ニューヨーク市では、3戸以上の賃貸建物の所有者に、少なくとも年1回すべての住戸と共用部を点検し、ネズミやゴキブリを駆除する義務があります。新しい入居者が入る前には、空室を清掃して害虫のいない状態にしておく決まりもあります。
トコジラミについては、新しく賃貸契約を結ぶ入居者に、建物と住戸の過去1年の発生履歴を書面で知らせる義務があります。所有者は毎年12月に市へ発生状況を報告し、その内容は市のサイトで誰でも見られます。
- 3戸以上の建物の所有者は、全住戸を年1回以上点検し、ネズミやゴキブリを駆除します
- トコジラミは、新しい入居者に過去1年の履歴を書面(DBB-N)で知らせます
- トコジラミの年次報告とネズミの検査結果は、市のサイトで住所から調べられます
- 見つけたら管理人か貸主へ。直らなければ311に連絡します
どれも入居前に自分で確かめられる情報です。日本から部屋を探す場合でも、契約書と一緒に届く1枚の書式と市の公開記録を見るだけで、避けられるトラブルがあります。
本日はニューヨークの賃貸のネズミとトコジラミについて見ていきましょう。
1. 所有者の義務。年1回の点検と、入居前の清掃

根拠は2018年の市の条例
2018年の市の条例(Local Law 55)により、3戸以上の民間の集合住宅の所有者は、ゴキブリやネズミ、カビとその原因を、全住戸と共用部で少なくとも年1回点検します。入居者からの苦情や点検の依頼にも応じます(市の保健局と住宅保存開発局の案内)。
駆除は総合的有害生物管理(IPM)という方法で行います。壁や床、配管まわりの穴やすき間をふさぎ、廊下に面したドアの下にすき間ふさぎを付け、水漏れを直して、ネズミや虫が住めない状態にするやり方です。違反を直すために薬剤を使うときは、州の環境保全局の免許を持つ業者が散布します。
| 対象 | 所有者の義務 | 時期 |
|---|---|---|
| ネズミ、ゴキブリ、カビ | 全住戸と共用部の点検(3戸以上の建物) | 少なくとも年1回 |
| 空室 | 清掃し、害虫とカビのない状態にする | 新しい入居者が入る前 |
| トコジラミの履歴 | 建物と住戸の過去1年を書面で開示 | 新しい賃貸契約のとき |
| トコジラミの年次報告 | 発生状況を市(HPD)へ報告 | 毎年12月1日〜31日 |
| 報告の受領書 | 入居者に渡すか、建物に掲示 | 新しい契約と更新のたび |
ニューヨーク市保健局(DOHMH)と住宅保存開発局(HPD)の案内をもとに作成。
入居者の側にも役割がある
同じ案内は、入居者にも、食べ物を密閉できる容器に入れる、ごみを毎日出す、ダストシュートに入れる前に袋の口を縛る、害虫や水漏れ、壁の穴を見つけたらすぐ管理人に伝える、といったことを勧めています。
2. トコジラミ。契約前に受け取る開示書と、市への年次報告

過去1年の履歴を書面で受け取る
市の住宅保存開発局(HPD)のトコジラミの案内によると、所有者は新しい入居者に、過去1年のトコジラミの発生履歴を開示します。州の住宅局の書式(DBB-N)では、次のどれに当たるかに印を付けます。
- 過去1年、建物にも住戸にも発生の履歴はない
- 建物で発生し、駆除をした(発生した階を記入)
- 建物で発生し、駆除をしていない(発生した階を記入)
- 住戸で発生し、駆除をした
- 住戸で発生し、駆除をしていない
毎年12月の報告は誰でも見られる
2017年の市の条例(Local Law 69)により、集合住宅の所有者は毎年12月1日から31日までに、前年11月1日から当年10月31日までの発生状況をHPDへ報告します。住戸の数、発生した住戸の数、駆除をした住戸の数、駆除のあとも発生した住戸の数です。
報告の内容はHPDONLINEで公開されます。所有者は報告の受領書を、新しい契約と更新のたびに入居者へ渡すか、建物の目立つ場所に掲示します。
市の保健局は、トコジラミはリンゴの種ほどの大きさで、マットレスの縫い目やボックススプリングのすき間に潜むと説明しています。中古の家具は買う前に確かめる、共用の洗濯室では清潔な袋で運び、乾燥機から出したらそのまま袋に入れて家でたたむ、といった予防を勧めています。
3. ネズミ。住所で検査の結果を調べる

市の地図で過去の検査を見る
ネズミは保健局の担当です。市のネズミの情報ポータルでは、住所から建物の検査の履歴を見られます。前回の検査で問題がなければ「合格」、ネズミの痕跡があれば「ネズミの活動あり」と表示されます。結果は通常、検査から5営業日ほどで反映されます。
痕跡が見つかった建物の所有者には是正の命令が届き、12〜30日後に再検査があります。直っていなければ呼び出し状が出され、保健局が駆除や清掃をして費用を所有者に請求することもあります。
見つけたら管理人へ、次に311
保健局の解説によると、市には311を通じて毎年約4万件のネズミの苦情が届きます。住戸の中でネズミやトコジラミを見つけたら、まず管理人か貸主に伝え、直らなければ311に連絡します。
- 管理人か貸主に、見つけた場所と日時を伝えます。
- 写真を撮り、食べ物とごみを密閉して置き場所を片付けます。
- 直らなければ311に苦情を出します。HPDの検査員が生きたトコジラミを確認すれば、所有者に違反が出ます。
4. 入居前に確かめること。内見と書類でできる確認

内見で見る場所
内見は、部屋の広さや眺めだけでなく、害虫が入り込む場所を見る機会でもあります。次の点を見ておきます。
- 壁と床の境目、流しの下、配管まわりの穴やすき間
- 廊下に面したドアの下のすき間
- キッチンと浴室の水漏れの跡
- ごみ置き場がふた付きの容器で片付いているか
- 家具付きの物件は、マットレスの縫い目とベッドの枠
契約前に書類と記録を見る
契約書と一緒にトコジラミの開示書(DBB-N)を受け取ったか、HPDONLINEの違反と年次報告、ネズミのポータルの検査結果を見ておきます。家具付きの物件の注意点は家具付き賃貸と家具レンタルに、契約の流れはニューヨークの賃貸契約ガイドにまとめています。
貸す側は、年1回の点検と駆除の記録、空室の清掃、開示書と受領書の受け渡しを、管理会社の仕事として契約に書いておきます。詳しくは日本にいながらニューヨークの賃貸を回す方法をご覧ください。
まとめ

履歴は公開されている
ニューヨークでは、3戸以上の建物の所有者に年1回以上の点検と駆除の義務があり、トコジラミは過去1年の履歴を新しい入居者に開示します。トコジラミの年次報告とネズミの検査結果は、市のサイトで住所から調べられます。
借りる方は内見と書類で確かめ、貸す方は点検と記録を管理会社と決めておきます。そうすれば、入居後に慌てる場面を減らせます。
よくある質問
ニューヨークでは、ネズミやゴキブリの駆除は誰の責任ですか。
3戸以上の民間の集合住宅では所有者の責任です。2018年の市の条例(Local Law 55)により、所有者は全住戸と共用部を少なくとも年1回点検し、穴やすき間をふさぐ、水漏れを直すといった方法で駆除します。新しい入居者が入る前には、空室を清掃して害虫のいない状態にします。
トコジラミの履歴は契約前に分かりますか。
分かります。所有者は新しい入居者に、建物と住戸の過去1年のトコジラミの発生履歴を書面で開示します。州の住宅局の書式(DBB-N)で、発生の有無と駆除をしたかどうかに印を付ける形です。
建物のトコジラミやネズミの記録はどこで調べられますか。
トコジラミは、所有者が毎年12月に市へ出す報告がHPDONLINEで公開されています。ネズミは、市の保健局のネズミの情報ポータルで、住所から過去の検査の結果を見られます。
入居後にネズミやトコジラミを見つけたらどうしますか。
まず管理人か貸主に、見つけた場所と日時を伝えます。直らなければ311に苦情を出します。トコジラミは、HPDの検査員が生きた虫を確認すると所有者に違反が出ます。
本ページの相場、利回り、所要時間などの数値は、一般に公開されているデータや当社の取引経験にもとづく目安です。物件、時期、条件によって実際とは異なる場合があり、当社が正確性および最新性を保証するものではありません。犯罪発生状況はニューヨーク市警などの公的機関が地区ごとの統計を公開しているため、そちらの数字をご確認ください。当社は入居者や購入者の国籍、人種、出身、宗教、家族構成によって物件やエリアをお勧めすることはいたしません。本ページの内容は情報提供のみを目的としており、投資勧誘や税務助言には当たりません。

















