アメリカの永住権(グリーンカード)を保有する方が、長期間アメリカを離れる際に必要となるのが再入国許可証(Re-entry Permit)です。2026年5月現在、この制度を正しく理解していないと、永住権の放棄とみなされるリスクがあります。
特に日本に一時帰国される方や、海外出張が長期にわたる可能性がある方にとって、再入国許可証は永住権を維持するための重要な手続きとなります。アメリカ移民局(USCIS)の統計によると、2026年には約24,000件の再入国許可証申請が処理されており、その多くが日本をはじめとするアジア系永住権保有者からの申請となっています。
本記事では、再入国許可証の申請から取得まで、そして注意すべきポイントについて詳しく解説いたします。永住権を失うリスクを回避し、安心して国際的な生活を送るための必須知識をお伝えします。本日は再入国許可証について見ていきましょう。
1. 再入国許可証とは何か

再入国許可証の基本概念
再入国許可証(Re-entry Permit)は、アメリカの永住権保有者が1年以上2年未満の期間アメリカを離れる際に、永住権の維持を保証する重要な文書です。この許可証は、米国市民権・移民サービス局(USCIS)が発行するもので、永住権を放棄する意思がないことを証明する役割を果たします。
通常、永住権保有者は1年以上アメリカを離れると、永住権を放棄したとみなされる可能性があります。しかし、再入国許可証を事前に取得することで、最大2年間の海外滞在が可能となります。この制度は、仕事や家族の事情で長期間の海外滞在が必要な永住権保有者にとって、極めて重要な制度といえます。
永住権維持における重要性
米国税関・国境警備局(CBP)によると、永住権保有者が1年以上アメリカを離れる場合、入国時に永住権の放棄を疑われる可能性が高くなります。特に、アメリカでの納税義務を果たしていない場合や、アメリカに居住する意思が明確でない場合は、入国審査で厳しい質問を受けることがあります。
再入国許可証は、このようなリスクを回避するための法的な保護手段として機能します。許可証を保有していることで、入国審査官に対して、永住権を維持し続ける明確な意思を示すことができるのです。
2. 申請の条件と必要書類

申請資格の詳細要件
再入国許可証の申請には、いくつかの重要な条件があります。まず、申請者は現在有効な永住権を保有している必要があります。また、申請時点でアメリカ国内に物理的に滞在していることが必須条件となります。
さらに重要なのは、申請者がアメリカに居住する意思を継続して保持していることを証明できることです。これには、アメリカでの住居、雇用、税務申告状況などが考慮されます。過去に長期間の海外滞在歴がある場合、追加の証明書類が求められることがあります。
必要書類の準備
申請に必要な主要書類は以下の通りです。まず、フォームI-131(Application for Travel Document)の完全な記入が必要です。このフォームはUSCIS公式サイトからダウンロード可能です。
加えて、永住権カード(グリーンカード)のコピー、パスポートの身分証明ページのコピー、そして2枚のパスポート規格写真が必要となります。申請料金は現在630ドル(約97,650円、2026年5月現在、1ドル=155円換算)で、85ドル(約13,175円)のバイオメトリクス手数料が別途かかります。
海外滞在の理由を説明する文書も重要です。これには雇用証明書、病気治療の必要性を示す医師の診断書、家族の緊急事態を証明する文書などが含まれます。USCISポリシーマニュアルでは、これらの証明書類の詳細な要件が規定されています。
3. 申請手続きの流れと処理期間

申請プロセスの詳細
再入国許可証の申請は、必ずアメリカ国内にいる間に開始する必要があります。申請書類一式をUSCIS の管轄オフィスに郵送した後、約2〜4週間でバイオメトリクス予約通知が送付されます。
バイオメトリクス・サービス予約では、指紋採取、写真撮影、署名のデジタル記録が行われます。この手続きは全米各地のUSCIS Application Support Centerで実施され、通常15〜20分程度で完了します。
処理期間と海外出発タイミング
2026年5月現在、再入国許可証の平均処理期間は8〜12ヶ月となっています。USCIS処理期間確認サイトで最新の処理状況を確認することができます。
重要なのは、許可証の受取前であっても海外出発が可能な点です。申請書にアメリカ国外の受取住所(在外アメリカ領事館など)を指定することで、海外滞在中に許可証を受け取ることができます。ただし、バイオメトリクス手続き完了後の出発でなければ、申請が却下される可能性があります。
以下は申請手続きの主要段階を示した表です。
| 段階 | 手続き内容 | 所要期間 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 申請書提出 | I-131フォーム郵送 | 即日 | アメリカ国内からのみ可能 |
| 受理通知 | NOA1発行 | 1〜2週間 | 受理番号で進捗追跡可能 |
| バイオメトリクス予約 | 指紋・写真撮影 | 2〜4週間後 | 完了後の海外出発可能 |
| 審査・承認 | 書類審査・決定 | 8〜12ヶ月 | 追加証拠要求の可能性 |
| 許可証発行 | 文書受取・確認 | 承認後2〜3週間 | 有効期限の確認必須 |
※上記の処理期間は2026年5月現在の目安であり、個別のケースや申請時期により変動する可能性があります。
4. 注意点とリスク管理

永住権維持における落とし穴
再入国許可証を取得しても、いくつかの重要な注意点があります。最も重要なのは、許可証の有効期限は最大2年間であり、この期間を超える海外滞在は永住権の放棄とみなされる可能性が高いことです。
また、米国内国歳入庁(IRS)の規定により、永住権保有者はアメリカでの所得税申告義務が継続します。海外滞在中であっても、年間所得が一定額を超える場合は確定申告が必要です。これを怠ると、永住権維持に悪影響を与える可能性があります。
複数回申請の制限事項
再入国許可証は生涯にわたって何度でも申請できるわけではありません。USCISの政策では、初回申請では最大2年間の許可証が発行されますが、2回目以降の申請では通常1年間の許可証となります。
さらに注意すべきは、複数回の長期海外滞在を繰り返すと、入国審査時に永住権の真正性について厳しい質問を受ける可能性が高くなることです。アメリカへの居住意思を明確に証明できる書類の準備が不可欠となります。
緊急時の対応策
再入国許可証の申請が間に合わない緊急事態では、Returning Resident Visa(SB-1ビザ)という選択肢があります。これは在外アメリカ領事館で申請可能ですが、永住権を維持する意思があったことを詳細に証明する必要があります。
このビザの申請には通常2〜6ヶ月を要し、申請料金も559ドル(約86,645円、2026年5月現在、1ドル=155円換算)と高額です。そのため、計画的な再入国許可証の申請が重要となります。
まとめ

再入国許可証は、アメリカの永住権を保有しながら長期間の海外滞在を予定している方にとって、極めて重要な制度です。申請はアメリカ国内からのみ可能であり、バイオメトリクス手続き完了後に海外出発ができるという点を理解しておく必要があります。
申請から承認まで8〜12ヶ月という長期間を要するため、海外滞在の計画が決まった時点で速やかに申請手続きを開始することをご推奨いたします。また、永住権維持のための税務申告義務や、複数回申請時の制限事項についても十分に理解し、適切な準備を行うことが重要です。
当社では、アメリカ永住権保有者の皆さまの権利維持をサポートしております。再入国許可証の申請や、その他の移民法に関するご質問がございましたら、お問い合わせフォームよりお気軽にお問い合わせください。


















