2026年9月11日 Satoshi Onodera

108レナード(108 Leonard Street)。1898年の時計塔を改装した167戸を、名義と税務から見る

108レナード(108 Leonard Street)は、トライベッカの東端、ブロードウェイに面した1898年竣工の時計塔ビルを改装した13階建て・167戸のコンドミニアムです。設計はマッキム・ミード・アンド・ホワイトで、もとはニューヨーク生命保険の本社でした。

 

この建物を題材にするのは、市のランドマークに指定された建物を買うときの見方を考えるためです。歴史的な外観と天井高は新築では手に入りませんが、指定は改修の自由を縛り、維持費にも影響します。日本から法人名義で持ち、貸して、いずれ売るという流れの中で、指定の重みをどう扱うかをたどります。

 

1. 建物の概要。13階建て・167戸

108レナード(108 Leonard Street)

 

108レナードは、エラド・グループが市から取得した旧庁舎を住宅に改装したもので、内装はジェフリー・ビアーズが手がけました。2019年から入居が始まり、大理石の階段と時計塔の機械室は市の内部ランドマークとして保存されています。

 

特徴は天井高と窓の大きさで、住戸の多くが3.5メートル前後の天井を持ちます。共用施設は屋内プール、ジム、ラウンジ、ワインルーム、屋上テラス、車寄せで、1ベッドルームから4ベッドルームまで住戸の型は幅広く、改装物件としては規模が大きい建物です。

 

項目 内容
所在地 108 Leonard Street, New York(トライベッカ)
竣工 1898年(改装は2019年)
階数・戸数 13階建て・167戸
設計・開発 マッキム・ミード・アンド・ホワイト(原設計)/エラド・グループ(改装)
形態 コンドミニアム
主な施設 屋内プール、ジム、ラウンジ、ワインルーム、屋上テラス
公表情報にもとづく概要です。戸数や施設は分譲時の計画で、最新の状況は取引の際に確認してください。

トライベッカは、倉庫街を改装したロフトと新築が混じる地区です。地区の成り立ちと物件の傾向はトライベッカのエリア記事にまとめています。

 

2. ランドマーク指定は価格にどう効くか

108レナード(108 Leonard Street)

 

ランドマーク指定は、二つの向きに働きます。一つは希少性で、同じ外観の建物は二度と建たないため、価格の下支えになります。もう一つは制約で、窓や外壁に手を入れるには市の許可が要り、住戸の中でも保存対象の部位は動かせません。

 

分譲時の価格は、1ベッドルームが100万ドル台後半から、2ベッドルームが200万ドル台後半から400万ドル台、3〜4ベッドルームが500万ドルを超える水準でした。転売では、時計塔に近い上層と角の住戸が分譲時を上回る例があり、内側の低層は分譲時と同じかやや下の単価で動きます。

 

比べる先は、同じトライベッカの新築56レナードと、改装の443グリニッジです。新築は眺望、改装は天井高と外観で価格を作り、108レナードは後者の型で、しかも指定の重みが加わります。買い手が新築の設備を求める人か、建物の来歴を求める人かで、転売の相手が変わります。

 

3. 賃料と維持費の釣り合い

108レナード(108 Leonard Street)

 

トライベッカは、金融街に近く、学校の評価が高いことから家族層の賃貸需要が厚い地区です。108レナードの1ベッドルームは月額の賃料が7,000ドル台から、2ベッドルームが1万2,000ドル前後で貸し出されています。

 

維持費はコモンチャージと固定資産税の合計で見ます。167戸で分担するため戸あたりは抑えられますが、指定建物の外壁と屋根の修繕は通常より費用がかかり、積立金の水準に表れます。1ベッドルームでコモンチャージが月1,800ドル前後、固定資産税が同じくらいの額を見込んでおきます。

 

賃料から維持費と管理の費用を引いた残りを価格で割ると、手取りの利回りが出ます。この建物も2〜3%台に収まります。コモンチャージの中身と適正水準にまとめたとおり、指定建物では外装の修繕計画が積立金の額を決めるため、直近の予算書に外壁と屋根の項目があるかを確認します。

 

利回りだけを求めるなら、この建物は選ばれません。二度と建たない建物をドル建ての資産として持ち、賃料で維持費を賄いながら置いておく、という目的で数字を組みます。

 

4. 購入の実務と名義の設計

108レナードはコンドミニアムのため、外国籍・非居住のまま購入できます。コープのような理事会審査はなく、法人名義やトラスト名義での保有も規約の範囲で可能です。賃貸に出す場合、最低の契約期間など建物の規約を確認します。

 

貸すことが前提なら、名義は個人ではなく法人を先に検討します。非居住者が個人名義で貸すと、賃料に対する源泉徴収が30%かかり、申告で経費を引く選択をしないと手取りが大きく減ります。LLC名義での保有と税務に整理したとおり、LLCを通すことで賃料の受け取り、経費の計上、将来の売却や相続の扱いを一本の設計に収められます。

 

相続を見通すなら、米国の遺産税の非居住者控除が6万ドルしかない点を、買う前に織り込みます。売却時にはFIRPTAの源泉徴収が売却価格に対してかかり、還付は翌年の申告後になります。

 

取引の際には、対象住戸と同じ型の直近の成約、住戸の中で保存対象になっている部位、外装の修繕計画と積立残高、税の減免が残っているかどうかを書面で確認してください。保存対象の部位は、改装の見積もりを大きく変えます。

 

5. まとめ

108レナードは、ランドマーク指定が希少性と制約の両方をもたらす建物です。時計塔に近い上層は分譲時を上回る転売があり、内側の低層は指定の重みが価格に出ます。日本から法人名義で持ち、二度と建たない建物をドル資産として置いておく、という目的に合う型です。

 

購入手順の全体像はニューヨーク不動産の購入ガイドに、日本からの進め方は日本からの遠隔購入にまとめています。

 

売り出し状況と、非公開で動いている住戸のご案内も承っております。

 

よくある質問

108レナードはどこにありますか。

マンハッタンのトライベッカ地区の東端、108 Leonard Streetです。ブロードウェイに面し、地下鉄はカナルストリート駅とフランクリンストリート駅が徒歩圏です。

108レナードは何戸ありますか。

13階建てで167戸です。1898年竣工のニューヨーク生命保険の旧本社を2019年に住宅へ改装したもので、1ベッドルームから4ベッドルームまで住戸の型が幅広く用意されています。

賃貸に出せますか。

コンドミニアムのため賃貸に出せます。最低の契約期間など建物の規約を確認したうえで、非居住者が個人名義で貸すと賃料に30%の源泉徴収がかかるため、法人名義での保有を先に検討します。

外国籍でも購入できますか。

コンドミニアムのため、外国籍・非居住のまま購入でき、法人名義やトラスト名義での保有も規約の範囲で可能です。コープのような理事会審査はありません。

所在地

108 Leonard Street, New York。位置はGoogleマップでご確認いただけます。


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