面接はありません。LLCや信託の名義で買うこともできます。個人名義で賃貸に出す場合、非居住者の賃料には30%の源泉徴収がかかり、これを避けるには確定申告で純所得課税を選ぶ届出が必要です。LLC名義の考え方はLLC名義での保有と税務にまとめています。

 

売却時には、非居住者の売主に対して売却額の15%が源泉徴収されます(FIRPTAの源泉徴収)。また、非居住者が個人名義で米国不動産を持ったまま亡くなると、遺産税の基礎控除は6万ドルしかなく、最高40%の税率がかかります。複数戸を持つ場合は合計額で考えるため、名義の設計の重みはさらに増します。

 

名義の設計は、購入後に変えると譲渡税がかかるため、契約前に決めます。工事の中断を経た建物では、分譲時の申告書(オファリングプラン)の改訂履歴と、事業主の保証の範囲を確認することも欠かせません。取引の際には、住戸ごとの状況と最新の税務を、契約書と書面で確認してください。

 

5. まとめ

ザ・グリニッジは、432パーク・アベニューと同じ設計者による超高層を、フィナンシャルディストリクトの相場の帯で持てる建物です。小さめの住戸が多く、戸数で維持費を分担できるため、貸して持つ使い方とも相性があります。購入の全体の流れはニューヨーク不動産の購入ガイドに、日本にいながら進める手順は日本からの遠隔購入にまとめています。

 

売り出し状況と、非公開で動いている住戸のご案内も承っております。

 

よくある質問

ザ・グリニッジと125グリニッジ・ストリートは同じ建物ですか。

同じ建物です。125グリニッジ・ストリートの名で着工し、工事の中断と差し押さえを経て、2023年に「The Greenwich by Rafael Viñoly」の名で販売を再開しました。住所は変わっていません。

ザ・グリニッジの価格はどれくらいですか。

スタジオが110万ドル前後から、ワンベッドルームが150万ドルから220万ドル、2ベッドルームが260万ドルから420万ドルが目安です。平方フィートあたりでは1,800ドルから2,300ドルです。

ザ・グリニッジを外国籍のまま買えますか。

コンドミニアムなので、外国籍・非居住のまま購入でき、理事会の承認面接はありません。LLCや信託の名義でも買えます。賃料の源泉徴収や遺産税の扱いは名義で変わるため、契約前に設計します。

工事が止まった建物を買っても問題ありませんか。

再開後に完成し、入居も始まっています。ただし分譲時の申告書の改訂履歴と、事業主の保証の範囲は住戸ごとに確認が必要です。契約前に弁護士を通して書面で確認します。

所在地

125 Greenwich Street, New York, NY 10006。位置はGoogleマップでご確認いただけます。


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