2026年9月27日 Satoshi Onodera

ニューヨーク賃貸のNo Fee物件とは。仲介手数料の仕組みと駐在の部屋探しでの使い方

ニューヨークの賃貸物件を検索していると、募集広告に「No Fee」と書かれた物件と、何も書かれていない物件が混ざって出てきます。この違いは、借主が仲介手数料を払うかどうかです。

 

日本の賃貸にはない仕組みなので、赴任前の部屋探しで戸惑う方が多い項目です。No Feeの物件がなぜ存在するのか、家賃との関係、駐在の部屋探しでどう扱うかを整理します。

 

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ニューヨーク駐在の部屋探しと生活立ち上げ
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まとめて見る

1. No Feeとは何か

ニューヨークの賃貸物件の内見

 

ニューヨークの賃貸では、部屋を紹介した不動産エージェントに仲介手数料が支払われます。募集広告の「No Fee」は、この手数料を借主が負担しない物件という意味です。

 

反対に、何も書かれていない物件や「Fee」と書かれた物件は、借主が仲介手数料を払う前提で募集されています。同じ建物の同じ間取りでも、募集の出し方によってNo Feeになることもあれば、手数料付きになることもあります。

 

仲介手数料の料率は法律で決まっていません。すべて当事者間の交渉で決まりますので、金額と支払い条件は契約前に書面でご確認ください。

 

2025年6月からは、ニューヨーク市の条例により、貸主側が依頼したエージェントの手数料を借主に請求することが禁止されました。借主が自分で依頼したエージェントの手数料だけが、借主の負担になります。この変更で、市場に出るNo Fee物件の比率は以前より高くなっています。

 

2. 誰が仲介手数料を払うのか

ニューヨークの賃貸物件の内見

 

No Fee物件で借主が払わない手数料は、消えているわけではありません。貸主が払っているか、貸主が自社の担当者で募集していて外部のエージェントが関わっていないか、どちらかです。

 

募集の形 手数料を払う人 よくある物件
No Fee(貸主負担) 貸主がエージェントに払う 大手管理会社のレンタルビル
No Fee(直接募集) 誰も払わない 管理会社が自社サイトで募集
Fee(借主負担) 借主が自分で依頼したエージェントに払う 個人オーナーのコンドやコープの賃貸
Fee(借主負担) 借主が自分で依頼したエージェントに払う 借主が探す側にエージェントを付けた場合
No Feeと手数料付きの違い。表示だけでなく、誰が誰に払うかで見ると分かりやすくなります

 

大きなレンタルビルは、空室が出るたびに広告費をかけて借主を集めます。そのため貸主が手数料を負担して、No Feeで募集することが多くなっています。一方で、個人オーナーが持つコンドミニアムやコープの一室は、オーナーが手数料を持ちたがらないため、借主が自分の側のエージェントに払う形で募集されることがあります。

 

物件の種類ごとの違いはニューヨークの住宅の種類の記事で説明しています。

 

3. 家賃と手数料の関係

ニューヨークの賃貸物件の内見

 

No Fee物件は、初期費用が少なくて済む一方、家賃に手数料分が上乗せされていることがあります。貸主が手数料を負担したぶんを、月々の家賃で回収する考え方です。

 

この上乗せは、契約が1年で終われば手数料付きの物件と大きな差はつきません。ただし2年、3年と住み続ける場合、上乗せされた家賃を払い続けることになります。更新のたびに家賃が上がる仕組みは更新通知と家賃交渉の記事に書いています。

 

駐在で3年以上住む予定なら、No Feeと手数料付きを初期費用だけで比べないでください。月額家賃に12か月をかけて年間の総額を出し、手数料を含めた住む期間全体の総額で並べるのが正しい比べ方です。

 

もうひとつ知っておきたいのは、家賃の値引きです。No Feeの大きなレンタルビルでは、募集時に1か月無料や2か月無料といった特典を付けることがあります。この特典は「ネット家賃」として計算され、次の更新時には特典のない家賃に戻ります。契約時に見えている月額と、2年目以降の月額が違う点にご注意ください。

 

4. 駐在の部屋探しでの使い方

駐在の場合、住宅手当の上限や会社の規定が先に決まっています。No Feeか手数料付きかは、その規定の中で総額をどう収めるかの問題です。実務としては次の順で進めます。

 

まず、会社の規定を確認します。仲介手数料が会社負担なのか、本人負担なのか。会社負担ならNo Feeにこだわる理由は薄くなり、物件の選択肢が広がります。本人負担なら、No Fee物件を中心に探しつつ、年間総額で比べます。

 

次に、募集広告の表示を確認します。検索サイトでNo Feeの絞り込みができますが、表示が古いまま残っていることがあります。内見の申込時に「この物件は借主が手数料を払うか」を必ず質問し、返答を書面で残してください。

 

そのうえで、契約前に費用の一覧を出してもらいます。初月家賃、敷金、申込料、手数料の有無をまとめた書面です。ニューヨーク州では敷金は家賃1か月分が上限、申込料は20ドルが上限と法律で決まっています。この一覧に法律の上限を超える項目があれば、その場で指摘できます。初期費用の項目は初期費用の支払いと銀行手続きで詳しく書いています。

 

最後に、自分の側にエージェントを付けるかを決めます。日本から遠隔で探す場合、内見の代行、書類の準備、貸主との交渉を任せられる相手がいると進み方が変わります。その場合の手数料は、依頼する前に金額と支払い条件を書面で確認してください。書類の準備は賃貸申込に必要な書類にまとめてあります。

 

5. まとめ

No Feeは、借主が仲介手数料を払わない物件の表示です。手数料は貸主が負担しているか、直接募集で発生していないかのどちらかで、家賃に上乗せされていることがあります。2025年6月の条例改正で、貸主側が依頼したエージェントの手数料を借主に請求することは禁止されました。

 

駐在で数年住むなら、初期費用ではなく住む期間の総額で比べてください。会社の規定を先に確認し、手数料の有無は内見の申込時に質問して書面で残す。この2つで、No Feeの表示に振り回されずに部屋を選べます。ニューヨークの賃貸全体の流れはニューヨークの賃貸ガイドをご覧ください。

 

駐在の部屋探しのご相談を承っております。会社の規定に合わせた物件の選び方からご案内します。

 

よくある質問

No Fee物件は家賃が高いのですか。

貸主が負担した仲介手数料を家賃で回収する考え方のため、同じ条件の手数料付き物件より月額が高いことがあります。1年で退去するなら差は小さく、3年以上住むなら手数料付きの物件を総額で比べたほうが安く収まる場合があります。

No Feeの表示があれば手数料は本当にかかりませんか。

貸主側が依頼したエージェントの手数料は、2025年6月以降、借主に請求できません。ただし借主が自分で依頼したエージェントの手数料は、No Fee物件でも借主の負担になります。内見の申込時に誰が誰に払うかを質問し、返答を書面で残してください。

仲介手数料の相場はいくらですか。

決まった料率はありません。すべて当事者間の交渉で決まります。金額と支払い条件は、依頼する前に書面でご確認ください。

1か月無料の特典がある物件は得ですか。

特典は初年度だけの値引きで、更新時には特典のない家賃に戻ります。契約時の月額ではなく、2年目以降に払う家賃で判断してください。特典を含めた1年目の平均月額を「ネット家賃」と呼びますが、更新の基準になるのは特典を除いた金額です。

 

申込から入居、退去までを一通りまとめたものはニューヨークの賃貸契約ガイドにあります。個々の手続きはそこから辿れます。

 

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