アメリカ入国時の税関手続きは、観光客から駐在員まで、すべての渡航者にとって避けて通れない重要なプロセスです。アメリカの税関・国境警備局(CBP)は、入国するすべての人に、持ち込む品物と現金の申告を求めています。
特に近年では、デジタル申告システムの導入や、高額商品の持ち込みに対する監視強化など、従来とは大きく異なる対応が求められています。適切な準備なしに入国審査に臨んだ場合、予想以上の時間がかかったり、追加の税金や罰金が課せられたりする可能性があります。
本日はアメリカ入国時の税関手続きについて詳しく見ていきましょう。
1. アメリカ入国時の税関システムの基本構造

CBPの役割と権限
アメリカの税関・国境警備局(CBP)は、米国税関・国境警備局として、国境と入国の審査を担う連邦機関です。CBPの集計では、2025会計年度の1日平均で約114万人の旅行者と約26万台の車両の入国を扱っています(CBP Typical Day FY2025)。CBPは単なる税関業務だけでなく、国境警備、テロ対策、麻薬取締りなど、幅広い権限を持っています。
入国者は、CBPの指示に従い、すべての持参品について正直に申告する義務があります。虚偽申告や申告漏れが発覚した場合、商品の没収はもちろん、その品物の価額と同じ額の罰金が科せられる場合があります(合衆国法典第19編1497条)。
税関申告書(CBP Form 6059B)の記入方法
税関の申告は、紙の申告書(CBP Form 6059B)で行う場合と、入国審査の場やアプリ「Mobile Passport Control」で行う場合があります。同じ世帯の家族が一緒に入国するときは、申告書は1枚にまとめられます。
申告書には、持参金額、商品の種類と価値、滞在期間、滞在目的などを正確に記載する必要があります。特に注意すべきは、現金などの合計が1万ドル(約155万円)を超えるときは必ず申告することです(FinCEN Form 105)。対象は現金のほか、トラベラーズチェックや、持参人払いの小切手・マネーオーダーなどです。持ち込むこと自体は違法ではなく、申告しないことが違反になります(1ドル=155円換算)。
2. 免税範囲と申告が必要な商品の詳細

個人使用目的の免税範囲
CBPの免税規定によると、免税で持ち込める範囲は次のとおりです(アルコールとたばこは21歳以上が対象)。
アルコール類については、1リットルまでが免税範囲となります。ただし、州によってはアルコールの持ち込み制限が異なるため、最終目的地の州法も確認が必要です。たばこは、日本から訪れる非居住者が紙巻き200本、または葉巻50本、または刻みたばこ2キログラムまで(連邦規則19 CFR 148.43)、アメリカの居住者が紙巻き200本と葉巻100本までです。
その他の品物の免税枠は、立場によって違います。アメリカの居住者が海外から戻るときは1人800ドル(約124,000円)までです(48時間以上国外にいた場合で、31日に1回)。日本から訪れる非居住者は、贈り物として持ち込む品物が合計100ドルまでで(72時間以上滞在する場合)、自分で使う衣類などの身の回り品は別に扱われます。枠を超えた分には関税がかかります。評価の基準は、原則として実際に支払った価格です。
| 商品カテゴリー | 免税範囲 | 申告必要額 | 税率 |
|---|---|---|---|
| 一般商品 | 居住者800ドル/非居住者の贈答品100ドル | 免税枠を超える分 | 商品により異なる |
| アルコール類 | 1リットル | 1リットル超 | 州により異なる |
| たばこ製品 | 200本 | 200本超 | 連邦税+州税 |
| 現金 | 10,000ドルまで | 10,000ドル超 | 申告のみ(税金なし) |
※上記は、個人使用目的での持ち込みに適用される免税範囲と申告基準
商業目的の持ち込み制限
商業目的での商品持ち込みは、個人使用とは全く異なる規制が適用されます。CBPの商業輸入規定では、販売目的や配布目的の商品については、金額に関係なく商業申告が必要となります。
また、同一商品を大量に持参する場合も、商業目的とみなされる可能性があります。例えば、同じブランドの時計を5個持参している場合、個人使用ではなく販売目的と判断され、追加の書類提出や関税の支払いを求められることがあります。
3. 持ち込み禁止・制限品目と必要な許可書類

絶対に持ち込み禁止の品目
農務省の規制により、生鮮食品、肉製品、乳製品、植物、種子類は基本的に持ち込み禁止となっています。これらの品目は、アメリカの農業や生態系を脅かす病害虫や病原菌を持ち込むリスクがあるためです。
近年特に注意が必要なのは、加工食品であっても肉や乳製品を含む商品です。例えば、日本のカップラーメンの多くは肉エキスが含まれているため持ち込み禁止です。「加工してあるから大丈夫」という判断は非常に危険で、発覚した場合は没収されるだけでなく、罰金の対象となります。
制限品目と必要書類
医薬品については、FDA(食品医薬品局)の規制に従う必要があります。処方薬は、英文の処方箋または医師の診断書があれば、通常3か月分まで持ち込み可能です。
ただし、向精神薬や麻薬系の薬品については、事前にDEA(麻薬取締局)の許可が必要な場合があります。市販薬であっても、アメリカで販売されていない成分を含む薬品は問題となる可能性があるため、英文の成分表を用意することをご推奨いたします。
文化財や骨董品については、CBPの文化財保護規定により、原産国の輸出許可証が必要な場合があります。考古学的な価値のある品物や文化財は、特に確認が厳しくなります。
4. デジタル申告システムと最新の入国手続き

Mobile Passport Controlアプリの活用
Mobile Passport Controlアプリは、入国審査の情報と税関申告を到着前にスマートフォンで送れる無料のアプリです。使えるのは、アメリカ国民、永住権保持者、カナダ国籍の訪問者、ESTAで以前に入国したことがあるビザ免除プログラムの渡航者です(CBP、2026年10月時点)。このアプリを使用することで、機内や空港で事前に税関申告を完了でき、到着後は専用レーンを利用できます。
アプリでは、パスポート情報の読み取り、顔写真の撮影、税関申告書の入力がすべて完了します。CBPの案内では、国内の37空港、事前審査の15か所、4つの港で使えます(2026年10月時点)。初回はプロフィールの登録に時間がかかるため、渡航前に済ませておくと安心です。
自動入国審査機(APC)の使用方法
自動入国審査機(APC)は、一部の空港に置かれている端末で、パスポートの読み取りと税関申告の入力を機械で行います。設置の有無と使える人は空港ごとに違うため、到着時の案内に従ってください。
APCを利用する場合でも、申告内容に応じて税関職員との面接が必要になることがあります。特に高額商品の持参や、申告項目で「はい」を選択した場合は、従来通り職員による確認が行われます。機械の利用により手続きは簡素化されますが、申告の正確性は従来と同様に重要です。
5. まとめ

アメリカ入国時の税関手続きは、適切な準備と正確な申告により、スムーズに完了できる手続きです。重要なポイントは、免税範囲の正確な理解、禁止品目の把握、そして何よりも正直な申告です。
デジタル申告システムの普及により手続きは効率化されていますが、申告内容の重要性は変わりません。特に1万ドルを超える現金の持参、商業目的の商品持ち込み、制限品目については、事前の確認と適切な書類準備が不可欠です。
当社では、アメリカでのビジネス展開や長期滞在を検討される皆様に対し、入国手続きから事業立ち上げまで、全体的なサポートサービスを提供しております。税関手続きに関するご質問やアメリカでの事業に関するご相談は、お問い合わせフォームよりお気軽にお問い合わせください。
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よくある質問
アメリカ税関・国境警備局は1日に何人の入国者と車両を扱っていますか。
CBPの集計では、2025会計年度の1日平均で約114万人の旅行者と約26万台の車両の入国を扱っています。同局は単なる税関業務だけでなく、国境警備やテロ対策、麻薬取締りなど幅広い権限を持っており、入国者はすべての持参品について正直に申告する義務を負います。
アメリカ入国時に1万ドルを超える現金を持参する場合どうすればよいですか。
現金などの合計が1万ドルを超えるときは、必ず申告する必要があります(FinCEN Form 105)。現金のほか、トラベラーズチェックや持参人払いの小切手・マネーオーダーも合計に入ります。基準はドル建てで、日本円などほかの通貨もドルに換算して合計します。
アメリカ入国時に免税で持ち込めるアルコール類の量はどれくらいですか。
21歳以上の成人1人あたり、アルコール類は1リットルまでが免税範囲となります。ただし州によってはアルコールの持ち込み制限が異なるため、最終目的地の州法も確認が必要です。たばこは、非居住者なら紙巻き200本、葉巻50本、刻みたばこ2キログラムのいずれかまで、アメリカの居住者は紙巻き200本と葉巻100本までです。
アメリカ入国時に日本のカップラーメンを持ち込むことは可能ですか。
農務省の規制により生鮮食品や肉製品、乳製品は基本的に持ち込み禁止となっています。日本のカップラーメンの多くは肉エキスが含まれているため持ち込み禁止であり、加工してあるから大丈夫という判断は危険です。発覚した場合は没収されるだけでなく罰金の対象となります。
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