ニューヨーク州では、すべての住宅の賃貸契約に、住むのに適した状態を貸主が保つという約束が含まれています。契約書に書いていなくても、口頭の契約でも同じで、これを外す特約は無効です。不動産法235-b条の「居住適格性の保証」と呼ばれる決まりです。
水漏れや暖房の故障を頼んでも直らないとき、借りる側には段階を踏んだ手段があります。逆に、日本からコンドの1戸を貸している方には、同じ決まりが貸主の義務としてかかります。
- 住める状態を保つ約束は、書いていなくてもすべての住宅の賃貸契約に入っています
- まず貸主か管理会社に頼み、直らなければ311に申告します
- 市の違反は3種類。直す期限は90日、30日、24時間で、暖房と給湯はすぐです
- 家賃を自分の判断で止めると、家賃不払いで訴えられる余地があります
本日はニューヨークの賃貸で貸主が修理しないときの決まりについて見ていきましょう。
1. 居住適格性の保証とは

州法の条文
235-b条は、貸主が部屋と共用部分を人が住むのに適し、使う目的に合った状態に保ち、住む人の生命、健康、安全を害する状態に置かないことを約束したものとみなします。入居者がこの権利を放棄する、または狭める合意は、公序に反して無効です。
ただし、入居者自身や、入居者が招いた人の不注意で生じた状態は、この約束の違反になりません。裁判所は損害の額を決めるときに、専門家の証言を必ずしも求めないとされています。
どのような状態が当たるか
市の住宅局(HPD)がもっとも重い区分として扱う例には、鉛を含む塗料の傷み、窓ガードの欠け、自動で閉まる扉の故障、カビ、ネズミやゴキブリ、暖房と給湯の不足があります。ほかに、水漏れ、排水の詰まり、壊れた鍵なども、住める状態を損なう例です。冬の室温の決まりはアパートの暖房はいつから何度かに、虫とネズミの駆除の義務は賃貸のネズミとトコジラミにまとめています。
2. 頼み方と、311への申告

まず貸主に、記録を残して頼む
HPDの申告の案内は、まず所有者や管理側に連絡することを勧めています。電話だけで済ませず、メールや建物のアプリで、いつ、どの部屋の、どんな状態かを写真とともに送っておくと、後の手続きでそのまま記録になります。修理に来た係にチップを渡す法律上の義務はありません。
311に申告すると何が起きるか
- 311の電話、ウェブ、アプリのどれかで申告し、受付番号を受け取る
- HPDが管理会社に連絡し、直さなければ違反になると伝える
- HPDから入居者に、直ったかどうかの確認の連絡が来る
- 直っていなければ、検査官が部屋を見に来る。所有者には検査の日は知らされない
- 違反と判断されると、所有者に違反の通知が送られ、直す期限がつく
検査官は、申告された箇所のほかに、煙と一酸化炭素の警報器、6歳未満の子どもがいれば鉛の塗料、11歳未満の子どもがいれば窓ガードなども確かめます。騒音の申告の仕方はアパートの騒音と311にまとめています。
3. 違反の種類と直す期限

A、B、Cの3つの区分
市の住宅維持法の違反は、危険のない「A」、危険な「B」、すぐに危険な「C」に分かれ、区分ごとに直す期限が決まっています。HPDの違反の解消の案内と、毎年の報告書をもとにまとめると次のとおりです。
| 区分 | 内容 | 直す期限 |
|---|---|---|
| A 危険のないもの | 危険はないが、直す必要がある状態 | 90日 |
| B 危険なもの | 放っておくと住む人に危険が及ぶ状態 | 30日 |
| C すぐに危険なもの | 水漏れ、壊れた鍵、排水の詰まり | 24時間 |
| C 暖房と給湯 | 暖房や給湯が足りない | すぐ |
| C 鉛の塗料、窓ガード、カビ、害虫 | 子どもの安全と健康に関わるもの | 21日 |
| C 自動で閉まる扉 | 廊下へ出る扉が閉まらない | 14日 |
HPDの申告と違反の解消の案内、2025年分の違反の是正報告書をもとに作成しました。
直らないときの次の手段
すぐに危険な状態が直らないとき、HPDは緊急修理の制度で自ら修理し、費用を所有者に請求することがあります。違反が残ったままなら、入居者は住宅裁判所に、修理を求める手続きを起こせます。条件に合えば、法律の相談を費用をかけずに受けられる場合もあります。
4. 家賃を止める前に。借りる側と貸す側

家賃を止める危うさ
州の司法長官の入居者向けの案内は、貸主が居住適格性の保証に違反したとき、入居者は家賃の減額を求めて訴えられるとしています。家賃を払わずに止めることもできますが、その場合、貸主は家賃不払いで入居者を訴えることができるとも書いています。家賃安定化の住戸では、貸主へ書面で知らせてから10日以上60日以内に、州の住宅局へ申し立てる方法もあります。
家賃を止めるかどうかは、申告の受付番号、写真、やり取りの記録をそろえたうえで、専門家に相談してから決めてください。止めた家賃は、後で払えるように手元に分けておくのが安全です。
日本から部屋を貸している所有者の場合
居住適格性の保証は、コンドの1戸を貸している所有者にもかかります。入居者から修理を頼まれたら、管理会社を通じてすぐに業者を手配し、日付と内容を記録しておきます。建物の共用部分の故障は管理組合の担当です。部屋の中の設備をどちらが直すかは、賃貸契約と建物の規約で決まるので、契約の段階で分担をはっきりさせておきます。管理会社との分担は日本にいながらニューヨークの賃貸を回すにまとめています。
まとめ

記録を残して頼み、直らなければ311
ニューヨーク州では、住める状態を保つ約束がすべての住宅の賃貸契約に入っており、外す特約は無効です。修理はまず貸主か管理会社に記録を残して頼み、直らなければ311に申告します。違反になると、区分に応じて90日、30日、24時間などの期限で直すことが求められます。
家賃を自分の判断で止めると、家賃不払いで訴えられる余地があります。借りる方は記録をそろえてから動き、貸す方は頼まれた修理をすぐに手配して記録を残すことが、もめごとを防ぐいちばんの近道です。
よくある質問
ニューヨークで貸主が修理してくれないときはどうすればよいですか。
まず貸主か管理会社に、日時と状態が分かる写真付きのメールなどで記録を残して頼みます。直らなければ311に申告します。市の住宅局(HPD)が管理会社に連絡し、それでも直らなければ検査官が部屋を確かめ、違反になれば所有者に直す期限がつきます。
市の違反には、どのくらいの修理の期限がありますか。
市の住宅維持法の違反は3つの区分に分かれ、危険のないA区分は90日、危険なB区分は30日、すぐに危険なC区分は多くが24時間です。暖房と給湯はすぐに、鉛の塗料、窓ガード、カビ、害虫は21日、自動で閉まる扉は14日が期限です。
修理されないあいだ、家賃を払わなくてもよいですか。
ニューヨーク州の司法長官の案内では、入居者は家賃を止めることもできますが、その場合、貸主は家賃不払いで入居者を訴えることができます。家賃の減額を求めて訴える方法もあります。止めるかどうかは、記録をそろえたうえで専門家に相談してから決めるのが安全です。
契約書に修理は入居者の負担と書いてあれば、それに従うのですか。
住むのに適した状態を貸主が保つという約束は、不動産法235-b条ですべての住宅の賃貸契約に含まれ、これを放棄させたり狭めたりする合意は無効です。ただし、入居者自身や入居者が招いた人の不注意で生じた傷みは、貸主の違反にはなりません。
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