2026年10月20日 Reinvent編集チーム

ニューヨークの洪水リスクと開示義務。洪水区域の調べ方、賃貸契約の記載、売買と保険

ニューヨーク市で洪水の危険が高いとされる区域(FEMAの100年洪水区域)は、1年に1%、30年の住宅ローンの間に26%の確率で浸水すると想定された区域です。

州内の住宅の賃貸契約には、2023年6月21日から、その住戸が洪水区域にあるか、過去に浸水したかを書くことが義務になりました。売買でも2024年3月20日から、1〜4世帯の住宅の売主が開示書で洪水について答える決まりです。2012年のハリケーン・サンディでは、市内で44人が亡くなりました。

 

この記事の要点

  • 洪水区域の地図はFEMAが作り、市の避難区域とは別物です。住所から両方を調べられます
  • 賃貸契約には、洪水区域にあるか、過去に浸水したかの記載が義務です(2023年6月21日から)
  • 1〜4世帯の住宅の売買では、売主の開示書に洪水の質問が加わりました。コンドとコープは対象外です
  • 賃貸の保険では洪水の損害はほとんど払われません。家財は国の洪水保険で10万ドルまで掛けられます

 

水辺の街を選ぶ駐在の方にも、海沿いや低い土地の物件を買う方にも、契約の前に確かめられる情報です。

本日はニューヨークの洪水リスクと開示義務について見ていきましょう。

 

 

1. 洪水の地図。FEMAの洪水区域と、市の避難区域は別物

ニューヨークの水辺の住宅街

 

 

洪水区域は文字、避難区域は数字

市の洪水地図の案内によると、FEMA(連邦緊急事態管理庁)の洪水保険料率地図は、洪水保険と建築規則の要件を決める地図です。危険の高い区域は特別洪水危険区域(100年洪水区域)と呼ばれ、区域はアルファベットの記号で分けられます。

一方、ハリケーンのときに避難するかどうかを決めるのは、1から6の数字で分けた市の避難区域です。2つの地図は目的が違うため、両方を見ます。

FEMAは2015年に市の新しい地図の暫定版を出しましたが、市が誤りを指摘し、2016年にFEMAが作り直しに同意しました。新しい地図ができるまで、市の建築規則は新築と大規模な改修に2015年の暫定版を使うよう求めています。住所ごとの区域はFEMAの地図サービスで調べられます。

1%100年洪水区域で、1年に浸水する確率
26%同じ区域で、30年の住宅ローンの間に浸水する確率
6つ市のハリケーン避難区域の数

 

 

ハリケーンの季節は6月から11月

市の緊急事態管理局は、大西洋のハリケーンの季節を6月1日から11月30日までとし、ハリケーンの84%は8月から10月に発生すると発表しています。夏から秋に着任する方は、入居の前に避難区域を確かめておきます。

 

 

2. 借りるときの開示義務。2023年6月21日からすべての賃貸契約に

ニューヨークの水辺の住宅街

 

 

契約書に書かれる4つの項目

州の不動産法231-b条は、住宅の賃貸契約に洪水の履歴と危険の記載を求めています。2022年12月23日に知事が署名したと提出した州議会議員が発表し、法律の定めにより180日後の2023年6月21日から適用されています。

  1. 住戸の全部または一部が、FEMAの指定する洪水区域にあるか
  2. 特別洪水危険区域(100年洪水区域)にあるか
  3. 中程度の危険区域(500年洪水区域)にあるか
  4. 大雨、高潮、川の氾濫などで浸水の被害を受けたことがあるか

契約書には、国の洪水保険(NFIP)で家財を守れること、通常の賃貸の保険は洪水の損害をふつう補償しないことを知らせる一文も入ります。

 

 

家財は国の洪水保険で掛ける

市の緊急事態管理局の借り手と洪水保険の案内によると、国の洪水保険は借り手にも家財の補償を出し、上限は10万ドルです。洪水の危険が高い区域の外からの請求が、保険金の請求の40%を超えるとも説明しています。

注意

国の洪水保険でいう地下は、床がすべての面で地面より低い部分です。地下ではボイラーや洗濯機などの設備と清掃の費用は補償されますが、置いてある家財や、仕上げた壁・床・天井は補償されません。地下や半地下の住戸を借りる前に、この点を知っておきます。

 

 

3. 買うときの開示。1〜4世帯の住宅は売主が洪水の質問に答える

ニューヨークの水辺の住宅街

 

 

500ドルで開示を省く道がなくなった

売買では、州の物件状況開示法の改正で、売主の開示書に洪水区域、国の洪水保険の加入義務、FEMAなどからの洪水の支援金、洪水保険の有無と請求の履歴を問う項目が加わりました。開示書を出さない代わりに買主へ500ドルを差し引く仕組みも廃止され、2024年3月20日から適用されています。

取引 洪水の開示 始まり 自分で確かめること
住宅を借りる 賃貸契約に記載が義務 2023年6月21日 契約書の洪水の項目と避難区域
1〜4世帯の住宅を買う 売主の開示書に洪水の質問 2024年3月20日 開示書の回答と保険の履歴
コンド・コープの住戸を買う 開示書の対象外 なし 建物の被害歴と保険を管理側に確認

州の不動産法231-b条と物件状況開示法の改正法の条文をもとに作成しました。

 

 

コンドとコープは自分で聞く

ポイント

この開示書の対象は1〜4世帯の住宅で、コンドミニアムの住戸とコープの住戸は対象外です。マンハッタンで住戸を買うときは、建物の過去の浸水、地下の設備の位置、建物の洪水保険を、管理組合への質問として確かめます。保険の考え方はニューヨークの不動産にかける保険にまとめています。

 

 

4. サンディが残した数字と、住まい選びで確かめること

ニューヨークの水辺の住宅街

 

 

2012年10月29日の被害

市の復興の案内によると、2012年10月29日に市を襲ったハリケーン・サンディで市民44人が亡くなり、被害と経済の損失は推計190億ドルでした。被害を受けた住戸は6万9,000戸を超えます。

水辺の区域の物件は、洪水の危険と保険の費用を並べて考えます。地区ごとの見方はブルックリンのレッドフックやニュージャージーのホーボーケンの記事で取り上げています。

 

 

契約の前に確かめること

  • 住所がFEMAの洪水区域に入っているか、どの区分か
  • 市のハリケーン避難区域の番号
  • 賃貸契約書の洪水の項目(過去の浸水の有無)
  • 住戸の階数。地下や半地下か
  • 家財の洪水保険を掛けるか(賃貸の保険とは別)

賃貸契約の流れはニューヨークの賃貸契約ガイドをご覧ください。

 

 

まとめ

ニューヨークの水辺の住宅街

 

 

地図、契約書、保険の3つで確かめる

ニューヨークの洪水の危険は、FEMAの洪水区域と市の避難区域の2つの地図で住所ごとに調べられます。賃貸契約には2023年6月21日から洪水の記載が義務になり、1〜4世帯の住宅の売買でも2024年3月20日から売主が洪水の質問に答えます。

コンドとコープは開示書の対象外のため、建物の被害歴は自分で聞きます。賃貸の保険では洪水はほとんど払われないので、家財は国の洪水保険で別に掛けます。

 

よくある質問

ニューヨークの洪水区域はどうやって調べますか。

住所を入れてFEMAの地図サービスで調べます。洪水保険と建築規則の要件を決めるのはFEMAの洪水区域で、アルファベットの記号で分けられます。ハリケーンのときの避難を決めるのは市の1から6の避難区域で、2つは別の地図です。

賃貸契約に洪水のことは書かれますか。

書かれます。州の不動産法231-b条により、2023年6月21日から、住戸が洪水区域にあるか、100年・500年洪水区域にあるか、過去に浸水したかを賃貸契約に記載する義務があります。国の洪水保険で家財を守れること、通常の賃貸の保険は洪水をふつう補償しないことも書かれます。

コンドミニアムを買うとき、売主は洪水について開示しますか。

州の物件状況開示書の対象は1〜4世帯の住宅で、コンドミニアムとコープの住戸は対象外です。建物の過去の浸水、地下の設備、建物の洪水保険を、管理組合への質問として確かめます。

賃貸の保険に入っていれば洪水も補償されますか。

ほとんど補償されません。家財は国の洪水保険(NFIP)で別に掛け、上限は10万ドルです。地下にある家財は国の洪水保険でも補償されません。

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水辺の物件は、洪水区域と保険の費用を並べてから決めます。部屋探しと物件選びの段階からご相談ください。

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本ページの相場、利回り、所要時間などの数値は、一般に公開されているデータや当社の取引経験にもとづく目安です。物件、時期、条件によって実際とは異なる場合があり、当社が正確性および最新性を保証するものではありません。犯罪発生状況はニューヨーク市警などの公的機関が地区ごとの統計を公開しているため、そちらの数字をご確認ください。当社は入居者や購入者の国籍、人種、出身、宗教、家族構成によって物件やエリアをお勧めすることはいたしません。本ページの内容は情報提供のみを目的としており、投資勧誘や税務助言には当たりません。